やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。 作:焼き鮭
八幡がジードに変身して戦闘を開始した少し後に、結衣がエレベーターを用いて星雲荘に到着した。
「ごめん、遅れちゃった!」
「ワンワンワンッ!」
星雲荘に駆け込む結衣の腕の中でサブレがけたたましく吠えた。結局落ち着きを見せず、放っておけばどこかへ走り去ってしまいそうだったので、やむなく抱えたまま星雲荘へと移動してきたのだ。
「結衣さん。私もだけれど……ひと足遅かったわよ。八幡くんは、既に戦いを始めているわ」
先に到着していた雪乃が振り向くなりそう説明した。モニターの映し出す映像の中では、グランテラにジードが果敢に飛びかかっているところだ。
しかしどうも手を焼いているようで、ペガとライハが表情を険しくする。
「リクたち、ちょっと苦戦してるね……」
「どうも簡単にはいかない相手のようね」
更にレムが皆に向かって告げる。
[スペースビーストは細胞片からでも再生、増殖が可能なほどの生命力を有しています。倒したとしても、細胞の一片も残さずに焼却しない限りは、危険は取り払えません]
それを受けてゼロが材木座を促す。
『義輝、すぐにジードたちの加勢に向かうぜ!』
「うむ!」
材木座も即座に了承し、レムの用意したエレベーターに飛び乗って戦闘現場へと出撃していった。
その様子を見届けた結衣は感心したようにつぶやく。
「中二もすっかり勇敢な感じになったね。初めはこれ大丈夫なのかなって不安で仕方なかったけど」
そんな彼女に、雪乃が尋ねかける。
「それはいいのだけど、結衣さん、あなたペットを抱えてここに来なかったかしら? どこへ行ったの?」
「へ? ……あぁっ!? いない!?」
気がつけば、さっきまで腕に抱えていたはずのサブレが影も形もなくなっていた。いつの間に脱け出したのか。
仰天している結衣にレムが告げる。
[ユイ、あなたの飼い犬でしたら、扉が閉まる寸前にゼロたちのエレベーターに潜り込んでいきました]
「えぇー!?」
何と、サブレは材木座に便乗して戦場に移っていってしまったというのだ!
× × ×
「ハァッ!」
「キイイイイイイイイ!」
ジードはグランテラが両腕の間から繰り出す光弾や長い尾の先端からの砲撃をかわしつつ、相手に打撃を浴びせる。だがグランテラの全身を覆う甲殻は非常に強固であり、ジードの攻撃にびくともしない。
『「痛っつぅ……これじこっちの手足を痛めるだけだぜ……」』
『かなり防御力が高い奴だね……!』
グランテラが振り回す尾から逃れながら、ジードが痛む手の平をさすって体勢を立て直した。と、そこに、現場に到着した材木座がゼロに変身して助太刀に入る。
「シェアッ!」
「キイイイイイイイイ!」
ゼロスラッガーがグランテラの尾を弾くと、ジードはゼロの方に振り向いた。
『ゼロ!』
『待たせたな! 一気に畳みかけてやるぜ!』
ゼロはグランテラがひるんでいる隙に、先手必勝とばかりにワイドゼロショットの構えを取った。
『ワイドゼロショット!』
しかし、両腕を完璧にL字に組んだのに、どういう訳か光線は即座に霧散して消滅してしまった!
『何!? 光線が、かき消えた……!?』
動揺したゼロだが、すぐに背後に新たな気配を感じ取った。バッと振り向けば、逆立ちしたような巻き貝型の異形の怪獣が宙に浮かびながら虹色の光波を放っていた。
「ウイ―――――ン!」
ノーチラスタイプビースト・メガフラシ! その肉体から発せられる特殊光波は光エネルギーを拡散し無力化してしまう。レイデュエスが対ウルトラマン用に用意した二体目のスペースビーストだ!
