やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。   作:焼き鮭

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修学旅行を襲う侵略者を撃て。(B)

 

「!!?」

 

 突然清水寺を襲う激しい揺れ。八幡と結衣が反射的に顔を上げると、その視界にそびえ立つレギオノイドの白黒の機体が飛び込んだ。

 

「ロボット……!?」

 

 レギオノイドの出現によって周囲から一斉に悲鳴が上がり、大混乱となる。そんな中で結衣がレムに問うた。

 

「れむれむ、あれは融合獣!?」

 

 それを危惧する結衣だが、レムの回答は否定であった。

 

[いいえ。あれはダダという種族が使用するロボット兵器です]

『見覚えがある……! あの時の奴の同型機か!』

 

 そう発するジード。融合獣ではなかったが、敵であることには違いない。

 

「ヒッキー……!」

 

 反射的に八幡の方へ振り向く結衣だったが――八幡は迫るレギオノイドから目を離さずに結衣に言いつけた。

 

「由比ヶ浜、お前は避難しとけ。俺はあれを迎え撃つから」

「え……」

「ん、どうした? ぼやぼやしてたら危ねぇぞ」

 

 さも当たり前といった様子の八幡に、結衣は口が半開きになって何かを言いかけたが――取りやめた。

 

「……そうだよね。お願いね、ヒッキー……!」

「……? ああ……」

 

 どこか寂しげな表情で、結衣は他の人たちに混ざって避難していった。それを怪訝に思った八幡であったが、すぐに我に返って人の波に逆らい、避難する人たちから離れていく。

 八幡が人の目のない場所を探す間に、レギオノイドの右腕が換装されてガンポッドが装備された。同時にレムが告げる。

 

[警告。ロックオンされました]

『僕たちが狙いか!』

 

 焦るジードたち。レギオノイドのコックピット内のダダは彼らに向かって叫ぶ。

 

『ウルトラマンジード、死ねッ!』

 

 ガンポッドから強力な光線が発射され、八幡に襲い掛かる!

 

「!」

 

 着弾した光線が大爆発を引き起こし、八幡の姿がその中に呑み込まれた!

 

「!!」

 

 それを目撃した結衣や、同じく避難中の雪乃が声にならない叫びを発した。

 しかし、

 

「ユーゴーッ!」『シェアッ!』

「アイゴーッ!」『フエアッ!』

「ヒアウィーゴーッ!!」

[フュージョンライズ! ウルトラマン! ウルトラマンベリアル!]

[ウルトラマンジード! プリミティブ!!]

 

 八幡は爆炎の中でジードライザーを起動し、ウルトラマンジードに変身して炎から飛び出した。

 

『「決めるぜ! 覚悟!!」』

 

 レギオノイドの面前に颯爽と着地するジード。それに対して、レギオノイドを駆るダダが声を発した。

 

『流石に今のでは死なんか。だが勝つのはこの私だッ!』

『「知るかッ! 迷惑なんだよどっか行けッ!」』

 

 右腕を戻して突進してくるレギオノイドに、ジードがこちらから迎え撃っていった。

 

「ショアッ!」

 

 先制の膝を入れ、レギオノイドのボディを激しく叩く。だが鋼鉄の機体には効果がなく、逆にジードの方が手を痛める。

 

『「くっそ、やっぱロボットはかってぇな……!」』

『こんな時はソリッドバーニングだ!』

『「ああ!」』

 

 ジードの素早い判断によって八幡はセブンカプセルを取り出そうと腰に手を伸ばした。が、

 

『そうはさせるか!』

 

 ジードの能力を分析済みのダダはそれを察し、フュージョンライズを妨害せんがためにジードに鉄拳をぶち込んだ。

 

「ウワッ!?」

『「ぐッ!」』

 

 殴られた衝撃によってジードがよろめき、八幡もまたバランスを崩して動きを止められた。

 更にレギオノイドは右腕を再び換装。今度はドリルを装着して、ジードに突き出してくる。

 

「ウッ!」

『「危ねッ!」』

 

 すんでのところでかわすジードだが、レギオノイドは執拗にドリルで狙ってくる。このままフュージョンライズを行う隙を与えない作戦のようである。

 

「ハッ!」

 

 これでは追いつめられるばかりと判断したジードは大きく飛びすさってレギオノイドから距離を取ったが、

 

『甘いぞ! 食らえぇッ!』

 

 ドリルから螺旋状の光線が飛び、ジードを襲った!

