やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。   作:焼き鮭

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かくして、史上最大の侵略の幕が上がる。(B)

 

 レイデュエスの脅迫を交えた宣戦布告の後、ゼナと陽乃の二人はAIB本部へと帰投していった。何やらレイデュエス対策の切り札を用意してあるようで、指定された明日14時までに確実に作戦が成功するように準備を済ませるということである。

 材木座とゼロも、レイデュエスがどんなことをしてこようとも絶対に勝てるように、今からコンディションを万全に整えるために別室に移動していった。

 しかし、最も肝要なのは、

 

「八幡に、このことを告げるべきか……」

 

 ライハが腕を組んで、ひどく悩みながらつぶやいた。彼女たちの目の前には、未だ気を失ったままの八幡の姿。

 彼にレイデュエスからの挑戦を伝えることに、いろはと小町は猛反対。

 

「駄目ですっ! これ以上無理させたら、先輩どうなっちゃうか……!」

「お兄ちゃんはもう十分頑張ったんでしょう!? お願いですから、もう苦しめてあげないで下さい……!」

 

 涙目ながらに訴えるいろはと小町。普段は八幡をからかったり軽口を叩いたりすることも多いが、流石に命が懸かった状態とあっては、表に出さない本心も出てくる。

 雪乃も、真剣に悩みながら意見した。

 

「出来るならそうしたいのだけれど……八幡くんが来なかったらきっと、いいえ、絶対あの男は爆撃を開始するわよ。そういう奴だわ……」

 

 雪乃は散々、レイデュエスがどういう男か見ている。奴なら、やると言ったらやる。

 

「自分のせいで世界中の人間が犠牲にとなったら、それこそ比企谷は思い悩むことだろう……」

「で、でもっ!」

 

 雪乃の言葉に同調する平塚にいろはが反論しようとするが、それをさえぎるように結衣が言った。

 

「待って。そもそも、ハッチー明日までに目を覚ますの? 起きる気配が全然ないんだけど……」

「そこも心配だわ……」

 

 目を伏せる雪乃。

 

「叩き起こすなんて以ての外だし、だけど言ったところで通じないでしょうね……」

 

 一体どうしたらいいのか……。場が重い空気に支配されていたところ、

 それを破るように、声が発せられた。

 

『大体のところは分かった』

 

 それまでうつむいていたペガがハッと顔を上げた。

 

「リク!」

 

 今の声は、眠ったままの八幡から生じた。ジードの声である。

 

『八幡の調子がおかしいということは、僕も感じてた。もっと早くにこのことを気づくべきだったんだけど……』

 

 ジードは悔やむように言葉をつむいでいく。

 

『最初は、僕が八幡の命を救うために融合した。だけど今は……僕の存在が、八幡の命を危機に晒している。だから……』

 

 そう言い放つと、八幡の身体が一瞬強く発光した。雪乃たちは思わず目を背ける。

 光が収まって顔を上げると……八幡の傍らに、見慣れない一人の人物が新たに現れていた。

 

「この先は、僕一人で戦う」

「え……? あなたは、まさか……!」

 

 オレンジのシャツの上にデニムジャケットを羽織った、子供っぽい顔立ちの青年。しかしその瞳には、芯の強い輝きがある。そしてその雰囲気は、初対面であるはずなのに、雪乃たちには覚えがあった……。

 ライハとペガ、レムも、彼の名前を口にする。

 

「リク……!」

「……この人が……!」

 

 思わず驚きを見せる雪乃たち。

 この青年こそが、雪乃たちがずっとともに戦い、しかし同じ目線で面と向かったことがなかった仲間、ウルトラマンジード本人である、朝倉リクである。

 

 

 × × ×

 

 

 翌日の14時直前。町外れの人気がない廃工場をレイデュエス一味が占拠し、ジードたちを待ち構えていた。

 兵士のフック星人たちに見張らせる中、ルドレイがレイデュエスにおずおずと尋ねかける。

 

『殿下……何もわざわざ真正面から奴らをおびき寄せなくとも良いのではなかったでしょうか? もっとこちらが有利になるような策を練っても……』

 

 ルドレイの進言をレイデュエスは、神妙な顔で却下した。

 

「いいや。これまでの経験上、下手に小細工を弄したらむしろ逆効果だ。あえて正面から来させることで、逆に向こうの行動を制限する」

『は、はぁ……』

 

 ルドレイには、レイデュエスの言うことがよく分からなかったが、適当に合わせておいた。

 

