やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。   作:焼き鮭

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あの闇に約束の炎を灯せ。(B)

 

 突然に、星雲荘に警報が激しく鳴り響く。慣れていないいろはや小町は大きく身体を震わせた。

 

[レイデュエス融合獣が出現しました]

「もう出てきやがったか!」

 

 反射的に腰を浮かす八幡。しかし、衝撃はすぐに星雲荘全体を襲った。

 ドガァァンッ!

 

「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 いろは、小町の絶叫が響き渡った。レムが何事か報告する。

 

[融合獣からの遠距離攻撃を受けています]

「待ったなしってか? くそッ」

「レム、すぐエレベーターを!」

 

 ゼロが吐き捨て、八幡はエレベーターの用意を促す。そしてすぐにエレベーターへ駆け込んでいこうとするが、

 

「お、お兄ちゃんっ!」

 

 後ろから服の裾を、小町に掴まれた。振り向くと、小町が青ざめた顔で自分を見上げている。

 

「お兄ちゃん……小町が知らない間に、何度も同じことをしてたんだろうけど……戦いに行くの? 危険なのに……?」

 

 小町の瞳には、焦燥と不安の色が入り混じっていた。

 八幡がウルトラマンジードと知っても比較的落ち着いているように見えた小町。しかし実際の敵が近づいて、八幡に命の危機が迫っているということを実感したのであろう。彼女もまた、ジードが数え切れないほど死にかかった姿を目にしているのだ。

 不安で押し潰されてしまいそうな小町に対して、八幡はその頭をそっとなでた。

 

「そんな顔するな。俺なら何があろうと必ず帰ってくる。いつだってそうだったろ?」

「うん……でも……」

「何、こっちはもう慣れっこだ。だから大丈夫だよ。小町には指一本だって触らせねぇ。兄を信じて待ってろって」

「お兄ちゃんを信じるってのがちょっと難易度高い気がするけど……」

「おい、この場面はうん、分かったって言うとこだろうが」

 

 ビシッと突っ込む八幡。それで緊張がほぐれたようで、小町は苦笑を浮かべた。

 

「……うん、分かった。じゃあ約束してね、必ず帰ってくるって。ジードさんも」

「もちろんだ」

『ああ。八幡のことは必ず僕が守るよ!』

「八幡! そろそろ行かないとやべぇぞ!」

 

 小町に力強く応じたところで、雪乃、結衣とともに既にエレベーターに乗り込んでいるゼロが呼ぶ。

 

「おう!」

「いってらっしゃーい!」

「せ、先輩たち、頑張って下さーい……」

 

 小町と、腰を抜かしてしまってペガに支えてもらっているいろはらに見送られ、八幡たちを乗せたエレベーターが地上に転送していった。

 

 

 × × ×

 

 

 星雲荘が隠れている展望台前は、どこからか飛んでくる光弾の砲撃を受け続けている。その光景を目の当たりにした千葉市の人々は、何事かと騒然となっていた。

 

「……!」

 

 黒いスポーツカーを運転して帰宅する途中であった平塚もその内の一人であった。

 彼女はこの異様な光景を目撃すると、険しい顔で何かを考え込んでから、ハンドルを切った。

 平塚を乗せたスポーツカーは道を変え――展望台の方向に向かい始めた。

 

 

 × × ×

 

 

 エレベーターは展望台前の地上に転送してきて、その中から八幡たち四人が飛び出す。地面は砲撃の連発によってクレーターが出来上がっていた。

 

「さて、どこから攻撃してきてやがる……」

 

 八幡たちはこれ以上の砲撃を阻止するために、光弾の飛んでくる方向を見定めてフュージョンライズしようとする。

 がその瞬間に、彼らのすぐ近くにインペリオダークネスがワープしてきた!

 

「なッ……!?」

「グイイイイイィィィィィ……! ウオオォォ――――――――ン……!」

 

 途端に凍りつく八幡たち。その彼らを見下ろすインペリオダークネスが、両肩のガトリング砲を回転させて螺旋状の破壊光線を撃ってきた!

