やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。   作:焼き鮭

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映画R/B観ました。
あからさまにトリプルファイターなのだ!


いずれ、宿命の時がやってくる。(A)

 

 マラソン大会最中の戦闘での消耗から回復した翌日、八幡はAIBのゼナの元を訪れていた。

 

『レイデュエスの素性だと?』

「はい。何かAIBで掴めてないかって思いまして」

 

 聞き返してきたゼナに、八幡はコクリとうなずく。

 八幡は雪乃たちに対して遂に、今の戦いを終わらせるためにレイデュエスの出自と過去を知りたいという思いを吐露し、行動に出た。まずは、宇宙人たちの組織であり地球外の情報を多量に得ているだろうAIBを当たってみたという訳である。

 

「あいつの執念はちょっとおかしいです。どれだけ倒しても這い上がってくる。戦いはどんどん激しくなって、被害や犠牲の数もどんどん増えてくかもしれない」

『それは言えている話だ』

「だから、向こうに戦い続けることをやめさせられたのなら、それに越したことはないと思うんです。今までのことを許すっていうとかじゃないんですけど……。ともかく、そのためには、今の奴が出来上がった経緯を知らなくちゃいけないと思うんです」

『確かに、相手の思考を理解するにはその対象の情報が必要だ』

 

 理解を示すゼナ。しかし彼からの答えは、八幡の期待とは裏腹のものだった。

 

『もちろん、我々もレイデュエスが何者かを前々より調査し続けている。奴の弱点につながるかもしれないからな。だが、一向にめぼしい成果は挙げられていないのが現状だ』

「そうですか……」

 

 多少なりとも落胆する八幡。それを受けつつ続けるゼナ。

 

『宇宙は実に広大。宇宙人とひと言で言っても、それこそ星の数ほどの種族がいるから、ろくな手掛かりもなければ絞り込むだけでもひと苦労だ。……と言っても、レイデュエスの正体の手掛かりはそれを踏まえても不思議なくらいに掴めないのだが。奴の性質を鑑みて、キル星やサロメ星などの好戦的な種族の星を中心に捜査を続けているのだが……』

 

 ゼナの言葉を聞いた八幡に、ふと考えが浮かんであごに手をやり、思考をまとめてからゼナに向かって言った。

 

「それって、逆なんじゃないでしょうか」

『逆?』

 

 八幡が、己の考えを話す――。

 

 

 

『いずれ、宿命の時がやってくる。』

 

 

 

「えぇっ!? 先輩、そんなこと言ったんですか!?」

 

 星雲荘では、いろはが雪乃、結衣から八幡の語ったことを伝えられていた。それを受けたいろはは、呆れたようなため息を漏らす。

 

「はあ~……先輩、本気で言ったんですかねそれ。あんな奴に何があったかなんて知ったところで、一体何が変わるって言うんですか。先輩たち奉仕部が相手してきた人たちとは全然違うんですよ?」

「それね! ほんと、ハッチーには困っちゃう」

 

 結衣も釣られるように両手で頬杖を突きながら大きなため息を吐いた。

 

「ハッチー、あいつがこれまでどんなことをしてきたのか忘れちゃったんじゃないかな。自分が散々ひどいなんて言葉じゃ片づかないようなことされたってのに……。それを、戦わずに済ませたいなんて、ちょっと甘いんじゃないって思うの」

「ですよねぇ。わたしも、今更話し合いで解決できるなんて到底思えませんよ」

 

 いろはも眉をひそめながらうなずいたが、雪乃は腕を組みながら、ポツリとつぶやいた。

 

「……だけど、そういう人だからこそ、八幡くんは奉仕部で色んな問題を解決できたのだと思うわ」

「……!」

 

 結衣といろはが驚いた顔で雪乃に振り返った。

 

「振り返ってみれば、奉仕部に持ち込まれた依頼には、普通の人なら呆れて見放してしまうようなものもあった。だけど八幡くんはそれらの本質を見極め、答えを導き出した。それはきっと、八幡くんが他人のことを最後まで見捨てない、見捨てられない性分だからよ。本人が何と言おうとも、ね」

「……確かに、ゆきのんの言う通りかも」

「ですね……」

 

 結衣といろははこれまでの八幡の活躍ぶりを思い返し、ほんのり頬を赤くしながらうつむいた。

 その中でライハが口を開く。

 

「確かに……八幡の言った通り、どんな悪党に見える人も、何らかの事情を抱えているものかもしれないわね」

「ライハさん?」

「私は昔、ある男の陰謀に巻き込まれて両親を失った」

 

 不意に打ち明けられたライハの過去に、雪乃たちは思わず息を呑んだ。

 

