やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。   作:焼き鮭

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雪ノ下雪乃は逃げない心を求める。(A)

 

 十二月中頃の千葉市――。

 

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

「ハァァッ!」

 

 乾いた風が吹きすさぶ冬の空を切り裂くようなすさまじい咆哮が轟き、ウルトラマンジード・アクロスマッシャーがジードクローを手にその雄叫びの主へと飛びかかっていく。

 ジードの前に立ちはだかるは、全身が黒みのかかったおどろおどろしい紫の体色を持つ、頭部に大小異なる二本角を二対生やした大怪獣。背には巨大な翼が広げられていて、途轍もない威圧感を放つ風貌と合わさってまるで悪魔と獣の合いの子のようである。

 合体怪獣タイラントの遺伝子に、更にゴモラの生体情報を組み込まれて作り出された、融合の極みとでも言うべき融合獣、ストロング・ゴモラントである。

 

「ハッ!」

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

 

 ジードがストロング・ゴモラントの首筋を狙ってクローの鋭い突きを繰り出すのだが、ゴモラントの鉤爪がガードした上にジードクローをはるか遠くまで弾き飛ばしてしまった。ジードは相手の反撃を警戒して一旦距離を開ける。

 

『「くそッ、防御かってぇな……要塞みてぇだぜ……!」』

『「それにすっごいパワー……! ちょっとやばいし……」』

 

 ジードにフュージョンライズしている八幡と結衣の二人は、ゴモラントの実力を前にして苦悶の表情を浮かべていた。ゴモラントはここまでジードの攻撃のことごとくをはねのけているのだ。

 

『「こいつは特別製だ! 比企谷八幡、今日こそお前らをひねり潰してやるッ!」』

 

 一方のストロング・ゴモラントにフュージョンライズしているレイデュエスは豪語しながら、ゴモラントの威容を見せつけるかのようにゆっくりと、だが確実にジードに迫ってくる。ジードは時間経過とエネルギーの消耗によってカラータイマーが点滅し出した。

 

『「タイムアップが近い……こうなりゃ一気に勝負に出るぞ!」』

『「うんっ!」』

 

 これ以上は戦いを長引かせられないとして、八幡と結衣はカプセルの交換を行う。

 

『「ユーゴーッ!」』『デヤッ!』

『「アイゴーっ!」』『タァッ!』

『「ヒアウィーゴーッ!!」』

 

 ダイナカプセルとコスモスカプセルが装填され、フュージョンライズ!

 

[ウルトラマンダイナ! ウルトラマンコスモス!]

[ウルトラマンジード! マイティトレッカー!!]

「シュアッ!」

 

 マイティトレッカーに変身したジードは、火炎のエネルギーをまっすぐにゴモラントにぶつける。

 

「「『フレイムコンプレッションウェーブ!!!」」』

 

 速射の火炎光線はゴモラントの中央に直撃し、その背後にマイクロブラックホールが開いてゴモラントの半身を吸い込んでいく。

 

『「決まったっ!」』

 

 必殺技が炸裂してぐっと手を握る結衣。

 だが!

 

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

 

 ゴモラントは頭部の角をビカビカ発光させると、恐ろしい剛力によってマイクロブラックホールをねじ切り、脱出したのであった!

 

『「嘘ぉっ!?」』

『「ち、力ずくで!?」』

 

 攻撃が決まりかけていたのに破られたことに結衣たちは驚きを禁じ得なかった。それだけではない。

 

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

 

 ゴモラントが再び角を光らせると、ジードの全身にいきなり上からものすごい圧力がのしかかり、勢いよく地面に押しつけられた!

 

『「きゃああっ!?」』

『「く、苦し……何だこれ……!?」』

『じ、重力攻撃だ……!』

 

 攻撃の正体を突き止めるジードだが、既に術中にはまってしまった。身体がどんどんと地面にめり込んでいき、ジードのパワーを以てしても立ち上がることが出来ない。

 しかも強力な重力波は超空間内の八幡と結衣にも降りかかり、身体を押さえつけられるためにカプセルの交換も出来ない! 万事休す!

 

『「く、くそ……このまんまじゃ……!」』

『「ハッハハハハハハッ! そのままミンチになりやがれぇッ!」』

 

 顔の傷に手をやりながら哄笑するレイデュエス。ジードの残り変身時間も少なく、まさに命の危機。

 だがその時、青と赤の輝きが立ち上ってジードにのしかかる重力波を断ち切った!

