やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。 作:焼き鮭
『俺たちはオーブ! 闇を照らして、悪を撃つ!!』
『「決めるぜ……覚悟!」』
三体の魔王獣と対峙した二大ウルトラ戦士、オーブとジード。その内部の超空間から、春香と美希が八幡たちへ呼びかける。
『「あなたたちもウルトラマンになって戦うんだね!」』
『「一緒に頑張ろうね♪」』
フレンドリーに呼びかけた二人に対して、結衣は衝撃を受けていた。
『「あれ!? 向こう、三人どころかあと十人は入っても余裕そうなんだけど!?」』
ジードの超空間は三人でキツキツなのに、オーブの超空間はかなり広々としているのだ。
『「同じウルトラマンなのに、どうしてこれだけ違うのかしら……」』
『い、いいじゃん別に! よそはよそ、ウチはウチ!』
『「そういう問題かしら?」』
さりげなく不満を漏らす雪乃に言い返したジードに、オーブが注意を促す。
『後輩たち、あんまりつまらないことに気を取られてるんじゃないぜ。来るぞッ!』
(♪スペシウムゼペリオンのテーマ)
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
「グワアアアァァァァァ! ジャパッパッ!」
話している間にマガオロチ率いる魔王獣軍団が飛び掛かってきて、オーブとジードは迎え撃つ姿勢を取った。
「ハァッ!」
ジードはこちらから敵の間に切り込んでいって、平手を振るいマガバッサーを狙って攻撃を仕掛ける。
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
しかし飛行できるマガバッサーは浮き上がってかわし、ならばとマガジャッパに狙いを移す。が、
「グワアアアァァァァァ! ジャパッパッ!」
「ウゥッ!?」
マガジャッパに吐息を浴びせられると、途端にジードの動きが止まって大きくのけ反った。
『「うげぇッ!? な、何つぅ臭いだよ……!」』
『「は、鼻が曲がるわ……!」』
『「うええぇ~っ! サイアク~!!」』
マガジャッパの臭いが常軌を逸したひどさだったからだ。悪臭は八幡たちの嗅覚にも襲い掛かり、ジードはとても耐えられずに悶絶。
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
「ウワァァッ!」
そこにマガオロチの尻尾が飛んできて殴り飛ばされた。あまりの破壊力にジードは一撃で倒れ伏し、身体が痙攣を起こす。
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
更にマガバッサーが急降下してきて踏み潰そうとしてくる。とても回避できず、八幡たちは咄嗟に目をつぶったが、
「シェアァァッ!」
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
この場にオーブが飛び込んできてマガバッサーにアッパーを決め、弾き飛ばしてジードを助けた。彼を背にかばいながら注意する。
『しっかりしな。戦いはまだ始まったばっかだぜ』
『す、すみません……』
ジードが立て直すまでの間、オーブが怪獣たちを相手取って時間を稼ぐ。
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
「グワアアアァァァァァ! ジャパッパッ!」
「シェアッ!」
マガオロチが太い腕を振り回して襲ってくるが、オーブは身体の青い部分を輝かせることで上げたスピードで回避。マガジャッパの臭気も浴びず、たちまち背後を取る。
振り返ろうとしたマガジャッパだがオーブは次に赤い部分を光らせて、怪力を発揮しながらマガジャッパを捕まえて、
「オリャアァァッ!」
マガジャッパを後ろへ投げ捨てた! 放り出されたマガジャッパはマガバッサーと激突し、二体は地面に墜落する。
「グワアアアァァァァァ! ジャパッパッ!」
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
『「すごい……数の差を物ともせず翻弄しているわ……」』
怪獣三体を一度に相手して、完全にかき乱しているオーブに感服する雪乃たち。そんな三人に春香と美希が告げる。
『「闇雲に飛び込んでも駄目だよ! 相手の動きをよく見て!」』
