やはり俺がウルトラマンジードなのはまちがっている。   作:焼き鮭

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今が少年から大人になる時だ。

 

 ギャラクトロン軍団の沖縄襲撃はリクと愛瑠もすぐに察知し、森林を抜けてきたが、その二人の近くにまで既に三機ものギャラクトロンが迫っていた!

 

「うっ!」

 

 ギャラクトロンの一機から放たれた光線からどうにか逃れると、愛瑠がペンダントを掲げる。

 

「グクルシーサー!」

「ウオオオォォォン!」

 

 ペンダントから大地を守護する聖獣グクルシーサーが召喚され、ギャラクトロン一機に飛び掛かって動きを封じ込む。

 グクルシーサーが時間を稼いでいる間に、ジャグラーが愛瑠の傍らに現れて呼び掛けた。

 

「おい、そのペンダント貸せ。そいつには生命のエネルギーを増幅する力があるんだろ?」

 

 突然の要求にためらう愛瑠だが、グクルシーサーだけでは多数のギャラクトロンを抑えていられるはずがない。

 

「早くッ!」

 

 ジャグラーが声を荒げて、愛瑠はペンダントを彼に渡した。ジャグラーはリクにも目を向ける。

 

「テメェは戦わねぇのか」

「……僕は……」

 

 まだ先ほどのショックが抜け切れていないリクは後ずさりし、座り込んだ。どの道、二十時間経過しなければ再度フュージョンライズすることは出来ない。

 

「臆病モンが。引っ込んでろ」

 

 リクに見切りをつけたジャグラーは、ペンダントの力で自らの生命力を増大させ、巨大な魔人態となってギャラクトロンと互角に戦えるだけの状態となった。

 

『はぁッ!』

 

 蛇心剣を抜いてギャラクトロンの一体に猛然と肉薄していき、振るわれたギャラクトロンブレードを弾いて袈裟斬りを叩き込んだ。

 グクルシーサーやジャグラーが戦っている間に、ペガを星雲荘に残した雪乃たちはリクの元を目指して全速力で走っていた。

 

[皆さんは、リクとギガファイナライザーの保護をお願いします]

『うむ。急ぐぞッ!』

 

 ゼナが皆を急かすが、三浦たち一般人組はついていけず、置いていかれがちになっている。

 

「そ、そんなこと言ったって……何であーしらまで……」

「地球を守るってすげーしんどいべ……」

「そんなこと言っていられる状況じゃないぞ……!」

 

 こめかみに冷や汗を流す葉山。ジャグラーが戦闘に加わっても、まだ数で圧倒的に負けている。彼らの周囲には、続々とギャラクトロンが集まってきていた。

 

「まずい……囲まれてるぞ!」

「せ、先輩……!」

「ハッチー……!」

 

 憔悴する平塚。結衣やいろはが思わず八幡に祈ったが、八幡は今はどこにもいないのだ。

 その代わりのように、千早が皆に振り返って告げた。

 

「ここは私たちに任せて!」

 

 そう言って765プロアイドルたちは、二人ずつオーブライトリングの力を用いて、六人のウルトラマンオーブとなってギャラクトロンの軍勢に立ち向かっていった。

 

『「はぁっ!」』

 

 スカイダッシュマックス、フォトンビクトリウム、ゼペリオンソルジェント、ナイトリキデイター、パワーストロング、ブレスターナイトの六人がギャラクトロンの包囲を撹乱し、注意を引きつける。

 

「今の内っ!」

 

 陽乃の一声を合図として、再び走り出す一同。だが、敵はギャラクトロンだけではなかった。

 無数の魔法陣が森林の間に出現し、そこから単眼のアンドロイドの大群が、片刃の剣を振り上げながら雪乃たちに襲い掛かってきたのだ!

 

「ひぃぃぃ―――――!? 何だぁこいつら!?」

『ギルバリスの送り込んだ兵士かッ!』

 

 アンドロイド兵士バリスレイダーに情けない悲鳴を上げる材木座。ゼナや陽乃は即座に銃を抜いてバリスレイダーに発砲していき、ライハも剣を抜いて斬りかかっていった。

 

「やぁぁーっ!」

 

 だが他の者たちはあくまで一般人。バリスレイダーに対抗できるだけの力を持ってなどいない。数も多く、ライハたちだけではとても守りながら戦うことは出来ないのだ。

 

「いやあああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――! 来るんじゃなかったぁぁぁぁぁっ!」

「くっ……! こっちに来るな!」

「ち、ちくしょおッ……! 姫菜だけでも守るぜッ!」

「ぬふぅ……!」

 

 敵に囲まれて絶叫する海老名。平塚や、葉山、戸部や材木座も男を見せて、枯れ枝をせめてもの武器としてバリスレイダーを遠ざけようとする。

 

「朝倉さんは大丈夫なのか……!?」

 

 姿を確認することが出来ないリクの身を案ずる葉山。一方で、雪乃はバリアに覆われている空を一瞬見上げた。

 

「八幡くん……!」

 

 

 × × ×

 

 

 電脳ウィルス攻撃によってデータ化されてしまった八幡は、目を開けたら、光のない暗黒の世界の中にいた。

 

『ここは……そうか、俺はジードをかばって……』

 

 己が最後にしたことを思い出した八幡は、辺りに目を走らせるが、目の前はどこも真っ暗闇であり、自分の身体が今どうなっているのかも分からなかった。

 

『電脳空間、でもなさそうだな……。もしかして、ここが死後の世界って奴か……?』

 

 想像力を働かせた八幡は、口をへの字に曲げて自嘲した。

 

『全く、嫌になるな……。ホント俺、何回死ぬんだか……』

 

 他に出来ることは一つもなく、ぼんやりと自嘲の言葉を吐くのみ。

 

『けど、死後の世界にまで来ちまったのはこれが初めてになるのか……? ハハ、こいつはもう助からねぇのかもなぁ……。せめて、あいつらや小町が無事に生き残れればいいんだが……』

『――なっさけねぇこと言ってんじゃねぇよ、比企谷』

 

 突然、暗黒の世界の中に、自分以外の声が確かに聞こえた。

 

『誰だ!?』

 

 反射的に振り返った八幡の目に映ったのは、闇の中に一つだけほのかに浮かび上がる、人間の背中。

 

『あんだけしぶとく生き返りまくってたってのに、こんな程度のことで参ってんじゃねぇっての。ほら、帰りはこっちだぜ』

『あッ……おい!?』

 

 その背中が遠ざかっていく。八幡は必死に足を動かし、闇を手でかき、小さくなる背中をどうにか追いかけていく。

 あの背中は誰だ。どこかで見たような……声も、何度も聞いたような……だけど、こんな世界にいるからか、考えが纏まらない……。

 そうして背中を追い続けていく内に、その先に光が見えた。

 

『ほらよ、みんな待ってるぜ。お前の仲間たちがよ』

 

 光がどんどん大きくなり、八幡の視界を塗り潰していく。そうして目の前が真っ白になる直前、自分を導いた背中が振り向いた。その顔は――。

 

『――お前は……!』

 

 最後に見えたのは、一点の曇りのない紅玉色の瞳――。

 

 

 × × ×

 

 

 懸命にギャラクトロン軍団を押し返していたグクルシーサー、ジャグラー、765プロアイドルたちだったが、それでも圧倒的な物量の差と、二体目のMK2の前に崖っぷちにまで追いつめられていた。

 

『ぐッ! ぐわぁッ!』

「ウオオオォォォン!」

 

 ジャグラーとグクルシーサーが叩き伏せられる。そこに星雲荘が飛来してきた。

 

[援護射撃を開始します]

 

 星雲荘の船体から偏光ビームが放たれ、ジャグラーたちを斬りつけるギャラクトロンの背面を撃ち抜いた。ペガが星雲荘から叫ぶ。

 

「みんな、大丈夫!?」

『お前ら遅せぇよ』

 

 森林の中では、ライハが剣を振るってバリスレイダーの関節を切り裂き、次々に行動不能に追い込んでいっている。だがバリスレイダーは数の増加が留まるところを知らない。

 

「これじゃキリがないわ……!」

 

 更に、彼女やゼナたちはバリスレイダーの群れに押され、雪乃たちからどんどん遠ざけられていた。

 

『まずいぞ! 先にあっちをやるつもりだ!』

「雪乃ちゃんっ!」

 

 材木座らが必死の抵抗をするが、所詮枯れ枝など簡単に切り払われてしまう。真っ二つにされた枝を見て、絶望に嘆く材木座。

 

「も、もう駄目だぁぁ……。こんな時に、ゼロがいてくれたらぁ……」

『ったく、弱音吐いてんじゃねぇぞ義輝。俺と一緒に戦い抜いた日々を思い出せ』

 

 いきなり、材木座の脳内に、待ち望んだ声音が響いた。

 

「ふおぉッ!? こ、この声はッ!」

 

 材木座がおもむろに眼鏡を外すと――目つきが一変して、襲い掛かってきたバリスレイダーを肘撃ちと足払いで軽く返り討ちにした!

