やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。   作:焼き鮭

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雪ノ下雪乃は逃げない心を求める。(B)

 

 ジードがストロング・ゴモラントと戦った、その翌日――。

 

「イッツ!」『ギャオオオオオオオオ!』

「マイ!」『キイイイイィィィィッ!』

「ショウタイム!!」

フュージョンライズ!

 

 レイデュエスがゴモラカプセルとタイラントカプセルを装填ナックルに押し込み、フュージョンライズする。

 

ゴモラ! タイラント!

レイデュエス! ストロング・ゴモラント!!

 

 再びストロング・ゴモラントの姿に変身して千葉市に出現し、手近なビルから薙ぎ倒し始めた。

 

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

 

 その報を受けて、八幡が星雲荘に飛び込んできた。

 

「レイデュエスがまた現れたって!?」

 

 モニターでゴモラントの暴れる姿を確認した八幡は、反射的にジードライザーに手を伸ばすが、それをライハが制止した。

 

「待って。下手に突っ込んでいっても、昨日の二の舞になるわ」

「けど……!」

 

 反論しかけた八幡をさえぎるライハ。

 

「先にゼロたちが現場に行ってる。まずは様子を見ましょう」

「……」

 

 ライハの説得を聞き入れ、八幡は暴れるゴモラントを映すモニターに視線を戻した。

 

 

 × × ×

 

 

 ライハの言う通り、八幡に先んじて材木座がゴモラントの暴れる現場に到着していた。

 

『今日は俺たちが先だ! 行くぜ義輝!』

「うむッ!」

 

 材木座は意気揚々と眼鏡を外し、ウルトラゼロアイNEOを取り出して顔面に装着してスイッチを押した。

 

「シャッ!」

 

 それによって材木座の身体が瞬く間にウルトラマンゼロのものに変身していき、巨大化してゴモラントの前にそびえ立った。

 

『さぁ行くぞ! ブラックホールが吹き荒れるぜぇぇぇッ!』

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

 

 気合いの雄叫びとともに地を蹴るゼロ。ゴモラントは、今度は逃げずに正面からそれを迎え撃つ姿勢を取った。

 

 

 この戦いの様子を、ビルの屋上からゼナたちAIBが見守っていた。

 

『各人、近辺の警戒は怠るな。今度はどんな策を用意しているか、分かったものではない』

 

 ゼナは部下たちに命じて、戦うゼロを裏から支援しようとする。だがそこに、

 

『フッフッフッ……貴様らなんぞに殿下の策を破れるはずがないわ!』

 

 ゼナたちがいるのと同じ屋上に、オガレスとルドレイのレイデュエスの手下が出現。ゼナたちは咄嗟にそちらへ振り返って身構えた。

 

「……!」

 

 陽乃が一番に銃を抜いて引き金に指を掛けたが、発砲はゼナが押しとどめた。

 

『待て! 今の状況で、奴らが我々の前に出てくる理由などないはず。何か裏があるぞ』

 

 オガレスとルドレイの異様に余裕たっぷりな態度も警戒するゼナであったが、オガレスたちはそれをあざ笑うかのように言い放った。

 

『貴様らがどんなことをしようとも、今の我らを止めることなど出来ん!』

『見せてくれよう。殿下より賜った、私たちの力をッ!』

 

 そう言って二人が取り出したのは――それぞれグビラカプセルとボガールカプセルの怪獣カプセルであった。

 

『何!? まさかッ!!』

 

 それの意味するところを察して驚愕するゼナだが、止める間もなくオガレスたちは腰に巻いた装填ナックルを握った。

 

『グビラ!』『グビャ――――――――!』

『ボガール!』『キィィィィイイィィィィ!』

『テレスドン!』『ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!』

『ワロガ!』『ゴオオオオオオオオ!』

 

 それぞれのナックルに二つずつ怪獣カプセルが収められ、オガレスとルドレイはブラッドライザーを握り締めた。

 

『根絶やしにしてくれる!!』『これが我が使命!!』

[[フュージョンライズ!]]

 

 二人がブラッドライザーで怪獣カプセルをスキャンすると、その姿がレイデュエス魔人態に変化していって怪獣たちのビジョンを吸い込んでいく。

 

グビラ! テレスドン!][ボガール! ワロガ!

レイデュエス! テレスグビラ!!][レイデュエス! エヴィルボガール!!

 

 そして二体のレイデュエス融合獣に変身、巨大化してゴモラントと格闘しているゼロの背後に出現した!

