やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。 作:焼き鮭
円盤から放たれたレーザーが地面を穿ち、その度に星雲荘が激しい震動に襲われる。
「うわあああぁぁぁぁぁぁ―――――――――ッ!?」
皆が倒れないように踏みとどまったり近くのものに掴まったりする中、一番取り乱した材木座はバッとテーブルの下に隠れ、ガタガタ震えながら八幡を見上げた。
「は、八まぁぁんッ! 何とかしてくれぇぇぇぇぇッ! ウルトラマンジードなんだろう!?」
『おい落ち着け! 今はお前もウルトラマンだ! まだ変身もしてねぇけど!』
「そ、そう言われてもぉぉぉ!」
怯え切っている材木座とは対照的に、レムは冷静に事実のみを八幡に伝える。
[このままでは、約2分後に攻撃が星雲荘に直撃します。AIBの到着は間に合いません]
「直接ここを狙ってくるとはな……俺たち全員集まるのを待ってたのか……」
モニターに映し出される円盤をにらんで舌打ちした八幡に、ジードが問いかける。
『八幡、フュージョンライズするかい?』
しかし八幡は少し考えてから首を振った。
「いや、町はなるべく巻き込みたくない。最近被害に遭いっぱなしだしな」
『それもそうだ』
「だから出来るだけ奴らを人のいないとこに引きつけよう。出来るか、レム?」
[もちろんです]
八幡の提案に絶叫を上げたのは材木座。
「えええぇぇぇぇぇ―――――――――!? それって、わざわざ敵の前に出てくつもりぃぃぃ!? そんな危ないことしないでよぉぉぉぉ!」
ぎゃあぎゃあ喚く材木座をゼロが一喝した。
『うるせぇぞ義輝! これも人命を守るためだ! 腹ぁくくりなッ!』
「そんなぁぁぁぁ!?」
「みっともないよ中二! 今からそんなんじゃ、この先やってけないし!」
ゼロだけでなく結衣にも叱られてしまった。
一方でレムは円盤からの攻撃の合間を狙って、星雲荘そのものを地中から脱出させ始めた。
[星雲荘、宇宙船モードに移行します]
ワープ機能を使って直接地上へと浮上する星雲荘。モニター表示越しにその外観が、八幡たちの目に初めて明らかとなる。
「うわぁ~! ほんとに宇宙船なんだね、星雲荘って!」
正面から見ると三つの角を持った星型多角形状で、後部には巨大な球体が埋め込まれている細長い船体が空中に浮かんでいる。この星雲荘の真の姿についてレムが語る。
[宇宙船としての名称は、ネオ・ブリタニア号です]
ネオ・ブリタニア号は円盤からの攻撃を逃れ、かつ町から遠ざけるために、山岳地帯へ向かって発進し出した。
× × ×
逃げるネオ・ブリタニア号を追いかけながらレーザーを連射する円盤。しかしブリタニア号は巧みに左右に移動し攻撃をかわし続ける。
『くそぅ、意外にすばしっこい!』
円盤の内部では、操縦しているオガレスがいら立って毒づいていた。ルドレイはブリタニア号の進行コースを計算してレイデュエスに報告する。
『殿下、奴らは無人の地域に逃げ込もうとしているようです』
「そこなら思いっきり戦えるっていう算段か? だが思い通りにはさせんッ!」
悪しき笑いを浮かべたレイデュエスはバトルナイザーを掲げ、ジャンボキングに続く第二の怪獣を解き放つ。
「タイラント! お前のショウタイムだぁッ!」
[バトルナイザー、モンスロード!]
× × ×
円盤から飛び出した長方形の光が実体化し、巨大怪獣となって地上に現れた!
「キイイイイィィィィッ!」
首から尻尾に至るまで、全身のパーツが不揃いであるつぎはぎ染みた怪獣。様々な怪獣の最も強い部分をつなぎ合わせて誕生した大怪獣タイラントだ!