 

「うっそ!? 強っ!」

「待って! あなたまさか……!」

 

 急に強くなった材木座に三浦たちが度肝を抜かれたが、雪乃は今の材木座の雰囲気から、今は何者かを理解した。すなわち、

 

「ぜ、ゼロぉぉ! 無事だったんだな!」

「ヘヘヘ。俺の心配なんざ、二万年早いぜ」

 

 材木座が懐から取り出したのは、ウルトラゼロアイNEO。ゼロが再び彼の身体に憑依した証拠だ!

 

「間一髪、シャイニングの力で時間を超えて、攻撃から逃れたって訳だ」

 

 ゼロとオーブは集中砲火でとどめを刺されそうになった瞬間、シャイニングウルトラマンゼロの時間跳躍で未来に脱出していた。だから跡形もなく消えたのだ。

 

「だが、一度シャイニングになると消耗が半端なくってな。久しぶりに頼んだぜ、義輝!」

「もちろんだ! ゼロ!!」

 

 材木座は嬉々として、ゼロアイを自身の顔に装着した!

 

「デュワッ!」

 

 材木座から変身した勢いで、群がるバリスレイダーを纏めて吹き飛ばして飛び出していったゼロが、ギャラクトロンの一体に飛び蹴りを決めた。更にその体勢からネオ・フュージョンライズ!

 

『ブラックホールが吹き荒れるぜ!』

 

 ゼロビヨンドの百裂キックが抵抗も許さずにギャラクトロンを粉砕した!

 

「やったぁっ!」

「今の内だ!」

 

 バリスレイダーの包囲が破られたことで、平塚を先頭に雪乃たちがリクの元へと走っていく。その護衛にライハがつき、追おうとするバリスレイダーはゼナと陽乃の銃撃が足止めした。

 

「いた! あそこ!」

 

 海老名が指差した先に、まだへたり込んだままのリクの姿があった。そこにバリスレイダーの別動隊が襲い来るが、ライハの剣が止める。

 その間に、雪乃がリクに向けて叫んだ。

 

「リクさん! 私たちは、リクさんを信じます! 勇気を燃やして立ち上がって下さい!!」

 

 雪乃に続き、結衣が叫ぶ。

 

「負けないで! あのロボットたちに、衝撃を見せてやって!!」

 

 平塚も叫ぶ。

 

「私たちみんなの希望を守ってくれ!!」

 

 いろはもまた、リクに訴えかけた。

 

「どうか、地球の運命を変えて下さい!!」

 

 皆の願いの言葉を耳にして、リクがゆっくりと立ち上がっていく。

 

「みんな……!」

 

 しかしその時に、愛瑠を守っていたグクルシーサーがギャラクトロンのクローに吹っ飛ばされる。

 

「ウオオオォォォン!」

「グクルシーサーっ!」

 

 無防備になった愛瑠に、ギャラクトロンのレーザーが襲い掛かる!

 

「くぅっ!!」

 

 愛瑠はペンダントからバリアを張り、レーザーをどうにか受け止める。

 

「愛瑠さん!!」

 

 目を見張ったリクに、愛瑠はレーザーを防ぎながら呼び掛けた。

 

「リクくん……君は一人じゃない! たくさんの素敵な仲間がいること、忘れないでっ!!」

 

 そこまで語ったところで限界が来て、バリアが破られる。

 

「あああぁぁっ!!」

 

 業火の中に呑み込まれる愛瑠。

 

「愛瑠さぁんッ!!」

 

 絶叫するリク。戦っていた者たちも、愛瑠の惨状に目を見張った。

 

「ウオオオォォォン!」

 

 愛瑠をやられたグクルシーサーは憤怒し、エネルギーの塊となってギャラクトロンに突進し、破壊した。リクは慌てて愛瑠の側に駆け寄る。

 

「愛瑠さんッ!」

 

 愛瑠を抱きかかえるリクだが、既に彼女の息は絶え絶えだ。

 

「リクくん……」

「愛瑠さん……僕がまちがってた……! みんなを守らなきゃって、僕が頑張らなきゃって意地張って……! 周りが見えなくなって……!」

 