 

『「何ッ!」』

 

 ジードを救出しながら立ち上がったのは、ウルトラマンゼロだ!

 

『俺はゼロ! ウルトラマンゼロだ!!』

 

 見得を切りながら決め台詞を発するゼロ。今のジードには、とても心強い味方があったのである。

 ゼロはそのままジードに代わってゴモラントに挑もうと構えたが……ゴモラントはゼロを見据えると、不意に姿を透けさせて瞬く間に消え去ってしまった。

 

『! 逃げやがった……』

『「フゥーハハハァー! この剣豪将軍に恐れをなして、尻尾を巻いて逃げ出しおったなぁ! 何とも張り合いのない奴よッ!」』

 

 敵が戦うこともなく退散したことに、ゼロと一体化している材木座は呵々と高笑いを上げた。それに軽く肩をすくめるゼロ。

 

『こないだはあんなビビッてたのに、調子のいい奴だぜ……。ジード、立てるか?』

『あ、ありがとう……』

 

 それから這いつくばっていたジードに手を貸して立ち上がらせ、二人そろって退却していったのであった。

 

 

 

『雪ノ下雪乃は逃げない心を求める。』

 

 

 

 変身を解除した八幡たちは一旦星雲荘に帰投し、八幡と結衣はライハたちから手当てを受けた。

 

「はい、これでよし……と」

「悪いな、ペガ」

 

 ペガにすり傷を消毒して絆創膏を貼ってもらった八幡が礼を言う。一方で結衣の手当てをしたライハは、先ほどの戦いについての疑問を口にした。

 

「でも、どうしてレイデュエスはゼロが現れた途端に退却したのかしら」

「フッフッフッ……そんなことは決まっている! この剣豪将軍、材木座義輝に敗れたことがトラウマとなって、我と相対することが出来なかったのだ! そうだろう!?」

「いや、俺に言うなよ」

 

 材木座が八幡に向かって調子づいたことを唱えたが、

 

[あり得ません。長期戦にもつれ込んでカプセルがオーバーヒートするのを避けたのでしょう。次からは対策してくるはずです]

「がくぅッ!!」

「そうだぜ義輝。敵をなめるな。油断してたら足元すくわれるぞ」

 

 レムからあっさりと否定され、ゼロからもいさめられた。

 ゼロは次に八幡の方へ振り向き、ジードに呼びかける。

 

「しっかしジード、今回は危ないとこだったな。俺が応援に来ててよかっただろ」

『むッ!? そんなことはないよ。僕たちが底力を発揮してたら、あそこからでも逆転を……』

 

 軽くからかわれるように言われたジードが多少ムキになって言い返したが、ゼロにこう諭された。

 

「強がるんじゃねぇって。今は身体借りてる状態なんだろ? 八幡たちのためにも無理はすんなっての」

『そうだけど……』

 

 そのやり取りをながめた結衣が苦笑いした。

 

「ジードんが子供っぽいとこあるっていうの、ほんとなんだ……」

 

 小さく独白してから立ち上がろうとしたが……その瞬間によろめいて倒れそうになる。

 

「あっ……!」

「結衣!」

 

 ライハが咄嗟に彼女を受け止め、周りが一瞬どよめいた。

 

「だ、大丈夫? 由比ヶ浜さん……」

「う、うん……」

 

 おずおずと尋ねかけた雪乃にうなずく結衣だが、そこにレムが告げる。

 

[無理をしてはいけません。今回受けた攻撃は重力波。その負荷は、ユイ、あなたの身体にも強い影響を与えています。星雲荘の治療カプセルを用いても、無視は出来ません]

「れむれむ……」

[リクと融合しているハチマンはともかく、あなたは完全に回復するのには時間が掛かります。しばらくは激しい運動は厳禁です]

「分かった、ありがとう」

 

 忠告するレムに謝礼を述べる結衣。そんな彼女の様子に雪乃はほっと息を吐いてから踵を返して別室に向かおうとする。

 

「ゆきのん? どこ行くの?」

「……少し、一人にさせてちょうだい」

 

 結衣が呼び止めたが、雪乃はそうとだけ言って退室していった。その後ろ姿には、活気が見受けられない。

 