「キイイイイィィィィッ!」
タイラントは左腕の鉄球からフックつきロープを飛ばし、そのフックがブリタニア号の船体後部に引っ掛かった。
「うわあぁぁッ!」
タイラントによって逃避行を力ずくで止められ、その際の衝撃で八幡たちは再び叫び声を発した。
タイラントは右腕の鎌でロープを引き寄せ、ブリタニア号を引っ張る。
[タイラントに引き寄せられています。大変危険な状況です]
ブリタニア号の出力よりもタイラントのパワーの方が上回っている。更に円盤も追いかけてきていて、このままでは袋叩きにされる。
八幡もいよいよ覚悟を決めた。
「やるしかねぇか……! ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」
「ヒッキー、あたしも! 自分の身は自分で守るし!」
八幡がジードライザーを構えると、結衣が名乗り出る。八幡も、もうそれを止めたりはしなかった。
「あっ……」
その時に雪乃が手を伸ばしかけたのだが、声も小さかったこともあり、モニターの中のタイラントに食い入っている八幡たちは彼女の動きには気づかなかった。
ただ、ライハは雪乃の行動に目を向けていた。
「ユーゴーッ!」『シェアッ!』
「アイゴーっ!」『フエアッ!』
「ヒアウィーゴーッ!!」
雪乃に振り返ることなく、八幡と結衣はフュージョンライズしていく。
[ウルトラマン! ウルトラマンベリアル!]
[ウルトラマンジード! プリミティブ!!]
光となってブリタニア号から飛び出していったジードは、実体化するとともにブリタニア号を捕らえるタイラントの首筋に膝を入れた。
「ハァッ!」
「キイイイイィィィィッ!」
首に鋭い一撃をもらったタイラントが蹴り倒され、フックが外れてブリタニア号は解放された。
「キイイイイィィィィッ!」
タイラントはすぐに起き上がってフックをジードの方に向かって発射したが、ジードはかわしながらタイラントに飛びかかっていく。
「ショアッ!」
「キイイイイィィィィッ!」
鉄球と鎌の両手を振り回すタイラントの攻撃をかいくぐりながら、ジードが格闘戦を開始した。
× × ×
円盤からは、もちろんレイデュエスがその様子を見やっている。
「出てきたな比企谷。ウルトラマンゼロはまだか」
レイデュエスはブリタニア号の様子も見比べながらつぶやく。
「だったらあぶり出してやる。イッツ!」『ギアァッ! ギギギィッ!』
そして怪獣カプセルを取り出してスイッチを入れ始めた!
「マイ!」『ピポポポポポ……』
「ショウタイム!!」
[フュージョンライズ!]
魔人態に変化したレイデュエスが、二つのカプセルから現れた怪獣たちのビジョンを吸い込んで融合獣へと変身していく!
[ベムスター! ゼットン!]
[レイデュエス! ベムゼード!!]
胴体と発光体は宇宙恐竜ゼットン、首は宇宙大怪獣ベムスター状、そして両腕の先がベムスターの腹部の吸引機構が備わっている異形の融合獣ベムゼードとなって戦いの場に現れる!
× × ×
「いっけぇー! そこだぁッ!」
ブリタニア号ではペガがタイラントと戦うジードを熱心に応援していたが、そこにベムゼードが現れてジードは二体に挟まれる形となった。
「あッ、レイデュエスだ!」
『キイイイイィィィィッ!』
『ピポポポポポ……ギギギィッ!』
それを目にしたゼロは、材木座に呼びかける。
『義輝、ちょっと身体借りるぜ』
「へ?」
一瞬気の抜けた声を出した材木座の右腕が本人の意思を無視して動き、ゼロの変身アイテムであるウルトラゼロアイNEOを懐から引っ張り出した。
「へ? へ?」
そして材木座本人が戸惑っている間に、左手が眼鏡を取り外して、その顔の上にゼロアイが装着され、右目のレンズの上のスイッチが指で押された。
「のほあぁぁぁぁぁぁッ!?」
間抜けな声を上げる材木座の全身が青と赤の光に囲まれ、頭部から下るようにその肉体がウルトラマンゼロのものに変化していく!
