やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。 作:焼き鮭
翌日には、雪乃は登校して実行委員にも出席した。しかしやはり疲れが残っているようであったし、見たところ結衣に助けを求めたようでもない。
そのため、八幡は彼女に対して急襲を掛けた――。
「――さっきのあれは何?」
その内容について、その日の実行委員の会議後に雪乃が八幡にストレートに問いかけた。
「何が」
「あの救いようのないスローガンよ。わざわざあんな敵を作るようなことを言って」
今日の会議では、文化祭のスローガンをどうするかが話し合われたのだが、他の人たちは『友情』『努力』『勝利』だののありきたりな言葉を並べたもの、相模からは『絆 ~ともに助け合う文化祭~』などという綺麗事を出す中で、八幡はあえて『人 ~よく見たら片方楽してる文化祭~』という文実の現状を皮肉ったものを出したのであった。
そのせいで空気が悪くなり、雪乃がスローガンの決定を次の日に先延ばしにする結果となったのであるが――八幡のスローガンを契機に、雪乃はどこか晴れ晴れとした表情になっていた。
「雪乃、あれは八幡が今の文実を改善するためにやったことだよ。あんまり責めないであげて」
『うん。八幡なりに真剣に考えた末のことなんだから』
八幡が答えるより早く、ペガとジードが雪乃に弁解した。それに八幡は意外そうな顔となる。
「あんな最低なこと言った俺をかばってくれるとは思わなかったな。めぐり先輩からもあれには失望されたってのに」
『確かに言い方はアレだったけどさ、時には言いにくいことをズバリ言うのも大事なことさ。現に、あれを言ってからたるみ切ってたみんなの表情が変わってた』
ジードの言う通り、会議前にはほとんどの実行委員が不真面目な様子であったのに、八幡が「人の仕事押しつけられてる」と口にすると、皆その言葉が胸に突き刺さったような顔つきとなっていた。彼らは八幡のひと言によって、無意識に目をそらしていた現実の問題と直面させられたのである。
「うん。きっと明日からは文実の空気は一変するはずだ。雪乃ももう無理しなくて済むはず。上手いことやったね、八幡」
『――ただまぁ、もっと上手いやり方があったような気がしなくもないけどね。あそこまで悪役ぶらなくてもよかったんじゃないの』
「残念。あれが俺流なんだよ」
褒めながらも咎めるジードにぶっきらぼうに言い返す八幡。その態度に雪乃が苦笑。
「別に責めるつもりはないわ。ただ、呆れるくらい変わらないわねってだけで」
「人間そうそう変わる訳ねぇだろ」
「特にあなたは元々変だものね」
「おい、ひと言多いぞ」
長らくやっていなかったやり取りをして、雪乃がくすっと笑った。
「あなたを見ていると、無理して変わろうとするのが馬鹿らしく思えてくるわ」
「うんうん。無理しないのが一番さ。雪乃はそのままで十分素敵な人だよ」
「あら、口説いてくれているの? ありがたいけど、誰かとつき合うとかいう気分ではないの」
冗談まで口にしながら、雪乃は八幡を連れて会議室を出て施錠した。
「それじゃ、私は鍵を返しに行くから」
「ああ、じゃあな」
「ええ、さよなら。……また明日」
雪乃は最後に、わずかに逡巡してから控えめにそうつけ加えた。
『うん、また明日!』
『また明日ね!』
ジードとダークゾーンに引っ込んだペガはすぐに返事をしたが、八幡は少し遅れてから返事した。
「……。また明日な」
× × ×
ペガの言葉通り、その次の日からは、文化祭実行委員はそれまでの緩み切っていた空気が嘘だったかのように結束し直し、皆各自の仕事に打ち込んで作業の遅れを急ピッチで取り戻し始めた。八幡の狙いは、見事功を奏した訳であった。
八幡も他人の仕事を押しつけられることはなくなったが……元々の遅れのせいで本来やるべき仕事が溜まっていたので忙しさはそう変わらず、それどころか周りに悪印象を作ってしまったせいで周囲と溝がある中で作業する、そんないたたまれない状況になってしまっていた。
『報われないなぁ……。みんな、八幡をきっかけにやる気を出したのに、そのことに気づいてくれないなんて』
貴重な合間の休憩時に、ペガが八幡を不憫に思ってため息を吐いた。だが当人は気にしていないという風を装う。
