アクアもカズマも、実の所自らパーティメンバーの募集をした事も無ければ、他のパーティからの誘いに対して応じた事も無い。
理由としては、お察しの通り『そんな事しなくても問題無い戦力が一人居る』からだった。
しかもそれだけには飽きたらず、このすっぴんの最高戦力保持者は、アクアとカズマに無自覚に甘かった。
当初はそんな事が無くて寧ろアクアに風当たりが強いくらいだったのに、気付けば過保護なまでに二人に対して甘やかしていた。
なのでカズマもアクアも『イッセー居るしもう大丈夫じゃね?』という理由で仲間の募集というものをした事すら無かったのだ。
「アークウィザードは上位職だし、別に良いんじゃないの? イッセーが問題だけど」
「確かにイッセーが何て言うかだよなー」
「うぅ」
なので、この度アークウィザードという上位職保持者からのまさかのパーティ入り申請に、アクアもカズマもどうしようかとイッセーの資金にて注文された比較的高級な料理を食しながら、つい先程イッセー自身に思いきり怒鳴り散らされてしまったアークウィザードのめぐみんを加え、話し合うのであった。
「ちなみに私がお風呂に入ってる間に居なくなってたアイツは何処なの?」
「あー……例の如くナンパしに行ったぜ? 多分もう少ししたら――」
「ちきしょう……!! まさか人妻だったとは」
「ほら来た」
ジャイアント・トード討伐のクエストを成功したけど失敗したというオチで迎えた凸凹トリオは、先に風呂場に投げ捨てて来たアクアと合流し、着替えを済ませてからいつの間にか姿を消していたイッセーが、何やらブツブツと人妻と知らずにナンパ仕掛けて失敗した的な事を言いながら合流してきた。
「また失敗か?」
「あぁ……人妻とは知らずにナンパしたらその人の旦那にめっちゃ怒られたわぁ」
「バカねぇアンタ」
「ナンパって……」
凹んだ様子でアクアの隣に腰を下ろすイッセー。
カズマが不憫に思って連れてきためぐみんの存在にはまだ気づいてない様子。
「おねーさん、シュワシュワの大くださーい」
この世界に来てからというもの、生前世界と違って自分を消そうとする鬱陶しい輩共にも邪魔されず、フリーダムにのほほんとナンパライフを楽しんでいるイッセーだが、既に敗北回数が二桁に到達するとなると流石に凹むのか、頼んだシュワシュワを受けとるや否やガブガブと水の様に飲み干す。
「中々居ないなぁ……黒髪でボインで大和撫子みたいなおんにゃのこは」
「世界観が違うしな、というかそんな気質の女なんてレアだろ」
「何で私を見ながら言うのよ?」
「………」
イッセーのシュワシュワ一気飲みをトリガーに始まる何時もの晩餐。
出された料理を次々と平らげる辺りは、食い意地は三人してかなり悪いのかもしれない。
「………」
そんな中をカズマによって連れてこられためぐみんは、お腹を鳴らしながらゴクリと唾を飲み込む。
実は色々あって上位職なのに仲間が居なかったり、またその理由があって割りと貧乏であったりするめぐみんにとって、目の前で三人がムシャムシャと平らげては追加する料理はお腹にとっての毒であった。
「? おいどうしたロリっ子? 食欲が無いのか?」
故に隣に座っていたカズマに蛙だったかの唐揚げを食しながら、声を掛けられると期待という言葉で余計にお腹の虫が鳴り響く。
「え、食べて良いんですか?」
「別に良いぞ、なぁイッセー?」
「ん? ………………は? 何でこれが居るの?」
「あぅ……」
食うくらいで何を遠慮してるのやら……と思いつつ然り気無くイッセーにめぐみんの存在についてのフォローを入れるカズマに、漸くここに来て初めて気付いたのか、イッセーは対面するめぐみんに対してどうでも良さそうな対応であった。