『チッ、あいつの仕業か!』
即座に理解したゼロは先にメガフラシを叩くべく、ゼロスラッガーに手を添えた。光線が無効化されるならば、実体であるスラッガーを食らわせるだけだ。
だがその肩に後方から、紫色の熱線が浴びせられる。
『ぐわッ!?』
「グガアアアア!」
ゼロを後ろから攻撃したのは、六つ目のトカゲ型の怪物。レプタイルタイプビースト・リザリアスグローラーだ! 顔面の口と胸部に備えつけられた第二の口の両方から熱線を吐き出してゼロを集中的に狙ってくる。
「ウイ―――――ン!」
メガフラシの方も殻の左右の角から電撃を放ち、ゼロは前後から襲われる形となる。
『くっそ……!』
改めてゼロスラッガーを握り、両者からの攻撃を懸命に切り払うゼロ。が、そこにメガフラシがドリルのように回転しながらゼロに突撃してきた。
『ぐわぁぁぁッ!』
『ゼロッ!』
グランテラと交戦しながら思わず振り向くジードだが、ゼロはメガフラシを取り押さえつつリザリアスグローラーに後ろ蹴りを浴びせ、ジードに告げた。
『こっちは任せろ! お前たちは、そのサソリに集中しな!』
『……分かった!』
一瞬迷ったジードだが、グランテラも強敵だ。ここはゼロを信じ、言う通りにすると決断した。
『早くこいつを倒してしまおう!』
『「おう! 防御の堅い奴なら、こいつだ!」』
八幡はセブンカプセルとレオカプセルを素早くナックルに装填し、フュージョンライズする。
[ウルトラセブン! ウルトラマンレオ!]
[ウルトラマンジード! ソリッドバーニング!!]
「ドォッ!」
紅蓮の鎧で身を固めたジード・ソリッドバーニングのブーストパンチがグランテラを殴り返した。
「キイイイイイイイイ!」
たとえ光線技が使えない状況であろうとも、破壊力と防御力を兼ね備えたソリッドバーニングならばグランテラの装甲も物ともせずに押し切れることだろう。姿を切り替えることで如何なる戦況にも対応できるのがフュージョンライズの最大の強みだ。
が、しかし、ここでレイデュエスが動いた!
「やっぱりそう来たな……! 待ってたぜぇ!」
ニヤリと嗤った彼は単眼の機械戦士のカプセルと死神のような暗黒戦士のカプセルを取り出して、装填ナックルに押し込んでいく。
「イッツ!」『ハッ!』
「マイ!」『ウアァッ!』
「ショウタイム!!」[フュージョンライズ!]
二つの暗黒のカプセルのパワーを吸収したレイデュエスの肉体が、闇の戦士のものに変化して巨大化していく。
[ダークロプスゼロ! ダークメフィスト!]
[レイデュエス! ダークソリッドサタン!!]
「ドゥアァッ!」
木々を吹き飛ばして出現した黒の巨人。驚いて振り向いたジードは、その容姿に更に驚愕することとなった。
『何ッ!? あの姿は……!!』
左眼のない吊り上がった単眼の首の頭頂部に、ふた振りのスラッガーを持ち、胸部の中央にはおぞましい赤色のカラータイマー。そして全身は、黒と赤と銅色の装甲に覆われている。
今のジードの形態、ソリッドバーニングと似て非なる、悪のウルトラ戦士の力を有したレイデュエス融合獣だ! その名も、ダークソリッドサタン!
『「……! そうか、ここまでの全部が、この状況を作るための布石だったって訳か!」』
ダークソリッドサタンをひと目見た八幡が全て理解した。
その推測通り、三体のスペースビーストはゼロを抑えながらジードにソリッドバーニングへのフュージョンライズを誘導し、レイデュエスにとって有利な状況を作り出すための罠であったのだ!
(♪スペースビースト -Invasion-)
「オオオアァッ!」
ダークソリッドサタンは腕のスラスターから紫煙を噴射して、加速した拳をジードに食らわせた。
「ウアァッ!」
すさまじい威力にソリッドバーニングといえども耐え切れず、大きく殴り飛ばされるジード。しかしすぐに体勢を立て直す。
「ウッ……ダァッ!」
「ヌアァッ!」
ジードスラッガーを投擲して反撃するも、ダークソリッドサタンは同時に二つのサタンスラッガーを繰り出す。ジードスラッガーは弾かれた上、もう一方のサタンスラッガーがジードに襲い掛かり身体を切り裂く。
「ウワアァァァッ!」
「オオオオオッ!」
更にダークソリッドサタンは胸部のプロテクターからシャドーブーストを放ち、ジードを追撃。ジードは派手に吹っ飛ばされた。
『「ぐあああぁぁぁぁぁッ!」』
その破壊力は途轍もなく、八幡にも激しいダメージが降りかかる。ジードはどうにか起き上がるが、自らと同等以上の能力の敵に光線が封じられた状態では、戦いは苦しくなるばかりである。
『まずい……! 八幡、カプセルの交換を……!』
『「ああ……!」』
八幡はすぐに戦況打破のためにカプセル交換しようとしたが、
「キイイイイイイイイ!」
「ウワッ!?」
背後からグランテラがハサミを振り上げて攻撃してきて、阻止されてしまった。ジードは数的不利も背負っていたのである。
「キイイイイイイイイ!」
「フゥンッ!」
「グワァァッ!」
グランテラの尾の光弾で弾き飛ばされたところをダークソリッドサタンに踏みつけられ、更に腕からの暗黒光線、ダークストライクブーストを撃たれる。
「ウワアアアアァァァァァァァァッ!!」
暗黒光線の直撃を受けたジードが地面を滑りながら山肌に激突した。カラータイマーが激しく警告音を鳴らす。
『ジード!!』
一方的にやられるジードにゼロが焦りを見せたが、こちらも二体のビーストに苦戦している最中。どうにかメガフラシの殻を砕いて光波を止めることは出来たが、とてもジードの方にまでは手が回らない。
この極限の状況で、ジードを救う者はいないのか!?
