古雪椿は勇者である   作:メレク

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色々お話したいことが重なって多い...本編見たいぞって方は飛ばしちゃってください。

まずゆゆゆい。新章でどんどん出てくる新たな設定、やっぱ稼働しているストーリーを書くのは難しいですね。随分前に感想で書くの難しいぞと言われたことあったんですが、その通りだった。

自分も危惧してましたが、リクエストがメインだし...と思ってたら、書き始めたらどんどん考えを書きたくなってキリがないですね。嬉しくもあり悩ましくもあり(笑)

とりあえずくめゆ組の話も終わったので、ゆったり日常っぽいのを出したいです。ストーリーそのものが進むかは現時点では未定です(高知決戦編として長編を考えたんですが、原作との齟齬が大きくなりそうだし、この作品終わりそうな構想だったし)

次に、この作品のUAが30万を突破しました!!凄すぎてもう理解できない、信じられない数字です!!皆さんこれからも椿達の話をよろしくお願いします!

さて。今回は食用胞子さんからのリクエストです!まだ都心の方はは紅葉シーズンらしいし平気だよね...11月32日だから秋だし(錯乱)


短編 秋空に響く声

「いってて...平気か?」

「椿こそ!怪我はないだろうな!?」

「あー...へへ」

 

足が変な方向に向いてるのを見て、俺は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。

 

今日は紅葉を見に山登りに来ていた。アウトドア好きの球子の案で、特訓以外の運動がしたいと若葉の賛同があり、遠慮ぎみだった千景をユウが誘って、七人揃って来ている。

 

先程までは山頂で赤と黄色で彩られた世界を一望していたのだが、今の俺達はそんなことを言ってる場合でもなかった。

 

球子がはしゃいだ所が崩落、咄嗟に手を伸ばした俺も助けるどころか一緒に落ち。緩い坂だったことと落ち葉が多かったこと、最後に太めの枝を掴んで減速出来たことで、なんとか命を繋いだ。

 

「助けられたわ...」

 

折れてしまってもずっと持っていた枝を捨てようとして思い留まり、、足に添えて添え木にする。結ぶ紐があれば固定出来るだろう。

 

(骨折って、案外痛くないんだな)

 

痛かったとしても、好きな女子の前で泣いたりしない。

 

「球子、包帯とか都合よく持ってないか?」

「う~...椿......」

 

当の球子は俺の足を見て涙を流していた。

 

「タマのせいで...タマのせいでぇ!!」

「あぁもう、気にすんなよ。勝手に手を伸ばしたのは俺だし、一緒に落ちた球子は無傷で俺だけ怪我したとか恥ずかしいから」

「それは!!椿がタマを庇ってくれたから!!!」

「はいはい。じゃあ互いにチャラってことで」

 

泣く球子の頭を撫でて、どうにか落ち着かせる。感情豊かなことは良いが、こうしたことで涙を見るのはあまり嬉しくない。

 

「でも...でも...!」

「...じゃあ、これから動けない俺をしっかり介護してくれよ。皆が来るまでさ」

 

落ちた時皆とは少し離れた位置にいたので、すぐに落ちたから探そう。とはならないだろう。お土産屋さんとか見たり、周囲を探したり。

 

スマホは山頂に置いたままのバッグの中だ。球子も同じタイミングで入れていたので二人ともアウトだろう。

 

直接声を届かせるには不安が残る高さ。

 

「頼む。お前だけが頼りだ」

「...ズルいぞ、椿」

「悪いな」

「...よし!!タマに任せたまえ!!!」

 

 

 

 

 

実際、球子のアウトドアスキルには助けられた。

 

まず折れた足には、枝と球子の服をちぎった紐でどうにか固定。素人目だが、これ以上悪化することは無いんじゃないだろうか。

 

次に焚き火。煙で位置を特定しやすくするためと言った球子は即座に枝や葉を準備し、ポッケに入れていたライターで火をつけた。

 

後は、少し寒くなってきたため、暖を取るために_______

 

「...なぁ」

「ん?」

「......いや、何でもない」

 

振り向く球子の髪の毛がくすぐったくて良い匂いがして、発しようとした言葉を戻した。

 

球子は今、俺の足の間に腰かけている。体育座りで連結している形だ。

 

俺の足を固定する為に使われた球子の服は、始めこそ俺のシャツで代用するよう頼んだのだが、『タマの役目だ』と拒否。意見を曲げる気は無いようで、代わりに暖をしっかり取れるよう上着を貸した。

 

しかし、これも球子は拒否。『椿もタマも暖かくなれる』と言ってこの体勢になり、今に至る。

 

「...」

 

普段の二つ結びされた髪は俺の顔に当たると言うと降ろされ、癖のない髪が重力に従って垂れている。杏指導のドラマ作成時に大人しめの少女役者をしていた時と同じものだ。普段の球子とのギャップが文字通り目と鼻の先にあり、変な感じがする。

