この破壊の龍帝に祝福を!   作:超人類DX

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やっぱ移行せず封印しとくべきだったのかもしれぬ……


赤龍帝からの贈り物

 魔王を倒して世界を救う為に転生をしてしまった俺こと佐藤和真は、偉そうにしていた女神・アクアを道連れに、そして俺とは違う世界から同じく転生する事となった兵藤一誠と異世界生活を始めた。

 

 とはいえ、女神の力を失ったアクアや本来貰う筈の転生特典をアクア道連れに使って一般人でしか無い俺とは違い、女神曰く『修羅の世界』とドン引きされてる世界にて魔王だろうが神だろうが捻り潰してきた人生を送っていた一誠なら転生生活から半日もせず魔王を倒せる筈だった。

 

 が、本人がわざわざ人間以外嫌いを押し殺して転生に応じた理由は『女の子とラブラブしたい』という、何とも俗っぽき理由の為、魔王を討伐する意思はゼロ。

 

 魔王討伐をすれば女神として復帰出来ると踏んでいた女神――いや性格から何から駄女神だったアクアは最初当然そんなイッセーに文句を言ったのだけど、異世界に転生した影響で弱体化したと自称するイッセーは取り合わず、異世界の人間のみに絞ってのナンパに精を出す始末で、駄女神の目論みは始まる前に潰された。

 

 そしてイッセーは弱体化したと自称するという件についてなのだが、その弱体化がどれ程なのかは知らないが、ハッキリ言ってその弱体化状態でも余裕で魔王を倒せるんじゃないかというスペックをまざまざと俺達は見せつけられた。

 

 

 例えば、魔王飛び越えて裏ボスをシレッと倒してくる。

 

 金が無くてこの世界における職業紹介施設に値するギルドに登録すら出来ない所をあっさり金を確保する手腕。

 

 貧弱冒険者こと俺、上位の職だけど運が悪いのかポンコツの駄女神という構成でその日の金すら稼ぐのすら儘ならない状況を、逆にスペックがおかしすぎて最低職でしか登録出来なかったイッセーが未開の地に平然と赴いて金目の物を取ってきて稼ぎ頭になる等々。

 

 気紛れで魔王を潰さないだけで、多分やる気になったら直ぐにでも消し飛ばせるだろう龍の力を元から持っていた男におんぶに抱っこな生活を送る内に、俺と駄女神はすっかりイッセーに頼りっぱなしな生活となってしまったばかりか、駄女神に関しては完全にイッセーに甘えてしまってる始末。

 

 そしてイッセーもイッセーで、中に宿る赤い龍ことドライグ曰く、人外嫌いな筈なのにアクアを無自覚で甘やかしてしまっており、魔王云々の事はどうでも良くすらなってる気がしてならない。

 

 

 果たして俺達は本当に魔王を倒せるのか……てか、倒しても終わりが見える気がしないこの異世界生活は如何に……。

 

 以上、佐藤和真のこれまでの回想。

 

 

 

 キャベツの収穫があるらしい。

 しかしそのキャベツというは、イッセーとカズマが馴染みのあるキャベツとは違う様で、何でも飛んだり跳ねたりするらしい。

 

 そんなものを採ってどうするのかと疑問に思ったのだが、理由を聞いてある程度納得した。

 てのも、今期のキャベツは質が良いとか何とかで、一個取る毎に一万エリスで買い取って貰えるらしい。

 

 金欠に悩む冒険者にしてみれば他の冒険者よりも多くと目の色を変えるのも無理の無い話……なのだが。

 

 

「今俺達って金に困ってるか?」

 

「無いわね。イッセーが稼いでくるし」

 

 

 イッセーが何処ぞの未開の地から金になる鉱物やらアイテムを取ってきては換金する作業のお陰で割りとリッチな生活を保証されていたカズマとアクアにしてみれば、あんまりにも魅力の無い話だった。

 

 

「イッセーもどっか行っちゃって移動も出来ないし、私はパ~ス」

 