 

「ウワァァァッ!」

 

 光線の直撃を食らい、ジードが爆炎の中に姿を消してしまう。

 

「ああッ! ジードが!」

 

 戦いを見上げていた戸部たちが、一斉に悲鳴を発した。一方でダダは嬉々として勝ち誇る。

 

『どうだぁ! これでこの星は私のもの! 今度は私がこの星を絶望で染め上げてやる!』

 

 もうもうと立ち込める黒煙を見やりながら宣言するダダ。

 が、

 

『「ユーゴーッ!」』『セェアッ!』

『「アイゴーッ!」』『ドゥアッ!』

『「ヒアウィーゴーッ!!」』

[フュージョンライズ!]

 

 煙から、八幡の叫び声とジードライザーの音声が高らかに鳴り響く。

 

『何ッ!』

『「ジィィィ―――――――ドッ!」』

 

 そして黒煙に、雄大な人影の輪郭が浮かび上がり――。

 

[ウルトラマンゼロ! ウルトラの父!]

[ウルトラマンジード! マグニフィセント!!]

「ハァァッ!」

 

 ウルトラマンジード・マグニフィセントが肩を張りながら悠々と黒煙より現れ出でる。

 

(♪ウルトラマンジードマグニフィセント)

 

『「守るぜ! 希望!!」』

「おおおおおー!」

 

 爆撃をものともせずに立ち上がったジードの姿に人々は興奮。ダダの方はひるんで後ずさりした。

 

『「今ので勝負を決めたつもりとか、せっかちな野郎だ」』

『ぐッ……だが、どんな姿になろうともこのレギオノイドの敵ではないッ!』

 

 ダダが自らの戦意を駆り立てて、再度ジードに突っ込んでくる。それを正面から待ち構えるジード。

 

「ドォッ!」

 

 レギオノイドの鉄拳とジードの豪拳が交差し、殴り合いとなる。その中で八幡がダダに問いを投げかけた。

 

『「テメェはレイデュエスの配下か!? 俺たちに敵討ちでもしようってのか!」』

『愚弄するな! 私は誰の下にも着かん! 私が宇宙の頂点となるのだ! そのために、貴様らには消えてもらわねばならんのだ!』

 

 ダダの答えに八幡は激昂。

 

『「だから、そういうの迷惑なんだよッ!」』

「ダァッ!」

 

 マグニフィセントのメガボンバーパンチが、レギオノイドを大きく殴り飛ばした。

 

『ぐわぁッ!』

『「王様ごっこやりてぇんだったら、どっか別の場所で人様の迷惑にならないようにやっとけ!」』

 

 吐き捨てる八幡に今度はダダが発憤する。

 

『この私をコケにしおってぇぇ……! これでも食らえッ!』

 

 レギオノイドの両肩が開き、複数のミサイルが射出されてジードに襲い掛かってくる。

 

「ハッ!」

 

 しかしアレイジングジードバリアによってミサイルは全て叩き落とされて、ジードにダメージは入らなかった。

 

『ぐぅッ……! ならばこれだッ!』

 

 ミサイルを防がれたレギオノイドは武器を変え、ドリルで接近戦を挑んでくる。が、

 

「ドアァッ!」

 

 マグニストラトスの一撃がドリルに叩き込まれ、ドリルは根元から粉砕!

 

『何ぃッ!?』

 

 大きくひるんだレギオノイドの肩を掴み、ジードが高々と投げ捨てる。

 

「ダァッ!」

『ぬわぁッ!』

 

 地面に叩きつけられて一瞬身動きが取れなくなるレギオノイド。その絶好のチャンスに、ジードはとどめの用意を行う。

 

「オォォォォ……!」

 

 両腕にエネルギーを充填して、L字に組んだ腕から渾身の光線を照射!

 

「『ビッグバスタウェイ!!」』

 

 絶大な破壊光線がレギオノイドに叩き込まれ、レギオノイド全身からスパークを起こす。

 

『馬鹿な! この私が……やられるとはぁぁぁぁぁぁッ!!』

 

 ダダのいるコックピットもただでは済まず、レギオノイドはほどなくして粉々に吹き飛んだ。

 

「おおー! やったぁッ!」

「流石はジードだべ! かっけぇ!」

 

 ジードの見事な勝利に民衆は喝采を浴びせた。そのジードの中で、八幡は大きく息を吐いた。

 

『「やれやれ……とんだ災難だったぜ」』

『お疲れさま、八幡』

 

 ジードが彼にねぎらいの言葉を掛けた。

 