「いやほら、見てて憐れに思えてよ」
「一応アークウィザードだし、自分から仲間にしてくれなんて私たちに言うなんて珍しいじゃない? だから連れてきたのよ」
「ほーん?」
「あ、あのぅ……先程はとんだご無礼を――」
「チッ、つまらん……。
寸胴の糞ガキなんぞ視界に入れて飯食ったってただただ萎えるぜ」
「」
どうでも良いというか、好みの対象外である時点でそこら辺に生えてる雑草といった認識であることを平然と口にしてしまう。
「う、うぅ……寸胴でごめんなさい……」
「お前……ひでぇぞいくら何でも」
「そこだけは本当にブレないわね」
先程の件で既にメンタルがボロボロのめぐみんは、自分の体型について生きててごめんなさいクラスの謝罪をしながら再び涙目になる。
勇気を出して、ある意味で周囲から注目されていた凸凹パーティの前に出てみれば、自分と同類の匂いがする男には思いきり怒鳴り散らされ、挙げ句今は視界入れるだけで軽く舌打ちまでされる始末。
めぐみんのメンタルはズタボロだった。
「……そ、そういや爆裂魔法ってどんなのなんだ?」
そんなやり取りを見て、『あ、こりゃダメだ』と肌で感じたカズマは、別にしなくても良いフォローの為に話題逸らしという意味を込めてめぐみんに爆裂魔法について聞いてみる。
ぶっちゃけカズマとしても『何で俺がこんなフォローを……』ととは思うが、タイミングが悪いとはいえ悪意が無いロリっ子が怒鳴り散らされるのを見るのは忍びないのだ。
「ば、爆裂魔法にご興味が!?」
「ちょっとは……俺冒険者の職だけど魔法使えないし」
だからこそ、アークウィザードであるらしいめぐみんに専門職の魔法について敢えて聞いて、少しでもメンタルを回復させる事に専念するカズマの頑張りが功を奏したのか、それまでイッセーにボロクソになじられて涙目だっためぐみんが途端に――それこそ待ってましたとばかりに目を輝かせる。
「冒険者ならスキルポイントを貯めれば私と同じ爆裂魔法が使える筈です! ですので、ご興味がおありなら是非――」
「お、おう……でも見てみないと何とも言えないな」
「それならご飯を食べ終えたら直ぐに見せましょう! 危険なので町の外で!」
余程自信があるのか、今までのが何だったんだと思う程に興奮しながら捲し立てるめぐみん。
「で、で、出来ればそちらの方も――」
そしてこのテンションを利用して然り気無く本命の彼もと、若干緊張しながらイッセーへと眼帯で片方を隠した紅い瞳を向けたのだが……。
「ごくごく……シュワシュワがおいちー」
「チッ……俺は何時から親鳥になったんだ? そら、溢すな」
全然、一切、全く聞いてる様子が無く、堕落状態になったアクアの口にせっせと料理や飲み物を与えていた。
「…………。何ですかあれ?」
聞いてないのもそうだが、それ以上に良い歳の若者……に見える二人が親子みたいなやり取りをしているという、カズマにとっては慣れきってしまった光景に、初見のめぐみんは引いてしまう。
「いやその……色々あったんだよ。色々と……」
どう見てもアクアを甘やかしてる様にしか見えないイッセーに対して、フォローが出来ないカズマは曖昧に答える。
こればかりは浮上したイッセーの悪癖を改善しないといけない事なので、フォローのしようが無いのだ。
「その内直すから、適当に解釈してくれ」
「は、はぁ……」
だから何も知らないめぐみんにはこう言うしか無いわけで……。
恐らくめぐみんが居る手前、表に出られないドライグも何とも云えない気分なんだろうなぁ……と思いつつ、カズマは皿に残っていた肉きれを口に運ぶのだった。
