古雪椿は勇者である   作:メレク

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ツイッターで、ゆゆゆい公式さんがクリスマスRTキャンペーンしてたので、自分も最近始めたアカウントでリツイートしときました(相変わらずゆゆゆいやってないけど)。ガチャ回しの力の一端になれれば...

今回もリクエストになります。慣れてないので結構苦労しました。よい反応があれば良いのですが...

何が一番苦労したって、椿君のわゆ時空半年とゆゆゆい時空一年半の時間足すと、精神年齢ほぼ18歳だから...(意味深)


ゆゆゆい編 20話

「......」

 

うっすらとした緊張感が俺を包む。別に何か悪さをしているわけではない。寒いから厚めの服を着て正座で見つめる先には、ベッドの上を占領している数冊の本達。

 

「......」

 

どうしていいのか分からず、とりあえず変に緊張していたのを深呼吸で解いた。

 

「...やるか」

 

特別なことをしていないように意識して、それがもう強く意識されている矛盾を自覚しながら、俺はそれを開く。

 

タイトルは________『イケナイ女の子の水着特集!!』だった。

 

 

 

 

 

夏に勇者部でプールに行った時。俺は皆の水着姿を見て鼻血まで出す体たらくだった。扇情的な姿、あどけない姿を、露出の多い水着で晒してくる様に耐えきれなかった。園子は反則。許さない。

 

かといって、勇者部にいる以上またこうしたイベントは起こるかもしれない。俺としても皆と一緒に楽しみたいし、気を使わせたくない。

 

そこで俺は耐性をつけるべく、俗に言うグラビア雑誌に手を出した。一応年齢相応で18歳以上の物は買ってない。

 

プールに行く前に似たような物を友人の裕翔(ゆうと)から借りて、実際多少の効果はあった。それをより高めるために今回は自分で買い込み、事を成そうとしているわけである。

 

正直抵抗はあったが、これで皆と気まずくならないなら、俺が無駄に動揺しないためなら構わない。

 

(ふぅ...そう言えば...)

 

『幼なじみとの危ない恋』と『エッチな体』というやけに露出の多い(というかタオルで隠してるだけなんてのもあった)のをドギマギしながらなんとか見終わった俺は、続きを読む前に小包を見た。

 

裕翔に本を買うと話した次の日に渡されたものだが、なんだかんだ見てなかったのだ。

 

『そうか、椿も...ようこそこちら側へ』

『歓迎されたくはないんだが』

『事情が事情だしな。贅沢な悩みで腹立つことこの上ないが...まぁいい!!お前にはこれをやろう!俺のお宝、遥か昔、西暦末期に流行ったと言われるファイナルウェポンだ...仲間の証として受けとれ』

『そう言われると無償に受けとりたくない』

『そういうな兄弟!!』

『やめろ離せくっつくな...!』

 

(結局押しつけられた物だったが、中身は一体...?)

 

開封してみると、毛糸が出てきた。勿論ただの毛糸ではなくて、丁寧に編まれた_______

 

「セーター?」

 

大袈裟に言われた割に大したものじゃない。触っただけで他との違いがあるかも分からず、別段特別感はない。寧ろ後ろ_____着るときに背中に当たる部分がごっそりなくて困惑した。

 

(セーターとして使えんのかこれ...エプロンを温かい素材で作りましたとか?)

 

確かにこれから冬のシーズンになるから嬉しいが、油はねなどを考えるととても使う気にはなれない。

 

「これがファイナルウェポン??」

 

疑問を解消出来ずにいると、インターホンが鳴った。

 

「はーい」

 

誰の客か分からないので、念のため雑誌達を本棚にしまい、セーターはハンガーに通す。

 

「どちら様でしょうか?」

『椿さん、こんにちは』

「あぁひなたか。どうした?」

『いえ、今日は椿さんのお部屋にと思いまして...』

「分かった。ちょっと待っててくれ」

 

インターホンのカメラ越しに話をつけ、来る途中にでも連絡くれれば良かったのにと思いながら家へ招く。

 