『では、真っ向から勝負するのではなく、この星を丸ごと人質にして、ジードたちに抵抗させないようにして一気に始末するのは……』

 

 と言うと、レイデュエスに射殺されそうな目を向けられたので思わずすくみ上がった。

 

「だから、そういうのがいかんと言ってるんだ。何より、ここまで来たからには、紛れもないこの手でねじ伏せてやるッ!」

『も、申し訳ありません……!』

「ククク……準備は整ってるんだ。今度こそは、命を奪い取るまで戦い続けてやるぞ、比企谷ぁ……!」

 

 怪しく嗤うレイデュエスを尻目に、ルドレイはこそっとオガレスの元へ戻り、小声で囁き合った。

 

『ほとほと参る……。殿下はジードを倒すことにこだわり過ぎだ……』

『全く……。奴らを始末するのが最終目的などではないと言うのに……』

『我々は、本当にこれでいいのか……? 気がつけばここまで来てしまったが……』

 

 オガレスとルドレイが身の振り方を考え直しているその時に、見張りのフック星人たちから合図があった。

 

「キーッ!」

『! 殿下、ジードたちが来たようです!』

「待ってたぞ」

 

 レイデュエスは獰猛な笑みを浮かべて立ち上がり、オガレスとルドレイを従えながら表に出ていく。

 そうして彼の前に歩いてきたのは、ライハと、材木座=ゼロ、そして一人の青年。

 

「……あ?」

 

 レイデュエスの表情が一転して、訝しげなものとなった。

 

 

 × × ×

 

 

 雪乃と結衣は星雲荘から、モニター越しに廃工場に到着したリクたちの様子を見守っていた。他は授業があるので後ろ髪を引かれながらも学校へ行ったが、二人は八幡の側についていることを選んだのだ。

 

「でも、ジードん……いや、リクさん? って呼んだ方がいいのかな? リクさんが出てきた時には驚いたし。リクさんがハッチーと別れるなんて……」

 

 結衣がふとつぶやいた。

 

「まぁ当たり前って言えば当たり前のことなんだけど……今までそう言われても、実感が薄かったというか……」

「その気持ちは分かるわ。私たちにとっては……八幡くんがジード、という認識だったから。初めに会った時からそうだったものね」

 

 結衣の言葉にコクリとうなずく雪乃。リクが自分たちの前に出てきた時は、しばらく何が起こったか呑み込めずに呆然としたほどだ。それだけ、彼女らにはジード=八幡の構図が当然のものとなっていた。

 

「……リクさんたち、大丈夫かな。後は全部僕たちに任せてくれ、って言ってたけど……」

「確かに、一筋縄ではいかない相手。不安なのは私もよ。だけど……」

 

 何もかもをリクたちに託したことに若干の後ろめたさを覚えつつも、雪乃は振り返る。

 

「こうなった以上は、リクさんたちを信じる他ないでしょうね……」

 

 彼女の視線の先の八幡は、未だ目を覚ましていない。

 

 

 × × ×

 

 

 ゼナと陽乃、他のAIB職員たちは、身を潜めながら廃工場を囲み、レイデュエスを討伐するチャンスを窺っていた。

 

『いいな、弾は一発しかない。レイデュエスに隙が生じたら、何が何でもそのチャンスを掴み取るのだ』

「はい……!」

 

 リクたちと対峙するレイデュエスの様子を監視しながら、ゼナが陽乃に呼びかけた。陽乃は流石にやや緊張した面持ちで返答した。

 

 

『義輝、覚悟はいいな?』

「うッ……こ、ここまで来たからには最後までやってやろうとも!」

 

 材木座が覚悟を固めている傍らで、リクが声を張ってレイデュエスに向かって宣告する。

 

「レイデュエス、この僕が相手だ! 最後の決着をつけよう!」

 

 オガレスとルドレイは、正面の青年が誰だか最初分からなかったが、やがて把握した。

 

『あれは、ウルトラマンジード本来の人間態!』

『あの小僧から分離したのか……』

 

 驚きながらもそれだけの二人とは異なり、レイデュエスの反応は――何故か顔を伏せたまま妙に黙り、リクに応答しない。

 

「……?」

「様子が変ね……」

 

 ライハたち一同が、レイデュエスの反応が鈍いことを訝しんだ。

 その次の瞬間、

 

「――ふざけるなぁぁぁぁああああああああッッ!!」

 

 レイデュエスが怒号を発して、ブラッドスタッフから光弾を滅茶苦茶に乱射した!