「はッ、そもそも深刻な遅れを言われねぇと自覚しないようなおつむの足りない連中には初めから何も期待してねぇさ」
『またそんな悪ぶったこと言って。そういう斜めに構えた態度がよくないんだよきっと』
「うっせぇなぁ。いつも思うけどお前ら俺の親かよ。実の親からもこんなに説教されたことねぇけどさ……」
などとジードとペガに言い返しているところ、ふとトイレからの帰りに、階段の踊り場で雪乃がめぐりと立ち話しているところに出くわした。向こうはこちらに気がついていない。
「雪ノ下さん、身体はもう治ったんだね。昨日までどこか疲れた様子だったから、心配してたんだよ」
「はい。もう大丈夫です。ありがとうございます」
「うん。ほんとに身体には気をつけなくちゃ駄目だよ」
盗み聞きする趣味もない。八幡はそのまま通り過ぎようとしたのだが――。
「私も最近何だか風邪気味っぽくて。手が変に熱いの」
聞こえてきためぐりの言葉に、ピクリと足を止めた。
「えっ……」
雪乃も言葉をなくしている。めぐりはそれに気づかず、のんきに話し続けた。
「でも手が熱いだけで他はどこも悪くないんだよね。これどういう症状なんだろう……って、意識したら鼻が……」
吹き込んだ秋風がめぐりの鼻をくすぐり、彼女は咄嗟に雪乃から顔をそらした。
「くしゅんっ!」
かわいらしいくしゃみとともに――ボウッ! と、めぐりの手の平から炎が生じた。
「!!」
「きゃあああっ!?」
驚愕して固まる雪乃と八幡。めぐりは自分が出した炎に、流石に仰天して悲鳴を発した。
八幡たちはこれが何なのか当然分かっている。――リトルスターだ。
× × ×
ちょうどその時、レイデュエス一味が遠方から双眼鏡を使って総武高校を――総武高校から伸びている、めぐりのリトルスターの光の柱を観察していた。
『殿下、ジードの奴がいる教育機関からリトルスターが』
「言われんでも分かってる」
レイデュエスは双眼鏡を下ろして肉眼でリトルスターの光を確認。
「何かこの土地の周辺でばかり発症者が出てないか? まぁいいが……やることは一つだけだ。宇宙指令T17!」
ニヤリと口の端を吊り上げながら、レイデュエスが二つの怪獣カプセルを取り出す。
「イッツ!」『ケエエオオオオオオウ!』
「マイ!」『ギャアアアアアアアア――――――!』
「ショウタイム!!」
[フュージョンライズ! バードン! ザンボラー!]
[レイデュエス! ヴォルカニック・ザンバードン!!]
× × ×
「な、な、何なの……!?」
己が出した炎によってめぐりは腰を抜かし、へなへなとその場に崩れ落ちた。普段はほんわかとしている彼女でも、この異常には度肝を抜かれたようだ。
「城廻先輩、落ち着いて下さい……!」
雪乃は気が動転している彼女をどうにかなだめようとしている。そこに駆けつけた八幡は、雪乃と目が合うとめぐりに聞こえないように囁き合った。
「比企谷くん、先輩にリトルスターが……」
「分かってる。すぐにゼナさんたちに連絡をして……」
と言いかけた八幡だったが、それをさえぎるように校舎の至るところから生徒たちの悲鳴が轟いた。
「きゃああああああ――――――! 怪獣っ!」
「! くっそ……もう来やがったのか……!」
八幡と雪乃は急いで廊下の窓側へと駆け寄り、外を見やる。
怪獣の姿はすぐに、こちらに向かって滑空してきている場面で見つけた。赤い羽毛を生やしたドラゴンのような肉体で、翼はずんぐりした胴体とは不釣り合いなほど小さいがスピードは速い。首には赤い結晶型のトサカと太く鋭いクチバシを持っている。バードンとザンボラーという火と熱の怪獣同士によるレイデュエス融合獣、ヴォルカニック・ザンバードンだ!
「ケエエオオオオオオウ! ギャアアアアアアアア――――――!」
「ちッ……あのスピードじゃすぐにここ襲われるぞ……!」
舌打ちする八幡。つまり時間の猶予がないということで、八幡は即座に雪乃とともに人の姿がない校舎の死角に飛び込んだ。雪乃はレム伝手に結衣へと、めぐりのことを託す。
「あの、比企谷くん……」
雪乃は若干ためらいを覚えていたが、八幡はそれをさえぎるように呼び掛けた。
「ボヤボヤすんな。敵が来るんだぞ」
「……ええ、そうだったわね」
その言葉を読み取った雪乃が、表情を変えた。
そして二人は手早くウルトラカプセルを装填ナックルに収めて、ジードへと変身!