「雪ノ下……」

 

 八幡も雪乃の様子を案じて一瞬追いかけようとしたが、ペガに止められた。

 

「待った八幡。そろそろ一色さんと海浜高校に行く時間じゃない?」

「ああそうだった。あいつ待たせるとうるさいだろうからなぁ……」

「八幡よ、一色とは確か新しい生徒会長だったな。その子と海浜に何しに行くのだ」

 

 事情を知らない材木座が問いかけると、八幡は少し疲れたような顔になりながら答えた。

 

「まぁ、ちょっと依頼でな……」

 

 八幡の働きかけで新生徒会長になったいろはだが、彼女は就任早々奉仕部に依頼を持ち掛けてきた。何でも海浜総合高校というところと、合同のクリスマスイベントを行うことになったのだそうだが、企画会議が纏まらずに進行しないのだという。それでヘルプを求めてきたのだ。

 新生徒会がいきなり他者を頼るのはよろしくないが、そもそもいろはが会長になるように焚きつけたのは自分。その手前で断りづらい八幡はその話を受け、結衣も手助けしてくれているのだが……普段は奉仕部の活動に一番積極的な雪乃が、何故か消極的な態度を取っていた。「……二人に任せるわ」とだけ言って、関わろうとしない。この態度の変化に八幡たちは気を揉んではいるものの、彼女を励ます上手い方法が思いつかないので、手をこまねいている状態なのであった。

 ともかく、八幡はこれからいろはとともに海浜高校の生徒会との合同会議に出席しなければならない。

 

「由比ヶ浜、今日はお前は休んどけ。レムも言った通り、なるべく安静にしといた方がいいだろ」

「うん。じゃあお願いね、ヒッキー」

 

 八幡は結衣を星雲荘に残してエレベーターに乗っていった。

 それから、ライハは雪乃の去っていった扉に目を向けた。

 

 

 × × ×

 

 

「……」

 

 雪乃は別室で一人、椅子に腰を落としてうつむいていた。と、そこにライハが入ってくる。

 

「失礼するね」

「ライハさん……」

「雪乃、少し私とお話ししない? ちょっと聞きたいことがあるの」

 

 ライハは雪乃の向かい側に腰かけて、話を切り出した。

 

「雪乃、最近元気ないわね。正確には、一色さんが新しい生徒会長になってから。いや……」

 

 言葉を区切ったライハが、こう言い直す。

 

「八幡が一色さんを生徒会長にしてから、かしら」

 

 それにドキリと肩を震わせた雪乃は、少し考えてから、彼女に打ち明けた。

 

「ライハさん……私は、今の奉仕部……いえ、今の『比企谷くんを中心としたグループ』に必要なのでしょうか」

「……その心は?」

 

 ライハは目を細めてより真剣な面持ちとなり、雪乃の話に集中する。

 

「比企谷くんは、自分を犠牲とすることなく、新生徒会の問題を綺麗に解決しました。今の彼は、もう以前とは違う……成長したと、私も思います。すると……私がすべきことなんて、もう何一つなくなってしまったのではないでしょうか。必要ではないのなら、私がここにいる意味なんて、もう……」

 

 そう語った雪乃に、ライハは指摘した。

 

「それは結衣にも言えること。だけど彼女は、自分の意志で八幡を支えることを選んだわ」

「そうですね……。だけど、私は由比ヶ浜さんと同じようには出来ません……」

「どうして?」

「……私は、根本的に他人に頼り切ってしまう性質です。奉仕部の活動でも、最後には比企谷くんを頼るばかりで……」

 

 これまでの奉仕部の活動経緯を見直した雪乃は、己の振る舞いをそう判じていた。

 

「生徒会長選挙の件だって、本当なら対立候補には私自ら立候補して、奉仕部を生徒会にシフトさせることで円満解決する手段もあったはずです。でも私は、それが出来なかった。肝心なところをまた他人にやらせようとして……。こんな私では、役割がないのならむしろ比企谷くんたちの重荷になってしまうんじゃ……」

「そんな悲しいこと言わないでよっ!」

 

 話の途中で、扉の陰に隠れていた結衣が大声とともに飛び込んできた。

 

「由比ヶ浜さん……!」

「ごめん、立ち聞きして。だけど、ゆきのんのこと心配だったから……」

 