 

『何!?』

「ギャアオオオオオオウ! グビャ――――――――!」

「キィィィィイイィィィィ! ゴオオオオオオオオ!」

 

 オガレスがテレスグビラ。ルドレイがエヴィルボガール。そしてレイデュエスのストロング・ゴモラントと、ゼロは三体の融合獣に取り囲まれる形となってしまった。

 

『「な、何なのだこれわぁぁぁぁッ!?」』

『ちっくしょぉ、そう来やがったか……!』

 

 あまりの事態に材木座は絶叫、ゼロも悪態を吐いた。単体でもジードを苦しめた融合獣が、一度に三体も! こんな事態を誰が想定しようか!

 

(♪大怪獣東京を襲撃)

 

『「待て待て待って! 三人がかりなんて卑怯だぞ!?」』

『「お前らが言うかッ!」』

 

 材木座の非難が通るはずもなく、三体もの融合獣が一斉にゼロに襲い掛かってきた。

 

「ギャアオオオオオオウ! グビャ――――――――!」

『ぐッ!』

 

 まずはテレスグビラがドリルを回転させながら突進してくる。身をひるがえしてかわしたゼロだが、そこにエヴィルボガールが光弾を連射する。

 

「キィィィィイイィィィィ! ゴオオオオオオオオ!」

『うおッ!』

 

 ゼロは腕をクロスして防御するも、別方向からゴモラントが爆炎を放ってきて身体を焼かれる。

 

『ぐぅッ……!』

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

 

 ゴモラントは更に角を光らせ、重力波をぶつけてきた!

 

『うおおぉぉッ!』

 

 ゼロは踏ん張り切れずに吹っ飛ばされた。そこに待ち受けていたテレスグビラとエヴィルボガールがドリルと刃を振るってくる。

 

『はッ!? くッ!』

 

 両手ではっしと凶器を止めたゼロだが、がら空きのボディにゴモラントの尻尾が叩きつけられた。

 

『ぐはッ!』

 

 いくらゼロといえども、三体の融合獣の絶え間ない攻撃の前には圧倒的に劣勢であった。

 

 

 × × ×

 

 

「ああッ! ゼロがッ!」

 

 全員が融合獣と化したレイデュエス一味によって追いつめられるゼロの姿に、ペガが悲鳴を発した。結衣は焦りを浮かべながら前に踏み出す。

 

「助けなくちゃ! うっ……!?」

 

 しかしその途端に胸を抑えて喘ぎ声を出したので、慌てたライハに押しとどめられた。

 

「駄目よ、まだ戦いに出られる状態じゃない……!」

「けど……!」

 

 八幡に不安な眼差しを向ける結衣。ストロング・ゴモラント一体だけでも相当な強敵だ。ろくな打開策もないのに、八幡だけで大丈夫なのか。そんな考えがはっきりと窺える。

 

「……ジーッとしてても……!」

 

 それでも八幡はジードライザーを握り締め、踵を返した――その時。

 

「待って」

 

 雪乃がこの場に姿を現し、八幡の前に回り込んだ。

 

「雪ノ下!」

 

 雪乃は恐怖の感情に瞳を揺らしながらも、それでもまっすぐに前を向きながら八幡へ告げた。

 

「私も、一緒に行かせて」

「!!」

 

 そのひと言に、全員に衝撃が走った。

 雪乃は全員の注目を集めながら、毅然とした面持ちで語る。

 

「私は、必要とされなければ何も行動できない人間だった……いいえ、自分で動いているようで、実際はいつも誰かに守ってもらっていた。だけど……このままの自分ではいられない! だから今度は、私が守るわ! みんなを……いつも私を守らせていた、比企谷くんを」

「雪乃……!」

 

 雪乃の決意の表情にライハが喜色を見せた。結衣も顔が輝く。

 

「雪ノ下……!」

『八幡!』

 

 雪乃の覚悟を受け取った八幡も、ジードに背中を押されて、固くうなずいた。

 

「雪ノ下、ありがとうな。レム、エレベーター出してくれ!」

[分かりました。お気をつけて]

 

 セットされたエレベーターに八幡と雪乃が駆け込み、苦戦するゼロの元へと一直線に向かっていった。

 

 

「行くぜ! ジーッとしてても!」

「ドーにもならない!」

 

 地上に出た八幡と雪乃の二人は、依然として敵に苦しめられるゼロを見上げながら、ウルトラカプセルを起動していく。

 

「ユーゴーっ!」『ダーッ!』

 

 雪乃が自ら叫びながら起動したセブンカプセルから、ウルトラセブンのビジョンが現れて腕を振り上げた。

 

「アイゴーッ!」『イヤァッ!』

 

 八幡のカプセルからはウルトラマンレオのビジョンが出現する。

 

「ヒアウィーゴーッ!!」

 

 その二つを装填ナックルに収め、ジードライザーでスキャン。

 

[フュージョンライズ!]