 

『ひゃああッ!?』

「リク危ないっ!」

 

 光弾が周囲を無差別に破壊する。その猛烈な勢いにリクの影の中のペガまで悲鳴を上げて、ライハは咄嗟にリクをかばって後ろに引かせた。

 

『何事だ!?』

 

 突然のことにゼナたちも、オガレスとルドレイも驚愕。

 

『で、殿下!? おやめ下さい!』

『味方に当たりますッ!』

 

 しかしレイデュエスはまるで聞いておらず、血走り切った眼でリクをにらみつける。

 

「だぁれがお前だけで来いと言ったッ! 比企谷八幡はどうしたぁッ!!」

 

 レイデュエスの発狂に一瞬気押されながらも、リクは毅然と言い返した。

 

「八幡はもう関係ない! お前の相手なら僕がする! だからもう八幡を巻き込むのは――」

「黙れええッ!!」

 

 だが言葉がレイデュエスの叫喚にかき消された。

 

「ここまで来て、俺をコケにしやがって……!! 今更関係ないだと? そんなことが認められるかぁぁぁぁッ!!」

 

 フーッ、フーッ、と息を荒げるレイデュエスの肉体からどす黒い暗黒のような魔力がにじみ出て、一気に膨れ上がっていく。

 

「ど、どうなってるんだ……?」

「お前ら離れろッ! こいつはやべぇぞ!」

 

 危険を感じ取ったゼロがリクとライハを遠ざける。

 

「ゼナ先輩、何かまずい雰囲気ですよ!」

『だが、あれでは近づくことも出来ん……!』

 

 ただならぬ様子に陽乃らも焦るが、レイデュエスの魔力は大気を揺るがし、オガレスたちも側にいられないほど風を渦巻かせる。

 

「ぬうううぅぅぅぅぁぁぁああああああああああああッッ!!』

 

 その中心のレイデュエスが魔人態に変わり、更には一挙に巨大化して地面を揺るがした!

 

「直接巨大化した!?」

 

 目を見張るライハ。巨大レイデュエスは千葉市の市街へ向けて足を踏み出した。

 

『奴が来ないと言うのなら、こっちから殺しに行ってやるッ!!』

 

 レイデュエスの行動にオガレスとルドレイは大慌て。

 

『殿下ッ! 落ち着いてッ! そんな無理をしたら!!』

『駄目だ! 怒りで我を忘れてる!!』

 

 千葉市に進行し出したレイデュエスに、リクは顔を険しくした。

 

「そんなことは、させないッ!」

 

 そう宣言して、腰のケースからウルトラカプセルを引き抜いた。

 

「融合!」『シェアッ!』

 

 カプセルのスイッチを入れるとウルトラマンのビジョンが腕を振り上げる。

 

「アイゴー!」『フエアッ!』

 

 続いてベリアルカプセルを起動し、装填ナックルに差し込む。

 

「ヒアウィーゴー!!」

 

 ナックルに装填した二つのカプセルを、ジードライザーでスキャン。

 

[フュージョンライズ!]

「決めるぜ! 覚悟!!」

 

 決め台詞とともにライザーを胸の前に持っていき、トリガーを握り込む!

 

「ジィィィ―――――――ドッ!」

 

 リクの身体にウルトラマンとベリアルのビジョンが重なり、初期変身を通してウルトラマンジードに変身!

 

[ウルトラマン! ウルトラマンベリアル!]

[ウルトラマンジード! プリミティブ!!]

「シュアッ!」

 

 ゼロは材木座に呼びかける。

 

『義輝! 俺たちもだ!』

「う、うむ!」

 

 材木座が眼鏡を外してウルトラゼロアイNEOに掛け直し、スイッチを押す。

 

「デュワッ!」

 

 変身、巨大化を遂げたジードとゼロの二大ウルトラマンが、巨大レイデュエスの正面に着地して行く手をさえぎった。

 

『ここから先には!』

『行かせねぇぜ!』

『邪魔をするなぁぁぁッ!!』

 

 レイデュエスはブラッドスタッフを振るいながら、ためらいなくジードとゼロに殴りかかる。

 

「タァッ!」

「シェアッ!」

 

 だがゼロがスタッフを打ち払い、ジードが飛び膝蹴りで反撃。レイデュエスの姿勢を崩すと、二人の交互の打撃がレイデュエスを押していく。

 