『「相手のリズムに合わせて、こっちのペースに持ってくの!」』
マガオロチの打撃を全てかいくぐりながらアドバイスする二人。マガオロチは痺れを切らしたように口に電光を溜めるが、それを予測してオーブは両腕を頭上と左方にピンと伸ばした。
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
「「『スペリオン光線!!!」」』
マガオロチの吐いてきた迅雷を、オーブは十字に組んだ腕からの光線で相殺。光線と電撃が衝突して爆発が生じるが、オーブはノーダメージだ。
『「すっごい……! あの人たち、戦い方が上手……!」』
『「ああ……」』
『「私たちの比ではないくらい、戦い慣れしているみたいね……」』
オーブたちの連携の良さに三人はますます感心。
しかし怪獣側もさるもので、こちらになかなか反撃のチャンスを与えない。特にパワーもスピードもあるマガオロチのラッシュに押されて、オーブたちは思うように攻撃できないでいる。
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
『ちッ、相変わらず厄介だな……!』
舌打ちするオーブ。と、その時、戦いを見守っているライハと千早の元に一台のマイクロバスが停車して、新たな三人の少女が下りてきた。
「律っちゃん、戦いはもう始まってるよ!」
「あっ、千早お姉ちゃん! ここにいたんだ!」
「亜美、真美! 律子!」
名前を呼ばれて振り返った千早が、三人をそう呼んだ。眼鏡を掛けた律子という少女は、マガオロチと戦うオーブを見上げる。
「プロデューサー、援護しますよ!」
そう言いながら取り出したのは、大型の銃のような装置。それを担いでマガオロチに向ける。
「ハイパーSAPガン、発射!」
「いっちゃえ律っちゃーん!」
亜美真美の応援の下、装置から白い弾丸が発射され、弧を描いてマガオロチの頭上に到達。そこで破裂するとマガオロチに大量の粉のようなものが降り注ぐ。
それを浴びたマガオロチの上半身がカチカチに固まって、身動きが取れなくなった!
「!!?」
「大成功!」
「やったーっ!!」
「すごい……!」
マガオロチの動きを封じたことに律子たちは喜び、ライハは驚嘆。
律子が作った好機にオーブたちがいよいよ反撃に出る!
『今だ! まずは周りの奴らを撃破するぞ! 遅れるなよ後輩!』
『は、はい!』
オーブとジードは再びフュージョンアップ&フュージョンライズを行い、形態をチェンジする。
『「タロウさんっ!」』『ユーゴー!』
[ウルトラマンタロウ!]『トァーッ!』『ダーッ!』
『「メビウスっ!」』『アイゴー!』
[ウルトラマンメビウス!]『セアッ!』『イヤァッ!』
『熱い奴、頼みますッ!』『ヒアウィーゴー!!』
[フュージョンアップ!][フュージョンライズ!]
オーブがタロウとメビウス、ジードがセブンとレオのビジョンと重なり合う。
『トワァッ!』『タァッ!』
『ジィィィ―――――――ドッ!』
[ウルトラセブン! ウルトラマンレオ!]
[ウルトラマンオーブ! バーンマイト!!]
[ウルトラマンジード! ソリッドバーニング!!]
二人のウルトラ戦士が炎を吹き飛ばし、灼熱の戦士、バーンマイトとソリッドバーニングに変身した!
(♪バーンマイトのテーマ)
『紅に燃えるぜ!!』
『「燃やすぜ……勇気!」』
ジードは頭頂部のスラッガーに手を掛けながらマガジャッパに向き直る。
『「どんだけ臭くとも、遠隔攻撃なら関係ねぇよな!」』
ジードスラッガーを投げ飛ばしてコントロールし、マガジャッパの身体を切りつけていく!
「グワアアアァァァァァ! ジャパッパッ!」
オーブは高々と跳躍してマガバッサーに飛び蹴りを繰り出した。
「セェアァッ!」
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
オーブのキックをもらって大きく吹っ飛ばされるマガバッサー。そちらが立て直さない内に、オーブはジードと並んでマガジャッパに狙いを定める。
『よし、行くぜッ!』
『はいッ!』
オーブは炎のシンボルが描かれた胸元に火炎を溜め、ジードは右腕にエネルギーを集中。そして、
「「『ストビュームバースト!!!」」』
「『ストライクブースト!!」』
二人の火炎弾と光線がマガジャッパに命中! 一瞬の内に粉々に爆散させた!