「ワンワンワンワンッ!」
そんな時に、戦場に突然犬の吠える声が起こった。
『「こ、この鳴き声は……!」』
それは八幡にとって聞き覚えのあるものだった。目をやれば、その先に材木座にくっついてこの場に来ていたサブレがダークソリッドサタンに向けて精一杯威嚇していた。
『あれは、結衣のペットじゃ……!?』
『「何でこんなとこに……!?」』
当然、ジードたちにはその理由が分からない。一方でサブレの元には、慌てて追いかけてきた結衣と雪乃が駆けつける。
「サブレ! 無事だったんだね!」
「なんて言っていられる場合でもないわ! すぐ逃げましょう……!」
結衣がすぐにサブレを抱きかかえて、雪乃とともに避難しようとするが、もう遅い。ダークソリッドサタンは彼女たちに狙いをつけ、単眼から光線を発射しようとしている!
「『やめろぉぉぉぉッ!!」』
「フゥアァァッ!」
ジードたちの制止も虚しく、メイザーブーストが結衣たちに襲い掛かる!
「きゃあああああああああああっ!!」
結衣と雪乃の悲鳴を、壮絶な爆炎が呑み込む。
八幡たちは、一斉に顔面蒼白となった――。
「……ヌゥ?」
が、爆炎が晴れると、見えたのは――。
「――あれ……?」
何事もなかったかのように無事でいる結衣たちの姿であった!
もちろん、何もなしに無事だった訳ではない。彼女たちは、何かバリアのようなもの――いや、位相のずれた亜空間に覆われて守られていた。
「こ、これって……どうなってるの?」
「!! まさか……!」
結衣はきょとんと首を傾げたが、雪乃は即座に思考が至り、結衣の腕の中のサブレの前足に触れた。
そしてひと言、
「結衣さん! あなたのサブレ……リトルスターを発症してるわ!」
「えええぇぇ―――――!? 最後のリトルスターって……サブレだったのぉ!?」
超仰天する結衣。しかし、リトルスターの発症者は何も人間に限るのではないから、ありえないことではなかった。
「ワンワンッ!」
亜空間を張って結衣たちを守ったサブレはジードに向かって吠えると、その身体からリトルスターが飛び、ジードに譲渡される。八幡がカプセルを取り出すと、新しいカプセルに矢じり型のコアのウルトラ戦士の絵柄が宿った。
『ヘアッ!』
[ネクサスカプセル、起動しました]
レムが報告すると、八幡が苦痛を食いしばっていた表情を一変させた。
『「ジード!」』
『ああ!』
ダークソリッドサタンとグランテラが一斉に光線を撃ち込んでくるが、ジードは咄嗟に天高く飛び跳ねてかわしながら、同時に八幡がカプセルを交換していく。
『「ユーゴーッ!」』『セェェェアッ!』
『「アイゴーッ!」』『ヘアッ!』
『「ヒアウィーゴーッ!!」』
ウルティメイトゼロカプセルと、新しく手に入れたネクサスカプセルをナックルに装填して、ジードライザーでスキャンしていく。
[フュージョンライズ!]
『「ジィィィ―――――――ドッ!」』
光刃の軌跡と波打つ水面のように揺らぐ光の中から、ジードが新しい姿となって飛び出していく!
[ウルティメイトゼロ! ウルトラマンネクサス!]
[ウルトラマンジード! ノアクティブサクシード!!]
「シュアッ!」
華麗に着地した今のジードは、ゼロのような配色のボディとネクサスのような独特の頭部となり、更にプロテクターの肩部が伸びて大きく突き出していた。そして全身からは、膨大な光エネルギーがにじみ出ている。
これぞ数多の時空で語り継がれる伝説の巨人、ウルトラマンノアの力を受け継ぐジードの形態、ノアクティブサクシードだ!