『ぬぅッ……!』

 

 激昂して冷静さを欠いた状態では、素の実力では二人のウルトラマンに到底敵わない。瞬く間に追いつめられていくレイデュエス。

 

『殿下が危ないぞ!』

『仕方ない……加勢だ! この復元したとっておきのカプセルで!』

 

 オガレスとルドレイはそう判断して、それぞれEXゼットンカプセルとハイパーゼットンカプセルを取り出した。

 

『根絶やしにしてくれる!!』『これが我が使命!!』

 

 オガレスとルドレイは二人で融合してフュージョンライズし、巨大化してジードとゼロの前に立ち上がる。

 

「ゼットォーン……! ピポポポポポポ……!!」

『あれは!?』

 

 一瞬動揺が走るジード。以前彼と八幡を死の淵にまで追いやった因縁のレイデュエス融合獣、ダークオーヴァーゼットンだ!

 

「ピポポポポポポ……!!」

「ウワァッ!」

「グワッ!?」

 

 ダークオーヴァーゼットンは超高速移動でジードたちに突っ込んできて、ダブルラリアットで二人を吹っ飛ばした。

 

『『いいぞぉ! 力が溢れ返ってくる!』』

『『我々で奴らを始末するのだッ!』』

 

 今までにないほどにみなぎる暗黒エネルギーにいい気になったオガレスとルドレイは、ゼロに狙いを定めて再び超高速で突撃していく。

 

『うおッ!』

 

 ゼロは咄嗟に横に跳んで回避。するとオーヴァーゼットンは停止できず、奥の山肌に轟音を立てて激突した。

 

『『あいっでぇッ! 何をやっとるんだ! パワーが制御できてないぞ!』』

『『う、うるさい! 集中しろ! 二人でやらんとバランスを保てん!』』

 

 ふらつきながらも体勢を立て直すオーヴァーゼットン。その正面にゼロが回り込む。

 

『ゼロ!』

『こっちは俺が引き受ける! お前はレイデュエスを!』

『……分かった!』

 

 一瞬背中合わせになったジードとゼロは、地を蹴ってそれぞれの相手に猛然と飛びかかっていった。

 

「セェアッ!」

「ピポポポポポポ……!!」

 

 ゼロがオーヴァーゼットンの胸元を狙って横拳を打ち込むが、腕で防御されて弾かれる。

 

「ショアッ!」

 

 ジードの平手打ちをレイデュエスは回りながら避け、スタッフから暗黒の刃を生やした。

 

『ぬううぅぅぅぅおおおおおおッ!』

 

 ブラッドサイズを振り回してジードを切り裂こうとするレイデュエス。ジードは後ろに下がって乱撃から逃れた。

 

『ジードクロー!』

 

 武器には武器を。ジードクローを召喚して大鎌を受け止め、弾き返す。

 

「ハァァッ!」

『ぬうあぁぁぁぁッ!』

 

 クローと大鎌で何度も切り結ぶ二人。しかし徐々にジードのクローを握る手が痺れていく。

 

『くッ……!』

 

 不利を感じたジードは一旦距離を開け、クローのトリガーを二回引いて必殺技を発動。

 

『コークスクリュージャミング!』

 

 きりもみ回転しながら突っ込んでくるジードに対して、レイデュエスは、

 

『でぇぇぇぇぇぇいッ!!』

 

 大鎌を大きく振り上げて、ジードを打ち返した!

 

『うわぁッ!』

 

 地面に叩きつけられたジードは、冷や汗を垂らして起き上がった。

 

『何だ、この力は……ただならぬものを感じる……!』

 

 レイデュエスの一撃一撃には、異常な執念というべきようなものがこもっていた。それがすさまじい迫力に変わり、斬撃の重圧を増しているのだ。

 

『けど、僕は負けない! 負けられないんだ!』

 

 ジードはレイデュエスの迫力に呑まれぬように気勢を発し、カプセル交換しようとする。が、

 

『させるかぁぁぁぁああああああああッ!!』

 

 レイデュエスが斬撃を飛ばしてきて、それをもろに食らってしまった。

 

「ウワアァァァッ!」

 

 胸を裂かれてフュージョンライズを阻止されるジード。ダメージの蓄積でカラータイマーが点滅する。

 

「ピポポポポポポ……!! ゼットォーン……!」

『うおぉぉッ!』

 

 ゼロの方もまた、周囲を飛び回って暗黒火球で集中攻撃してくるオーヴァーゼットンに苦しめられていた。

 

『くぅッ、やるじゃねぇか……だがッ!』

 

 ゼロは猛攻撃に晒されながらも、むしろ闘志をたぎらせる!