「あ、東郷も一緒だったのか」

「こんにちは。古雪先輩」

「おっす。お前も入るんだろ?寒いから早く入りな」

「ありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きますね」

 

二人は部屋に通し、俺は簡単に飲み物とお菓子を見繕って持っていく。

 

「お待たせ。にしてもどうしたんだ?」

「椿さん...」

「古雪先輩...」

 

ひなたと東郷は、真剣な目で俺を見つめた。

 

「単刀直入にお聞きします。古雪先輩は先日買われたいかがわしい雑誌、ぐらびあと言うものでしたっけ...どういう目的でそれを買ったのですか」

「」

 

まさかそんなことを言われるとは微塵も思ってなかった俺が、持ってきた物を落とさなかったのは奇跡に等しいだろう。

 

「椿さん」

「な、なんの話だよ...」

「古雪先輩。お願いします。真剣に答えてください」

 

男の先輩に「エロ本買った理由を答えてください」と迫る女の後輩二人。マンガでもあり得なさそうな状況に脳が追い付かない。

 

(でも...)

 

二人の目が、じっとこちらを見据える。恥ずかし過ぎて部屋を飛び出したくなった俺を、それが防いだ。逃げなければ立ち向かうしか無いわけで、俺の思考は無意識に加速する。

 

雑誌を買ったことが、何らかの理由で漏れた。しかし、そんな雑誌を買う人間だと分かっても、二人はここに来た。

 

(ダメだ。全然わかんねぇ)

 

少なくとも、戦いを乗り越え関係を築いてきた彼女達が俺に傷をえぐりつけるために来たとは考えにくい。かといって、男子高校生なら誰にバレても死にたくなるような物をわざわざ暴きに来た理由も理解しきれない。

 

(...正直に言うしか、ないのか?)

 

 

 

 

 

ここまでが、俺の夢とかだったなら、嬉しかっただろう。やっぱり、この状況よりも雑誌がバレてない方が嬉しかったから。

 

ただ、現実としてそれは存在し。

 

「んっ...」

「はむっ...」

「あっ...ぁっ」

 

耳を甘噛みされている今の方が夢ではないかと疑っていたが、麻痺した感覚はなにも考えられなくしていた。

 

ここまでの経緯を簡単に纏めると、

 

『俺が買ったのはお前達に対してちゃんとした態度をとるため(正直な告白)』

『分かった。許す(お前が本を買っていた現場を見たが、無罪とする)』

『ありがとう...じゃあ、これで...(ひとまず追い返そうとする)』

『買ったのは許すが、それで耐性をつける必要などない。自分達を使え(着ていた服を脱いで水着姿になる)』

『ふぁっ!?(ふぁっ!?)』

 

______纏めても意味が分からなかった。もう真面目に理解出来る範疇など越えている。

 

二人は元から俺の行動の理由をある程度察していて、手伝うために来てくれたらしい。『苦労をかけさせているのは自分達のせいだから』と。

 

だが、そんなドキマギする美少女達が自分の家で服を脱ぎ、着てきた水着で俺の隣を固めれば俺の頭は考えることなんてするはずもなかった。

 

「やめてくれぇ...耳は、耳はぁ...!」

「弱いんですね...」

「椿さんらしくない声ですよ?」

 

両側から耳を攻められて身をよじる。それで逃れることは出来ず、寧ろ彼女達の体のあちこちに触れて、柔らかさが伝わってくる。

(む、胸...当たってるから!)