『「全く。さ、とっとと修学旅行に戻ろうぜ。そろそろ姿見せなきゃ、平塚先生にまた何を言われるもんか」』

『ああ』

 

 戦闘を終え、ジードは空に向かって飛び立ってこの場を後にしていった。

 

「シュウワッチ!」

 

 

 × × ×

 

 

 戦闘の事後処理はAIBにやってもらい、八幡、結衣、雪乃は一時宿泊先のホテルから脱け出てゼナと陽乃から顛末の報告を受けた。

 

『比企谷八幡、君たちが倒したダダは強制送還となった。二度とこの地球の土を踏むことはないだろう』

「それなら結構です」

 

 八幡のケータイの画面に映るゼナが、ダダの強制送還処分を告げた。すると雪乃がふと疑問を口にする。

 

「それにしても……この前のスチール星人といい、どうして今頃に宇宙人たちが派手な事件を起こすようになったのでしょう」

 

 それに対して、ゼナがこう答える。

 

『それは、レイデュエスが姿を現さなくなったからだな』

「え?」

 

 きょとんとする三人に、語るゼナ。

 

『奴は君たちや地球人のみならず、他の宇宙人に対しても横暴を振るっていた。宇宙人たちは奴に目をつけられるのを恐れて表立った活動を控えていたのだが、もう二か月も動向がないことから、安全と見て身勝手な振る舞いを始めている。今回のダダも、レイデュエスが死んだものとして自分が後釜に収まろうと君たちを攻撃したという』

 

 ゼナの言葉にショックを受ける結衣。

 

「そんな……ヒッキーたちがレイデュエスをやっつけたのが、悪い人たちを活発にさせちゃったんですか?」

『残念だが、そういうことになるな。今回みたいな輩は、次第に増えていくことだろう』

「……せっかく平和になると思ったのに……」

 

 落胆する結衣に、雪乃が励ますように呼び掛ける。

 

「そんな顔をすることはないわ、由比ヶ浜さん。結果はどうであれ、私たちは正しいことをしたのよ。犯罪者の横行の責任を感じる必要なんてないわ」

『雪乃ちゃんの言う通りだよー』

 

 陽乃もまた次のように述べた。

 

『増えると言っても、どうせレイデュエスに怯えてコソコソしてた小粒な悪党どもなんだから、レイデュエスなんかよりもずっとましだって。そんな奴らの相手、AIBに任せといて! ねぇゼナ先輩』

『ああ。今回は止められなかったが、君たちの周囲の警戒を強める。少なくとも、君たちの修学旅行の邪魔は二度と入らないようにしよう』

 

 と約束するゼナに礼を言う雪乃。

 

「ありがとうございます、ゼナさん」

『ちょっとちょっと雪乃ちゃーん、わたしはぁ?』

「姉さんは臨時職員でしょう」

『ちぇ~』

 

 唇を尖らせる陽乃。

 

『では、また何かあったら報告してくれ』

 

 ゼナのひと言を最後に通話を終えると、八幡たちの間で話し合いを行う。

 

「まさかこんなことになるなんて……。世の中って、思ったようにならないね」

「だけど、姉さんの言った通りにレイデュエスほど厄介な敵もそうそう現れないことでしょう。そこは安心してもいいのではないかしら」

「それもそうだよね! もうヒッキーたち、あんなギリギリの戦いをしなくていいんだよね!」

 

 雪乃の言葉に思い直して声を弾ませる結衣。ジードもまた発する。

 

『レイデュエスに代わってどんな宇宙人が敵として現れても、僕たちがやることは変わらないさ。ヒーローは負けない!』

「その意気だよリク! 八幡も頑張ってね! 君ならやれる!」

 

 ペガが顔を出して八幡を激励したが……八幡は変に黙っている。

 

「八幡……?」

 

 怪訝に思って尋ね返すと、八幡はようやく口を開いて、ひと言、

 

「……レイデュエスの奴は、本当に死んだんだろうかな。それが気になってんだけど……」

 

 ここまでのレイデュエスが死んだことを前提としている話に、八幡は異を唱えた。

 一瞬静かになるが、雪乃が反論する。

 

「少し心配しすぎじゃないかしら。再び現れないどころか、全く動向がないと言うのよ。あの男の性格を考慮すれば、生きていたのならそんなことにはならないはず。少なくとも、再起不能にはなっているはずよ」

「あんまり気にしすぎても疲れるだけだよヒッキー。それよりこれからのことを考えた方がいいって! とべっちのこともあるじゃん!」

「……まぁ、そうだよな」

 