 

『俺に限界はねぇッ!』

[ネオ・フュージョンライズ!]

 

 爆撃の中で材木座がゼロアイとライザーを使用し、ネオ・フュージョンライズ!

 

[ウルトラマンゼロビヨンド!!]

「ハァッ!」

 

 ゼロビヨンドの気合いを込めた拳が、暗黒火球を弾き返した!

 

『『何だと!?』』

 

 動揺して一瞬止まったオーヴァーゼットンに、ゼロが超スピードで肉薄。オガレスたちは反応できない。

 

「ハァァァァァァァッ! タァッ!!」

『『『ぐわああぁぁぁぁ―――――――ッ!!』』』

 

 オーヴァーゼットンに脚が増えたかのような連続キックを浴びせ、最後の一発で地上に叩き落とした。

 

「シャッ! トアッ!」

 

 着地したゼロは瞬時にクワトロスラッガーを投げ飛ばす。

 

『『まずい! 来るぞッ!』』

『『回避だッ!』』

 

 オーヴァーゼットンはよけようとしたが、左右の半身が一瞬制反対の方向にワープしようとして割かれ、互いに引っ張られてバチンとくっついた。

 

『『『ぐえぇぇッ!?』』

 

 よろめいただけだったオーヴァーゼットンにクワトロスラッガーが直撃し、火花が飛び散る。

 

『『何やってるのだぁ! 別々の方向によけようとしたから、止まってしまったではないかぁッ!』』

『『黙れッ! 貴様が合わせろッ!』』

 

 責任を押しつけ合って口喧嘩するオガレスとルドレイ。だがそんなことしている暇などない。

 

『バルキーコーラス!』

 

 ゼロがバルキーコーラスを放ってくる。それに気づいて慌ててブラックホールを展開して盾とした。

 

「ピポポポポポポ……!!」

 

 ゼロの超必殺光線を受け止め続けるオーヴァーゼットン。だが宙に舞ったままのクワトロスラッガーが軌道を変え、ブラックホールに四方から斬りかかった。

 空間を断ち切る刃がブラックホールを霧散させ、バルキーコーラスがオーヴァーゼットンに命中!

 

『『『うぎゃああああああ―――――――ッ!!』』』

 

 派手に吹っ飛ばされるオーヴァーゼットン。更にゼロはスラッガーを手元に戻し、ひと振りのビヨンドツインエッジに変化させる。

 

『俺の名を刻み込め……!』

 

 そう唱えながらオーヴァーゼットンに突貫。すれ違いざまに、エッジの一閃を叩き入れた。

 

『ツインギガブレイク!』

 

 ダークオーヴァーゼットンの肉体に、一本線が袈裟に走る。

 

「ピポポ……ポポポ……!!」

 

 オーヴァーゼットンの上半身がずるりと滑り落ち、大爆発を起こした。

 

『よし、あとは……!』

 

 ひと息吐く間もなく、ゼロは振り向いてレイデュエスに押されるジードの加勢に入ろうとする。

 

『おぉぉぉぉぉぉあぁぁぁッ!』

 

 だがレイデュエスは暗黒光刃を滅茶苦茶に連射し、ジードとゼロに動く隙も与えない。

 

『うッ!? 何て攻勢だ……!』

 

 光刃の雨に晒されてうめくゼロ。一方で、ジードは攻撃を受けながらレイデュエスを強くにらみつけた。

 

『――おおおおぉぉぉぉぉッ!』

 

 そして何を思ったか両腕にエネルギーを溜めながら、光刃を突っ切ってレイデュエスへと直進していく!

 

『ジード!? 無茶なッ!』

 

 ゼロの制止も聞かず、ジードは捨て身の姿勢でレイデュエスに飛び掛かり、腕を鉤十字に組んだ!

 

『!?』

『レッキングぅぅバーストぉぉぉぉおおおおおッ!!』

 

 渾身のレッキングバーストが至近距離からレイデュエスに叩き込まれる!

 

『ぐッ! がああああぁぁぁぁぁぁあああああああああッ!!』

『おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――!!』

 

 レイデュエスは光線を食らいながらそのままの体勢で暗黒エネルギーを発しジードを吹き飛ばそうとするが、ジードは食い下がって光線を浴びせ続ける!