「シャッ!」
変身を遂げたゼロがブリタニア号から飛び出しながら巨大化していき、二大怪獣に挟まれるジードの元へと颯爽と着地した!
『俺はゼロ! ウルトラマンゼロだ!』
名乗り口上を上げたゼロに、ベムゼードが振り向いた。
『「現れたな……!」』
その内部でレイデュエスがニヤリと嗤い、タイラントに命令を飛ばす。
『「お前はジードをやれ」』
「キイイイイィィィィッ!」
迷いなくゼロの方へと向かっていくベムゼードの姿に目を留めるジード。
『「材木座たちが狙いか!」』
『そうはさせないぞ!』
ベムゼードの背に飛びかかろうとするジードであったが、その背後からタイラントが鉄球で殴打してくる。
「キイイイイィィィィッ!」
「ウッ!」
ジードがタイラントに足止めされている間にベムゼードがゼロに近づいていく。それを迎え撃とうと構えるゼロ。
『よぉし、行くぜぇッ!』
勢いよく前に踏み出し、ベムゼードの首筋を狙ってチョップを繰り出すが……ベムゼードに軽くいなされた。
(♪ウルトラマンゼロ‐ピンチ)
「ギアァッ! ピポポポポポ……」
『うおッ!?』
ベムゼードの突き出した三本爪の腕がゼロに襲い掛かり、ゼロはあっさりと押し返された。パンチ、キックを見舞って懸命に反撃するも、ベムゼードの身体はびくともしない。
瞬く間に劣勢に置かれるゼロの状況に、ブリタニア号でペガが動揺していた。
「ゼロの様子が変だよ! あんなにパワーがないなんて!」
今のゼロの戦いぶりは、先日の戦いと比較すればありえないほどに弱々しいものであった。それはゼロの戦闘を幾度も目にしているペガやライハからすれば一目瞭然である。
ライハはその理由にすぐに思い至って、顔を大きくしかめた。
「やっぱり、こんなことに……!」
ゼロ当人も、己と立ち位置を変えた材木座に対して厳しめに呼びかける。
『義輝! もっとしっかりしろ! お前がそんなビビッてちゃ、俺は力が出せねぇんだ!』
ゼロに変身してもなお、材木座は敵に怯えて震えてばかりなのだ。彼と命を共有した以上、ゼロは否が応でも材木座の影響を受けてしまう。かつてジードが八幡のために満足なフュージョンライズが出来なくなったように……いや、それ以上に深刻な状態に陥っていた。
『「そ、そう言われても……うひぃ!?」』
どうにか勇気を振り絞ろうとする材木座であるが、ベムゼードの顔を視界に収めると、その威容に恐怖を覚えてすぐに目を離し、頭を抱えてしまう。
『「い、嫌だぁ! 死にたくないよぉ!」』
『くッ……!』
材木座の勇気を呼び起こすことが出来ず、流石のゼロも苦しむ。
一方でレイデュエスは今のゼロの状態にほくそ笑んでいた。
『「思った通り……奴らはまるで息が合ってない。今の内に、確実に息の根を止めてやるッ!」』
ベムゼードの攻撃の手が更に激しくなる。ゼロの身体は少しずつ爪に切り裂かれて傷にまみれていく。
『くっそ、このまんまじゃ……イチかバチかだッ!』
このままでは追いつめられるばかりと判断したゼロは、少ないエネルギーを一点に集中させて左腕を横にまっすぐ伸ばした。
『ワイドゼロショット!』
両腕をL字に組んで、起死回生の一手、ワイドゼロショットを繰り出した!
「ピポポポポポポ……ギギギィッ!」
だが光線は、ベムゼードの伸ばした左手の中央の吸引機構に全て吸い込まれていく!