「ジィィィ―――――――ドッ!」

 

 セブンとレオのビジョンとともに、八幡と雪乃が重なり合ってジードと融合した!

 

[ウルトラセブン! ウルトラマンレオ!]

[ウルトラマンジード! ソリッドバーニング!!]

「ドォッ!」

 

 紅蓮の炎とともに飛び出していったジードが、今まさにゼロに背後から斬りかかろうとしていたテレスグビラとエヴィルボガールに激突してはね飛ばした。

 

「ギャアオオオオオオウ! グビャ――――――――!」

「キィィィィイイィィィィ! ゴオオオオオオオオ!」

『!』

 

 振り返ったゼロの傍らで、ウルトラマンジード・ソリッドバーニングが堂々と胸を張って全身から蒸気を噴き出した。

 

『「燃やすぜ! 勇気!!」』

 

 ――その姿を見上げた陽乃が、ハッとあることを感じ取り、そして滅多に見せることのない自然な微笑みを口元に浮かべた。

 

『「来やがったなぁ、比企谷ッ!」』

 

 ジードの登場によりレイデュエスはますます猛り、手下二人に向けて命令を飛ばした。

 

『「お前らはウルトラマンゼロをやれッ!」』

『『『り、了解!』』』

 

 ふらふらと起き上がる手下たちにゼロの相手を任せると、ゴモラントは自らその場から離れてジードを引きつける。ジードもそれを追い、戦は分断された。

 

「ダァッ!」

 

 ジードはスラッガーを腕にジョイントして、猛烈な勢いでゴモラントに飛び込んでパンチを繰り出す。

 

「「『ブーストスラッガーパンチ!!!」」』

 

 今までは八幡だけがジードの身体を動かし、雪乃は後ろで見ているだけだったが、今は二人で拳を突き出してジードに力を与える! 二人の力を受けたブーストスラッガーパンチは、これまでにない破壊力だ!

 だがそれでもゴモラントは大山の如く揺るがなかった!

 

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

「ウオォッ!」

 

 ゴモラントはジードを弾き返した上に、角を光らせて強烈な重力でジードを押し潰す。ストロング・ゴモラントの必殺攻撃、グラビトロプレッシャーだ!

 

『「ぐッ……またこれか……!」』

 

 上から身体を押さえつけられてうめく八幡。昨日はこれになす術もなかった。今度もまた潰されてしまうのか!?

 だがこの時に、雪乃が叫ぶ。

 

『「負けないわ……! 私は、もう逃げない……! どれほどの圧力もっ! はねのけてみせるっ!!」』

 

 その気炎とともに、押しつけられて動かないはずのジードの身体が持ち上がり、二本の足で重力波に抗い立ち上がった!

 

『「何だと!?」』

 

 一瞬動揺するレイデュエス。この一瞬の間に、雪乃と八幡はカプセルを交換する。

 

『「ユーゴーっ!」』

『オリャアッ!』

 

 雪乃が一つ目のカプセルを起動し、ウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオンのビジョンが腕を振り上げた。

 

『「アイゴーッ!」』

『セアッ!』

 

 八幡が起動した二つ目のカプセルからは、ウルトラマンメビウスのビジョンが現れる。この二つをナックルに装填。

 

『「ヒアウィーゴーッ!!」』

 

 そしてジードライザーでスキャンし、フュージョンライズだ!

 

[フュージョンライズ!]

『「ジィィィ―――――――ドッ!」』

 

 オーブとメビウスのビジョンが八幡たちと重なり、ジードの姿が変化する!

 

[ウルトラマンオーブ! ウルトラマンメビウス!]

[ウルトラマンジード! ブレイブチャレンジャー!!]

 

 二つの逆巻く渦巻きが破られ、赤い光と青い輝き、そしてメビウスの輪をくぐり抜けたジードが飛び出していく!

 

「シュアッ!」

 

 その勢いのままに重力波を突き抜け、ジードは大空に飛び上がった!

