やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。 作:焼き鮭
「ギギャアァァァ――――――!」
『うッ、うわぁぁぁぁッ!?』
レイデュエスによって召喚されたジャンボキングに間近から見下ろされ、AIBの宇宙人たちは思わず恐怖に駆られて悲鳴を発した。何人かは発砲するが、ジャンボキングの体表に銃弾は呆気なく弾き返される。
『落ち着け! 取り乱すなッ!』
狼狽する宇宙人たちを一喝して統制を取り戻そうとするゼナ。その間にレイデュエスは踵を返す。
「お前らはこいつに遊んでもらえ」
『! 待てッ!』
止めようとしたゼナだが既に遅く、レイデュエスたちは柵を跳び越えて屋上から地上へと飛び降りていってしまった。
「ギギャアァァァ――――――!」
そして追跡はジャンボキングに阻まれて出来ない。
「ゼナ先輩! あの怪獣が出てきたバトルナイザーっていうの何ですか!?」
後ずさりながら尋ねる陽乃。流石の彼女も、突然現れた大超獣には驚きを禁じ得なかった。
『怪獣使いレイオニクスが本来所有する、怪獣を持ち運ぶための収容機具だ! 一度も出す気配もなかったから失念していた……私としたことが……!』
悔やむゼナ。ジャンボキングは大木のような腕を振り上げ、ゼナたちのいるビルを叩き壊しだす。
「ギギャアァァァ――――――!」
『わあああぁぁぁぁぁぁッ!』
『くッ……! 陽乃を守れッ! そして撤退だ!』
呆気なく崩されていくビルから仲間を逃がしながら、ゼナが指示を飛ばした。
しかしAIBの抹殺を命じられたジャンボキングは、逃げる彼らを執拗に追いかけるのだ。
× × ×
しかし町中に巨大な超獣が出現したことは、すぐに八幡の知るところとなっていた。
「あれは……!」
八幡はすぐに校庭に飛び出して、ビルを崩しているジャンボキングの背面を見やった。そこにレムが報告する。
[最強超獣ジャンボキング。融合獣ではありませんが、レイデュエスの召喚したものであるようです]
「また野郎の仕業か……。前回からほとんど間を置いてねぇってのに……!」
いら立ったように舌打ちする八幡。レムは続けて告げる。
[ジャンボキングにAIBが襲われています]
「何だって!?」
『八幡、すぐに助けよう!』
ジードの呼びかけに八幡は即座にうなずく。
「よぉし……!」
人の目を避けるため校舎の陰に飛び込んでから、ジードライザーを取り出して変身しようとする。
「行くぜ……!」
「ヒッキーっ!」
「おわッ!?」
しかしケースからカプセルを取り出しかけたところで、結衣が彼の下に駆け込んできたので驚いて手を止めた。
「由比ヶ浜! 何でここに……!?」
「ジードんに変身するなら、この辺じゃないかなって当たりをつけて……」
結衣は汗だくでぜぇぜぇ息を切らしながらそう答えた。当たりをつけたと言っても、八幡を捜すために相当走り回ったようである。
どうにか息を整えた結衣は、背筋を伸ばして八幡と目を合わせ、まっすぐに申し出た。
「あたしも一緒に戦わせて!」
「はぁ!?」
再び面食らう八幡。その申し出は二度目である。
「だからお前、その必要はないだろうが……! 今回は誰か捕まった訳でもないんだし、お前は待ってろって……」
と拒む八幡であるが、結衣はその言葉をさえぎってまくし立てた。
「必要とか、そんなんじゃないよっ! 色々考えたけど……ヒッキーに言いたいことがあるし! だからヒッキーが帰ってくるのを、隣で確かめたいの! もう……ハラハラしながら待ってるだけなのは嫌!!」
「嫌って言ったって、お前……!」
『八幡ッ!』
結衣と口論しかけるところであったが、ジードに急かされる。状況は切羽詰まっているようだ。
「くッ……ジーッとしてても、ドーにもならねぇか……!」
やむなく八幡は引き下がって、結衣とともにウルトラカプセルを起動していく。
「ユーゴーッ!」『テヤッ!』
「アイゴーっ!」『タァッ!』
「ヒアウィーゴーッ!!」
ヒカリカプセルとコスモスカプセルをナックルに装填し、ライザーでスキャンする。
[フュージョンライズ!]
「ジィィィ―――――――ドッ!」
八幡と結衣がジードの身体へと一体となり、ジードは初期状態から青い姿へと変身を遂げる。
[ウルトラマンヒカリ! ウルトラマンコスモス!]
[ウルトラマンジード! アクロスマッシャー!!]