アクセルには変わった冒険者で固められたパーティがある。
そんな噂が広まり始めたのはまだ最近の事であるのだが、アクセルに滞在する者達の殆どが、それが誰なのか分かっていた。
「うむむ、アークウィザードの少女が例のすっぴんに接触した様だな……」
「みたいだね。あの独特で、入る余地が全く感じられない三人の空気の中に入ろうとするなんて、勇気あるよねー?」
このとある冒険者二人のその内の一人であり、彗星のごとく現れては、特にたいした活躍も無いくせに無駄に注目されていた冒険者、アークプリースト……そして冒険者の中でも最低の落ちこぼれの烙印がおされるすっぴんの三人組が、アークウィザードの少女と共にギルド場を出ていく様子を他のテーブルから窺っていた。
「しかし、なんと言うか……あのアクアって人とカズマって人に対して甘いというか、凄いよね……いっそ仲良過ぎて気持ち悪いや」
「うむ……確かにな。最初は寧ろあのすっぴんの男はアークプリーストの彼女にかなりゾクゾクする――えふんえふん! 辛辣だったのになぁ」
「一体何があったからああなったのか……金回りも何故か良いみたいだし」
「噂によると、あのすっぴん男が色々な場所から売れる鉱石を採掘してくるらしい」
「ふーん? あ、行っちゃうけどどうする?」
とある理由で知り合った同士の金髪と銀髪の冒険者は、どうやら町の外へと向かう凸凹トリオ+αの様子を見てどうしようかと相談する。
「うーむ、あの男二人からそこはかとなく感じる素晴らしき――おほん! 鬼畜なオーラはもしかしたら悪徳冒険者の可能性も高い……そう思って暫く観察してみて良ければ鬼畜な目に合わせて貰う……じゃなくて正す為に近付く機会を窺っていたが、あのアークウィザードの少女に先を越されてしまった」
「もうそこまで言うなら隠さなくても良いんじゃないの? でも確かにアークウィザードの子がああして近づけたという事はアタシ達にもチャンスはあるかもね」
この二人はどうやら凸凹トリオに対して興味本意で近付いてみたい様だ。
金髪の……騎士の様な軽鎧を身に纏う冒険者は、さっきから様子が変で、銀髪の軽装な冒険者は呆れつつも、もしかしたらチャンスかもしれない……。
(破壊の龍帝……)
特に銀髪の冒険者は、腹の中に抱くこの世界の人々が知り得ない筈の言葉を繰り返しながら……。
「見物してみようか?」
「い、行くのか!? も、もしかしたらいきなりビンタでもされちゃうかもしれないのに!?」
「いやいくら何でもいきなりそんな事はされないと思うけど……」
「そ、そうなのか……いやしかし、何事も挑戦だし……行ってるか!」
「はは……。(かつてあらゆる神々を殺した龍帝……ですか)」
二人の冒険者は席を立つのだった。
めぐみんの爆裂魔法が見たいという、カズマの希望により嫌々ながらも町の外へと出たイッセーは、アクアを何時もの様におんぶしながら、本日成功したけど失敗したジャイアント・トードの群れが居た湿地地帯へとやって来た。
「お、何匹かまた出てきてるじゃん」
「これなら私の爆裂魔法を見せられますね!」
ドラゴン波による小規模の破壊跡が残る湿地地帯に再びやって来れば、取りこぼしたジャイアント・トードが何匹かのそのそとしているのが確認される。
それを見てめぐみんが異様に張り切りながら持っていた杖をクルクル回し始めるのをカズマは苦笑いしながら見守る中、嫌々付いてきたイッセーはといえば……。
「おら、着いたから降ろすぞ?」
「いーやーだー! おんぶしたまんまが良い~!」