「お前、イッセーを自分の足代わりにするなよ……」

 

「それにしてもイッセーさんとめぐみんは何処に行ったのでしょうか……」

 

 

 なのでアクアはダラダラとイッセーが留守のせいで余計に怠け者となり、カズマは金は良いので経験だけは一応しようと、流れで仲間になったゆんゆんと共に外へ出る。

 今日もカズマ一行の思考に魔王は存在しないのであった。

 

 

 

 女神としての正体を晒したエリスを殺し切れずに生かしてしまった……という事実を、実の所困惑と共にかなり気にしていたイッセーは、『自分で考えて答えを導き出せ』と教えてくれないドライグの言うとおりに考えた結果――

 

 

「弱体化した分の力を取り戻せば、多分全部元に戻る」

 

『あー……まあ、やってみれば良いんじゃないか?』

 

 

 弱体化した分の力を取り戻し、そこから更に進化を果たせば全ては元に戻る。

 そう結論付けたイッセーはカズマやアクア達に内緒で町の外へと出て一人修行の場所を探し回っていた。

 

 ドライグが微妙に呆れた声を出していた気がするけど、イッセーにその意図は伝わってない。

 兎に角力さえ全部取り戻し、そこから更に進化を果たせば女神を殺し損ねたあの戸惑う気持ちも何もかもが無くなる筈だからと、あくまで力不足が原因だとしかし思ってないイッセーにはドライグの考えは解らない。

 

 

「で、何でお前が付いてくるんだ?」

 

 

 力こそ正義を地で行く人生を送ってきた為に、それ以外の感情が分かってないが故の結論を掲げ、修行に適した場所を探して平原をさ迷うイッセーの声が、視線は前を向いたまますぐ後ろへと向けられる。

 本当の所、金稼ぎに利用している地にでもと行こうと思っていたのだけど、そこで力を出しきった修行をしてまだ採掘してない金目のものまでぶっ飛んだら困ると思った為、特に金目の物も無く、地形が変形しても困らない場所をこうして探していたのだが、町の外へと出ていく姿を見られでもしたのか、イッセーは今後ろに一人お供の如く付いてこられていた。

 

 

「修行をするとの事ですので、ついでに私もと思って」

 

 

 紅魔族のアークウィザードにして、最近押し掛け気味に仲間に加わってきた見た目ロリことめぐみんに……。

 

 

「かえって邪魔なんだけど。てか、あんだけ俺に言われても懲りないって何なのお前?」

 

「それはやはり私のお師匠様ですからね!」

 

「………」

 

 まず純粋人間じゃない時点で、そして見た目からして全てが対象外が故にイッセーは当初からこのめぐみんに対して厳しい通り越して親でも殺されたのかと思う酷い対応ばかりをしてきた。

 にも関わらず、このめぐみんはイッセーの力を目の当たりにしてから師匠と言い出し、蹴りだそうとしたもひょこひょこと後を追ってくる様になった。

 

 勿論人外嫌いが拗れてしまってるイッセーは、本気で物理的に消す考えもあったのだが、アクアに始まり、今も自分で理解出来ない妙な感情が働いてしまうせいか、その嫌いな筈の半人外を追い返そうとせず、半ば諦めた様にため息を吐きながらそのまま勝手に付いてこさせていた。

 

 

「どうしちゃったんだ俺は……」

 

『……』

 

「ふふーん♪ 師匠の爆裂魔法~」

 

 

 どうしてそうさせているのか、自分がわからなくなってるイッセーのぼやきにドライグはただ静かに、イッセーの中から静観する。

 自分で気付き、それを受け入れるか否かを選択し、どちらにせよ進化してくれる事を信じて……。

 

 

「あ、ちょうど良い爆裂魔法の的が……」

 

「あ?」

 

 

 いっそ事故でも装ってそのまま吹っ飛ばしてやるか? と、只の好意で付いてきてるだけのめぐみんに対してかなり物騒な事を思い始めていたイッセーが、そのめぐみんの声に反応し、彼女が指した指の先の方向を見る。