 

「危ねぇッ!」

 

 咄嗟にウルトラ念力を発動するゼロ。直後に光線が着弾してすさまじい爆発を引き起こす。

 

「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――!!」

「きゃあああああああああ―――――――!!」

 

 ゼロが念力で防御してもその破壊力は途轍もなく、四人は散り散りに吹き飛ばされてしまった。

 

「ぬああぁぁぁぁッ! 不意打ちとは卑怯なりぃぃッ!」

『くそッ! 俺たちが出てくるのを待ってたって訳かよ……!』

 

 喚く材木座に毒づくゼロ。彼らはどうにか受け身に成功するが、八幡たちはそうは行かず、強かに地面に叩きつけられる。

 

「ぐあッ!」

「あうっ!!」

 

 八幡は左腕を故障し、雪乃と結衣は足をくじいてしまう。三人の負傷に焦るゼロ。

 

『やべぇぜこりゃ……! 義輝、俺たちが頑張らねぇといけないみたいだぜ!』

「う、うむ!」

 

 材木座が動揺しながらもゼロアイを装着して、即座にウルトラマンゼロに変身する!

 

「セアッ!」

「グイイイイイィィィィィ……! ウオオォォ――――――――ン……!」

 

 変身直後に飛び蹴りを仕掛けるゼロ。インペリオダークネスは腕の大剣を盾にしてゼロをはね返した。

 

『汚ねぇ真似しやがって! 許しはしねぇぞッ!』

 

 義憤をたぎらせてインペリオダークネスを止めようとするゼロであったが、

 

「ギャアオオオオオオウ!! オオオオウ!!」

「ギアァッ! ギギギィッ! ギュルウウ!」

『ッ!』

 

 その背後からオガレスのフュージョンライズしたツインデスギラスと、ルドレイのベムスパークが出現した。

 

『貴様の相手は我らだッ!』

『ちッ! こいつらもいるんだった!』

 

 ゼロはツインデスギラスとベムスパークに挟み撃ちにされてインペリオダークネスから引き離される。その間に、インペリオダークネスは八幡たちに狙いを戻す。

 

「まずい……! 雪乃、結衣、お前らは星雲荘に引き返せ! その足じゃ戦えねぇだろ!」

「で、でも……!」

 

 八幡が叫ぶが、それはこの状況下で彼一人を残していくということだ。ためらう二人の背中を、八幡は無理にでも押す。

 

「こんくらいハンデみたいなもんだ。それより急げッ!」

「う、うん……!」

「ごめんなさい……!」

 

 攻撃が来る前にもう一度出てきたエレベーターに二人を避難させた八幡。そしてエレベーターが消えるとすぐに飛びのき、どうにか砲撃から逃れた。

 

「くそッ……!」

 

 雪乃たちにはああ言ったものの、傷は思ったよりも深く、ジードライザーを握るだけで鋭い痛みが走る。更にはインペリオダークネスが絶え間なく自分を狙って砲撃してくるので、逃げるだけで手いっぱいだ。

 

「こっちが変身するのくらい待ちやがれよ……!」

『八幡、頑張ってくれ!』

 

 ジードが内側から身体を支えても、フュージョンライズする隙もない。爆風が八幡の身体を煽る。

 

「うわぁッ! くそ……!」

 

 一体どうしたらいいのか……焦るその時に、融合獣がそこにいるにも関わらず、八幡の側に一台の車が走ってきて急停止した。AIBの車両ではない。

 

「えッ、車……?」

「比企谷っ!」

 

 運転席から降りてきたのは、何と平塚であった。

 

「平塚先生!? どうしてここに……!?」

「こっちだっ!」

 

 平塚は有無を言わさずに八幡の手を引っ張る。直後に飛んできた砲撃が、平塚の車に命中して木端微塵に吹き飛ばした。

 しかしその爆発が目くらましとなり、平塚は八幡を連れて林の中に逃げ込む。

 

「私の愛車が……。まだローンが残っているのに……」

「せ、先生、これはその……!」

 

 八幡がしどろもどろになりながらも言い繕うとするのを、平塚がさえぎる。

 

「いいんだ、比企谷。実はもう知っている。君がウルトラマンジードだとな」

「えッマジ!?」

「ジードが出てくるといつもいなくなるので前々からもしやとは思っていたが……先日、遂に現場を押さえてしまってな。見ていたのは一色だけではなかったという訳だ」

 

 そうだったのか……。緊急だったとはいえ、自分の迂闊さを八幡は少し恨めしく思った。

 

「まぁ色々と言いたいことはあるが、今はそれどころではないな。君もジードになる前から怪我をしている。……何か、私に出来ることはないか? これでも教師だ。教え子の力になることはやぶさかではない」

「……でしたら」

 

 八幡は手早く必要なことを教え、平塚がそれを実行する。

 

「なるほど。それでは……」

 

 コホンと咳払いしてから、平塚は預かったゼロカプセルのスイッチを入れる。

 

「ユーゴーっ!」

『セェアッ!』

「アイゴーッ!」

『ドゥアッ!』

 

 次いで八幡がウルトラの父カプセルを起動して、二つを装填ナックルに押し込んだ。

 

「ヒアウィーゴーッ!!」

[フュージョンライズ!]