「ハァッ!」
アクロスマッシャーへの変身に成功したジードが高々と宙を舞いながら飛び出していく。
「ギギャアァァァ――――――!」
一方でジャンボキングはビルを完全に破壊し、地上を走って逃げるAIBをつけ狙って踏み潰そうと追いかけていた。
『皆、最後まであきらめるなッ! 振り切るんだ!』
ゼナが懸命に隊員たちを激励しているが、大超獣との移動速度は絶望的。たちまち追いつかれて、ジャンボキングは全員を抹殺しようと足を振り上げる。
『うわあぁぁぁぁぁ―――――――!!』
AIB隊員たちが最早これまでと絶叫した、その時、
「ハッ!」
ジャンボキングの目の前を横切って、ジードが華麗に着地。ジャンボキングは視界の中を動いた巨躯に気を引きつけられて、狙いをAIBからそらした。
『ほッ……』
『朝倉リクたちか……。助けられてしまったな』
ゼナたち宇宙人らは危ないところを救われたことにどっと息を吐くが、陽乃はジードを見上げてよく観察した後に、顔をしかめた。
「また雪乃ちゃんじゃない……」
AIBを助けたジードは、ジャンボキングに手招きして挑発。ジャンボキングはそれに乗っかって、彼に向かってドスドスと突進していく。
「ギギャアァァァ――――――!」
「ハッ!」
ジードはアクロバティックな跳躍でジャンボキングの突進を回避。しかし、まさしく小山のような体格のジャンボキングにはアクロスマッシャーの軽い攻撃が通りそうには見えない。
「「『ジードクロー!!!」」』
そこでジードはジードクローを召喚して、それを武器にジャンボキングに勢いよく飛び込んでいった。
「ハァァッ!」
「ギギャアァァァ――――――!」
ジードクローの斬撃がジャンボキングの体表を切り裂く。ジャンボキングは図体の大きさが災いして機敏な身のこなしが出来ず、ジードのスピードを捉えられない。ミサイルや怪光線を発射するも、ジードはバク転の連続で全てかわす。
アクロスマッシャーの敏捷性とジードクローの切れ味は相性抜群である。
だがこの状況にレイデュエスが黙っているはずもなかった。
『殿下、ジードです!』
「比企谷ぁ……!」
ルドレイがジードへハサミを指すと、レイデュエスは憎々しげにジードを見上げた。そして顔面の傷跡を指でなぞりながら呪詛の言葉を吐く。
「まだ作戦もあったもんじゃないが、奴を葬るチャンスは一つも逃さん! とっておきの奴を出してやる……!」
ルドレイとオガレスの前に出ると、回収したブラッドライザーを手に怪獣カプセルを起動していく。
「イッツ!」『ギィ――――イ! ギィ――――イ!』
「マイ!」『ギャアアオウ!』
「ショウタイム!!」
二本のカプセルをナックルに装填すると、ライザーでスキャンしていく。
[フュージョンライズ!]
「ぬうあああぁぁぁぁッ!」
暗黒の異空間の中、レイデュエス魔人態が二体の怪獣のビジョンを吸い込んで肉体を変容させていく。
[ベムラー! アーストロン!]
[レイデュエス! バーニング・ベムストラ!!]
フランス人形とレコードプレーヤーを踏み潰して、レイデュエスが融合獣に変身する!
「ギィ――――イ! ギャアアオウ!」
「!?」
ジャンボキングと戦っていたジードの背後に、レイデュエス融合獣が出現する。咄嗟に振り向くジード。
[新手です。レイデュエス融合獣です]
『「まさか、挟み撃ち!?」』
二体の敵に前後挟まれて、結衣が目を見張った。
赤い一本角と全身に無数の青いトゲを生やした融合獣が獰猛に牙を剥く。ベムラーとアーストロンという、宇宙怪獣と地球怪獣の遺伝子を組み合わせて作り出されたバーニング・ベムストラである!
