とある連載終了済みのラノベが10周年で新刊出してるのを見かけて思わず買ったんですが、読んでるうちに(自分はこれを無意識に参考にして、小説書いてるんだな...)って強く感じました。なんか文体がこの作品と似てた。
確かに自分がラノベにハマるきっかけとも言える作品でしたが、こんな形で影響してるとは思いませんでした。なんでここで話したかと言えば、話す相手がいないからです(笑)
関係ない話を失礼しました。今回はゆゆゆい編、 偽作者雷帝に祝福を さんからのリクエストを中心に作りました(今回はカップリングだけですが)。リクエストありがとうございます!
まだまだリクエストは募集中です(投稿するとしてもある程度時間を頂きますが...)。皆さんよろしくお願いします。それでは下から本編です。
「まだ誰かいるかー?」
「あ、椿様!お疲れ様です!」
「...俺は様付けしなくて良いんだぞ」
正確には皆そうやって敬われたいとは思ってないだろうが、『俺』から『皆』にしたところで『皆さんから言われていないのに、そんなことできません』とか言われそうなのでやめておく。
「そうでした...すみません椿先輩」
「別に気にしてないよ。国土ちゃん」
「私も亜耶でお願いします」
「...わかった。亜耶ちゃん」
「はいっ!」
そう言って、彼女は微笑んだ。
彼女の名前は国土亜耶。俺の使う戦衣の本来の持ち主、32人の防人を支援する巫女だ。幼い頃から大赦で巫女として鍛えられた言わばエリート。既に手に入れた領土の強化なんかは、慣れている水都やひなたと同等に行って見せた。
ここまでの経歴だと高飛車な性格が俺の脳内に浮かぶが、本人の雰囲気や性格がとんでもなく聖人で、癖のある勇者と接してきたことと相まってその印象が別の意味で強烈だった。
(一言で表すなら慈愛かな...良い子過ぎるんだよな、この子)
だからこそ、感じることもある。12才の少女がこんな異世界に来て不安になってないか。
(いや、違うな)
もう少しすれば防人の数人が来ることも分かっている。彼女が神託を聞く巫女であるが故に、不安になることはそこまでないだろう。
問題は俺が勝手に思っていること。彼女がどう思っているのか________
「あの、椿先輩?」
「ん?あぁごめん。副部長から今日はもう部室閉めてくれって連絡来たから一応確認をな。まだ亜耶ちゃんに鍵の場所教えてなかっただろうしタイミング良かったわ」
「私一人ではどこにあるのかわからないですからね...ありがとうございます」
「いえいえ。ついでに職員室のどこに置いてあるかも教えておくからついてきてくれ」
「はい!」
てこてこ後ろからついてくる彼女は小動物っぽくて可愛らしい(俺は動物そこまで好きではないんだが)
だから不安で、でも聞けない。
(平気なのか...なんてな)
彼女は巫女だ。そして、幼い頃から大赦で過ごしていたせいで無垢なまま、健やかに、神樹様を善として生きてきた。
別に神樹様を否定するわけじゃないが、勇者(精霊)システム、満開、さらには神婚。俺達としては今でこそ笑い話にできることがあったのも事実だ。
神婚は、神に見初められし友奈と地の神が結婚することで人類を神に近い存在へ昇華してもらう儀式。その順番は、神を信仰している者ほど早い。
そんな話を知らず、ひたすら加護を与えてくれる人類の神様だと考えいた彼女が神婚により死にかけ、直後に神樹様が突然亡くなったのも、また事実だった。
本州を調査していた頃の彼女は、四肢こそ無事であれど、片目に眼帯をつけ、体調も怪しかった。
俺が西暦から戻ってきた後の数週間、色々落ち着いたりするため調査に協力できなかった頃にようやく眼帯も取れて、元防人チームが完全復活________今この異世界にいる亜耶ちゃんは、その時間軸、俺達と近い時間から来たと言う。
当然訪れた体の欠損、心の一部と言って差し支えなかっただろう神樹様の消滅、そして、それを乗り越えてすぐに突如飛ばされた神樹様のいる異世界。
でも、彼女がそんなことを気にしてる様子はほとんど感じられなくて、だとしても本当は不安で俺に何か出来ることはないかという俺の余計な心情だけが頭を巡る。
「椿先輩?」
「っ、ごめんごめん」
いつの間にか外に出てたようで、バイクを起動させられるようスマホを取り出す。