 

 

「城だな」

 

「多分廃城だと思います。あそこなら人も居ないでしょうし、爆裂魔法のコントロールの修行に良いのでは?」

 

 

 ふふん、としたり顔でこっちを見るめぐみんにイッセーは『コイツの修行になるだけじゃねーか』と毒づくものの、今居るこの場所自体も何も無い開けた場所だったので取り敢えず何も言わず修行の準備に取りかかる。

 といっても、単に上着を脱ぐだけなのだが。

 

 

「あの、お師匠様。いきなりで申し訳ないんですけど、まず私の爆裂魔法を見て貰えますか? 今ちょうどあの廃城に向かって撃ちますので」

 

「…………」

 

『見てやればどうだ?』

 

「……。チッ、見るだけ見てはやるが、お前のその爆裂魔法だか何だかを見せられても俺が口を挟めることなんざ無いぞ」

 

 

 ドライグに言われて仕方なく一度見ためぐみんの爆裂魔法を見てやる事にしたイッセーは、ゴキゴキと首の関節を鳴らしながら崖の上に聳え立つ城を見据えて構えを取るめぐみんを文字通りに見る。

 

 

「行きます……エクスプロージョン!!」

 

 

 相変わらず魔女っ娘みたいな格好だし、どこぞの『ウィッシュ☆』って言うイケメンバンドマンみたいなグローブだし、眼帯だしと属性てんこもりなのだが、そんなものよりおっぱいであるイッセーには何の感慨も浮かばず、若干緊張した面持ちのめぐみんが、気合いの籠った爆裂魔法が放たれ、城に直撃する過程をやる気の無い目で見守った。

 

 

「どうですかお師匠様……?」

 

 

 そして撃ち終えたと同時にスタミナ切れでその場に倒れためぐみんが感想を聞いてきたイッセーは、『別に特に……』と答える。

 

 というか、畑の違う力について感想を問われても本気でそうとしか返せないのだ。

 魔力にしても悪魔とかその他との殺し合いで一応知ってはいるものの、扱った事は無いので指導して欲しいと言われても困るだけだ。

 

 

「そのスタミナを何とかしろよ……としか言えねぇや」

 

「そ、そうですか……ですよね……あははは」

 

 

 それでも一応わかる範囲で言う辺り、かつての頃と比べたら信じられないレベルで甘くなった対応だが、その事に気付いてすら居ないイッセーにしてみれば自分の言った事に対して内心戸惑うだけだ。

 

 

『倍加した力を譲渡する方法があるが、それは使えんのか?』

 

「は? それって一度も使った事が無い奴だし、そもそも畑が違うんだからコイツに適応するのかよ?」

 

『わからんが、試してみる価値はあるんじゃないか? これから先は独りで何でもかんでもって訳にはいかんだろうしな』

 

 

 そんな戸惑いの最中、軽い調子でイッセーの左腕に神器として出てきたドライグの提案。

 それは倍加した己の力を他人に与える技術の一つなのだが、力のベクトルが違うかもしれない相手に与えても意味が無いんじゃないかというイッセーの主張をドライグがお父さんの様に宥めつつ推すせいで、取り敢えず実験という形で試してみる事にした。

 

 

「おいガキ、試したい事があるからお前を使わせろ」

 

「へ? 使うって何を? あの、ドライグさんとボソボソ何か話してましたけど……」

 

 

 めっちゃ乱暴な口調のイッセーだが、そこの所を気にした様子も無いめぐみんは、仲間に強引に加わって知ったイッセーの宿す力の意思との会話で若干不安そうな眼差しを倒れた体勢で向ける。

 だがイッセーはそんな不安な眼差しのめぐみんを無視し、左腕に纏わせた赤龍帝の籠手の基本能力である倍加を三段階程発動させると、倒れてた拍子に取れてしまった帽子から溢れる黒髪の頭に手を乗せると、急にピタリと黙ってしまった。

 

 

「なに?」

 