『くッ、二対一か……!』
前門のジャンボキング、後門のバーニング・ベムストラの両方に警戒を払いながら、ジードが短くうめいた。これまでのレイデュエスはどんな姿になろうとも、基本的に単独であり一対一の勝負であった。それなのに八幡たちはいきなりハンディキャップ戦が出来るのだろうか。
しかし八幡はひるまずに吠えた。
『「何人、いや何匹で来たって同じだ! ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」』
ジードクローを握り直し、軽々とした身のこなしでベムストラに向かっていくジード。だが、
「ギィ――――イ! ギャアアオウ!」
ベムストラもまた素早く尻尾を振り回し、ジードを大きく殴り飛ばした。その衝撃でクローが吹っ飛んでいってしまう。
「ウワァッ!?」
派手に叩きつけられたジード。ベムストラは細身な分、ジャンボキングよりも小回りが利いて素早いようである。
「ギギャアァァァ――――――!」
「ウワアァァァァッ!」
更に倒れたところにジャンボキングがミサイルを撃ち込んでくる。爆撃に見舞われるジード。
『「くッ……! こりゃちょっと不利だな……!」』
それでもジードが起き上がると、八幡と結衣はカプセルを交換して形態を切り替える。
『「ユーゴーッ!」』『タァーッ!』
『「アイゴーっ!」』『セェアッ!』
『「ヒアウィーゴーッ!!」』
新たにティガカプセルとルナミラクルゼロカプセルを装填してフュージョンライズ!
[ウルトラマンティガ! ルナミラクルゼロ!]
[ウルトラマンジード! ムゲンクロッサー!!]
『「挑むぜ! 神秘!!」』
ゼロツインソード・ネオを握り締めたジード・ムゲンクロッサーが超能力によって三体に分身する。
『「これで数を上回ったぜ!」』
数には数。豪語する八幡であったが……。
(♪大都市危機一髪!)
「ギィ――――イ! ギャアアオウ!」
ベムストラが大きく息を吸い込むと、口から螺旋状の青い熱線ペイルサイクロンを放射。ジードの足元に着弾すると、数十メートル規模の大爆炎を引き起こす!
『「うおあぁぁッ!?」』
『「きゃあああっ!!」』
すさまじい爆発はジードの分身全てを巻き込み、ジードは衝撃によって元の一体に戻ってしまう。ツインソードも爆風で吹っ飛ばされてしまう。
『「馬鹿がッ! テメェらが過去に見せた技に、何の対策もしないでのこのこやってくるとでも思ったかッ!」』
あっさりと分身を攻略したレイデュエスが吐き捨てた。
『「な、何いまの……! すごい威力……!」』
襲い掛かってきた衝撃に悶えながら、結衣がつぶやいた。今のベムストラの一撃は、威力だけならダークオーヴァーゼットンの暗黒火球にも迫る恐ろしいものであった。
そのことに対してレイデュエスが自慢するように語る。
『「カプセル同士には相性がある。怪獣同士の波長がガッチリと噛み合った時、生まれる融合獣はオリジナルを超越した能力を得るッ! 俺は日夜その組み合わせを研究している! 比企谷八幡、テメェを地獄に叩き落とすためになぁッ!!」』
「ギギャアァァァ――――――!」
ふらついているジードにジャンボキングが迫り、その巨体で押し飛ばす。
「グワッ!」
「ギィ――――イ! ギャアアオウ!」
その先で待ち構えていたベムストラに捕まり、激しく殴り飛ばされた。
「ウワァッ!」
「ギギャアァァァ――――――!」
「ギィ――――イ! ギャアアオウ!」
更にジャンボキングの火炎放射とベムストラのペイルサイクロンが同時に放たれ、ジードは灼熱地獄に見舞われる。カラータイマーが鳴り出す窮地!
「ウワアァァ―――――――ッ!!」
『「ぐッ、ぐぅぅぅぅ……!」』
八幡と結衣も、ジードに護られていなければ心肺まで焼かれそうな業火に苛まれて苦痛にあえぐ。それに傲然と言い放つレイデュエス。
『「思い知ったかッ! 新たな力を得続けてるのはテメェらだけじゃねぇ。テメェらをこの世から消し去り、宇宙の覇者にのし上がるために俺も強くなり続けているッ! この俺の力の前に消し飛べッ! テメェらは地獄以外の、どこにも行き着くことは出来ねぇぞッ!!」』
怨念を込めて宣言するレイデュエス。――だが、それに結衣が熱に苦しみながらも言い返した。
『「そんなことは……ないっ!」』
『「由比ヶ浜……!」』
結衣の顔に目を向ける八幡。結衣は苦痛に耐えながら言葉を紡ぐ。
『「あたしは……あたしたちは、こんなとこで終わらないっ! 本物が何なのか、それすら見つけてないんだからっ! あんたなんか乗り越えて、その先に進むんだっ! 絶対……絶対っ!!」』
汗だくになり、息も絶え絶えになりながらも、瞳に宿した力強さは消えない結衣の姿に――八幡も、目つきが変わった。
「ハァァッ!」
そしてジードから念動力が発せられ、彼を覆っていた業火が消し飛ばされる。
「!!」
身構えるベムストラとジャンボキング。その二体を見据えて、八幡は堂々たる立ち姿で口を開く。
『「へッ……何て言うか、吹っ切れたぜ」』
『「ヒッキー……」』
纏う雰囲気が変わり、どこか輝いている八幡の様子に、結衣がほれぼれと振り向く。
『「由比ヶ浜がここまで言ったんだ。俺だって、ここでやってみせねぇとなッ! つぅ訳で……」』
新しくカプセルを二つ選んで取り出し、結衣とともに構える。
『「覚悟しろよ怪獣マニア! ユーゴーッ!」』
『デヤッ!』
八幡がスイッチを入れると、カプセルからウルトラマンダイナのビジョンが現れ、腕を振り上げた。
『「アイゴーっ!」』
『タァッ!』
結衣のカプセルからはコスモスのビジョンが現れる。
『「ヒアウィーゴーッ!!」』
二つのカプセルを装填して、ライザーでスキャン!