[フュージョンライズ! ウルトラセブン! ウルトラマンレオ!]
[ウルトラマンジード! ソリッドバーニング!!]
「ドォッ!」
ジード・ソリッドバーニングが校舎を抜けて飛び立ち、猛然と向かってきているザンバードンにこちらから飛びかかった。
「ダァッ!」
「ケエエオオオオオオウ! ギャアアアアアアアア――――――!」
相手のクチバシをはっしと掴んで、地上へと引きずり下ろす。ジードに止められたザンバードンは地表に叩きつけられて、ジードごとゴロゴロと転がったがすぐに起き上がる。
「ケエエオオオオオオウ! ギャアアアアアアアア――――――!」
ザンバードンは標的を総武高校からジードに移すと、クチバシを前に突き出してジードに振るってくる。それを咄嗟にかわすジードに、レムからの忠告が入る。
[相手のクチバシは鋭利な上に、毒が含まれています。一撃でも食らわないようお気をつけ下さい]
『「一撃でもか……! そりゃちょっときついかもな……!」』
皮肉げに笑う八幡。ソリッドバーニングは機動力についてはあまり優れてはいない。
それでもザンバードンのクチバシ攻撃を払いながら反撃に転じた。
「ドォッ!」
「ケエエオオオオオオウ! ギャアアアアアアアア――――――!」
相手のボディに拳を叩き込んで押し返す。ザンバードンがひるんだ隙にスラッガーを腕にジョイントした。
『ブーストスラッガーパンチ!』
ジェット噴射を伴った一撃を繰り出す! が、ザンバードンはその瞬間飛び上がって回避。
『「ちッ、スピードもなかなかのもんじゃねぇか……!」』
舌打ちする八幡。攻撃が危険で、動きも速い。単純故に強いタイプだ。
「ケエエオオオオオオウ!」
クチバシを突き出して飛び込んでくるザンバードンを、バク転でかわすジード。戦いは一進一退である。
(♪燃える大東京)
そう思われたが、着陸したザンバードンの結晶状のトサカが一瞬光ると、目に見えない速度で熱波を飛ばしてきた!
「ドアァッ!」
『「うわぁぁッ!?」』
熱と衝撃を正面から食らって大きくよろめくジード。炎の形態のソリッドバーニングでも耐え切れないほどの、凄まじい威力であった。
それだけではない。周囲に無差別に飛ばされた熱波は、戦場の町の建物を発火させ火災を引き起こす。総武高校にも。
「きゃあああああ――――――!」
「うッ、うわあああ! 火事だぁぁぁぁぁぁッ!」
『「ああっ!? 学校がっ!」』
聞こえてくる生徒たちの悲鳴に、雪乃が焦った声を上げた。このままでは学校が、文化祭の準備ごと灰になってしまう。
『「くッ……!」』
八幡が焦燥を噛みしめる。ジードはザンバードンの暴虐を止めようと飛びかかるものの、
「ケエエオオオオオオウ! ギャアアアアアアアア――――――!」
「グゥッ……!」
動きを止められたジードが、ザンバードンの羽で殴り飛ばされた。
「ウワァッ!」
ザンバードンの戦闘能力の高さに追いつめられていくジード。その間にも、周囲の町並みが火の手に覆われていき、人々の悲痛な悲鳴が数を増していく。
「い、いやぁぁぁぁっ! 熱い……!」
「助けてくれぇ……!」
「ま、待って! 置いてかないでよ!?」
「うるせぇッ!」
ジードもまたザンバードンの火炎になぶられ、カラータイマーが危機を報せている。
「ケエエオオオオオオウ! ギャアアアアアアアア――――――!」
『「く、くそッ……!」』
崖っぷちの窮地。その時、
「頑張って、ジードさん!」
結衣に助けられて校庭に出ためぐりが、ジードに向かって叫んだ。
『「先輩……!」』
めぐりは苦しめられるジードを懸命に応援する。
「ここであなたが倒れたら、みんなの今までの努力が灰になっちゃうんです!」
腕を広げて、文化祭の飾りつけが進められている校舎を示すめぐり。色々問題の続いた文化祭であるが、それでも多くの生徒が楽しみにして準備をしてきていることには違いない。めぐりはそんな総部高校を愛している。
「どうか……私たちに、未来を示して下さいっ!」
めぐりの祈りの言葉とともに……彼女の胸からリトルスターが分離し、ジードのカラータイマーへと吸い込まれ、八幡のカプセルホルダーに入り込んだ。
めぐりのリトルスターが入ったカプセルを引き抜く八幡。菱形のカラータイマーのウルトラ戦士の絵柄が浮かび上がる。
『セアッ!』
[メビウスカプセル、起動しました]
レムが報告し、八幡と雪乃は大きくうなずいた。
[カプセルの交換を推奨します]
『「よっしゃ!」』
八幡たちは意気込んでレムの指示したカプセル二つを起動していく。
『ユーゴー!』
『セアッ!』
雪乃が一つ目のカプセルのスイッチをスライドし、ウルトラマンメビウスのビジョンが腕を振り上げた。
『アイゴー!』
『タァーッ!』
次いで八幡が二つ目を起動。胸と肩に勲章を並べた戦士、ゾフィーのビジョンが腕を振り上げる。
『ヒアウィーゴー!!』
装填ナックルに二つのカプセルを押し込み、ジードライザーでスキャン。
[フュージョンライズ!]