 

「ギャオオオオオオオオ!?」

 

 反射的に顔を上げたゴモラントの眼に、逆光に照らし出されるジードの新たな姿が映り込んだ。

 赤と紫、銀のボディに金色の角張ったショルダーパッドで固めた雄姿。左腕には赤いブレスが装着されている。ウルトラマンとウルトラマンティガの魂を宿したウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオンの力に、更にウルトラマンメビウスの燃える闘志を重ね合わせた、勇者の中の勇者、ブレイブチャレンジャーである!

 

(♪スペシウムゼペリオンのテーマ)

 

『「掴むぜ! 絆!!」』

 

 ジードはまっすぐにゴモラントへ降下。その勢いを乗せた拳を顔面に食らわせる。

 

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

「セェェェアッ!」

 

 更にジードは着地と同時に後ろ蹴りを繰り出し、ゴモラントの背面を打った。それからもゴモラントの周囲を跳び回りながら鋭い打撃を入れていく。

 が、ゴモラントの巨体は何度打たれようともやはり少しも揺るがない。

 

『「そんな貧弱な攻撃、何発打ったって無駄だッ!」』

 

 ゴモラントが尻尾を振り回してジードを叩き潰そうとする。

 しかしその瞬間にジードの身のこなしが速まり、狙いを外した尻尾は空を切った。

 

『「何ッ速い!? いや……それだけじゃねぇ!」』

「トァッ!」

 

 脇腹に入ったジードの膝が芯に響く。――レイデュエスは、ジードが攻撃を仕掛ける毎に疲労するどころか、スピードもパワーも上がっていくことを悟った。ダメージもどんどん大きくなり、少しずつ無視できないレベルになってきている。

 ジードの内部で八幡と雪乃が叫んだ。

 

『「まだまだ行くぜぇ、雪ノ下ッ!」』

『「ええっ!」』

 

 二人の情熱が、ジードの肉体を駆り立てる。

 これがブレイブチャレンジャーの最大の能力。その名の通りに、如何なる敵にも挑んでいく勇気の心が光のエネルギーに変換され、ジードの無限の力となるのだ!

 ジードがゴモラントを少しずつ追い込んでいく一方で、ゼロもテレスグビラとエヴィルボガールを押し返していた。二体だったら、ゼロ単騎でも互角に戦えるレベルだ。

 

『へへッ、あいつらやるな! 俺たちも負けてらんねぇぜ、義輝ッ!』

『「うむッ!」』

 

 ゼロに呼びかけられた材木座が、こちらもウルトラカプセルを手に取った。

 

『ギンガ! オーブ!』

『ショオラッ!』『デュアッ!』

『ビクトリー! エックス!』

『テアッ!』『イィィィーッ! サ―――ッ!』

 

 ニュージェネレーションカプセル・αとβを起動し、二つを装填ナックルに収める。そしてゼロアイをコネクトしたライザーでスキャン。

 

[ネオ・フュージョンライズ!]

『俺に限界はねぇッ!』

 

 顔面の前にライザーを持っていき、ライザーとゼロアイの力で二段変身!

 

[ニュージェネレーションカプセル・α! β!]

[ウルトラマンゼロビヨンド!!]

「ハァァッ!」

 

 銀色に光り輝く姿、ウルトラマンゼロビヨンドにテレスグビラとエヴィルボガールが大きくたじろいだ。

 

『『ぬあッ!? パワーアップしおった!』』

『『何の! まだまだここからが勝負……』』

 

 高速移動で先制しようとしたエヴィルボガールだが、それを超える超高速でゼロが飛び込んできて、回し蹴りで吹っ飛ばされた。

 

『『ぬあああぁぁぁぁ――――――ッ!?』』

『『ルドレイーッ!?』』

 

 テレスグビラがゼロに突っ込んでいくも、水平チョップの一撃でドリルをへし折られる。

 

「ギャアオオオオオオウ!? グビャ――――――――!!」

『ワイドビヨンドショット!』

 

 ドリルを失ってわたわたするテレスグビラに、すかさずワイドビヨンドショットが撃ち込まれる。

 

『『うぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ――――――――ッ!!』』

 

 テレスグビラは瞬時に爆散。それに慌てたエヴィルボガールが皮膜を広げ、ゼロに食らいつこうとしたが、

 

『クアトロスラッガー!』

 

 四枚のスラッガーのカウンターを叩き込まれ、肉体を貫かれたエヴィルボガールも木っ端微塵となった。

 