「あ、いえ……お師匠の手が私の頭に……」

 

「すぐ終わる」

 

 

 なんだ、髪にでも触れられたくなかったか? と急に黙り出すめぐみんに対して的はずれな事を考えるイッセーが自身に掛けて倍加させた力を左腕に集中させ、小さく……そして覚えてはいたけど使うことのなかった赤龍帝の技能を解放した。

 

 

「赤龍帝からの贈り物(ブーステッドギア・ギフト)」

 

「!?」

 

 

 力の一時的な譲渡。

 ずっとドライグとの二人三脚でやってきたイッセーにとっては使うことのなかった使い方を今始めて、めぐみんに対して使う。

 

 赤く具現化したイッセーの力がめぐみんの小さな身体に注がれていく訳だが、その瞬間めぐみんはカッと目を見開くのと同時に身体がビクンビクンと打ち上げられた鮪の如く激しく痙攣する。

 

 

「や……あぁっ!?」

 

「!? し、失敗したのか?」

 

『いや、違う……これは」

 

 

 注がれた力がめぐみんの全身に渡り、尚の事激しく……拒絶反応の様に身体を捩らせるめぐみんに、ほんの少し不安になってきたイッセーが思わずドライグに訪ねると、ドライグは失敗では無いと言いつつも少し驚きの声を出す。

 

 

「は、はぁ……はぁ……うぅ……」

 

「お、おい……」

 

 

 与えてから1分近くは苦しそうな声を出していためぐみんから徐々に声の勢いが無くなる。

 どうやら小康状態になった様だが、この時点でイッセーの中では完全に失敗したと思っており、やるべきじゃなかったと後悔していたのだが。

 

 

「身体が凄く軽い……それに物凄く力が沸きます!!」

 

「あ、あぁ?」

 

 

 倒れていためぐみんが勢いよくイッセーの目の前で立ち上がったかと思ったから、イッセーの予想とは真逆のハツラツさで、自分の症状を訴えた……ハイテンションで。

 

 

「凄いです、爆裂魔法で空っぽになった力が元に――いえ、それを越えた遥かな力を感じますよ!」

 

「なに? せ、成功なのかじゃあ……」

 

『あぁ、そうだよ』

 

 

 まるで世紀末のモヒカンが略奪する時の様なテンションを維持しながら、イッセーの与えた力をオーラの如く身に纏わせるめぐみんに対してドライグが得意気になって成功と言いきる。

 

 

『想定以上にな』

 

「想定以上?」

 

『あぁ、どうやら俺達の力はこの小娘に対して余程親和性が高いみたいでな、譲渡した力の軽く倍分の力となって小娘の中へと入っていったぞ』

 

「なんだと?」

 

 

 与えた力を越えて自分の糧にしたらしいめぐみんに、ドライグは珍しいものが見れたと満足した様に軽く笑い、与えた分以上の力を取られてないイッセーは単純に驚く。

 

 

『紅魔族とやらだからなのかもしれん。もしかしたらもう一人の小娘にも同じ事が起きるかもしれんな』

 

「……嘘だろ」

 

 

 与えた力を糧にそれ以上の力として昇華するなど、聞いたことも無いイッセーとしてはめぐみんやゆんゆんの種族である紅魔族と親和性のある存在だなんて認めたくは無く、若干嫌そうに顔をしかめた。

 

 が、目の前で見せられるめぐみんのハイテンションさに裏付けされた与えた以上の力を見てると、そうでは無いかと思えてしまう訳で……。

 

 

「我、目覚めるは、覇の理を神より奪いし破壊の龍帝の下僕なり!

無限を超越し、夢幻を破壊せん!