 

声になったのかも分からないそれは、俺の理性をごりごり削る。催眠をかけられたように思考がぼやける。

 

時折ピリッとした感覚が俺を刺激した。西暦の頃にあった痛みを伴うものじゃなくて、心地よさのあるふんわりした感じ。病み付きになってしまいそうな。

 

「なんだか、可愛いですね」

「もう...ひゃめ...」

「椿さん、これに耐えれれば椿さんの言うように、水着姿を見たってへっちゃらですよ」

「で、でももう今日はいぃ...いぃからっ!」

 

自分の部屋なのに知ってる匂いなんてどこにもない。ただ、拒絶し難い。いや、どこか嬉しささえ感じるものが混じっていく。

 

「まぁ...耐えられなくてもいいんですけどね♪」

 

水分を多く含んだ耳が、異様にその音を吸いとった。

 

「やっ...やぁ...」

「ふふふ...あら...!!」

「ひなたさん?」

「東郷さん、少し出ますね」

 

ひなたが離れて部屋から出ていくことで、逃げるスペースが出来る。東郷から逃げ、壁に背をつけた。

 

「東郷...やめさせろ...」

 

東郷が自分からこんなことをやるとは思えない。ひなたに何か影響されたんだろう。

 

「そんな、体を使うようなこと...しちゃいけないだろ......」

「...古雪先輩」

 

東郷が俺にずいっと寄る。後ろは壁で逃げる場所はない。

 

「古雪先輩は、わ、私達が迷惑になっているのにも関わらず、自分でどうにかしようとしてるんですよね?」

「別に迷惑なんて!」

「...では、私も私のやりたいことをします。ひなたさんに言われたからじゃないんです。私が、こうしたいから...」

 

涙で潤んだ瞳を俺に向け、にじりよる。俺はいつオーバーヒートしても仕方ないくらいの熱を自覚しながら、自分の目をふさいだ。

 

いっそ、俺も乙女として生まれればこんな苦労をしなくてよかったのか。

 

「東郷...」

「古雪先輩...」

「お待たせしました~」

 

俺達の空気を断ち切ったのはひなただった。セーターを着ておりさっきに比べればずっと見やすい姿になっている。

 

「ひなた...」

「どうですか椿さん?」

「ぶっ!?」

 

安心できたのは本当に一瞬だった。ひなたがくるりと回れば、真っ白の眩しい背中が目に飛び込んでくる。

 

(は、はだっ!?)

 

しかも、俺の意識に逆らってよく見た目は、背中のラインを捉えなかった。

 

背中の上の方に、本来女子にあるはずの線がない。それは______

 

(し、したっ!)

 

「まさか椿さんがこれまで用意してるなんて思いませんでした」

「ひなたさん、それは...」

「私達の時代にちょっと有名になった、えーと、何でしたっけ...ディーティーを殺す服、でしたっけ?」

 

(ファイナルウェポン!!!!)

 

思考が理解を越えて勝手に叫ぶ。

 

「流石に恥ずかしいですね...」

 

真っ赤な顔ではにかむひなたの顔を見た俺は、何処かがキレタ。

 

「きゃっ!」

「古雪先輩!?」

「はぁ...はぁぁ...!!」

 

まるで獣が餌を見つけた時のように、荒い息が耳を打つ。押し倒したひなたは、俺の瞳をじっと見た。

 

「椿さん...」

「はぁ...もう、オレ......」

 

 

 

 

 

「...いいですよ?」

 

その言葉に、俺は最大の力で彼女の髪を掴み。

 

「んっ...」

 

彼女の顔が、歪んだのを見て。

 

「っ!!!!」

 

(俺は、俺はっ!!!!)

 

訳もわからず、自分の頭を彼女の隣に叩きつけた。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

銀の家に比べれば勢いの良いシャワーが俺の頭を刺激する。

 

「......」

 

さっき目が覚めた時には、ひなたも東郷もいなかった。というか買ったはずの本もなく、買ったこと自体夢だったのではないかと俺を疑わせる。

 

「...はぁ......」

 

八つ当たりのようにシャワーの水温を下げ、冷水が流れ始める。それでも俺の熱を冷ますには至らない。

 

(夢じゃなかったら大問題だが、夢でも問題だぞ...)

 

これを悪夢と捉えきれない辺り、俺の煩悩はバッチリ働いているのだろう。悔しいことに。

 

(寧ろ、俺を好きになってくれるよう頑張ればいいのか?)