 後悔に襲われるリクに、愛瑠は虫の息でありながらリクに説き続ける。

 

「リクくんは……運命に抗い……未来を、変えてきた……。でも、それは……支え合う、仲間の、笑顔が、力になってくれたから出来たこと……。君は、ひとりじゃない……。あなたたちなら……できる……。だって――あなたたちは――」

 

 最後の言葉を残して――愛瑠が光となって消えていき、後には赤き鋼だけが残された。

 

「――愛瑠さぁぁぁぁぁんッッ!!」

 

 天を仰いで絶叫したリクに、ライハが願う。

 

「立ってリク! 愛瑠さんが愛した地球を護るために!!」

 

 ――皆の願いをその身に受けたリクは、赤き鋼を握り、立ち上がった!

 

「僕は……僕は強くなるッ!!」

 

 心を込めて宣言したリクが手を突き出し、その手の中の赤き鋼に覆われていた石のコーティングが剥がれた。

 ジェンドロンとの戦いの際に一時的に手にしていた、選ばれた戦士の証、必勝激聖棍ギガファイナライザーが真にリクを選んだのだ。

 

「――!」

 

 それとともに、リクの胸元からカプセルが浮かび上がった。それはギガファイナライザーと同じく、一度だけ起動してからずっと空になったままだったリク自身のカプセル。

 ウルトラマンジードの本来の力を呼び覚ます、エボリューションカプセルの、本当の覚醒だ!

 

「……!」

 

 左右の手にギガファイナライザーとエボリューションカプセルを握ったリクの手に――光に覆われた手が重ねられた。

 その手の主は――データ化されたままだが、確かにリクの隣に戻ってきた、八幡であった。

 

『覚悟だったら、とっくに決めてる。だろ?』

「――ああ!」

 

 八幡にあらん限りの力でうなずいたリクは、彼を自身の身体に重ねてギガファイナライザーを構えた。

 

「ジーッとしてても!」『ドーにもならねぇ!』

 

 八幡のデータを纏うリクが、エボリューションカプセルのスイッチを入れる。

 

「ウルティメイトファイナル!」

『シェアッ!』

 

 カプセルからのビジョンを更に纏い、カプセルをギガファイナライザーのスロットに収め、ジードライザーでスキャン。

 

[アルティメットエボリューション!!]

「『つなぐぜ! 願い!!」』

 

 宣言したリクがギガファイナライザーのスイッチを押してレバーをスライド。穂から羽がせり出すと、両腕を腰に構えて溢れ出るエネルギーを全身に巡らせる。

 

「『ジィードッ!」』

 

 リクたちの身体が、あの時と同じ、フュージョンライズではない全く新しいジードの姿に変わっていった!

 

[ウルトラマンジード!! ウルティメイトファイナル!!!]

「シャアアアアッ!」

 

 ギガファイナライザーを握り締めて立ち上がったウルトラマンジード!

 ――その身体から生じる閃光を、願いを送った雪乃たち四人が浴び、彼女たちも肉体が変身していく。

 

「これは……!」

「この光……あたしたちも……!」

 

 そうしてジードの両隣に四つの光が現れ、それぞれが戦士の形となる。

 雪乃を宿したソリッドバーニング! 結衣を宿したアクロスマッシャー! 平塚のマグニフィセント! いろはのロイヤルメガマスター!

 ジード本来の能力が増幅されたことにより発現した奇跡、ジードマルチレイヤ―!

 

『「うわぁぁ~! わたしたちもジードになっちゃってますよぉー! びっくりぃ!」』

『「おぉぉぉっ!! すごすぎるぞジード! 感激だぁ~!!」』

 

 いろはが自分の手の中のキングソードを思わずなで回し、平塚は感動のあまり泣いていた。

 雪乃と結衣は、ジード・ウルティメイトファイナルに顔を向ける。

 

『「ふふっ、遅かったじゃない。こんな時に寝坊なんてどうしようもないわね」』

『「だけどお帰り――ハッチー!」』

 

 ジードのインナースペースには、八幡が完全な状態で復活していた!