『何ッ! 腕で!?』
ベムゼードが伸ばす腕を変えると、右手の口から呑み込んだエネルギーを灼熱の火炎に変換して放出した!
「ギアァッ! ピポポポポポ……」
『ぐああぁぁぁぁッ!』
自らの力をはね返されて食らったゼロの身体が焼かれる。
更にベムゼードは巨大な火球、トリリオンインフェルノを作り出して、ゼロへと発射した!
『うおあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
痛恨の一撃を食らったゼロが吹っ飛ばされ、背中から倒れる。その胸のカラータイマーが赤く点滅して危険を報せた。
ゼロが倒れたことに結衣たちは大きく焦る。
『「ヒッキー、中二たちが危ないよ! あたしたちで助けなきゃ!」』
『「それは分かってんだが……こいつがなかなか手強い……!」』
「キイイイイィィィィッ!」
ジードはタイラントに抑えられていてゼロの救援に回ることが出来なかった。ジードクローで応戦しているものの、鎌に弾かれて本体に刃を通せない。
その間にレイデュエスはゼロにとどめを刺そうとする!
『「こいつで消し飛べぇッ!」』
再びトリリオンインフェルノを放つベムゼードだが、ゼロはすんでのところで飛び起きて火球をギリギリ回避した。
『おおおぉぉッ!』
そして鬨の声を上げながらゼロスラッガーを両手に、ベムゼードに斬りかかる。だがスラッガーは爪に止められる。
「ギイッ! ギアァッ! ピポポポポポ……」
ベムゼードの拳がゼロを激しく殴り倒す。が、ゼロは地に伏せられる度に立ち上がってベムゼードに挑んでいく。
『「ちッ、しぶとい……!」』
カラータイマーが点滅しているのに何度も起き上がるゼロに、レイデュエスもいら立ちを覚え出した。
材木座は、どれだけ傷つけられようともあきらめようとしないゼロに、呆然としながらも問いかけた。
『「ど、どうしてそこまでして……死んでしまうぞ……!?」』
『俺は死なねぇよ……!』
満身創痍になりながら、ゼロははっきりと否定した。
『今の俺が死んじまったら、お前も死んじまうからな、義輝……!』
『「えッ……我のために……!?」』
ゼロの言葉に、驚きで一瞬言葉をなくす材木座。
そこにゼロは続けて告げる。
『それに逃げたりもしねぇ。後ろを見てみな……!』
言われたとおりに振り返ると、背後には自分たちの暮らす町が広がっている。
『あそこにゃ大勢の人たちが生きてる。俺たちが倒れたら、あの人たちが死んでしまうんだ……! それを思えば、戦いをあきらめることなんか出来ねぇのさ……!』
ゼロの語ることと、町の光景に、材木座は己に数え切れない命の運命が懸かっていることを、初めて実感した。
そして正面に向き直ると――その目に、ゼロの大きな背中が、強いイメージとなって飛び込んできた。
『義輝……怖いのは当たり前のことだ』
ゼロの優しくも力強い言葉が、材木座に浸透する。
『だから、お前が背にしてるものが何かを感じ取って、ひたすら前に進め。それだけでいい。後は俺がフォローしてやるからよ……お前はただ、突き進めッ!』
ゼロの言葉を受けて、材木座は――震えが止まった。
『「……そうだ、我は剣豪将軍! 将軍に後退の二文字はないのだぁぁぁ―――ッ!」』
己が自身に課した称号を頼りに、材木座は自分を奮い立たせた!
そこにベムゼードが火炎攻撃を飛ばしてくる!
『「うおおおおおおッ! お前なんか怖かねぇぇぇぇぇッ!!」』
だがゼロは、材木座の雄叫びとともにスラッガーで火炎を切り払った!