(♪ネクサス -Full Throttle-)
『「超えるぜ! 極限!!」』
溢れ出る光の力によって活力までも取り戻したジードは、ダークソリッドサタンが放ってきたサタンスラッガーを、右腕のプロテクターから伸ばしたウルティメイトゼロソードを振るって弾き返した。
「ハァァッ!」
更にジードは一回転する勢いでソードから衝撃波を放ち、グランテラ、メガフラシ、リザリアスの三体を同時に攻撃する。
「キイイイイイイイイ!!」
「ウイ―――――ン!!」
「グガアアアア!!」
ノアクティブサクシードの空間も切り裂くような衝撃波は悪しき力では止められない。スペースビーストたちは深々と切り裂かれて動きを止めた。
『流石だぜジード! 義輝、俺たちも負けてらんねぇぜ!』
『「うむ!」』
この隙に材木座はネオ・フュージョンライズを行う。
『俺に限界はねぇッ!』
[ウルトラマンゼロビヨンド!!]
ゼロビヨンドとなるとともにビヨンドツインエッジを構え、メガフラシに突撃。交差する斬撃でメガフラシにとどめを刺す。
「シェアッ!」
「キュッキュッキュッ!?」
メガフラシは一瞬で斬り捨てられて爆散し消滅。ゼロは着地するとリザリアスに振り向きざまにバルキーコーラスの構えを取る。
「グガアアアア!」
『バルキーコーラス!』
リザリアスグローラーは二つの口の熱線を重ね合わせた強烈な熱線を発射したが、バルキーコーラスは瞬く間に熱線を押し返し、リザリアスを貫いた。リザリアスは全身を焼き尽くされて消滅する。
「キイイイイイイイイ!」
グランテラは胸部装甲を開いて、六つ並んだ気門からジードへと光弾を連射したが、ジードは剣を振るって光弾を全部切り払いながらグランテラに肉薄。
「ハァッ!」
そのまますれ違いざまにグランテラを一刀両断。それとともに莫大な光エネルギーを叩き込まれたグランテラは爆散し、粒子となって風化していった。
「ヌゥゥゥゥッ!」
あっという間に逆転されてしまったダークソリッドサタンは両手にスラッガーを握ると、きりもみ回転しながらジードに突貫していく。対するジードは動じず、剣を構えて防御の姿勢を取った。
「ショアッ!」
そしてダークソリッドサタンの突進を受け止め、かつはね返した!
「オアァァッ!」
今度は自分が地表に叩きつけられたダークソリッドサタン。しかしジードの反撃は終わりではない。
「ハッ!」
前に突き出したウルティメイトゼロソードの先端から光線が飛び、ダークソリッドサタンに命中すると矢じり型の紋章が生じてダークソリッドサタンを拘束する。
「ウッ!?」
この間にジードは飛び上がり、空中から回転しながら突撃!
「『ソードレイ・オーバードライヴ!!」』
猛烈な速度でZ字の斬撃が刻み込まれた!
「オワアアアアァァァァァァァァァァァァッ!!」
全身からスパークが漏れ出たダークソリッドサタンは耐えられるはずもなく、大爆発!