『「ふぅ……汚物は消毒だな」』
『「まだひと息吐く時間じゃないよ! 今度はあっち!」』
マガジャッパを撃破したが、休む暇もなくマガバッサーが滑空しながら猛然と迫ってくる。
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
ジードがエメリウムブーストビームで迎え撃ったが、マガバッサーは上昇して回避。その素早い動きを捉えるのは困難そうだ。
『こっちもスピードを上げてくぜ! 出来るな?』
『もちろんです!』
オーブとジードはスピードに優れた形態に切り替えていく!
『「ジャックさんっ!」』『ユーゴー!』
[ウルトラマンジャック!]『ジェアッ!』『テヤッ!』
『「ゼロっ!」』『アイゴー!』
[ウルトラマンゼロ!]『セェェェアッ!』『タァッ!』
『キレのいい奴、頼みますッ!』『ヒアウィーゴー!!』
[フュージョンアップ!][フュージョンライズ!]
『ヘッ!』『テヤッ!』
『ジィィィ―――――――ドッ!』
[ウルトラマンヒカリ! ウルトラマンコスモス!]
[ウルトラマンオーブ! ハリケーンスラッシュ!!]
[ウルトラマンジード! アクロスマッシャー!!]
オーブとジードはそれぞれ青い姿、ハリケーンスラッシュとアクロスマッシャーへと再三の変身!
(♪ハリケーンスラッシュのテーマ)
『光を越えて、闇を斬る!!』
『「見せるぜ……衝撃!」』
変身の直後にオーブは穂先が二又に分かれた槍型の武器、ジードはジードクローを召喚する。
『オーブスラッガーランス!』
『ジードクロー!』
それぞれの得物を握り締めると、空を縦横無尽に駆け巡るような動きでマガバッサーに飛び掛かっていった。
「シェアッ!」
「ハァッ!」
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
マガバッサーはこちらを取り囲むような動きで高速で切り刻んでくる二人の連携によけることも逃げることも叶わず、なすがままにやられる。
そしてオーブとジードは武器のレバーとトリガーを二回引き、必殺攻撃を仕掛ける。
「「『ビッグバンスラスト!!!」」』
『コークスクリュージャミング!』
スラッガーランスの突き刺しと回転するジードクローの一撃を叩き込まれ、マガバッサーもまた爆散させられた。
華麗に着地するオーブとジード。しかしここでマガオロチが拘束を砕いて自由になる。
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
同時にウルトラ戦士たちも変身の制限時間が近づき、カラータイマーが鳴り出した。オーブはジードへと助言する。
『奴に半端な攻撃は無意味だ。強烈な一撃を叩き込んでやれ!』
『分かりました!』
二人は四度目の変身を行う!
『「ギンガさんっ!」』『ユーゴー!』
[ウルトラマンギンガ!]『ショオラッ!』『セェアッ!』
『「エックスっ!」』『アイゴー!』
[ウルトラマンエックス!]『イィィィーッ! サ―――ッ!』『ドゥアッ!』
『痺れる奴、頼みますッ!』『ヒアウィーゴー!!』
[フュージョンアップ!][フュージョンライズ!]
『シュワッ!』『トワァッ!』
『ジィィィ―――――――ドッ!』
[ウルトラマンゼロ! ウルトラの父!]
[ウルトラマンオーブ! ライトニングアタッカー!!]
[ウルトラマンジード! マグニフィセント!!]
オーブとジードは閃光を纏いながら、ライトニングアタッカーとマグニフィセントにフュージョンを遂げた!
(♪ライトニングアタッカー)
『電光雷轟、闇を討つ!!』
『「守るぜ……希望!」』
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
マガオロチが二人に向けて迅雷を吐いて攻撃してくるが、オーブたちはバリアを張って防御。そして腕と角から電撃を放ってやり返した。
「テヤッ!」
「ドォッ!」
「グアアァァァ!」
二人分の攻撃を食らったマガオロチの身体が一瞬麻痺した。その隙にオーブは空中に飛び上がり、ジードは両腕にエネルギーを充填する。
「「『アタッカーギンガエックス!!!」」』
「『ビッグバスタウェイ!!」』
四肢をピンと伸ばしたオーブから電撃光線が放たれ、ジードは最大級の光線を発射。二人の渾身の必殺技がマガオロチに命中!