『「何ッ!?」』
突然ゼロの動きが鋭くなったことに動じるベムゼード。その一方でゼロは材木座を褒めたたえる。
『上出来だ義輝! そんじゃあこいつを使いなッ!』
材木座の前に出てきたのは、八幡の持っているものと同じライザーと装填ナックルにウルトラカプセルが二本。しかし通常のカプセルとは違い、二人のウルトラ戦士が向い合わせに描かれている。
『「これは、八幡の使ってるのと同じ……!」』
『ああ! そいつがお前の勇気を、力に変えてくれるんだ! やってみなッ!』
『「任されよう!」』
勢いに乗った材木座は、ライザーを手に掴み取ってゼロアイを正面に重ねた!
そしてカプセルを一つずつ起動していく。
『ギンガ! オーブ!』
『ショオラッ!』『デュアッ!』
ニュージェネレーションカプセル・αを起動すると、絵柄の二人の戦士、ウルトラマンギンガとウルトラマンオーブオリジンのビジョンが現れた。
『ビクトリー! エックス!』
『テアッ!』『イィィィーッ! サ―――ッ!』
ニュージェネレーションカプセル・βからはウルトラマンビクトリーとウルトラマンエックスのビジョンが現れて、二つのカプセルがナックルに装填される。
その二つを、ゼロアイがコネクトされたライザーでスキャンする。
[ネオ・フュージョンライズ!]
『俺に限界はねぇッ!』
材木座の叫びがゼロのものとなり、顔の前でライザーのスイッチを握り込んでゼロアイによる変身をパワーアップさせた!
『はぁッ!』
材木座から変じたゼロの身体に、四人のニュージェネレーションウルトラマンが重なっていく!
[ニュージェネレーションカプセル・α! β!]
[ウルトラマンゼロビヨンド!!]
「ハァァッ!」
光の飛沫と軌道とともに、バージョンアップした姿となったゼロが飛び出していく!
「あ、あれは……!」
雪乃は全く新しい姿となったウルトラマンゼロに目を見張る。ペガの方は、興奮した口調でまくし立てた。
「来たぁーッ! ウルトラマンゼロビヨンドだぁ!」
全身銀色で、頭部のスラッガーが倍の四本となった姿……通常のフュージョンライズの倍となる四人のウルトラ戦士のパワーを取り込み、ゼロのポテンシャルを純粋に強化したネオ・フュージョンライズを遂げた形態、『ゼロを超えたゼロ』を意味するゼロビヨンドである!
(♪ウルトラマンゼロ ビヨンド)
『俺はゼロ……ウルトラマンゼロビヨンドだ!』
ゼロビヨンドはルナミラクルゼロ時のような落ち着いた声音で、堂々とベムゼード相手に構え直した。
「ギアァッ! ピポポポポポ……」
ゼロビヨンドにベムゼードが猛然と突進し爪を振るうが、ゼロはそれを難なく受け止める。
「ハァァァァァァァッ!」
そして腕が何百本も増えたかに見える高速パンチでベムゼードを滅多打ちにする。それまでの苦戦が嘘のようにベムゼードを押し込む!
『「うがぁッ!? おのれ……!」』
殴り返されたレイデュエスが、猛打の前に流石に顔を歪ませた。
「キイイイイィィィィッ!」
己の主が叩きのめされたことにタイラントが動揺。その隙にジードが形成を立て直す。
『今だッ!』
『「おうよ!」』
八幡と結衣はカプセルを交換し、フュージョンライズする。
[ウルトラマンダイナ! ウルトラマンコスモス!]
[ウルトラマンジード! マイティトレッカー!!]