「亜耶ちゃんも乗ってく...か?」
何故か俺は、頭を撫でられていた。
「椿先輩の考えていらっしゃること、何となく分かります。元いた世界でも、何度かお会いした時芽吹先輩と話していたことは知っていますし、私のことを気にかけてくださっていたことも...」
「......」
「今この世界に、確かに芽吹先輩方はまだいません。不安が全くないと言ったら嘘になります。でも、私は嬉しいんです。人を守ってくれた神樹様をまた感じられる。感謝を伝えることが出来る」
亜耶ちゃんは続けて語る。その瞳は、優しさで溢れていた。
「それに、出会うはずのなかった勇者の皆さんにも出会えました。この数日だけで、樹ちゃんや杏ちゃんをはじめ、優しさに溢れている方々だというのが実感出来ました」
「...」
「だから椿先輩がそこまで気を使わなくても、私は平気ですから」
「......君は優しいだけじゃなくて、強いんだな」
「とんでもない。私は皆さんについていっているだけです。私が強いのであれば、それは勇者部の皆さんが強く引っ張ってくれるからですよ」
「...うっし、わかった。あんま気にしないようにするよ」
「はい!」
俺(高校生)が必要以上に気を使っているのを知った上で、大したことないと言ってくる亜耶ちゃん(中学生)。
(癖はないが、良い子過ぎるな...ほんと)
『亜耶ちゃんは本当に優しいんです。毎日掃除してますし、自分が大変なのに皆のことを気遣ってますし________』
密かに亜耶ちゃんの行動をメール(自慢)してきた防人のメンバーを思い出して、俺はくすりと笑った。
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「...っ」
放った弾が甲高い音を立てて用意していた缶に当たる。
「はーっ...命中率は八割ってとこか」
春信さんをはじめとした大赦に新調してもらった(それも大分前の事だが)銃に少しでも早く慣れるため、浜辺での木刀練習にBB弾の銃で空き缶を倒す練習を追加した。この世界の俺の武器は短剣で確定しているが、相変わらず鉛を貼った木刀二本を振っている。もはや習慣だ。
俺が銃を触れていた時期は、初期のレイルクスに含まれていた武器の一つとしてと、西暦で東郷の力を借りたときの狙撃銃しかない。始めたばかりは命中率二割以下と目も当てられない成果だった。
(そう考えると、進歩したなぁ...)
目標とする星屑は缶に比べれば遥かに大きいので、これで練習しとけば本番は大体外さない。近距離武装の多い現勇者部としては、威力の関係上雑魚限定とはいえ中距離をカバー出来る武器があるのはありがたかった。
「...ぷはっ」
「!?」
「椿か、また練習か?」
「......そういうお前は海潜ってたのか」
突然後ろから音がしたので振り返ると、そこには同級生がいた。
古波蔵棗。西暦の時代、南の島国『沖縄』にいたという勇者。属に言うヌンチャクを縦横無尽に扱い敵を倒す勇者の一人。
その傍ら、海を敬愛しよく潜ったり食べ物を取ったり海の声を聞いたりする(ここはよくわからない)少女でもある。
男前な所もあって可愛い系というよりかっこいい系で、風より頼られる所もある一方、少し園子に似た天然成分も含まれている。
(なんか、こうして纏めると勇者って一癖二癖ないとやれないんだな...)
「良いワカメが取れたんだが、いるか?」
「...今日はバイクだし、この後園子と出掛けるからパスで」
(海産物とか取る人のこと、海女(あま)って言うんだっけ?確か...)
高校生になってから夜食も作ることが多くなったが、棗がくれるワカメや海産物は凄く美味しいし、珍しい物もくれるので料理の幅も広がる。量そのものはまばらだが、生態系バランスを崩さないよう海と相談してその日の取る量を決めているらしい。
料理の回数が増えれば経験もより高まり、朝食のレベルが上がって三ノ輪家からの評判はぐんぐん上昇した。昼は風か園子(配達は乃木銀朝イチ便である)が弁当を作ってきてくれるので、学校のある昼は相変わらず作らないが。
学校といえば、この特殊な時空に呼び出されたメンバーは大赦の配慮で学校生活を送れるようにしてもらっている。過去から来たとはいえ勇者を敬う大赦の姿勢は変わらない。
(いや、寧ろ過去から偉大な英雄が来たからこそ、かな...)