『『いぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ――――――――ッ!!』』

『二万年早いぜ』

 

 弾け飛んだエヴィルボガールに背を向け、ゼロは淡々と決めた。

 

(♪メビウスの勝利)

 

 ゴモラントの方は、戦いが長引くほどに不利と判断して、一気に畳みかけてしまおうとする。

 

「ギャオオオオオオオオ! キイイイイィィィィッ!」

 

 広範囲に向けてグラビトロプレッシャーを放ち、一撃でジードを叩き潰してしまおうと、頭部の角を激しく光らせる。

 

『「今っ!」』

 

 しかし雪乃はその瞬間を待ち構えていたのだった!

 ジードが左腕のブレスを擦るような動作で光輪を引き出し、素早く投擲。

 

「「『スラッシュ光輪!!!」」』

 

 光輪は円を描く動きで、ゴモラントの角を全て根元から切断した!

 

「キイイイイィィィィッ!?」

 

 角を失ったゴモラントのグラビトロプレッシャーは不発となる。

 雪乃は、ゴモラントが重力波を放つ際に必ず角が光ることに気づき、そこが重力波の発射箇所だと見抜いていたのであった。

 

「シェアッ!」

 

 ジードは空中に飛び上がると、ブレスから今度は自分の身長ほどもある巨大光輪を作り出し、自ら飛び込んでゴモラントに叩きつけた!

 

「「『メビュームギガ光輪!!!」」』

「ギャオオオオオオオオ!! キイイイイィィィィッ!!」

 

 胴体を袈裟に斬られるゴモラントだが、それでもまだ耐え、最後のあがきで爆炎を吐き出そうとする。

 だがもう終わりだ! ジードはブレスを擦って両腕にエネルギーを溜め、右手を天へ、左手を横に伸ばして光のメビウスの輪を作りながら十字を組んだ。

 

「「『スペリオンシュート!!!」」』

 

 放たれた光の奔流が、ゴモラントの傷口に直撃する。

 

『「ぬッ! があああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」』

 

 とうとうゴモラントも耐え切れなくなり、大爆発。それを見届けたジードとゼロは、うなずき合ってから天高くに飛び上がっていったのだった。

 

「シュウワッチ!」

 

 

 × × ×

 

 

 見事にレイデュエス一味を撃退して帰還した八幡たちを、結衣たちがはしゃぎながら迎えた。

 

「おっ帰りー! 大勝利だったねー!」

「当然よ。私がついて、あんな卑劣漢どもに後れを取るはずがないわ」

 

 ふふんと得意げに胸を張る雪乃。昨日までの様子が嘘のような態度にペガが苦笑した。

 

「雪乃はほんと負けず嫌いだなぁ」

「でも、そこが雪乃のいいところよ」

 

 ライハが雪乃の正面に立って、優しく微笑みかけた。

 

「よく頑張ったわね、雪乃。安心した」

「ライハさん……ありがとうございます」

 

 深々と頭を下げて礼を言った雪乃に、八幡がおずおずと呼びかける。

 

「なぁ雪ノ下……戦いの直後で何だが、ちょっと頼みが……」

「待った」

 

 だが続く言葉を、雪乃に止められた。そして雪乃から告げる。

 

「海浜高校との合同イベントが進んでないみたいね。よければ、私も手を貸すわ」

「!」

「どうかしら?」

 

 雪乃が自分から話を持ちかけてきたことに驚きながらも、八幡は喜んでその申し出を受けた。

 

「助かる! ほんとありがとうな、雪ノ下!」

「いいえ、このくらいどうでもないわ。ちゃんとクリスマスまでに間に合わせましょうね、八幡くん」

「おう! ……ん?」

 

 一瞬、雪乃から八幡への呼称が妙なことに、皆が固まった。

 

「え? 今何て……」

「あら、八幡くんはいよいよ耳も腐ってしまったのかしら。自分の身体なんだから、きちんと防腐処理しないと駄目じゃない」

「ミイラかよ俺は! ってそれより、その呼び方!」

 

 くすくすと八幡をからかう雪乃は、とてもご機嫌そうに語った。

 

「何かおかしいことかしら。ペガやライハさんたちは前々から下の名前で呼び合っているんですもの。私たちがそうしても何らおかしいことじゃなくて?」

「えぇッ!? い、いやそんないきなり……何のつもりだ雪ノ下……」

 