 やがてレイデュエスの耐久に限界が来て、大爆発を起こした! 間近にいたジードはそれに巻き込まれる!

 

「――ぐはッ!」

 

 衝撃で変身が解けて放り出されたリクは、背中から地面にしたたかに叩きつけられた。起き上がれない彼の元へ、ライハやペガ、材木座が慌てて駆け寄っていく。

 

「リク! しっかりして! 無茶しすぎだよ!」

 

 ペガたちがリクを抱き起こすが、リクの様子がおかしい。脂汗を額に噴き出し、うめき声を上げ続ける。

 

「うッ、うぅッ……くぅッ……!」

「リク、大丈夫!?」

「すごく苦しそうだ……!」

 

 ライハや材木座が焦る中、ゼロがつぶやく。

 

『やっぱり、お前も身体がボロボロだったんじゃねぇか!? そんな状態であんな無茶しやがって……!』

「えっ!?」

 

 ダメージが蓄積していたのは八幡だけではない。ジード当人たるリクこそが最も消耗が激しかったのだ。その上で、無理を押して八幡から分離したのであった。

 

「と、とにかくすぐにリクに治療を!」

「ええ!」

 

 ライハたちがリクを星雲荘へ運んでいく中、ゼナたちAIBは行方をくらましたレイデュエス一味を必死で捜索していた。

 

『決して逃がすなッ! 地底間弾道弾は健在なのだぞ!』

 

 

 × × ×

 

 

 AIBの奮闘も虚しく、レイデュエス一味は既に円盤へと逃れていた。

 そして、今にも死にそうな顔になりながらもコンソールに食らいついているレイデュエスにオガレスとルドレイが狼狽する。

 

『殿下、本気で撃つのですか!?』

『あくまで脅迫材料で、実際に撃てばどんなことになるか……!』

「どけぇッ!! こうなったからには、最後まで毒を食らってやるッ!!」

 

 二人を突き飛ばしたレイデュエスが、ひと際大きい赤いボタンへと拳を振り上げ、

 

「地底間弾道弾! 発射ぁぁッ!!」

 

 思い切りぶっ叩いた。

 地底ミサイルの三基が火を噴き、地盤を穿って潜行を開始した。

 

 

 直後、地球上の三か所で土地の全てを燃やし尽くすほどの大爆撃が発生。未曾有の事態は即座に地球全土に知れ渡り、世界中を震撼させた。

 かくして、史上最大の侵略の幕が上がる。

 

 

 

『ウルトラストーリーナビ!』

 

八幡「今回は『ウルトラセブン』第四十八・四十九話「史上最大の侵略」だ」

八幡「ウルトラ警備隊の夜間パトロールに出るダン隊員だが、明らかに様子がおかしい。彼はそれまでの激闘の疲労が重なり、体調が最悪の状態に陥ってたんだ。そんな時に、宇宙人の大規模な侵略が行われる。ダン自身が無理を押したせいでウルトラ警備隊は窮地になり、セブンもまともに戦えないありさま。そして始まる、前例のない史上最大の侵略。命の危機にまで瀕するセブンと、地球の運命は……」

八幡「宇宙人の侵略劇を中心に物語を描いた『セブン』の幕引きとなる最終回前後編だ。あまりにも絶望的な展開の連続、セブンのかつてないピンチが、これが最後だということを強く物語ってる」

八幡「ダンの正体をアンヌに明かしてからのクライマックスの美しさと、悲壮感溢れる幕切れは、伝説の最終回として語り継がれてるぞ」

リク「この最終回みたいに『セブン』には重いストーリーの回が多く、ファンからの支持がシリーズでも特に大きいんだ」

八幡「最終回……俺たちもいよいよだな」

 




結衣「そっか……とうとう、この時が来たんだね……」
雪乃「始まりがあれば、終わりがある。出会いがあれば、別れがある……」
結衣「でも、本気でそのことを考えたことはなかったかも。いつの間にか、今が当たり前みたいに思ってた」
雪乃「だけど、着実に近づいていたのよ。そして今まさに、目の前にあるわ」
結衣「ねぇ……あたしたち、どんな最後を迎えるのかな」
雪乃「どんな結末だろうとも、見届けましょう。八幡くんたちと――彼の選択を」

八幡「これが最後だ。決めるぜ――覚悟」



次回、『やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。』

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