住む場所は寮として提供され、西暦から来たメンバー、小学生組はそこに住んでいる。学校はまちまちで、小学生組は別の小学校に、西暦の四国と諏訪の勇者は中学校の一室で、雪花は友奈達と同じクラスへ。
棗も例に漏れず寮に住み、勉強は俺と風がいるクラスですることになった。
ちなみに、同じ高校一年である千景は若葉たちと一緒に授業を受けている。元から学年の違うメンバーで学んできたし、俺としてもそっちを推奨した。
(若葉はともかく、千景が自分の子孫かもしれない子と一緒に勉強したいとは思えないし...)
『郡彩夏』の姿を思い出して、千景が会ったときどんな反応をするかを想像するも、固まってる様子しか思い浮かべられなかった。
この世界の春信さんはまだ大赦に属しているため郡の勇者適性値を調べて貰ったところ、ほとんどなかったらしい。勇者の子どもは確実に勇者になるとは言えないわけだし、そこまで驚きはしなかったが。
脳内で話を展開してると、棗が海からあがって隣にいた。白い髪から滴る水が肩に当たり、体を伝っていく。
「タオルいるか?」
「いや、いい。一度落ち着けばまた海に行くし、すぐに乾く」
確かに今日の気温は高く、太陽もギラギラ。引きこもって休日を過ごそうとしてる人もいるだろう。
「じゃあちょっと待ってな」
「?」
停めてあったバイクから塩分を含んだラムネ菓子とスポドリを持って戻る。
「きちんとこういった自分の管理はしてるだろうが、念のためな体に入れとけ」
「椿の分は...」
「俺はこっちがあるから」
予備でいれていたみかんジュースを見せると、棗は納得いったようで「ありがとう」と言って取った。
「こんだけ暑かったら海も気持ち良いだろう」
「あぁ...椿も今度入るか?」
「折角だしな。コンディションの良い日があったら教えてくれ」
「分かった」
「ぁ、でもその前にプールかな」
球子や銀がウォータースライダーつきのプールに行きたいと言っていたのを思い出す。確か近々行こうと言っていた。
(男子一人に女子が沢山...俺の心臓は持つのやら)
どこか自分とは関係ない感じで頭を回す。楽しいことは間違いないのだが、美少女揃いなだけあって男の心情はある意味複雑である。
「私は大丈夫だろうか...」
「え、何が?」
「プールは疲れそうでな」
「普段から泳いでるだろうに...そんなに海とプールって違うもんか?」
「というよりも、人混みが多そうだからな...」
「あー......」
大赦に言えば、貸しきりにしてくれるだろうか。なんて考えてると、棗がスポドリの蓋を閉めた。中身は空だ。
「ん、くれ」
「...すまない」
「気にすんな。また海行くのに邪魔だろうしな」
「お礼に...いや、この言い方だと椿は遠慮するな。今日は多目に食材が取れそうだから、私のために料理を作ってくれないか?」
「なんじゃその頼み方は」
「椿をずっと見てきたからな」
確かに『お礼に食材を届けに行く』と言われれば俺は遠慮しそうだが、わざわざそう言ってくるのもどこかおかしくて笑ってしまった。
(さらりとそんなこと言いやがって...)
「それならいっそのこと風か園子の家でも借りて料理作って、皆呼ぶか?」
「それがいい。皆の作る料理は美味しいからな。場所は任せる。メールをくれればそこへ向かおう」
「了解。じゃあ夕食の買い物がてら準備してくるわ」
「あぁ。私も行ってくる」
「行ってらっしゃい。ないとは思うけど一応怪我とか気を付けてな」
「ありがとう」
海に潜っていく棗を見送って、俺も準備を始めた。倒した缶を回収して、諸々をバイクの収納スペースに入れていく。
「よし...行きますか」
夕飯の編成を考えながら、俺はバイクを走らせた。
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『椿をずっと見てきたからな』
(...さっきのはちょっと、恥ずかしかった)