 ひと言謝ってから、結衣は雪乃の元に近づき、正面から目と目を合わせて告げる。

 

「ゆきのん、あたしね、ヒッキーとゆきのんがいる奉仕部が大好き。本当なら、ずっと三人一緒の関係でいたい……。でも、あたしはヒッキーに告白した。それが今の関係を壊すことになりかねないって分かってて。――ゆきのんにも、ずるいって思いながら」

「……」

「だって、いつまでもあの関係のままじゃあたしたちダメだって思ったから。ヒッキーが『先』に進むことを決めたように、あたしも『今の先』に進もうって思ったの。ゆきのんとも、いつまでも『自分に都合のいい関係』でいないでって」

 

 でも、とつけ加える結衣。

 

「そんな理由で、あたしたちの前からいなくならないでよ! あたしの告白で、ゆきのんが離れちゃうことも覚悟したけれど……それはゆきのんを犠牲にするってことじゃないし! ゆきのんは……あたしにいくらでも迷惑かけてもいいからさ……」

 

 涙ながらに語りかける結衣に、雪乃は返答に詰まって瞳を揺らした。そこにライハが呼び掛ける。

 

「雪乃、誰かに必要とされなければいる意味がないなんていうのも、居場所の選択を『他人に頼ってる』ということにならないかしら」

「……!」

「大事なのは、自分の居場所を、自分がどうすべきかを、自分で決めること。それが本当の意味で他人に頼らない、『自立する』ということだと私は思う」

 

 そのライハの言葉に、雪乃は少しうつむいた。しかし先ほどとは違い、空虚だった瞳の中には様々な思いが根づいて渦巻いていた。

 

 

 × × ×

 

 

 総武高校生徒会と海浜総合高校生徒会の合同会議の終了後、八幡といろははその内容について話し合っていた。

 

「はぁ~……今日もまるで話が進みませんでしたねぇ。こんな調子でクリスマスに間に合うんでしょうか……?」

 

 いろはは深いため息を吐いてそう危惧した。会議はイベントを持ちかけた海浜生徒会の主導で行われているのだが、そのメンバーが事あるごとに小難しい横文字を使いたがって迂遠な話し方をし、会議自体も迂遠で非効率的に進行するので、遅々として進まないのだ。それは生徒会長にあまり熱心ではないいろはでも心配になるレベルであった。

 そのことについて八幡は意見する。

 

「今のまんまじゃあまず間に合わないだろうな。イベントは失敗する」

「ですよねぇ! でもそれやばいですよ、合同とはいえ初仕事が失敗なんて! わたしのイメージだだ下がりじゃないですか!」

「心配はあくまで自分かよ……。まぁ何とかするさ。ジーッとしてても、ドーにもならねぇからな」

「頼みますよぉ先輩~。それ口癖ですか?」

 

 すがりつくように頼ってくるいろはに、八幡は冷静に告げる。

 

「いや、お前にももちろんやってもらうことはちゃんとやってもらうぞ」

「えー!? そうなんですかぁ?」

「当たり前だろ、お前が生徒会長なんだから。何もかもこっちがやっちまうのは体裁的にもよくない。それにな、俺はお前の一年先輩だ。つまりどうあがいても助けてやれない時がやってくる」

 

 そう諭す八幡の顔を、いろはは少し呆けながら見上げる。

 

「その時には、お前は自分自身の力でどうにかしなきゃいけないかもしれない。そんな時に備えて、今の内から練習しとかないとな。なぁに一色、お前なら大丈夫だよ。お前は何だかんだで要領いいし、人望もある。俺なんかよりもずっと上手く立ち回れるさ」

 

 そう言っていろはに振り向くと――彼女はしばし固まっていたが、八幡から一歩距離を取ってから腰を折った。

 

「もしかして、今のって口説こうとしてましたかごめんなさいちょっと一瞬ときめきかけましたが冷静になるとやっぱり無理です」

「ああ、そう……」

 

 知らない内に口説いたことになって振られた八幡は、半目になりながら冷や汗を垂らした。

 それからいろはと別れて一人になったところで、ペガが顔を出して八幡に尋ねかけた。

 

「八幡、一色さんには何とかするって言ってたけど、具体的にどうするつもりなの?」

「それは……」

 