「もちろん、私はその男を憎んで復讐を誓った。だけど……その人も、故郷を失ったことをきっかけにベリアルに心を奪われ、挙句に利用されて打ち捨てられてなおベリアルにすがりつくことしか出来なくなっていたかわいそうな人だった。私は彼の最期を――憎しみの心ではなく憐憫で見届けた。戦いに終止符を打つということは、相手を力で打ち倒すだけが意味の全てではないというのは私も同意する」

 

 ライハは強い信念を表情ににじませながら語った。

 

「何より……力で相手を倒すことだけしか知らなかったのなら、リクのベリアルとの因縁は、きっと今になっても終わらなかったはずだわ」

「……」

 

 ライハの言葉に、雪乃たちは黙考する。

 

「……まぁ、今の状況であれこれ言ったところでしょうがないけどね。まずは八幡の言ったように、レイデュエスの情報を得てからでないと話は始まらないわ」

「ですね」

 

 ライハの締めくくりでこの話題は一旦終了し、いろはがふとつぶやいた。

 

「ところで、前から気になってたんですけど、リトルスターって後いくつ残ってるんでしょうか?」

「そういえばそうだね。もう結構な数集めたけど」

「もしかしたら、既に全部そろったんじゃないかしら?」

 

 千葉市に散らばったリトルスターは元々、キングカプセルのものが分散した欠片が成長したものなので、そう数は多くないはずだ。その残りを気にかけ、ライハがレムに尋ねかける。

 

「レム、そこのところどうなの?」

[はい。リクが地表に落下した時の状況から分析しますと、リトルスターの残存は一つのみの確率が80%以上です]

「あと一個あるんだ!」

 

 結衣が最後の一つだというリトルスターの行方を考える。

 

「最後のは誰の身体に宿ってるんだろ。今まではみんな千葉市の人だったから、きっと最後もそうだろうなぁ。あたしたちの知ってる人かな?」

 

 

 × × ×

 

 

 レイデュエス一味の円盤ではその頃、レイデュエスが運び屋からあるものを受け取っていた。

 

「……確かに。急な依頼にも関わらず、ご苦労だったな」

 

 金属製の箱の中身を確認して蓋を閉じたレイデュエスに、運び屋のレキューム人が問いかける。

 

『おいデュエス! そんなもの用意させてどうするつもりだ? 大変なことになるぜぇ?』

 

 冗談混じりに聞いてくるレキューム人に、レイデュエスは冷酷な目つきで返した。

 

「この星がどうなったところで、俺の知ったことじゃない」

 

 するとレキューム人は大仰に肩をすくませた。

 

『やれやれ……俺はお前が駆け出しの頃から知ってるが、ホントにあの星の出身とは思えねぇ――』

「――ッ!」

 

 そこまで口にしたところで――レキューム人の首筋に、ブラッドサイズが突き立てられた。

 

「それ以上余計なことを口走らないよう、声が出せないようにしてやろうか?」

 

 凶器を向けられたレキューム人だが、呆れたように深いため息を吐いた。

 

『怖い怖い……まぁ好きにしな』

 

 そう言い残して鎌を押しのけ、司令室から出ていくレキューム人。扉の外で待機していたオガレスとルドレイは、レキューム人の背中を見送りながらこそっとつぶやいた。

 

『そういえば、殿下はどこの生まれなのだろう』

『うむ。我々にも教えて下さらない』

 

 それをよそに、司令室内のレイデュエスは受け取った箱ともう二つ、ダークメフィストカプセルともう一本のカプセルを手の中で転がしながら、邪な笑みを浮かべていた。

 

「見ていろ、比企谷め……今度という今度こそは今までのようにはいかねぇぞ……」

 

 

 × × ×

 

 

 翌朝、結衣はサブレの散歩の道中でふと一人ごちた。

 

「ハッチー、昨日はゼナさんとレイデュエスの捜査のことで話をしてたんだよね。何か手掛かりとか掴めたのかな?」

 

 そんなことを気にしていると――急にリードの先のサブレの足がピタリと止まった。

 

「? サブレ、どうかしたの?」

 

 首をキョロキョロ動かし出したサブレの様子を訝しんだ結衣が思わず尋ねかけたが、サブレは彼女の声に反応を示さなかった。

 

「! ワンワンワンッ!」

 

 その代わりにいきなりけたたましく吠え出したので、結衣は目を丸くした。

 

「ほ、ほんとにどうしたのサブレ!? 何かあった!?」

 

 普段はこんなに吠える犬ではないので流石に焦る結衣だが、当たり前といえば当たり前だがサブレからの返答はない。

 そんな時に彼女の携帯にレムからのメッセージが届く。

 

「あっ、れむれむからだ……。えぇっ!?」

 

 その内容は、千葉市郊外に巨大生物が出現し、市街地に向けて侵攻中というものであった。

 