『ジィィィ―――――――ドッ!』
メビウスとゾフィーのビジョンが八幡たちと重なり、ジードが姿を変える!
[ウルトラマンメビウス! ゾフィー!]
[ウルトラマンジード! ファイヤーリーダー!!]
「テアッ!」
まばゆい輝きと光のメビウスの輪を抜けて、赤と青の螺旋の中から新しい姿のジードが飛び出していく!
「ケエエオオオオオオウ! ギャアアアアアアアア――――――!」
ほとばしる閃光によってザンバードンの目をくらませながら仁王立ちしたジードを見上げる結衣とめぐり。
「ジードん! 何か独特な姿になった!」
「ジードさん……!」
今のジードは右半身が赤、左半身が水色という左右非対称の、今までにない特徴の形態となっている。メビウスの炎の力と、ゾフィーの駆使する冷気の力の両極の属性をその身に宿した、ファイヤーリーダーだ!
(♪ウルトラ兄弟のテーマ)
「ハッ!」
ジードが左腕を伸ばし、早速ファイヤーリーダーの能力を発動。左腕からは冷気が光線状に放たれ、それを周囲に振りまくことによってザンバードンが引き起こした火災を瞬く間に消し止めた。
「おおッ! 助かった!」
「ありがとう、ウルトラマンジード!」
命を救われた人々から歓声が沸き上がる。それを一身に浴びるジードの中で、八幡がめぐりを見下ろしつつ苦笑を浮かべた。
『「めぐり先輩から頼まれたら、やらない訳にはいかねぇな……」』
顔を上げて視線をザンバードンへ戻すと、気合いとともに見得を切った。
『「示すぜ……未来!」』
「ケエエオオオオオオウ! ギャアアアアアアアア――――――!」
全ての火災を鎮火されたザンバードンはいら立ちをぶつけてくるかのように熱波攻撃を仕掛けてきた。しかしジードは、右腕を持ち上げて熱波を手の平で受け止めた。
「フッ!」
ファイヤーリーダーの右半身は炎と熱を司る。その力によって、熱波を吸収して無力化したのだ。
「ハァッ!」
そして吸収した熱エネルギーは反転変換し、左腕から冷気としてザンバードンにはね返す。
「ケエエオオオオオオウ! ギャアアアアアアアア――――――!」
ジードの冷気を正面から食らったザンバードンはみるみる内に凍りつき、動きを取れなくなった。今こそ絶好のチャンス。とどめを刺す時だ!
「タァッ!」
右腕を天高く掲げるジード。その手の平から太陽を思わせるような炎の球が生じ、ジードが宙に飛び上がるとともに拡大していく。
「『バーニングフロスト!!」』
ザンバードンへ猛然と突貫しながら極大に膨れ上がった火球をぶつける。極低温の状態から超高熱の火の玉をぶつけられたザンバードンは、その衝撃によって粉々に爆散した!