 困ったことに、八幡には具体案がなかった。海浜生徒会の会長玉縄はかなり手強い相手で、八幡がどう言葉を尽くそうとも会議の主導権を放さず、彼を翻弄しまくる。ここまで相性の悪い人間とは、八幡は会ったことがないくらいであった。結衣はそもそも玉縄の連発する小難しい言い回しについていけていない。

 回答に詰まる八幡に、ペガは提案した。

 

「雪乃に力を貸してもらうのはどう? 雪乃の取り仕切りはあの中身のない会議にこそ必要だと思うよ」

「けどな……今のあいつに助けてなんて言うのは……」

 

 逡巡する八幡に、ペガは言う。

 

「八幡って、誰かのためには動くのに、自分が誰かに助けてもらうのには消極的だよね。基本的に、一人でどうにかしようとしてる」

「!」

 

 ペガの指摘は図星だった。八幡は、どうしても必要としない限りは他人の手を借りようとしない。単独でフュージョンライズできるようになってから、結衣の協力をなかなか受け入れようとはしなかったことに顕著に表れている。

 

「でも、『仲間』って自分が助けるばかりのものじゃないよ。時には助けてもらうことも大事だと思う。……ペガだって、ほんとは君たちのこと、もっと助けてあげたいんだ」

 

 ペガの言葉で黙った八幡に、ジードがこう述べた。

 

『八幡、前も言ったけれど、僕は一人きりじゃとても勝ち残れなかった。みんなの存在が僕の助けになって、僕の力がみんなの助けになって、この瞬間があるんだ。『仲間』って、そういうものだと思うよ』

「……」

 

 二人の言葉を受けて――八幡は、星雲荘のある方角をそっと見やった。

 

 

 × × ×

 

 

 レイデュエス一味の円盤では、レイデュエスらが先ほどの戦闘を分析していた。

 

「やはり、目下の最大の障害はこいつだ……!」

 

 レイデュエスは忌々しそうに、モニターに映し出したウルトラマンゼロをにらみつけた。

 

「先日仕留め損なったのは痛い……。今回のようなことが今後も続くようじゃ、いつまで経っても比企谷八幡たちを倒せないぞ」

 

 オガレスとルドレイは、レイデュエスがウルトラマンジードではなく比企谷八幡と呼称することに若干戸惑いながらも意見する。

 

『ですが、ウルトラマンゼロは相当手強いです。生半可な手法は通用しないでしょう』

『今の我々に、奴をどうにかする手段はかなり限られているのでは……』

「ああそうだ。バトルナイザーも残り一体だし、どうしたものか……」

 

 腕を組んで思案するレイデュエス。

 その末に、オガレスとルドレイの方へチラリと視線をやると、何かを決心した表情となって身体ごと向き直った。

 

「……よし、こうしよう。お前らそこに並べ」

『は? はい……』

 

 急にそんなことを命じられたオガレスら二人は訝しみながらも、言われた通りにレイデュエスの前に並び立った。

 

「よぉし……では行くぞ」

 

 そしてレイデュエスは、深く息を吸い込んでから、腕だけ魔人態に変え――両腕を己の胸に突き立てた!

 

『えええッ!?』

『で、殿下!?』

「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!」

 

 突然のことに狼狽するオガレスたちだが、レイデュエスはそのまま腕をゆっくり胸から引き抜く。その手の中には――怪しく輝く紫色の光球が握られていた。

 

「ぬあぁッ!!」

 

 そして光球を、一つずつオガレスとルドレイの身体に押し込む!

 

『おあぁッ!?』

『殿下!? 私たちに、一体何を……!?』

 

 光球を入れられて肉体がドクンと不気味に脈動する。それに戸惑う二人に、レイデュエスは脂汗まみれになってぜいぜい肩で息をしながら、次のように告げた。

 

「お前らに俺の命の一部を分け与えた……!」

『な、何と……!?』

 

 あまりの内容に衝撃を受けるオガレスとルドレイ。レイデュエスの言葉の意味するところとは、

 

「これでお前たちも、フュージョンライズすることが出来る……!」

『……!!』

「俺の貴重な命を削って授けた力だ。俺のために最大限に役立ててもらうぞ……!」

 

 額の玉のような汗を腕でぬぐいながら、レイデュエスはニタリと歯を剥き出しにした。

 

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