「こんな時に……って、まさかサブレ……」

「ワンワンワンワンッ!」

 

 何もおかしいことはないのに、リードを強く引っ張って吠え続けるサブレが、タイミング的にこの事態を感知したのではと一瞬結衣は思ったが、すぐに打ち消した。

 

「いやいや、まさかねぇ……」

 

 レムからの情報によると、怪獣の出現地はここから離れている。そんな場所の異常を、サブレが感じ取ったなんてことは考えられない。超能力でも芽生えた訳でもあるまいに。

 

「ワンワンッ! ワンッ!」

「こ、こらサブレ! ちょっと落ち着いてって……!」

 

 それでも謎の興奮を続けるサブレを、結衣はどうにかなだめようと手を焼く羽目となったのだった。

 

 

 × × ×

 

 

 星雲荘には、連絡を受けた八幡がエレベーターで急行してきた。

 

「レム、怪獣はどんなのだ!?」

[モニターに出します]

 

 八幡がすぐに尋ねかけると、レムはユートムからの映像をメインモニターに表示した。

 山中で木々を踏み荒らしながら市街地に向かってまっすぐに進撃する巨大怪獣の容姿が、八幡たちの目に露わとなる。

 

『キイイイイイイイイ!』

 

 まるで直立したサソリのような……というより、サソリ型の怪人が巨大化したかのような姿形であった。長大な尾は反り返り、頭の上に乗せられている。

 八幡はこの怪獣に、映像越しでも言い知れない生理的な嫌悪感を覚えた。今までの怪獣には感じたことのない……自分とは根本的に異なる存在に対する、本能的な警鐘のような。

 

「こいつ、何だ……? 普通の怪獣じゃないっぽいが」

 

 嫌な汗を垂らす八幡に、レムが報告する。

 

[スペースビースト。知的生命体の恐怖の感情を肉体ごと捕食する宇宙怪獣の一種で、異常なレベルの食欲と繁殖力により第一種危険生命体に認定されています]

「危険生命体……!?」

[一体でも放置していれば、一つの惑星の生態系が完全に破壊されてしまうほどの危険性を持っています]

 

 レムの告げる内容に、八幡も流石に息を呑んだ。一体だけでも星を滅ぼせるような怪獣が存在していようとは!

 地球に出現したスペースビースト――クラスティシアンビースト・グランテラはまさにレムの言った通りに、人間を食らい尽くそうと人里を狙っているところであった。

 

「そうとなると、一刻の猶予もないってことね」

 

 そう意見するライハ。雪乃たちはまだ到着していないが、悠長に待っている暇はなさそうだ。

 

「はい。すぐ現場に向かいます!」

「頼んだよ、八幡!」

 

 エレベーターに駆け込んでいく八幡をペガとライハが見送る。

 エレベーターの扉が閉められ、八幡が現場の山岳地帯へ転送されていった。

 

 

 × × ×

 

 

 八幡がエレベーターから下りると、そこはグランテラの進行方向の真正面であった。つまり八幡の背中に、大勢の人間が暮らす街があるという訳だ。

 

「キイイイイイイイイ!」

 

 グランテラはそこを目指してこちらに接近してきている。その姿を見やりながら、ジードが八幡に呼びかけた。

 

『これ以上先には進ませない! 八幡、行こう!』

「おう! ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

 八幡はジードライザーを握り締めながら、ウルトラカプセルを起動していく。

 

「ユーゴーッ!」

『シェアッ!』

「アイゴーッ!」

『フエアッ!』

「ヒアウィーゴーッ!!」

 

 ウルトラマンカプセルとベリアルカプセルのスイッチを入れて、装填ナックルに収めるとライザーでスキャンする。

 

[フュージョンライズ!]

 

 そしていつものように、ウルトラマンジードにフュージョンライズして変身していく。

 

[ウルトラマン! ウルトラマンベリアル!]

[ウルトラマンジード! プリミティブ!!]

「シュアッ!」

 

 フュージョンライズを完了したジードが巨大化して飛び出していき、グランテラの目前で派手に着地した。

 

「キイイイイイイイイ!」

 

 ジードの出現によってグランテラも警戒して足を止め、両腕のハサミを振り上げ臨戦態勢を取った。

 

「ハァッ!」

 

 ジードは果敢にグランテラへと飛びかかっていき、大勢の人々を守る戦いを開始した!

 

 

 その戦いの始まりを、森林の中に身を潜めるレイデュエスが見張っている。

 

「出てきたな、比企谷。だが俺自身が出るのはまだだ」

 

 レキューム人に用意させたビースト細胞からスペースビーストを作り出し、地球に放ったレイデュエスは、カプセルを握りながら時が来るのを待ち構えていた。

 

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