 

今までは『彼女達には俺より相応しい人がいるはずだから』という思いがあった。ならば、俺がそうした存在になれれば。

 

「どっちにしろ、限界ってことなんだろうか...」

 

そんなものを見るということは、俺の抑えが限界ということ。

 

だが、それ以前にもう一つ。

 

「俺は、誰を」

 

咄嗟に思いついた姿はいくつもある。だが、鏡にうつる俺の口は何も答えない。

 

「俺は...」

「失礼しますね」

「あぁ、ひなた。丁度良かった。ひなたはぁ!?」

「椿さん。あれで終わりなんて思いました?区切ったし終わりだと思ってました?」

「なんおまっふ!?!?」

 

突如訪れた異常事態に人の言語を使って発されたとは思えないことを叫ぶ。

 

それも当然。我が家はごく一般家庭の一般的風呂。銭湯でもないのにタオルを持つはずがない。

 

つまり今の俺は完全に無防備。

 

「ひなた不味い!!!それはマジで不味い!!!!」

「大丈夫ですよ。タオルは東郷さんが持ってきてくれましたし、私達は水着ですし。椿さんが何もしなければ、お背中を流すだけですから」

 

意思を決めた巫女は、勇者は強い。知っている事実を知らなくて良いことで知った今日この頃である。

 

 

 

 

 

「痛かったりしますか?」

「いや、平気」

 

結局、ボディスポンジを使って洗うこと、背中だけというのを条件に、俺は二人に背中を洗われている。鏡を見なければ二人を見ることもないし、さっきよりはかなり楽だった。

 

(なんつーか、人生の運全部使いきってそう...)

 

当然の様に現実逃避じみた思考で無駄なことばかり考えるようにしてると、背中への力が消える。

 

「古雪先輩、失礼しますね」

「あーうん...!」

 

東郷が俺の肩越しにシャワーを取る。腕が俺の視界に入ってきた所で肩にむにゅりと圧がかかった。

 

「あっ...」

 

加えて耳元で漏れされる甘い声。今の俺はそれだけで簡単に_______

 

「あのさぁ。東郷」

「は、はい」

「...流石に、そこまでやられたら、もう耐えられないんだけど」

 

伸びていた腕を掴む。細い手首は簡単に折れてしまいそうで、守ってあげたいと思う。『普段の俺なら』

 

今は____________

 

「東郷...覚悟は出来てるんだろうな?」

「......古雪先輩になら...」

「そ。だったら...やってやるよ」

 

その声は、自分から出たとは思えないくらい暗かった。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「まずはお前のそれをーっ!?」

 

手を伸ばしたら衝撃が走り、何処かに打ち付けられる。

 

「いっつつ...あれ?」

 

上を見れば天井で、周りを見れば自分の部屋だった。状況から見てベッドから落ちたわけで。

 

「あれ?風呂は...東郷とひなたは?あれ?」

 

思考回路が冷静になってくると、さっきとは別の意味で顔が赤くなった。

 

(まさか...夢!?)

 

「えぇ...どうなってんの......」

 

ひなたも東郷もいない。日付も変わってない。ということは夢なんだろう。いつの間にか昼寝して見てた夢_______

 

「てか...ぁぁぁ!」

 

罪悪感が今更出てきて頭を抱える。夢とはいえひなたにも東郷にも乱暴なことをしそうになった。

 

(やっぱ慣れないことはするもんじゃないってことか...)

 

あの本達を読んだせいでこんな夢を見たのなら、見続けてたら耐性をつける前に俺の精神がやられてしまう。そう考えると本が魔の物に思えて、買った本を裕翔にあげようと急いで本棚を漁った。

 

「?...ない」

 

しかし、本は一冊もない。どこを探しても見当たらない。セーターもない。

 

「まさ、か......」

 

(いや、そんな...)

 

「一体、どこからが、俺の夢だった?」

 

なんて俺の間抜けな独り言に答えるやつはいなかった。

 

そこから俺は、東郷とひなたに近づくことも躊躇い、気まずい時を過ごし_____直すのに一週間かかった。

 

 

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