「やったぁぁぁ―――!!」
「キャンキャンキャンッ!」
結衣はぴょんぴょん飛び跳ねて大はしゃぎ。主人に合わせてサブレも喜びの鳴き声を上げた。
敵を見事退けると、ネオ・フュージョンライズを解除したゼロはジードの隣に並んで軽口を叩いた。
『へへッ、俺の鎧のパワーも自分のものにするとはな。お前って奴はつくづくいいとこ取りだよなジード』
『からかわないでよ。それが僕の特徴なんだから……』
言い返すジードだが、不意に胸を押さえてよろめく。
『うッ……!』
『お、おい! 大丈夫か!?』
『あ、ああ。だけど、流石にダメージをもらい過ぎたかな……』
『もう変身を解除して、治療を受けた方がいいぜ。八幡の身体なんだし、労わってやりな』
『分かった……』
忠告通りに変身を解いていく二人。すると八幡の下に結衣と雪乃が駆け寄り、よろよろと足元のおぼつかない彼を支えた。
「ハッチー、大丈夫!? 早く星雲荘に戻って手当てしてもらおう!」
「仕方ない部分もあるけど、あまり無理しては駄目よ……。あなたたちの代わりが出来る人は、この地球上にはいないのだから」
「ああ、悪いな……」
八幡の身体を気遣いながら、彼をエレベーターのところまで連れていく結衣と雪乃。――その二人から目も向けられない材木座は、ポツリと独白していた。
「あれぇー……我も結構苦しみながら頑張ったんだけどなぁー……こっちには労いの一つもないのかなぁー……」
『義輝。男には、孤独に耐えなきゃならねぇ時もあるんだぜ』
ゼロは材木座を慰めながら、ていうかお前女とまともに会話できねぇじゃん、と内心で突っ込んでいた。
× × ×
ジードたちに敗れ、拠点の円盤に逃げ帰ってきたレイデュエスは、胸を抑えながら壁に寄りかかっていた。
「おのれぇ……ここまでやって駄目なのか……うぐッ!?」
『で、殿下、しっかり!』
荒い息で一瞬痙攣するレイデュエスの身を、オガレスとルドレイが焦りながら案じる。
『連戦のダメージが祟っているのですよ! 先日も、命を削ったばかりなのに……』
『しばらくは休まれた方が……』
「ぐッ……ええいうるさいッ!」
しかし当人は無理矢理呼吸を整えると、二人を乱暴に遠ざけた。
「自分の身体のことは俺が一番分かってる! 余計な気を回してないで、自分らの役割に専念しろッ! いいな!?」
吐き捨てるように言いつけると、困惑したままのオガレスたちを置いて、自室に引っ込んでいった。そこで激しくせき込む。
「ゴホッゴホッ! ……くそッ、言われなくたって分かってるわ! これ以上はやばいということぐらい……! だからこそ、早いところケリをつけてやる……!」
レイデュエスの視線の先にあるのは、ゼットンなどのいくつもの怪獣カプセル。
「この『最後の手段』の用意も着々と進んでいる……。これが俺の宿命だ……邪魔する奴を葬り、全宇宙の王の座に就くことが……! そのために、比企谷……必ず決着をつけてやる……その時が来るぞ……! 必ず、なぁ……!」
自らに言い聞かせるようにブツブツとつぶやくと、レイデュエスはカプセルをながめながら笑みを顔に張りつけた。
レイデュエスの笑みは、日を追う毎に正気の色が欠けていっていた……。
『ウルトラストーリーナビ!』
結衣「今回は『ウルトラマンネクサス』第二十三話「宿命 -サティスファクション-」だよ!」
結衣「異空間から人を襲うスペースビースト・クトゥーラの触手を返り討ちにしたウルトラマンだけど、変身する姫矢さんの身体は限界に来てて、もうボロボロだった……。だけど姫矢さんは弧門の共闘の申し出を頑なに断って、一人で戦おうとするの。一方で宿敵、溝呂木も予言のメッセージを使って、姫矢さんを最後の戦いに引きずり出そうとしてた。姫矢さんは自分に課せられた戦いを自分の宿命として、逃げずに戦おうとするんだけど……」
結衣「『ネクサス』は一つ一つの話がつながって、一個のストーリーを作ってるんだけど、そのストーリーがすっごい重いんだよね。特に前半はずぅっと重苦しい雰囲気が続くし、ウルトラマンに変身する姫矢さんはだんだんと傷ついていくしで、見てて胸が締めつけられるような展開が続くの……」
結衣「だけどその分、物語はとてもよく出来てて、最後にはこれまでの鬱っぽさを全部吹っ飛ばすくらいの熱いクライマックスが待ってるから、『ネクサス』というお話を支持してる人は少なくないんだよ!」
ジード『ただ放送当時は肝心の視聴率を稼げなくって、後々の円谷プロの経営にも大きな影響を残すことにもなったけれど、今となってはそれもウルトラシリーズの歴史だね』
結衣「それじゃ、また次回でね!」
雪乃「八幡くんは大丈夫かしら……。今回は一段とダメージが深そうだったわ」
結衣「心配だよね……。このまんま戦いが続いて、ハッチーは無事でいられるのかな……。最近はそんなことまで考えちゃうよ」
雪乃「そうね……。だけど、それにしても、私たちがこんな風にジードの仲間になってから、結構な時間が経ったものよね」
結衣「え? あぁ、うん。そうだよね」
雪乃「初めは流されるようにつき合っていたから、こんなにも戦いが長く続くなんて思っていなかったわ。その間に色んなことが起きて……」
結衣「そう言われたら、何だか懐かしい感じにもなるね」
雪乃「ええ。……私たちって、今後はどうなっていくのかしら」
結衣「……これから先、かぁ……」