 八幡は未だに少し引っ掛かるものを感じていたものの、結衣たちの言うように意識を切り替え、レイデュエスのことは頭から追いやったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 × × ×

 

 

 ――衛星軌道上にステルス状態となって潜伏している円盤内で、ゴドラ星人ルドレイとバド星人オガレスが声を発した。

 

『地上でダダがウルトラマンジードに返り討ちにされた。奴は殿下が死んだとして行動を開始したらしい』

『全く、我々を差し置いて勝手なことをする奴がもう現れようとは!』

 

 オガレスは憤慨しながら、暗がりの方へ振り返る。

 

『裏の世界では、すっかり亡き者扱いです。そんな屈辱的な流布を許してよろしいのですか――殿下!』

 

 ――二人に背を向けながら、半壊しているブラッドライザーにはんだごてを当てて作業しているレイデュエスが返答する。

 

「ほっとけ。どうせそんな風見鶏じゃあ、ジードどもには勝てん。勝手に自滅していく奴らなんかは構うだけ無駄だ」

 

 レイデュエスは振り返らないままに続けて話す。

 

「それにブラッドライザーの修理も直に終わる。俺が再び表舞台に立てば、連中も俺の恐怖を思い出して引っ込むことだろう」

 

 その言葉にオガレスとルドレイは身を乗り出す。

 

『おお……いよいよジードの奴らに復讐する時が来るのですね!』

「ああそうだ……。当然、このままじゃ済まさん。奴らには、俺が受けた以上の苦しみを味わわせながら地獄に叩き込んでやる……!」

 

 声におどろおどろしい憎悪をにじませるレイデュエスが顔を上げる。暗闇の中に、その双眸だけが浮かび上がる。

 

「今に見ていろ、ウルトラマンジード……比企谷八幡ッ……!!」

 

 濁り切った紫色の瞳が、地球をにらみ続けた――。

 

 

 

『ウルトラストーリーナビ!』

 

八幡「今回は『ウルトラマン』第二話「侵略者を撃て」だ」

八幡「ある晩、東京上空に怪電波が発生してそれが消滅した地点の科学センターが音信不通となった。調査に乗り出した科特隊の前に現れたのは、奇怪な姿の宇宙人。宇宙人によってアラシ隊員を始めとして大勢の人をやられた防衛軍は対策会議を行い、科特隊が対話と交渉を試みることとなる。そして科特隊に科学センターを乗っ取った宇宙人、バルタン星人が衝撃の話を口にし、科特隊とウルトラマンは驚異的な力を持つバルタン星人と戦うことになる……という内容だ」

八幡「シリーズ一有名な宇宙人、バルタン星人の記念すべき初登場回だ。その内容は怪奇SFの見本とも言えるぐらいに完成度が高く、バルタン星人のキャラ同様に根強い人気がある。バルタンの人智をはるかに超える超能力の表現方法も今になっても色あせないレベルだ」

八幡「バルタン星人は未知の宇宙人であると同時に、核兵器によって故郷を失い流浪の身となった人間でもある。当時は冷戦で米ソによる軍事競争が過熱してた時期。その風刺としての側面もあった訳だな」

ジード『「侵略者を撃て」は制作順では最初の回だ。それで設定も固まってなかったのか、ムラマツキャップがキャプテンと呼ばれてたりイデ隊員がハヤタ隊員をさんづけだったりと、この回だけの描写も見られるよ』

八幡「それじゃ、また次回でな」

 




ライハ「八幡たちは今頃京都ね……。だけど宇宙人に襲われただなんて」
レム[ですが無事に撃退できたとのことです]
ライハ「ならいいんだけど……。それにしても、この星雲荘もリクが八幡と一体化してから、寂しくなっちゃったわね」
レム[ペガも八幡について、比企谷家で生活してますからね]
ライハ「当然といえば当然だけど、星雲荘、という割には暮らしてるの私たちだけだものね。住居者募集する訳にもいかないけど」
ライハ「家事をするのも今は私だけだし……。リクのスペースも私がやってあげてるんだから、感謝の言葉が欲しいくらいだわ」
レム[お疲れさまです、ライハ]
ライハ「ところで、リクのベッドの下はどうしても掃除しちゃいけないっていうの?」
レム[そこに触れては、今後のリクとの関係に支障を来たす恐れがあります]
ライハ「全く、何を隠してるんだか……」



次回、『新たなる戦いは刻々と近づいている。』

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