[フュージョンライズ!]
『「ジィィィ―――――――ドッ!」』
ダイナとコスモスのビジョンが八幡たちと重なり、ジードの姿が変わる!
[ウルトラマンダイナ! ウルトラマンコスモス!]
[ウルトラマンジード! マイティトレッカー!!]
「シュアッ!」
淡い緑色の光と花のような柔らかな輝きの中から、新たなジードが飛び出していく!
そして立ち上がったのは、青と赤と金色のボディアーマーのような装甲に覆われた、スタイリッシュな出で立ちの戦士。ダイナとコスモス、まだ誰も見ぬ未来に向かって進み続ける戦士たちのスピリットを宿したマイティトレッカーである!
『「どこまでも進んでやる……! 進むぜ! 彼方!!」』
(♪Touch the Fire)
八幡が力強く言い切ると、ジードが地を蹴って走り出した!
「トアッ!」
瞬時にジャンボキングとベムストラの間に飛び込む。二体はジードの動きを目で追えずに反応が遅れた。
『「速いッ!」』
「ハァッ!」
慌てて振り返るベムストラだが、ジードの肘撃ちが体幹に入って後ずさる。
「ギィ――――イ! ギャアアオウ!」
「ギギャアァァァ――――――!」
ジャンボキングが目から怪光線を撃つも、ジードは易々かわしながら肉薄。その身体を鷲掴みにする。
「オオオオオ……トアァッ!」
「ギギャアァァァ――――――!」
両腕に力がこもると、ジャンボキングの巨体が地面から離れて投げ飛ばされた!
『「パワーもあるだと!? いや……!」』
驚愕したレイデュエスが、マイティトレッカーの能力を分析。
『「状況に合わせて、能力バランスをコントロールしてやがるのかッ!」』
それがマイティトレッカーの特殊能力。タイプチェンジ能力を持つウルトラ戦士同士の力を反映し、自らの能力バランスを自在に操作できるマルチアクションが扱えるのだ。その代わりに制御が困難であるため今まで使ってこなかったのだが……。
『「どんなことにだって、ぶつかっていってやるぜッ!」』
八幡は見事に制御に成功し、的確に二体に打撃を入れていく。
「ギィ――――イ! ギャアアオウ!」
「ギギャアァァァ――――――!」
どうにか反撃を試みるベムストラとジャンボキングだが、既に連携は崩れ去ってジードに翻弄されっぱなしであった。
「トアァッ!」
「ギィ――――イ!」
ジードの中段蹴りが入って、ベムストラが大きく蹴り飛ばされる。この隙にジャンボキングに向き直るジード。
「オオオオオ……!」
両腕を丹田から外回りに回していくと、胸の前に炎のエネルギーが集まっていく。そしてその炎を、波状にしてジャンボキングに繰り出す!
「「『フレイムコンプレッションウェーブ!!!」」』
「ギギャアァァァ――――――!」
炎の光線がジャンボキングに命中すると、その背後にマイクロブラックホールが発生。ジャンボキングは超圧縮されながら吸い込まれ、粉砕されていった。
『「じ、ジャンボキング!!」』
焦りながら立ち上がるベムストラ。しかしジードはそちらにもとどめの一撃を放つ。
「「『フレイムエクスプロージョンバスター!!!」」』
立てた右腕に左手を添えて発射された灼熱の光線が、ベムストラに突き刺さる!