「このアマ……めんどくせぇ」
完全に駄女神モードに入ってしまったアクアに駄々をこねられながら全力でしがみ付かれていた。
しかし口では悪態をつくものの、無理矢理引き剥がすといった行為はせず、結局はアクアをおんぶしたままに留める辺り、本当に甘くなったといえよう。
「では早速私の爆裂魔法をお見せします!」
「おう、期待してるぜ」
「はい! えっと……そちらの方も見てほしいなぁ……なんて」
「わかったから早くしろめんどくせぇ」
同類の仲間が欲しいめぐみんとしては、取り敢えずイッセーちゃんと見てもらいたいのか、おずおずとした態度で話し掛ける。
けどイッセーの対応はいっそ清々しいまでの辛辣さであった。
「は、はい……!」
「あれぇ?」
しかし何故かめぐみんの表情は輝いていており、それを見ていたカズマは『はて?』と首を傾げた。
それこそカズマは知らないが、ほぼ無視か罵倒しかされてなかったせいか、辛辣ながらもまともに返答をされたというだけで、今のめぐみんは自分でも理解不能な程に『嬉しかった』のだ。
なので、イッセーが返答をしてくれたという小さすぎて悲しくなる理由で一気にメンタルを満タンにしためぐみんは、持っていた杖を振りかざし……内に宿る魔力を爆発させ――
「エクスプロージョン!!!」
己が最強と信じてやまない爆裂魔法を、ボーッと鎮座していたジャイアントトード目掛けて炸裂させた。
「うぉっ!?」
詠唱の瞬間、一瞬の静寂を挟みめぐみんの杖から閃光が放たれる。
そして照準を向けたジャイアント・トードに閃光が突き刺さり、爆裂という言葉に恥じぬ破壊力共に轟音が鳴り響く。
「お~」
そしてジャイアント・トードは跡形も無く消し飛び、残ったのは大きなクレーターであった。
「中々すげーなオイ」
これには純粋にカズマも驚いた。
ぶっちゃけイッセーの放つビームに慣れたせいであんまり新鮮味は無かったが、それでもこんな小さな少女がそれに準じる破壊力を持った魔法を放った事は、素直に感心したのだ。
「すげーなめぐみん、確かに爆裂魔法というだけはある………って、あれ?」
これはイッセーも流石に何か思うところもあるだろう……なんて思いつつふとめぐみんに視線を移すカズマは固まってしまった。
「なにしてんだ?」
「あ、いえ……私、爆裂魔法は一発しか撃てませんので……」
「はい?」
何とめぐみんは爆裂魔法を撃った後、その場に崩れ落ちてしまったのだ。
いやそれどころか、この破壊力を秘めた爆裂魔法は一発しか撃てないというオマケまでカミングアウトされたのだ。
「一発しか撃てないんじゃ意味がねーだろ! ほ、他の魔法はよ!?」
「使えません。私、この爆裂魔法しか使わないので」
「はぁ!?」
これにはカズマも呆れてしまう。
フォローにフォローを重ねてやったのに、オチは一発限界の魔法しか使えませんなのだから。
これでは折角嫌がるイッセーを連れ出してやった甲斐が全く無い。
「で、でも凄いでしょう?」
「いや確かに凄いけど! ……ぶっちゃけイッセーで見慣れてるから新鮮味が」
「ふぇ? そういえば先程ジャイアントトードを爆殺してましたけど、あれが全力じゃあ無いのですか?」
ぶっ倒れて服が地味に泥だらけになるめぐみんが、目を見開いてシラケた顔でアクアをおんぶするイッセーを見るが、イッセーは答えるつもりが無いのか無言だった。
「見せてやりなさいよ、折角だし」
「はぁ? 何でそんな無駄な事を……」
「良いじゃない、ここまでしてアンタに見せたがる子なんだし」
「チッ……」
しかしアクアが此処に来てまさかのフォローを始めたのが効いたのか、嫌々に倒れてるめぐみんの横にたったイッセーは、アクアをおんぶしたまま左手を翳す。