 

「暖かいなぁ」

「案外、一晩くらいは過ごせそうだな」

「どんぐりなら炒めて中を食べることも出来るしな!」

「え、そなの」

 

タイミングがあればどんぐりも食べてみたいと思いつつ、上を見上げる。雨が降らないだけありがたいが、後数時間で夜になるだろう。

 

「でもいい景色だわ」

 

いちょうの木が黄色に染め、紅葉の木が赤色に染め。名も知らぬ木々が幾つもの色合いを生み出す。

 

「...~♪」

「いい歌だな~」

「そいつはどうも」

 

この時代には存在しない歌を口ずさむ。いや、古くから伝わる子守唄の一つらしいから、この時代にもあるかもしれない。

 

「タマも歌いたいな...」

「帰ったら調べてみろよ。この時代にもあるかもしれないぜ」

「ってことは、それって椿の時代にあったやつなのか?」

「あぁ。でも歌詞もある程度覚えてるから歌える」

「歌ってくれよ!」

「...」

 

ここでダメなんて言える雰囲気じゃない。球子の性格からして、俺の性格からして。

 

「んじゃ、僭越ながら一曲...」

 

別段、特別な曲じゃない。ゆったりと、安眠効果でもありそうな優しげな歌詞と声。本物は女性ボーカルなので全く同じ高さとはいかないが、少しでも本物と近くなるようにする。

 

「~♪」

 

目を閉じ、昔の記憶を手繰り寄せながらひたすらに。そのうち一番が終わって_______

 

「...二番から先、知らねぇや」

「じゃあ繰り返し!!」

「わかったわかった」

 

余程気に入ったのか、紙芝居の続きをねだる子供みたいな球子の催促に俺は答えた。

 

(そんな歌上手くないんだがなぁ...)

 

「~♪~♪」

「......ふむ...~♪」

 

ながて、一つだった音色が二つになる。ゆっくりと音が重なって、洗練され、空気に溶けていく。

 

その感覚がなんだか心地よくて。

 

「...ずっと、こうしていられればな」

「えっ」

 

歌が突然止まる。それはまるで日常が非日常に変わったように。

 

「お前と俺と、二人でずっと...こうしていられればなって」

「椿...」

「...なんてな。そのうち皆が......」

 

俺の言葉は少しずつ音が小さくなる。振り向いた球子の髪が少しだけ当たるのも気にならないくらい、球子の瞳に見惚れていた。

 

その目は宝石に負けないくらいキラキラしていて、赤く染まった頬は紅葉より綺麗で。

 

「タマも...タマも、こうしていたい。椿と」

「球子......」

「椿...」

 

どちらからともなく、元からほぼなかった隙間を埋めていき__________

 

「好きだ。球子」

「大好きだ。椿」

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「ふ、ふふ、ふふふふふふふっ...」

「なぁ。あれ大丈夫なのか?最近よくあんな感じだけど」

 

椿が見てはいけないものを見てしまったと言いたげな顔をして、ひなたに聞いてみる。

 

「大丈夫...ではないでしょうか」

 

二人が見てる先には、にやけて笑いながらパソコンに文字を打ち込んでいる杏がいた。

 

「杏さん、最近小説を書き出したそうなんです。上手い展開が書けたのかもしれません」

「そ、そうか...」

「あははははぁ...」

「なんか、ヤバそうな感じもするんだが...ホントに大丈夫かあれ?」

「多分...大丈夫かと...」

 

乾いた笑いが止まらず、かといってなかなかヤバそうな杏に声をかけにはいかない。結局、声をかけたのはタマだけだった。

 

「あ、杏」

「!?タマっち先輩!?」

 

タマも自分の声が裏返ってないか不安になりながら、動揺している杏に話を続ける。

 

「その...見えてるぞ。ここで書くのはやめてくれ」

「...はぅぁ!?」

 

そう、椿やひなたの位置からは見えなかったが、タマの位置からは杏の書いている内容_____タマと椿の恋愛シーン_____が見えていたのだ。凄く恥ずかしい。顔が熱くなる。

 

「タマっち先輩...許して...」

 

一方、杏は青ざめていた。許可なくタマや椿を使ってるわけだし、当然と言えば当然だけど。

 

(だったら教室なんかでやらないで部屋で書けばいいのに...)

 

「タ、タマっち先輩...?」

「許す!許すから...その、えと...」

 

タマは自分の制御も出来ず_______

 

「で、出来たら見せろよ杏!」

「!!!!」

「...っ!」

 

恥ずかしさのあまりその場から脱兎の如く走り出す。

 

(言っちゃった言っちゃった言っちゃった...!!)

 

それは、杏に続きを書いてほしいと頼んでるのと同じで。さっき目があったあいつとの話を望んでると宣言してるようなもので。

 

「あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

タマの叫びは、丸亀城全体に響くような大声だったという。

 

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