 

 そして平塚に支えられながら、カプセルをライザーでスキャンしてフュージョンライズ!

 

[ウルトラマンゼロ! ウルトラの父!]

[ウルトラマンジード! マグニフィセント!!]

「ハァァッ!」

 

 八幡は平塚とともに遂にウルトラマンジード・マグニフィセントに変身し、インペリオダークネスの前に堂々と着地した!

 悠然と胸を張るジード。その超空間内で、平塚が目をキラキラと輝かせる。

 

『「おお……! この私が本物のスーパーヒーローに!! 夢みたいだぁ……!」

『「先生、こういうの好きそうですもんね……」』

 

 興奮し切っている平塚に、八幡は少しあきれ顔であった。

 

「ハッ!」

 

 それはともかくジードが拳を握り締め、インペリオダークネスに攻撃を試みようとするが――。

 

「グイイイイイィィィィィ……! ウオオォォ――――――――ン……!」

 

 それより早く、インペリオダークネスから唐突に暗闇としか言いようのないものが広がり出し、ジードを覆い込んでいく。

 

『な、何だ!?』

『「目くらましのつもりか!?」』

 

 一瞬うろたえるジード。一方でベムスパークの頭を抑え、ツインデスギラスの首筋に蹴りを入れていたゼロは暗闇を目の当たりにして目を見開いた。

 

『あれは……! ちょっとまずい事態になりそうだぜ……!』

 

(♪Attack on the City 都の戦火)

 

 闇が周囲を呑み込み、ジードは暗黒の異空間に閉じ込められる。そしてインペリオダークネスが大剣とドリルを武器に飛びかかってきた!

 

「グイイイイイィィィィィ……! ウオオォォ――――――――ン……!」

「ウオッ!?」

 

 相手の凶器をさばきつつ拳で反撃するジードだが、インペリオダークネスの装甲にあっけなく弾き返される。

 

『「硬てぇ! いや……!」』

『おかしい……身体に力が入らない……!』

 

 激しく動揺するジード。マグニフィセントは攻撃力の優れた形態なのに、その威力を十分に発揮できていないことにすぐに気づいたのだ。それは八幡が負傷しているからだけではない。

 

「「『ビッグバスタウェイ!!!」」』

 

 距離を取って必殺光線を発射するも、光線は空間を蝕む闇に侵食されて先細り、インペリオダークネスに弾かれてしまう。

 

『! やっぱり……この暗闇の中じゃ光は力を失ってしまうんだ!』

 

 それがインペリオダークネスの真の能力であった。暗黒の波動が光を司るウルトラ戦士のエネルギーを弱め、力を奪ってしまうのである。今のジードは普段の半分のパワーも出すことが出来ない状態に陥ってしまったのだ。

 

『「これが本当の狙いだった訳かよ……!」』

『こっちの能力を封じてしまう作戦だった訳か……!』

 

 圧倒的に不利な戦況に置かれて大いに焦るジード。今の状態では、切り札のロイヤルメガマスターも十二分な力を揮うことが出来ないだろう。それではインペリオダークネスに勝つことは出来ない。

 

「グイイイイイィィィィィ……! ウオオォォ――――――――ン……!」

 

 インペリオダークネスは左腕のドリルを切り離して射出してくる。それをジードは召喚したジードクローで弾き飛ばした。

 

「オォッ!」

 

 が、ドリルのなくなったインペリオダークネスの腕が変形してトライデントとなり、それが伸びてジードを攻撃してくる。

 

「ウオォォッ!」

 

 トライデントは防げずに突き飛ばされるジード。そのカラータイマーが赤く点滅を始めた。体力そのものの消耗も速まっているのだ。

 

『「ぐッ……大分やばいぜ……!」』

 

 追いつめられてうめく八幡。その彼を横で支えながら、平塚が激励した。

 