『「進むぜ! 彼方!!」』
変身を遂げたジードが高速でタイラントの懐に潜り込み、顎に強烈なアッパーを見舞った。
「キイイイイィィィィッ!」
のけ反って後ずさるタイラントだが、口から爆炎を吐き出して反撃。だがジードはジードクローを回転させて火炎を迎え撃つ。
「「『コークスクリュージャミング!!!」」』
回転するクローが爆炎を吹き飛ばした! そしてジードが勝負を決める反撃を仕掛ける。
「「『フレイムコンプレッションウェーブ!!!」」』
炎の光線がタイラントに命中し、タイラントはマイクロブラックホールに吸い込まれて粉砕された。
ジードが遂にタイラントを仕留めた一方で、ゼロはベムゼードへと頭部から四枚のスラッガーを同時に放つ。
『クワトロスラッガー!』
宙を切り裂きながら向かってくるスラッガーをどうにか弾くベムゼード。そこにゼロは強化されたワイドゼロショットを繰り出した。
『ワイドビヨンドショット!』
しかしベムゼードは左手で再び光線を呑み込んでいく。
『「馬鹿め! ベムゼードに光線は効かんわぁッ!」』
と豪語するレイデュエスだが、先ほど投擲されたスラッガーがベムゼードの背後から回り込んでベムゼードの腕に迫る。
そうしてベムゼードの両手首が、ばっさりと切り落とされた!
『「がぁぁッ!? しまったぁぁ!?」』
エネルギーの放出先がなくなったことで、吸い込まれた光線がベムゼード体内で暴発。ベムゼードは体内から焼かれて全身から煙を噴き出す。これがゼロの狙いだったのだ。
ゼロもいよいよベムゼードにとどめとなる一撃を撃ち込む準備をする。
『これで決める……!』
ゼロが両腕を下から持ち上げていくと、己の身体の横に八つの光球が円を成して並んだ。そこから、凄まじい破壊光線が一気に発射される!
『バルキーコーラス!』
ベムゼードは咄嗟にトリリオンインフェルノを放ったが、バルキーコーラスは火球を貫いてベムゼードに直撃。ベムゼードは全身真っ赤に熱せられて派手に砕け散ったのであった。
「やったぁぁぁぁぁぁッ!!」
ジードとゼロが見事レイデュエスの目論見を粉砕したことにペガたちが喜ぶ。円盤は敗戦によって瞬く間に空の彼方へと逃亡していった。
『「やった……!」』
材木座は、自分の力によって怪獣を倒したという事実を、感極まった様子で噛み締めていた。そんな彼に、ゼロが最後に呼びかけた。
『いい気合いの入りっぷりだったぜ。これからもよろしくな、義輝』
それに材木座は、純粋に嬉しさに溢れた笑顔でうなずき返した。
これが、一人の冴えない少年が流星の戦士と交わした硬い誓いとなったのである。
――爆破されたベムゼードから抜け出して元の姿に戻ったレイデュエスは、空のカプセルを掲げてタイラントの残留エネルギーをその中にかき集めた。
「タイラント……お前の犠牲は無駄じゃない。お前の力は、この俺が最大限に引き出して使ってやるぞ……!」
カプセルの表面に浮かび上がったタイラントの絵柄に、レイデュエスはそう告げて邪悪な笑みを顔に張りつけた。
× × ×
こうして材木座はウルトラマンゼロとしてのデビュー戦を華々しく飾った。そして今は、
『だぁかぁらぁ言ってんだろ義輝! お前の書く小説には筋ってもんが通ってねぇんだ! それに意味なく女を出そうとすんのはやめろ! 話がとっちらかって焦点がぼやけちまうだろうが!』
「ぬふぅ……だが、今時は萌え要素がないと売れぬというし……」
『そういう周りの目に流されるから筋がねぇんだよ! 要するに、お前の作品にゃ読む奴の心に訴えかける熱さがねぇんだ! そうだ、俺が一つ心を揺さぶる出来事の例を教えてやる。あれは俺が仲間たちと一緒に生き物の抹殺を図る人工天球に挑んだ時のこと、その天球が冷酷な殺し屋ロボットを作り出したんだが……』