「起きろ、ドライグ」
『おーう』
「へ!? い、今知らない声が……!?』
どっかのマダオボイスがイッセーの左腕全体を覆う真っ赤な籠手と共に聞こえ、ビックリするめぐみんを無視して1段階の倍加を掛ける。
すると鮮血の様な真っ赤に輝く球体がイッセーの左掌に集束し、やがて野球ボールサイズの大きさに纏まると……。
「おっと、空じゃないとまずいな」
ポイッと……まるでごみ箱に空き缶を投げ捨てるかの様な感覚で空に向かって投げた。
「おー飛んだ飛んだ」
等と呑気な声を出してる一誠とは裏腹に、投げられた球体は強烈なスピードで掛けあがり、やがて小さな星を思わせる距離にまで到達し一瞬輝きを増すと、めぐみんの爆裂魔法を凌駕する……さながら核爆発を思わせる巨大な茸雲と共に空を鮮血の色に染め上げた。
「あ、あぁ……!」
「すっげー……普段如何に加減してるのかがよくわかるぜ」
「アレでもまだ本気じゃないんでしょ? 本当に修羅よねアンタって」
「あれでも相当力が落ちてるんだけどな」
巨大な茸雲、そして鮮血に染まる空を暫く眺めつつ、三人はのほほんとした会話を繰り広げ、めぐみんはといえばよくわからない歓喜に倒れた姿で全身を震わせていた。
「さっきジャイアントトードを爆殺してるお姿を見てましたがやっぱり爆裂魔法じゃないんですよね!?」
同類処じゃない、ある意味自分の目指す最終型だとこれにて完全に確信しためぐみんは、ビチビチと陸に打ち上げられたマグロの如く地面にのたうち回りながら、シラケた顔のイッセーの足元に近付く。
「私を是非弟子にしてください! 何でもしますから何卒師匠と呼ばせてください!!!」
逃がしてなるものか。最早罵倒されても構わない。
理想とするパワーを平然と見せたばかりか、自分の様に倒れる素振りすら無くアクアをおんぶし続けるイッセーにめぐみんは、必死になって――まるで初めの頃のアクアを思わせるスタイルでその足にしがみつく。
「嫌だ」
が、イッセーは淡々とした声でそんなしがみつくめぐみんを振り払いながら断る。
「ムチムチボディのおんにゃのこならともかく、テメーみたいな糞ガキなんて真っ平ごめんだぜ」
「しょ、将来は師匠の理想体型に成長しますから! お、お願いです! お願いですぅぅぅ!!」
「うっさいわボケェ!! 小便臭いガキはガキのまんまなんだよぉ!!!」
「ぐぴゃ!? い、嫌ですぅ!! 絶対に仲間になるです!!!」
しかしめぐみんは嫌な覚醒でもしたのか、今回はやけに強かった。
蹴っ飛ばされても、踏まれても、まるで麦の様にしぶとくイッセーの足にしがみついては泥だらけの姿で弟子になることを懇願する。
「ええぃ、鬱陶しい!! そもそも根本的に力の種類が違うんだよ!」
「ぐふふ、逃がしてなるものか……」
この時点でイッセーは内心本気でめぐみんの身を貫いて殺してしまおうかと思ったが、カズマとアクアがいる手前それを躊躇ってしまう。
「良いじゃない、ぷぷっ! 弟子にしてあげれば?」
「テメー今笑ったな? 明らかに俺に面倒な話が舞い降りたと笑いやがったなこの野郎!!」
「でもアークウィザードって上位職だし、仲間にしたらもっと良いクエストとか受けられるんじゃねーか?」
「!? た、確かにそれはそうだがよ……でもだからってこれを仲間にしなくても良いじゃんよ……」
ひぃひぃしながらそれでも足にしがみつくめぐみんを見て、アクアとカズマがフォローするせいかイッセーが珍しく圧されてしまう。
で、結局……。
「く、クソ……」
「我が名はめぐみん!
アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法である爆裂魔法を操る者であり、赤き帝王の一番弟子!!」
勝手に弟子にさせられてしまうのだった。
「あ……ところで全然動けないので、出来たら抱えてくれるとありがたいです」
「知るかクソガキ!」
終わり
そんなノリで勝手に弟子宣言されてしまったイッセーなのだが……。
「お、おい……見たか?」
「う、うん……ヤバイねあのすっぴん君」
こっそりとギルド場なら後を付けていた金髪と銀髪の冒険者は、ギャーギャーと騒がしい四人組を……いや、イッセーを物陰から見つめながら戦慄していた。
「すっぴんなのに手から魔法らしきものを放っていた。
しかもあれほどの規模なのに、あのアークウィザードと違って平然としているなんて……」
「そうだね……。(赤龍帝の籠手……まさかこれ程とは……)」
規格外の破壊力を秘めた魔法らしきなにか。
そしてそれを撃っても本人は平然としているポテンシャルに、金髪も銀髪も其々程度は違えどただただ戦慄していた。
そう……。
「しかもあのアークウィザードに対する鬼畜な所業……なんて素晴らしいんだ!」
「言うと思った……」
特に金髪の方は、別の意味で戦慄していたらしく妙にクネクネしながらギャーギャー騒いでる四人組を眺めている。
銀髪はそれに呆れるが、彼女としては彼の持つ危険すぎるその力にどう対処すべきかを1人思案していた。
が、その時点で甘かった。
ポーヒー!
「」
「」
赤い閃光が隠れていた二人の間をすり抜け、その後ろで大爆発を起こす。
「…………。さっきからコソコソと鬱陶しいと思ってたが、五数える内に出てこい。でなければ今すぐバラバラにしてやる」
そう、尾行が完全にばれてしまっていたのだ。
しかもめぐみんの件でかなりイライラしていたのか、既にイッセーは赤龍帝の籠手を装備した状態で強烈な殺意を放っている。
これには敵対意思は無いと金髪と銀髪の冒険者は慌てて茂みから姿を現すのだが……。
「い、いやすまない……偶々君たちの事を見てて……」
「敵じゃないから勘弁して欲しいかな――」
「うひょぉぉぉっ!? ナイスボイン発見!」
銀髪………は無視し、金髪の方をガン見していたイッセーは、おんぶしていたアクアに降りて貰い、それまでの殺意が嘘の様なアホでだらしない表情で金髪の方に迫りまくる。
「黒髪じゃないけど良いねキミ。くふふふ、名前はなんて言うの?」
「へ? えーっと……ダクネスだが……」
ハイテンションでダクネスと名乗る女性に迫るイッセー
「あの、アタシも自己紹介――」
「うっせぇ
後にしろ、今忙しいんじゃ!!」
「……。(ヒクヒク)」
そして案の定蔑ろにされた銀髪。
「む……ちょっとイッセー? 早く戻るわよ」
「そうですよ、お話なら町に戻ってからでも出来ます」
「露骨だなぁオイ」
ダクネスなる女性に対して露骨なのに微妙に納得できないアクアとめぐみん……そして苦笑いのカズマ。
「そっかぁダクネスさんかぁ……ふひゃひゃひゃ! 良いね良いね! 黒髪じゃないけど最高だねぇ!!」
「……。あれ、今のイッセー見てると異常にムカつくわ」
「私なんて罵倒しかされてないのに……」
「………。(な、何でバレたのですか!?)」
世の中はどこでも不条理なのである。
終わり
補足
こんなめぐみんの目の前で禁手化やら覇龍詠唱なんてしてみなさい。神扱いされること請け合いで懐き度もカンストするぜ!! ……………ロリっ子やけど。
その2
カズマくん、どんどんしっかり者になっていく。
そら、堕落女神やら無自覚で堕落女神を更に堕落させるアホが居ればこうもなるさ……。
その3
本能的に銀髪さんに対して塩対応。
多分本来の姿になってもスカウターは見抜いて更に扱いが……………それこそめぐみん以上に。
その4
打って変わってダクネスさんは金髪だけど初めからチョコ対応。
しかし露骨過ぎて結局上手くいかないフラグびんびん。