「キィィィヤアアアァァァッ!!」
マガオロチは肉体の内側から光が溢れ、破裂するように大爆発を起こして消滅していった。
オーブとジード。力を合わせて魔王獣軍団を全滅させた二人のウルトラ戦士は、顔を見合わせてうなずき合うと、大空高く飛び上がって町を去っていった。
「シュワッ!」
「ダァッ!」
――しかしこの時、レイデュエスが空のカプセルを掲げ、倒されたマガオロチのパワーをその中に吸収させていた。
『グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!』
表面にマガオロチの絵が刻まれ、新たな怪獣カプセルが作り出された――。
× × ×
戦闘終了後、八幡たちはゼナも交えて、ウルトラマンオーブ=紅ガイとその仲間の少女たちを星雲荘に招き、円卓を囲んで互いの情報を交換し合った。
「そっか……。みんなは悪い人に襲われて、普通の高校生だったところをウルトラマンとして戦うことになったんだね」
「いきなり非日常に身を置くことになって、さぞ大変だったでしょう」
春香や律子らは八幡たちの身の上に同情したが、結衣はブンブンと手を振った。
「いやいやいや……そっちの方がずっと大変な経験してるじゃないですか! それこそこっちの何倍も!」
「現在の状況にあってなお、にわかには信じがたい話ですね……」
冷や汗を垂らしながらポツリとつぶやく雪乃。彼女らジード側が皆あんぐりするほど、オーブ側……『765プロ』の経緯は波乱万丈であった。
まずは全宇宙を救う使命を与えられた勇者ウルトラマンオーブとなった紅ガイから始まり、並行宇宙の地球でアイドルの卵だったのをガイとともに星を滅ぼす魔王獣と戦う道を歩むことになった春香たちの日々。いくつもの苦闘を乗り越え、限界を超え、彼女たちは単なるオーブの補佐を超越して「光」となった。そしてアイドルの頂にも立ち、遂には……。
「色々なものを限界突破しちゃって、気がつけば兄ちゃんと一緒に宇宙を駆け巡るようになったんだよねー」
「もうたくさんの事件を解決したよねー。ミステラー星とアテリア星の戦争を止めたりとか、復活した根源的破滅招来体をやっつけたりとか、ゴールド星を消そうとしてたグリーザに立ち向かったりとか」
「ええ……どれも楽な戦いじゃなかったけれど、数え切れない人たちが笑顔になって、とても充実した日々だったわ」
しみじみと語る亜美、真美、千早たちの言に、八幡たちは唖然。
「あ、あの……皆さん地球人なんすよね? 一体今何歳なんすか……?」
「あら比企谷くん、女の子に年齢の話はしちゃいけないのは常識よ?」
「それに何度も時空超えてるし、歳なんてもう数えられないの」
「俺たちのレベルになると、年齢なんて最早意味のない概念だからな」
律子や美希、ガイたちがアハハと笑い合う。八幡たちはそのノリに到底ついていけなかった。
『す、すごい話しする人たちだなぁ……』
「とても同じ地球人だとは思えない……」
『AIBでも史上最高のアイドルだとか噂されていたが、想像以上だな……』
「すっごいな~……! ペガも皆さんみたいに立派になりたい!」
ジードやライハ、ゼナも呆然としている始末。ただペガだけは、春香たちに憧れの眼差しを送っていた。
ここで結衣、ガイにからかうような目を向ける。
「でも紅ガイさん、プロデューサーとか言ってこんな綺麗な人たちに囲まれて、すっごい幸せ者ですね~。とべっち辺りが聞いたらすごい羨ましがりそう!」
更には八幡が下世話な話を口にした。
「実は誰かとスキャンダラスな関係にあったりするんじゃないですか? アイドルってそういうの多いとよく聞きますしね」
「こら八幡。初対面の人にそれは失礼でしょ」
ライハがぴしゃりとたしなめたが、春香は何でもないことのように答えた。