「ギィ――――イ!! ギャアアオウ!!」
たちまち赤熱化したバーニング・ベムストラが大爆散! 跡形もなく消滅する。
「シュアッ!」
逆境を乗り越えて勝利を収めたジードは、高々と飛び上がって戦場から去っていったのだった。
「……ぐぅッ!」
爆散したベムストラから弾き飛ばされたレイデュエスは、したたかに地面に叩きつけられて転がる。
「ぐぅぅ……こんなもんじゃ済まねぇからな……!!」
オガレスとルドレイが慌てて走ってくる中、辛酸をなめさせられたレイデュエスがより深く憎悪をかき立てた。
× × ×
変身を解いて元の場所に戻ってきた八幡は、結衣やジードたちに向かってこう告げた。
「何かひと暴れしたらすっきりしたな。うじうじ悩んでたのが嘘みたいな気分だ」
『八幡、じゃあ……!』
言いかけたジードに聞き返す八幡。
「ジード、ペガ、お前ら言ったよな? 俺の泥被ってほしくないって」
『うん、言ったけど……』
「……お前らの頼みとあったら聞かない訳にはいかないよな。分かった、俺のでも雪ノ下のでもない、第三の解決方法を探そうじゃないか。きっと何かいいやり方があるはずだ」
自分自身に苦笑しながらそう宣言した八幡に、ジードとペガは一気に声を弾ませる。
『本当!? よかったぁ!』
『もう、素直にやる気になったって言えばいいのに。このひねくれものさんめぇ』
「ははッ……足踏みしてたって、あの野郎がお構いなしに襲ってくるんだ。臆さずに進んでかなきゃ、後悔するよな。俺だって死にたくはないんだ」
冗談めかしながらジードたちと話し合っている八幡の背中に、結衣が呼び掛ける。
「ヒッキー! さっきあたし、言いたいことがあるって言ったよね……!」
「ん、どうした? そういえば言ってたが……」
振り返った八幡は、結衣のいつになく真剣な様子に、無意識に息を呑んだ。
結衣は覚悟を決めながら、言葉を発していく。
「今言うべきなのか、色々考えて悩んだし……ヒッキーも、こんな時に迷惑かもしれないけど……それでも、言わずにいるのはもうやめにしたの! 後悔するかもしれないから――ジーッとしてても、ドーにもならないからっ……!」
そう唱えて、すぅっと息を吸い込む結衣。
その時に、雪乃が二人を捜してこの場に顔を覗かせた。
「二人とも、こんなところにいたのね。大分苦戦していたみたいだから、ライハさんも心配を……」
しかし結衣は背後の雪乃に気づかないままに、はっきりと言った。
「あたしね――ヒッキーが好きなの」
「――っ」
八幡と、雪乃は、言葉をなくした。
この一瞬だけ、この場の時間は止まったかのように思われた。
『ウルトラストーリーナビ!』
八幡「……今回は『ウルトラマンダイナ』第三十九話「青春の光と影」だ」
八幡「街にいきなり怪獣ダイゲルンが現れる。応戦するスーパーGUTSだがガンマ号が捕まってしまう。そのピンチを救ったのは黒いガッツウィング。それを駆っていたのは、アスカが訓練生時代にスーパーGUTS隊員の座を争ってたフドウ・タケルの弟のケンジだった。特殊部隊ブラックバスターとなったケンジは、ガンマ号にためらって撃てなかったアスカをスーパーGUTS隊員に相応しくないと糾弾する。アスカもタケルの死を聞かされて、自分が光に選ばれる人間だったかと迷いを抱く。そんな状況で発生した事件に、アスカとケンジが出撃することになって……という話だ」
八幡「ウルトラマンに変身することになった主人公が、自分の存在に迷いを抱いて答えを探すエピソードの一つだな。更にそこに、他に自分の存在意義に迷う男たちが関わることで、ドラマはより複雑で奥が深いものになってる」
八幡「果たして自分が本当にダイナになるべき人間だったのか、そう悩むアスカがどんな答えを出したのかは、是非実際に観て確認してほしい」
ジード『この話はエボリュウ細胞関連のエピソードと「激闘!怪獣島」が関わってるから、先にそっちを観た方が話が理解しやすいよ』
八幡「それじゃ、また次回でな」
八幡「……」
いろは「先輩? せんぱーい」
八幡「え? あぁ……」
いろは「あぁ……じゃないですよ。先輩がわざわざ用があるって言うから、お昼休みなのにつき合ってるんですよ。ぼんやりしないで下さいよ」
八幡「あぁ、悪い……。まぁちょっと色々あってな」
いろは「しっかりして下さいよ~。そんな調子じゃこっちが心配になるじゃないですか。依頼の方、大丈夫なのかなって」
八幡「だから悪いっての。それより本題なんだがな……お前、本当に選挙で負けて終わりでいいのか?」
いろは「へ? それってどういう……」
八幡「つまりだな……お前を勝手に推薦した奴らに、やり返してやりたくならないかってことだ」