我、赤き龍の覇王の使途と成りてを紅蓮の煉獄に沈めよう――――紅蓮の爆破(クリムゾン・エクスプロージョン!!)」

 

 

 ハイテンションの勢いでめぐみんが知ってる筈も無い覇龍化に似た詠唱と共に放たれた紅蓮の爆裂魔法は、先程廃城を半壊させた威力を遥かに超越し、イッセーが前に空へと放ったビームを彷彿とさせる大爆発と共に、城は文字通りに消え去った。

 

 

「………………」

 

『ほう、小娘も中々やるな』

 

 

 軽い譲渡のつもりが、意味のわからんレベルにまで爆裂魔法を跳ね上げさせたのは最早疑いようも無く、まためぐみんに対して自分達の力は余程親和性が高いこともこれで完全に証明されてしまった。

 これでもしそれなりの力を譲渡してたら、めぐみんは間違いなく爆破兵器となっていたと思うと、イッセーとしては微妙に複雑だった。

 

 

「す、凄い……凄すぎます! お師匠様から貰った力が私の爆裂魔法を更なる領域に! やっぱりお師匠様と私は頗る相性が良いんですよ!!」

 

「………」

 

 

 譲渡した力が消えたのか、めぐみんを覆っていた赤いオーラが消えた後も倒れる事無く、大はしゃぎしながらイッセーに飛び付く。

 色んな事が一度に飛び込んで割りと困惑していたイッセーはそんなめぐみんに対して避けるもせずに思わずそのまま抱き着かれる体勢となったが、それを見て驚く面子は居ないので、ただただ風がそよぐ平原にて二人のやり取りは続いた。

 

 

「ゆんゆんに自慢しちゃおっと! ふふふ、お師匠様との相性が良すぎるなんで、運命ですねこれは!」

 

「………」

 

 

 そして萎えて修行すらやる気になれなくなったイッセーは死ぬほど嬉しそうな笑顔のめぐみんに手を繋がれながら町へと帰るのだった。

 

 

 

 

 

「―――――と、いうことがありまして、結論から申しますと、お師匠様と私は最早前世では深い繋がりがあったのでは無いかと思うくらいの相性の良さが確認されました!」

 

「力の譲渡って……そんな事もできたのかよ?」

 

「……。今までが今までだから使うことは無かったんだけどな……」

 

 

 町に戻り、ギルドの食堂で自慢気に語るめぐみんを横目に、キャベツ狩りを経て出くわしたクリスとダクネス相手に自分なりの鍛練をしていたカズマに聞かれたイッセーが、何とも言えない顔をしながら肯定する。

 

 

「へぇ、力の譲渡なんてする気になったんだ? イッセーらしくないじゃない?」

 

「…………」

 

 

 ある意味で最悪のイッセー被害者であるクリスが意味深に笑みを浮かべながらイッセーに絡むが、それに対して反論する気も失せてるのか、本人は舌打ち一つで無視する。

 

 

「そもそもなんでめぐみんさんを連れて修行なんかしたのよ? お陰で足が無くて困ってたのよ?」

 

「勝手に付いてきたんだよ。で、ドライグに言われて実験台にしたらあんな事に……」

 

「じ、実験台だと? それはもしかしたら失敗したら酷い事になってたかもしれないのだな!? なんて良さそうな――んんっ、酷い事を……!」

 

 

 相変わらずのアクアに足呼ばわりされてるにも拘わらず、それに対しても特に何も言わないで若干後悔したように返す。その更に隣でハァハァ言ってるダクネスが居たけど誰も突っ込まない。

 

 それよりも人外一族との親和性が高いなんて本人にしてみれば知りたくもなかった事実だし、凹みっぷりが半端ないのだ。

 

 

「という事でこれからの私はお師匠様と完全なる相棒(ペア)になりたいと思います!」

 

「何よそれ、イッセーさんはそれを認めた訳じゃないのに……」

 

「ふふん、今はそうかもしれませんが、何れはそうなるんです。ゆんゆんには悪いですけど、相性の良さだけは覆りませんよ!」

 

「………」

 

 

 そう得意気にゆんゆんに対して勝ち誇ってるめぐみん。

 しかし、そこに来てイッセーの中に居たドライグが表に出てきて神器越しに話し出す。

 

 

『いや、そこの小娘も貴様と同族なんだろう? だったら同じ様に親和性は高いかもしれんぞ』

 