 

『八幡、無事でよかった。だけど、どうやって?』

 

 尋ねたジードに、八幡が苦笑しながら答えた。

 

『「助けてくれたんだよ。友達がな」』

 

 復活を遂げたジードの勇姿に、星雲荘の内部のペガが興奮の声を上げた。

 

「あの時の姿だぁ! でも、まだ二十時間経ってないのに変身できたなんて」

[撃ち込まれたサイバーウィルスをギガファイナライザーで制御、増幅したことにより、あの姿に変化。同時にインターバルも克服したようです]

 

 レムがジードの変貌の理由を分析した。

 そしてジードたち五人の元には、先に戦っていたゼロたちが集ってくる。

 

『ようやく主役の登場か』

 

 オーブは空を、惑星クシアを見上げてジードに告げた。

 

『春香が待ってる。俺たちは先にギルバリスを叩いてくるぜ。ここは任せた!』

『はいッ!』

 

 オーブはアイドルたちとともに空に飛び上がり、ギルバリスが根城にするクシアに向かっていった。地上を引き受けたジードたちに、MK2率いるギャラクトロン軍団が迫ってくる!

 

「ハァァァァッ!」

 

 戦斧を振り上げるMK2に対して、ジードが高速回転しながら突撃。斧で防ごうとするMK2だがジードの超スピードの動きを見切れず、全身にギガファイナライザーの打撲を食らって火花を散らした。

 

「つ、強いっ!」

「あの化けモン相手に、一方的だべッ!」

 

 ウルティメイトファイナルの圧倒的な戦闘力に驚愕する三浦たち。オーブたちを散々苦しめたMK2が、まるで赤子同然だ!

 

『よしッ! 行こうみんな! ヒアウィーゴー!!』

『「意味被ってるわ!」』

 

 ジードの掛け声にツッコミを入れつつ、雪乃たちも一斉にギャラクトロン軍団に飛び掛かっていった。アクロスマッシャーとロイヤルメガマスターの剣がギャラクトロンブレードを防ぎ、ソリッドバーニングとマグニフィセントの鉄拳が本体を殴り飛ばし、そしてジードとゼロの棍と刃がとどめを刺す。

 

「やったぁーっ! 一気に逆転だぁっ!」

 

 ジード側の大攻勢に海老名が子供のように喜ぶ。一方で、戸部が苦笑いを交えつつ頭をかいた。

 

「にしても、結衣たちだけずりーよなー。ヒーローになっちゃってさー」

「全く……」

 

 葉山が、戸部のひと言に同意。

 

「やっぱり、ちょっとだけ悔しいかな。比企谷があんなに頑張ってるのに、俺には何の力もない……」

「そんなことはないぜ」

 

 いきなりどこからか、葉山たちの誰のものでもない声がした。

 

『誰だッ!』

 

 ゼナたちが咄嗟に警戒して周囲に目を走らせたが、姿はどこにもない。しかし声だけがし続ける。

 

「まだ残ってるだろ? お前には力が」

「えッ……?」

「ついでだしな。一度だけ、奇跡をくれてやるよ。後はお前次第だぜ」

 

 正体の見えない声に三浦たちが震え上がる。

 

「な、何なの? 一体誰が、何を言ってんの……」

「この声……どこかで……」

 

 呆気にとられる葉山の目の前に、上から何かがボトッと落ちてきた。

 

「うわッ!? 隼人くん危なッ!?」

「いま上から……でも何もないよ……?」

 

 海老名たちの頭上は、電脳空間に覆われた空だけ。落ちてきた物体の方に目を落とすと、それは赤い握力計のような装置と、二つの穴が並んだケース、そして怪獣が描かれた二つのカプセルであった。

 

「って、これってジードが使ってた……!」

「……まさか……!」

 

 葉山が握力計型のアイテム――ライザーを拾い上げて、何かを察した。

 

「……ジーッとしてても、ドーにもならない、か……!」

 

 そして葉山が、一本目のカプセルを起動!

 

「ユーゴーッ!」

 

 カプセルのスイッチを入れると、葉山の右隣にゴモラのビジョンが現れて腕を振り上げた!

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 ゴモラカプセルを装填ナックルに収め、二つ目のカプセルを起動。

 

「アイゴーッ!」

 

 そちらからはレッドキングのビジョンが現れ、こちらも片腕を振り上げた。

 

『ピッギャ――ゴオオオオウ!』

 

 レッドキングカプセルも装填すると、ライザーを持ち上げて起動する。

 

「ヒアウィーゴーッ!!」

 

 ライザーで二本のカプセルをスキャンして、エネルギーチャージ。

 

フュージョンライズ!

 

 二重螺旋が灯ったライザーを胸の前に置いて、トリガーを握り込んだ!