「やったぁ―――――っ! 勝ちましたよ先輩! ジードんの勝ちですっ!」
「うん……! ありがとう、ジードさん!」
結衣とめぐりは手を取り合って喜び合う。他の救われた人たちからも、歓声とジードへの感謝の声が上がった。
「シュワッ!」
彼らの声を受けつつ、ジードはまっすぐ空に飛び立って去っていった。
× × ×
ジードの活躍による早期の鎮火によって、総武高校の火災はどうにかボヤ程度で収まった。しかし、それでも文化祭の展示品の一部が燃えて煤となってしまったものがあり、それを作った生徒たちはガッカリと落胆していた。
「頑張って作ってたのに……ほんとひどいよね……」
その様子を隠れながら観察した八幡、雪乃、結衣の三人。結衣は大きなため息を吐いたが、それを慰めるように雪乃が呼び掛ける。
「けれどまだ取り返しがつく範疇だわ。文化祭当日までには、修繕が完了して展示物が完成するようにこちらからも支援しましょう」
「ってことは、俺の仕事が余計増えるってことじゃねぇか……。くそッ、あの悪党どもめ……」
文実の仕事が増えるということは、それに連鎖して自分のしなければならないことも増加するということに八幡がレイデュエス一味に対する呪詛の念を吐いた。
そこに、ジードが懸念の言葉を口にする。
『これだけで済めばまだいい方だ。文化祭本番に融合獣が暴れる、それが一番の心配だよ……』
「確かに……。あいつらそれやりそうだよな」
同意する八幡たち。その最悪の事態を振り払うように、結衣が八幡と雪乃に強く呼び掛ける。
「そんなこと許せないし! ゆきのん、ヒッキー、文化祭だけは絶対守り通そうね!」
「ええ、もちろんよ」
「まぁ、まずは全部の準備を終わらせて問題なく始められるようにするのが先決だけどな」
ジード部の三人は来たる文化祭を守る気概を固め、互いに誓い合ったのであった。
× × ×
フュージョンライズを解除され、元の星人態に戻ったレイデュエスの元にオガレスとルドレイが参上する。
『殿下、ご無事で。またウルトラマンジードの邪魔が入りましたな……』
『いつもいつも殿下に盾突いて、全く忌々しい限りですな!』
ジードへの恨みつらみを吐き出すオガレスとルドレイ。だが肝心のレイデュエスは、何も聞こえていないかのように背を向けたまま肩を震わせた。
「ふふふふふ……ハ―――ッハハハハハッ!」
『で、殿下? 如何されましたか?』
『よもや、何度もやられてどこか具合を悪くされたのでは……』
「違うわ馬鹿が! これを見ろッ!」
オガレスを一喝してから、レイデュエスが振り返って手に握っているカプセルを見せつけた。それにより、オガレスたちの目の色も変わる。
『お、おお! これはッ!』
「そうだ! 遂にこの時が来たッ!」
レイデュエスの握るカプセルに、火災に襲われた人々の嘆きのエネルギーが吸収され、それによって十字の発光体を持つ漆黒の怪獣の絵柄が浮き上がったのである。
「完全復活だ……最早遊びの時は終わりだッ! もうジードの奴に接待する必要もない……。次の戦いが、奴の最期の時となるのだッ!!」
凄惨なほどの笑みを見せつけながら、レイデュエスがウルトラマンジードの終わりを予言した――。
『ウルトラストーリーナビ!』
雪乃「今回は『ウルトラマンタロウ』第十七話「2大怪獣タロウに迫る!」よ」
雪乃「東光太郎と健一くんはタケシ少年とともに、タケシの父親が勤める大熊山の地震研究所に遊びに行き、畑からスイカを購入。だけどそのスイカには、大熊山の噴火でよみがえった怪虫ケムジラが潜んでいて、タケシ少年が失明してしまう事態になってしまうの。責任を感じた光太郎とZATはケムジラを退治しようとするけれど、ケムジラはZATガンのエネルギーで巨大化。更に大熊山から出現した怪獣バードンまでやってきて、タロウは絶体絶命のピンチになる……という内容よ」
雪乃「物語が二話にまたがる前後編は何度かあったけれど、この話は三話構成で、これはシリーズで初めてのことだったわ。このことは、元々は普通の前後編の予定だったけれど、光太郎役の篠田三郎さんが多忙で、スケジュール調整のために一話分伸びたからと言われているわね」
雪乃「そのためにバードンが恐ろしいほど強くなって、タロウに続いてゾフィーまで返り討ちにするという異例の事態を起こしているわ。このせいでゾフィーはネタキャラのようになってしまったのだけれど……」
ジード『だけどゾフィーさんはウルトラファイトオーブで見事バードンに対するリベンジを果たしてるぞ! 要チェックだ!』
雪乃「では、また次回でお会いしましょう」
「突然だが、今日はお前たちにお別れを言いに来た」
「つまり――お前たち全員、今日で命が終わりになるということだよ」
「俺が最初から『あのカプセル』を使っていたら、お前らなんぞにつき合ってやる必要すらなかった」
「あの時に使用してた怪獣カプセルが、やっと再起動を完了したのさ!」
「終わりにしに来たという訳だ。……この遊びの日々を、お前らの命をッ!」
「今見せてやるさ! このレイデュエス様の、最強の力をッ!」
「宇宙指令M49!」
「イッツ!」
「マイ!」
「ショウタイム!!」