 と言った八幡の口に、人差し指を当てる雪乃。

 

「雪乃。次からはそう呼ばないと返事してあげないわよ」

「……!!?」

「ち、ちょっと待ったぁぁぁぁ――――――――っ!!」

 

 結衣がたまらずに、二人の間に割り込んだ。

 

「何青春ラブコメっぽいことやってるの!? そ、それだったらあたしだって、ヒッキーのことこれからハッチーで呼んじゃうもん!」

「ハッチー!? やめろよミツバチみてぇじゃんそれ! いやヒッキーも冷静に考えりゃひどいあだ名だけど!」

「ううん決定! ハッチーも、これからあたしのこと結衣って呼んでよ! そっちの方が呼びやすいでしょ!?」

「確かに由比ヶ浜の短縮形にもなるが……そ、そういう話じゃなくてだな……」

「ねぇ呼んでよぉ早く~! 結衣って言うだけじゃんっ!」

「ちょっと待ちなさい。まだ私の方の返事をもらってないわ、結衣さん」

「ゆ、結衣さん……! それすごく嬉しいけど……ゆきのんでもこの場は譲れないよっ!」

「お、おいちょっと落ち着けって!?」

 

 雪乃と結衣の二人に迫られる八幡はすっかりたじたじだ。

 

『いやぁ大変だね八幡』

「何他人事みたいに言ってんだよ! 俺の身体にいるくせしやがって!」

 

 やいのやいの騒ぎ立てる八幡たちの様子に、ペガは半ば呆けていた。

 

「何だか、一気に仲良くなったねぇ、みんな……」

「八幡、これからの方が大変そうね」

 

 ライハは肩をすくめて苦笑。一方で材木座は、八幡に絶望し切ったような顔になっていた。

 

「は、八幡がリア充になってしまった……。う、裏切り者めぇッ!」

『他人を羨んでねぇで、自分で努力したらどうなんだ? 義輝』

 

 ゼロが冷静に突っ込んだ。

 八幡と雪乃、結衣の織り成す騒ぎは、もうしばらくは収まりそうになかった。

 

 

 

『ウルトラストーリーナビ!』

 

雪乃「今回は『ウルトラマンオーブ』第五話「逃げない心」よ」

雪乃「ある日、SSPに宇宙人を目撃したという通報が入って、ナオミは通報者の少女と一緒にある工場の地下に入り込んでいった。だけどその少女自身が宇宙人で、ナオミはクレナイ・ガイをおびき寄せるための人質にされてしまったの。少女の正体、ゼットン星人マドックの目的はウルトラマンオーブであるガイを討ち取ること。マドックの繰り出したハイパーゼットンデスサイスに、オーブは新たなるフュージョンアップを披露する……という話よ」

雪乃「スピードに特化したハリケーンスラッシュの初登場回ね。その特色を活かした高速戦闘は瞬きを許さないほどの出来栄えよ。ハイパーゼットンも、ハリケーンスラッシュの長所を最大に引き出すためのチョイスでしょうね」

雪乃「ハリケーンスラッシュ専用のオーブスラッガーランスはいわゆる販促アイテムだけど、これのために他形態の出番が減るという弊害もあったわ。『ジード』ではその反省で、ジードクローが全形態共通の武器と設定されていたわね」

ジード『ゼットン星人マドックとハイパーゼットンデスサイスは、その後の「青いリボンの少女」で意外な形で再登場することとなったんだ。そちらも必見だよ』

雪乃「では、また次回でお会いしましょう」

 




八幡「えー……これから一色と一緒に海浜高校に行く訳だが……その前に注意しておくことがある」
雪乃「何かしら? 八幡くん」
結衣「改まってなにハッチー?」
八幡「それだよッ! 奉仕部と星雲荘で下の名前で呼び合うのはまぁよしとしたが、外でそれはやめろって言っただろうがぁッ!」
結衣「えー? 別にいいじゃん、呼び方なんて何でも」
雪乃「誰も気にすることではないと思うわ」
八幡「いいやッ! ある日突然呼び方が変わったとなったら何かあったと思われるはずだ。そしたら噂になっちまうだろう」
雪乃「別に、言わせたい人には言わせておけばいいことじゃない」
結衣「うんうん。あたしも……もうそういうの気にしないし!」
八幡「俺がするんだ……! だってそういうの……恥ずかしいだろ……!」
雪乃&結衣(小学生か……)



次回、『ジードの命よ!キングの奇跡!!』

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