『「しっかりしろ、比企谷!」』

『「先生……!」』

『「君はウルトラマンジードとしても、比企谷八幡としても、様々な困難を乗り越えてきただろう! 私はずっと見てきたぞ。今更こんな程度の逆境に屈する君ではない! 今は、私も支えている!」』

 

 励ます平塚が自分の手を握り締め、その手の平から熱が伝わる。八幡も、この苦境の中で不敵な微笑みを浮かべた。

 

『「任せて下さい。小町とも約束したんだ。こんな真っ暗なとこで終わりなんて死んでもごめんですよ!」』

『そうだ! 僕たちは、光を呑み込む暗闇だって突破してみせる! 行こう!!』

 

 力を奪われながらも毅然と胸を張るジードの中で、平塚と八幡がウルトラカプセルを取り出す。

 

『「ユーゴーっ!」』

『ドゥアッ!』

『「アイゴーッ!」』

『フエアッ!』

 

 平塚がウルトラの父カプセル、八幡がベリアルカプセルを起動し、対極の人生と運命をたどった二人の戦士のビジョンが腕を振り上げた。

 

『「ヒアウィーゴーッ!!」』

 

 そしてジードライザーで二つのカプセルをスキャンし、光と闇の力をライザーに宿す。

 

[フュージョンライズ!]

『「ジィィィ―――――――ドッ!」』

 

 二人の戦士が八幡と平塚とともにジードの身体に重なり、新たなるフュージョンライズを行う!

 

[ウルトラの父! ウルトラマンベリアル!]

[ウルトラマンジード! ダンディットトゥルース!!]

「ハァァッ!」

 

 ベリアルの双眸が瞬く中、緑色の光の球から生誕した新たなジードが飛び出していく!

 

「グイイイイイィィィィィ……! ウオオォォ――――――――ン……!」

 

 そうしてインペリオダークネスの暗黒の中に立ち上がったのは、漆黒のたくましい肉体に先端が前に向けて曲がったウルトラホーンを生やした姿。手には独鈷型の武器を強く握り締めている。

 片や光を極めて偉大なる戦士の父として尊敬を集める男。片や光を妬んで闇に堕ちてしまった男。ウルトラの父とベリアルの相反する力を運命ごと受け継いだダンディットトゥルースだ!

 

(♪大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説メインテーマ)

 

『「揮うぜ! 豪力!!」』

 

 真正面からインペリオダークネスに突っ込んでいくジード。インペリオダークネスはトライデントと螺旋光線で迎撃を図るが――ジードの拳が打ち払った!

 

「ドォアッ!」

「グイイイイイィィィィィ……! ウオオォォ――――――――ン……!」

 

 そして一撃が炸裂すると、装甲が砕けてインペリオダークネスがよろめいた。先ほどまでとは打って変わった、すさまじいパワーだ。

 ダンディットトゥルースは光の力と同時に、ベリアルの闇のパワーも宿している。そのジードの闇がインペリオダークネスの発する暗黒の波動を押し返し、侵蝕を防いでいるのだ。

 しかしベリアルの闇は、他ならぬジード自身に辛く苦しい運命を強いた元凶。その力を用いることは、ジードの精神に並々ならぬ負荷を与えてもおかしくないものだが――。

 

『僕は、自分の如何なる運命からも逃げない! 受け止め、その上で前に進んでいくッ! 闇の先へと踏み越えてみせるッ!』

 

 ジードは暗黒の運命をも完全に己の力とし、インペリオダークネスを押し返していく。丸太のような豪腕から繰り出される拳打が、トライデントをへし折った。

 

「グイイイイイィィィィィ……! ウオオォォ――――――――ン……!」

「オォォッ!」

 

 インペリオダークネスは右腕の大剣で斬撃を仕掛けてくるが、ジードは独鈷で受け止めてインペリオダークネスを突き飛ばした。更に独鈷を掲げてエネルギーを溜め、猛然とインペリオダークネスへ突き出す。

 

「「『ブレイザーバニシング!!!」」』

 

 独鈷から発せられた赤い稲妻状の光線が直撃! 暗黒の鎧に、盛大な炎を灯した!

 その衝撃によって、暗黒の空間が弾け飛んで元の地球の空の下にジードは出てこられた。

 

『おッ! やりやがったなジード! 俺たちも負けてらんねぇぜ!』

 

 ツインデスギラスとベムスパークを抑えていたゼロはジードの無事を確認すると、俄然張り切って闘志を増した。そして材木座がニュージェネレーションカプセルをスキャンする。

 

[ネオ・フュージョンライズ!]