元の場所に戻った星雲荘で、材木座が執筆した小説に、ゼロが駄目出しをしまくっていた。その様子を遠巻きにながめながら、結衣が八幡に呼びかけた。
「何だか中二とゼロろん、すっかり仲良くなった感じだね」
「ゼロろんって何だよ間抜けた感じだな。材木座の奴、ゼロに思いっきり褒められたのが嬉しかったんだってよ。他人に褒められたのなんか初めてだったみてぇだし。で、ひと晩経って打ち解けたみたいだ」
結衣の呼び方にひと言ツッコミを入れてから八幡が解説した。
「全く、材木座の奴も単純だよな」
「まぁ、ひねくれてるよりかはマシじゃない? そういうのとってもめんどくさいって実例がもうあるし」
「おい、それもしかしなくたって俺のことだよな」
「もしかしなくたってそうだよ? 他にいたら教えてほしいんだけど!」
「くそッ……こいつ相手に反論が出来ないのがこんなにも悔しいとは……」
「あーっ!? 今馬鹿にしたでしょぉ! ねぇねぇ! あたし馬鹿だって思ってるの!?」
「自覚がない方が俺よりもめんどくさいんじゃねぇかなぁ」
「何だってー!?」
八幡相手にからかい、からかわれながらもどこか楽しそうに会話している結衣の様子を、雪乃がどことなく暗い様子で見つめていた。
「……」
その彼女のことを、ライハがじっと観察していた。
『ウルトラストーリーナビ!』
材木座「フゥーハハハ! 今回は『ウルトラマンゼロ外伝 キラーザビートスター』STAGEⅡ「流星の誓い」であるッ!」
材木座「ウルティメイトフォースゼロは前回ビートスターが送り込んできた刺客、ジャンキラーのすさまじい性能の前に追いつめられていた! しかも天球ビートスターは、人間が大勢いるリゾート惑星に衝突するコースを進んでいる! 時間がない中、必死でジャンキラー相手に奮闘するゼロであるが、そこに洗脳から解かれたジャンボットがゼロにあることを告げる! タイムリミットが迫る状況で、ゼロたちはビートスターの人類抹殺の目論見を阻止できるのか! そしてビートスターに隠された真実とは!?」
材木座「これは前回の「鋼鉄の宇宙」から続く『キラーザビートスター』の下巻だな! 遂に大量の天球ロボット軍団を率いて全有機生命体の抹殺を狙うビートスターとの決着、そしてウルティメイトフォース五番目の戦士、ジャンナイン誕生の経緯が描かれるぞ!」
材木座「ビートスターの着ぐるみは、『ウルトラマンダイナ』の映画に登場したデスフェイサーを改造して作られている。全体的な輪郭に特徴的な胸元などがそのままなので、よく見ればそのことはすぐに分かるはずであろう」
ゼロ『新しく仲間になるジャンナインは『ジャンボーグA』に登場したロボット、ジャンボーグ9のリメイクキャラだぜ。だからAのリメイクであるジャンボットとは兄弟の関係って訳だ!』
材木座「では諸君! 次回の我々の活躍を楽しみにしてくれたまえッ!」
ジード『……あれ? 僕の台詞は……?』
八幡「材木座の奴は、一応は心配いらなくなったとしていいのかね……。あいつでも戦力になってくれるんなら、それでいいんだが」
小町「お兄ちゃん、何言ってんの?」
八幡「小町! あー……ちょっと材木座の奴に困らされてたんでな。分かるだろ?」
小町「中二さんかぁ。確かにお兄ちゃん、あの人に度々頭悩まされてたみたいだね。でも数少ない友達なんだし、ほんのちょっとは優しくしてあげてもいいんじゃない?」
小町「ねぇカー君、フッ君?」
カマクラ「ニャー」
ダイフク「モコ!」
八幡「……なぁ小町よ。本当にそいつ飼うつもりなのか? 本当に猫なのかそいつ?」
小町「それ以外に何があるのさー。お母さんだって許可してくれたし問題ないでしょ?」
八幡「ほんと、うちの親は小町には激甘だな……」
ジード&ペガ(あれってモコと同じ生き物だよね……)