「そうだね……。正直に言うと、プロデューサーさんに対しては恋愛感情もあるかな。私だけじゃなくて、私たちは」
「えっ!?」
結衣が一番強く興味を引かれた。しかし、
「でも……私たちの絆はもう、『恋愛』という段階を超えてるの。喩えて言うなら、みんな家族、仲間……それ以上に、みんなで『一つ』。だからもう特別な関係にあるとも言えるし、特別な関係じゃないとも言えるかな」
春香の言葉に仲間たちはうんうんとうなずいている。ガイもまた、当たり前という風に平然と受け止めていた。
「……何だか難しいこと言いますね……」
春香たちの超然とした態度に圧倒される結衣たち。だがしかし、八幡だけは、まるで妬むかのような視線を返した。
「絆だとかそんな綺麗なことばっか言って……どこまでホントのことなんですかね」
『ちょっと八幡、何でそんなことわざわざ……』
ジードもたしなめようとしたが、それより早く春香が八幡に笑顔を見せた。
「流石に信じられないかな。だけど、本当のことだよ。私たちはみんな――どこまでも信頼し合ってるの」
パァァ、とまばゆく輝くような見事な笑顔。それに八幡は――。
「ぐわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
突然椅子から転げ落ちて顔を押さえながらジタバタのた打ち回った。
「ど、どうしたの!?」
「ちょっとヒッキー!?」
仰天する春香たち。結衣たちも目を丸くしていると、八幡はかすれた声で発した。
「だ、駄目だ……。俺には、俺にはまぶしすぎるぅ……! 直視してられねぇ……!」
「……比企谷くんは吸血鬼か何かだったのかしら……」
流石の雪乃も心の底から呆れ返っていた。春香たちも若干引きつった苦笑を浮かべる始末。
そんな八幡のオーバーリアクションがあったりもしたが、ここでガイが重要な話を切り出した。
「ところで、君たちの前にジャグラスジャグラーって名乗った奴が現れたって言ってたな」
「はい……」
「そうか……。やっぱりあいつもビランキを追ってるのか」
八幡が椅子に座り直して聞き返す。
「ビランキって? どういうことですか?」
「ひと言で言うなら、暴走しがちな困った超能力少女だ。こいつがまた何回も迷惑な事態を引き起こしててな……。今回の件も、あいつが一枚噛んでる痕跡があるんだ」
眉をひそめながらそう語るガイ。
「君たちの言ったレイデュエスって奴……ダークリングを持ってた奴が使った怪獣カードも、きっとビランキが渡したものだろう。きっとこれで終わりじゃないだろうな……」
× × ×
レイデュエスは地上で隠れ家にしている廃ビルに身を潜めながら、作成したマガオロチカプセルを摘み上げながらニヤニヤとほくそ笑んでいた。
「こいつはまたいいものを手に入れたもんだ……! 星を食らう獣の暗黒のエナジー、尋常なものじゃない……!」
言いながらもう片方の手で、別のカプセルを手に取ってマガオロチカプセルと並べた。
「こいつなら、今まで組み合わせられるカプセルがなくて宝の持ち腐れとなってたこれとフュージョンライズできる……! 何とも思わぬ収穫だ……!」
『おめでとうございます、殿下!』
上機嫌なレイデュエスにオガレスとルドレイが太鼓持ちする。
「ああ、全く……! 今日は最高の日だ!!」
「――随分と嬉しそうな奴がいるな」
レイデュエスが言い切ったその時、彼らのいる廃ビルのフロアに、どこからともなく黒いスーツの男が踏み込んできた。その手には、ひと振りの刀が握られている。
「ッ!」
途端にレイデュエスたちは身構え、怪獣カプセルが仕舞われた。警戒態勢の三人に対して、黒いスーツの男が言い放つ。
「いきなり失礼。ちょっと、そこの小僧に用があるんだ」
胸元に一輪の薔薇を挿したスーツの男――ジャグラスジャグラーが、レイデュエスに目をつけた。