『俺に限界はねぇッ!』

[ウルトラマンゼロビヨンド!!]

 

 ゼロビヨンドに変身するとクワトロスラッガーを手元に飛ばし、二本ずつ連結して変形させて二刀流の大剣、ビヨンドツインエッジで武装した。

 

「ハァッ!」

 

 ふた振りの剣を構えて融合獣たちへ駆けていくゼロ。ベムスパークの光弾を全て斬り払い、本体もすれ違いざまに叩き斬る。

 

「シェアッ!」

「ギュルウウ!! ギギギィッ!!」

 

 ベムスパークが撃破されると、ツインデスギラスが高速回転して突っ込んできた。だがゼロはビヨンドツインエッジでそれを正面から迎え撃つ。

 

「セェアッ!」

「ギャアオオオオオオウ!! オオオオウ!!」

 

 ツインエッジの乱れ切りが回転するツインデスギラスを貫き、細切れにして爆散させた。

 ゼロが二体の融合獣を撃退した一方で、暗闇から解放されたジードもいよいよ戦いを終わらせに掛かる。

 

『「ユーゴーっ!」』『フエアッ!』

『「アイゴーッ!」』『ダァッ!』

『「ヒアウィーゴーッ!!」』[ウルトラマンベリアル! ウルトラマンキング!]

 

 カプセルをベリアルとキングのものに交換して、召喚したキングソードにキングカプセルを差し込んだ。

 

[我、王の名の下に!!]

[ウルトラマンジード! ロイヤルメガマスター!!]

 

 満を持してロイヤルメガマスターに変身すると、キングソードにタロウカプセルを装填する。

 

[ウルトラマンタロウ!]

『トワァッ!』

 

 タロウの力を充填させたキングソードと腕でT字を作り、莫大な光のエネルギーを発射する!

 

「「『ストリウムフラッシャー!!!」」』

 

 ストリウム光線がインペリオダークネスに直撃。既にボロボロであったインペリオダークネスは耐久の限界を迎え、派手に爆散して光の粒として消えていった。

 ジードはその後を見つめ、やり切ったようにつぶやいた。

 

『僕の妹に手を出そうなんて、二万年早いんだ』

『「おい」』

 

 その途端に、八幡がじとっという目つきで口出しする。

 

『「小町は俺の妹だ」』

『似たようなものじゃないか』

『「いーや、こればっかりはお前でも譲らねぇぞ。かわいい俺だけの妹なんだからな!」』

『「格好良く決めたところで、シスコン発言はよしてくれ。締まらないだろう」』

 

 頑なな態度の八幡に、気の抜けた平塚が呆れたため息を吐き出したのであった。

 

 

「やったぁ! リクたちの勝利だ!」

「ええ。いつもハラハラさせるんだから」

 

 星雲荘では戦闘の結果にペガたちがわっと喜んでいた。雪乃と結衣の手当てをしたライハもほっと安堵する。

 そして小町はモニター上のジードに、涙ぐんだ熱い視線を送り、吐息交じりにつぶやいた。

 

「お兄ちゃん……ありがとう!」

 

 それとともに、彼女の胸元から光が離れて飛んでいく。

 

「あッ、リトルスター……!」

 

 リトルスターは地上に向けて昇っていき、ジードのカラータイマーに入り込んでいく。

 

『「おッ、小町のリトルスターが……」』

 

 リトルスターは新しいカプセルに宿り、表面に銀色の鎧を身に着けたゼロの姿を描き出した。

 

『セェアッ!』

[ウルティメイトゼロカプセル、起動しました]

『なるほど、そのカプセルだったか』

 

 新しいカプセルを確認したゼロが納得する。一方で、カプセルをまじまじと観察した八幡がポツリとつぶやいた。

 

『「何かゼロのカプセルだけ種類多いな」』

『まぁ、俺って色んな姿になってるからな』

 

 

 × × ×

 

 

 こうしてジードたちの活躍によって小町は護られ、クリスマスイベントも問題なく開催。各人の尽力によって無事に準備の整えられたイベントは好評を得て終了。奉仕部はまた一つ課題をクリアし、また一つ強くなったことに大きな満足感を覚えた。