「え?」

 

「へ?」

 

「おい、何勝手にしゃべってんだ……!」

 

 

 聞こえるドライグの声に目を丸くするめぐみんとゆんゆんにイッセーが慌ててドライグを自分の中の奥へと押し込む。

 しかしそれも既に遅く、何故かイッセーに対して期待するような眼差しを送り出すゆんゆんと、逆に慌てたような顔をするめぐみん。

 

 

「ま、待ってくださいお師匠様! た、確かに紅魔族自体とお師匠様の相性は良いのかもしれませんけど、それをわざわざ増やす意味なんて無いんじゃ……」

 

「増やすも何もテメーだけにやるなんて一言も言ってないだろ」

 

 

 誰が好き好んで自分の力を与えなきゃならんのだ、それもこんなちんちくりんにと返すイッセーにカズマは『頑なな奴……』と苦笑いしながら聞きつつ、ふとクリスがじーっと探る様な眼差しをイッセーに向けてる事に気づく。

 

 

「俺はお前の外付け魔力タンクじゃねーんだよ。そのスタミナの無さくらいテメーで克服してろ」

 

「むー! それならスタミナを克服したらペアになってくれるんですね!?」

 

「嫌だよ。つーか何だよペアって、冗談じゃねぇ」

 

「良いじゃないですか! ペアになってくださいよぉ~!」

 

「ええぃまとわりつくなクソガキィ!!」

 

 

「………」

 

「おい、クリス? どうかしたのか?」

 

「………。いや、別に何でもないよ………ふふ」

 

 

 その視線と含み笑いの意味は何なのか、カズマには分からなかった。

 

 

「あの、イッセーさん……それって私にも試したりは……」

 

「え……いや、え、試さないと駄目なの?」

 

「………………で、できれば」

 

「あ、じゃあアタシにも試してみてよというか、いっそ皆にも試したら? パーティ強化になるし」

 

 

終わり

 

 

 

 偶発的にめぐみんとの相性が力の性質上よかった事に気付かされてしまったイッセーは、その日を境に余計にめぐみんからだだっ子の様にすり寄られる日々となるのだが、その前にその事実が発覚した際に粉々になった廃城と思われていたあの城に主が存在していたらしい。

 

 

「俺の城を粉々にしたのは貴様等かぁぁぁっ!!!」

 

 

 そう、とある魔王軍の幹部っぽい魔物のお城だったようだ。

 

 

「既に誰がやったのかも知ってる、そこの男と小娘だとな!! 何のつもりだ貴様等! おかげであの日以降部下共々野宿生活なんだぞ!!」

 

「って、言ってるけど身に覚えは?」

 

「俺じゃない。譲渡した際にハイテンションになったこのバカが勝手にぶっ壊しただけだ」

 

「ふふん、最強の領域へとなった紅蓮の爆裂魔法の前には敵は無しですよ!」

 

 

 しかし本人達に反省の色は無く、その態度にキレたデュラハンなる魔物は部下と共にアクセルを侵略しようと攻めてきた―――

 

 

 

 

 

 ――――――そう、攻めてきちゃったのだ。

 

 

「あ、そう。じゃあ死ね」

 

 

 人外嫌いの極みたる男が拠点にしていたその町を。

 

 お陰でめぐみんの爆裂魔法で城は壊されても奇跡的に生きていたデュラハンやデュラハンの部下は――

 

 

「持て余し気味だったから、テメーで発散させて貰うか……この完成体・修羅龍でな!!」

 

「う、うそーん……?」

 

 

 溢れ出る力を形に変え、真っ赤な天狗を思わせる巨人を作り出したその力を目の当たりにしてしまう……。

 

 

 

 

終わり

 

 

 




補足

魔力タンクどころか、一種の進化的な現象になるレベルでめぐみんと相性が良すぎるという事実。

本人にとってはまことに皮肉な話でありますがね。

おかげで『すっぴんロリコン冒険者』――と、呼ばれるかは知らん。
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