 

「はああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

 叫ぶ葉山の身体に、ゴモラとレッドキングのビジョンが重なる。

 

ゴモラ! レッドキング!

ルパーツ星人デュエス! スカルゴモラ!!

 

 葉山がスカルゴモラに変身して、グンッグンッグンッと飛び出していく!

 

「ピッギャ――ゴオオオオウ! ギャオオオオオオオオ!」

 

 そしてジードに横からレーザーを撃とうとしていたギャラクトロンを、大角で弾き飛ばした!

 

「うっひゃあぁぁ――――――――!? 隼人くんが、変身ッ!!」

『「葉山お前……!」』

 

 戸部たちが吃驚仰天。八幡も目を見開いてスカルゴモラに向くと、葉山は不敵に笑みながら呼び掛けた。

 

『「地球の運命が懸かってるからな。俺も参戦させてもらうぜ」』

『「……へッ、勝手にしろよ」』

 

 八幡も、皮肉げな苦笑で葉山に返した。

 スカルゴモラも交えたジードたちの猛反撃が、ギャラクトロン軍団をどんどん減らしていく。残存数をカウントするレム。

 

[地球上に転送されているギャラクトロン、残り7体]

『これで決める! クワトロスラッガー!』

 

 ギャラクトロンの真正面に立ったゼロがスラッガーを飛ばすとともに、八つの光球からの光線をギャラクトロンに集中させる。

 

『バルキーコーラス!』

 

 光線の照射と四本のスラッガーの斬撃が叩き込まれ、ギャラクトロンは粉微塵に爆砕。

 

[6]

『「はっ!」』

 

 雪乃がジードスラッガーを握ってギャラクトロンの四肢を切り裂き、行動を封じたところで右腕より緑色の熱線を発射。

 

『「ストライクブーストっ!」』

 

 熱線を腹部に食らったギャラクトロンが赤熱化して爆裂。

 

[5]

『「ジードクロー!」』

 

 結衣はクローを握り、ライザーでスキャン。

 

[シフトイントゥマキシマム!]

 

 三回トリガーを引いて爪を回転させ、赤いスイッチを押してクローを天に掲げた。

 

『「ディフュージョンシャワーっ!」』

 

 頭上から無数の光の針に貫かれたギャラクトロンは、バラバラに玉砕。

 

[4]

『「食らえっ!」』

 

 平塚はメガスライサークロスでギャラクトロンシャフトを切断し、バランスを崩したギャラクトロンにL字に組んだ腕からの光線を撃ち込む。

 

『「ビッグバスタウェイっ!」』

 

 光線の直撃をもらったギャラクトロンが瞬時に粉砕。

 

[3]

[解放せよ! 宇宙最強の力!!]

 

 いろははキングソードをライザーでスキャンし、柄に三回手をかざした。

 

[アン! ドゥ!! トロワ!!!]

『「ロイヤルエンドっ!」』

 

 放たれた金色の光の粒子に呑み込まれたギャラクトロンは、跡形もなく消滅。

 

[2]

「ピッギャ――ゴオオオオウ! ギャオオオオオオオオ!」

 

 葉山が宿るスカルゴモラはギャラクトロンのレーザーを突っ切って懐に飛び込み、角を突き刺して振動波を相手に流し込む。

 

『「スカル超振動波ッ!」』

 

 内部から破壊されていったギャラクトロンが木端微塵に爆破。

 

[1]

 

 そして最後に残ったMK2相手に、八幡がギガファイナライザーをライザーでスキャン。

 

[目覚めよ!! 最強の遺伝子!!!]

 

 レバーを三回スライドして、ファイナライザーを巨大な刃とする。

 全力を棍に乗せて、最大の斬撃をお見舞い!

 

「『クレセントファイナルジード!!」』

 

 斧を盾にしたMK2だがその斧ごと両断され、大爆発に散っていった。

 

[0]

 

 レムのカウントが終わり、地上のギャラクトロンは一掃された。スカルゴモラがジードたちに向き直る。

 

『「俺はここまでみたいだ。親玉は頼んだ」』

 

 その言葉を残してスカルゴモラが消え去り、葉山が元の姿で街の中にたたずんだ。

 

「シュアッ!」

 

 ジードたち六人は惑星クシアを見上げ、そろって飛び立って敵の本拠地に向かっていった。

 こちらもバリスレイダーを全て撃破したライハたちがその後ろ姿を見送る。

 

「お願い、リク。みんな……」

 

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