 しかし、そう長いこと安心していることも出来ない。一番の悪の根源であるレイデュエスは未だ健在であり、再び八幡たちの首を掻こうとやって来るに違いないのだ……。

 

 

「くそッ……また失敗か……! あれだけの闇の力を使っても勝てないとは……!」

 

 円盤の中心部の、己の居室でレイデュエスはもう何度目になるかも分からない敗北に大いにいら立ちを募らせていた。

 

「オガレスとルドレイも時間稼ぎぐらいにしか役立たん。まぁ、あいつらがゼロを倒すことなんかは“初めから”期待しちゃいないがな……」

 

 独白しながら、視線を冷静にアーマードダークネスカプセルとインペライザーカプセルをセットしたカプセル製造装置に向ける。

 

「それにこっちの目的は狙い通りに果たした。ジードから浴びせられた光エネルギーの波長を反転させることで、必要な暗黒エネルギーの数値に達することが出来た」

 

 二つのカプセルをあえて砕くことで、内包されていた暗黒エネルギーを一つに集めて別のカプセルに移し替える。それによって起動したのは、暗黒の皇帝のカプセル――エンペラ星人カプセル。

 それを手に取ったレイデュエスは、カプセルを上座の棚に並べ立てた。この棚には大量の怪獣カプセルが並べられている。ゼットン、パンドン、バット星人、ジャンボキング、サメクジラ、ブラックエンド……エンペラ星人カプセルは、ギガバーサークとダークルギエルの間に配置される。

 

「これでまた一つ……着実に集まっている。だが……“コレ”を使ってしまえばどうなるか俺自身にも予測がつかない。出来れば、コレを使うことなくケリをつけたいところだが……」

 

 レイデュエスは何らかの目的に近づいているにも関わらず、その表情はどこか苦々しいものであった。

 その視線は怪獣カプセルの並ぶ棚の中央に向けられている。中央に置かれたカプセルの表面には――死神の如き容貌のウルトラマンベリアルが描かれていた――。

 

 

 

『ウルトラストーリーナビ!』

 

平塚「今回は『ウルトラマンメビウス』第三十話「約束の炎」だ!」

平塚「前回にメビウスは光の国からの帰還命令に背いてインペライザーに挑み、返り討ちに遭ってしまった。そしてミライとしても重篤の状態となるが、彼はGUYS JAPANベースを脱け出す。ミライがメビウスであることを知ってしまったリュウはミライを追いかけ、その口から何故ウルトラマンが地球を守るのかの理由を聞く。そんな中で再出するインペライザー。一度は退けたタロウも上回るほどとなった恐るべき敵に、メビウスは勝てるのか……という話だ」

平塚「それまでウルトラマンの正体が知られるのは最終盤なのが当然であったが、『メビウス』はその暗黙の掟を破って中盤で正体を明かしてみせた。これは当時衝撃的な出来事で、知らない人からしたらこれが最終回と勘違いしてしまうかもしれないな」

平塚「そこからは防衛チーム全員がウルトラマンの正体を知っていることを前提に話が展開されるので、シリーズに慣れ親しんだ人ほど新鮮な気持ちになることだろう」

ジード『メビウスはこの回で新しい形態、バーニングブレイブとなる! メビウス自身を象徴するような姿で、オーブのメビウスの力を使ったバーンマイトはこっちが基調になってるよ』

平塚「それでは、次回をお楽しみに!」

 




雪乃「まさか平塚先生まで気づいていたなんて……この数日で、どんどん秘密がばれていくわね……」
結衣「こんな調子で最後まで隠し通せるのかな……。流石に心配になってきたし」
いろは「あれ? 先輩はどうしたんですか?」
ペガ「八幡とリクなら……」
小町「つまり、ジードさん自身はお兄ちゃんとは別々の人間なんですね。でも今はお兄ちゃんと一心同体なんだし……ジードお兄ちゃんって呼ぶべきなのかな?」
八幡「小町ッ! 俺以外の男をお兄ちゃんだなんて、お兄ちゃん絶対許しませんからねッ!」
ジード『ぼ、僕がお兄ちゃん……! 何かこう、胸の辺りが妙にドキドキする……! このもどかしい感じは一体……!?』
ライハ「何だか、リクがおかしな方向に行きそうになってるわ……」
雪乃「……あの二人、本当に真剣に考えているのかしら……」



次回、『必殺!フォーメーション・GEED!』

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