古雪椿は勇者である   作:メレク

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今日は雪花さんの誕生日!おめでとう!北海道で彼女がどう戦ってきたのか知りたい反面、ゆゆゆいで過去を嫌そうに語る彼女を見るとこのまま幸せそうにしていて欲しいと思い。おのれ神樹。

そしてお待たせしました。今回は逝風さんをはじめとした多くの方々のリクエスト回です。もうこれで部屋の壁を一人でバンバンやらなくてすむ!!


ゆゆゆい編 25話

「椿ー」

「どしたー?」

 

今日は一段と冷え込んでるらしくて、部室にいても肌寒い。外へ向かう依頼がなくてよかったと須美ちゃんのいれてくれたお茶を飲んでいると、隣に銀が座ってきた。

 

「園子がなー、言ってたんだよ」

「んー?」

「前、皆に壁ドンしたってホント?」

「ごふっ」

 

現実の攻撃はなにもされてないのに、アッパーカットを貰ったような反応をしてしまった。

 

「あ!ホントなんだ?」

「いや、まぁもう何年も前のことだし...」

 

もとの世界の銀がいなかった時だから、二年近く前になるだろう_____西暦にいた時もやったのだが、ここに若葉達がいない以上言わなければバレはしない。

 

「大体、昔なら銀にもやったじゃんか」

「そりゃそうだけどさ...昔やられるのと今やられるのは違うわけで」

「はぁ......」

「というわけで、やって」

「えぇ...」

「ほーらー!」

「やだよめんどくさい...寒いし」

 

大抵ろくな目にあってないので断固お断りしたいところではあるのだが、銀がそれを気にする筈もない。

 

「椿...おねがぁい♪」

「らしくないことしてるんじゃない」

「あぅ」

「残念だったな。お前の攻撃は滅多なことでは効かんぞ」

 

銀に甘えた声を出されようと、こいつに限れば聞き慣れ過ぎて耐性はついている。人差し指で彼女のおでこをつついた俺は、話は終いだと言わんばかりにお茶を飲む。

 

「くっ...こうなれば!アタシよ!園子よ!!」

「はい!!参上しました!」

「同じく~!」

 

即興劇に付き合いだしたのは小学生の銀ちゃんに園子ちゃん。須美ちゃんは頭を抑えていた。

 

「ごにょごにょ...」

「ふんふん...成る程!」

「分かりました~」

 

明らかに面倒な予感がするので逃げたいが、三人をどけないと扉に迎えない。かといって窓から逃げるのは流石に非常手段。

 

(ここで窓から出るのを手段として考えてる辺り、変わっちまったなぁ...)

 

決して長くない思考の時間で三人が布陣を整えてしまった。

 

「つっきー先輩。私にやってください~」

「椿さん!壁ドンお願いします!」

「椿、ちっちゃい子達のお願いを聞かないわけにはいかないよな?」

「いやいや...」

 

高校生が小学生に迫るのは間違いなくアウト。逆ならまだ微笑ましい一時に見えるかもしれないが、それは完全に襲ってる姿である。

 

「二人とも、銀にどう説得されたのか知らないけど、普通に怖いだけだぞ?あと銀ちゃんには昔の俺がしてるし」

「ダメですか?」

「ダメ。まず需要がないだろ」

「私達はお願いしてるのに~?」

「...銀に言われたからじゃん?」

「じゃあこうしよう!小学生組以外のメンバーから五人、椿の壁ドンをされたいって言う人がいたらやってもらう!この賭けのことは話さないで!!」

 

銀が勝ちを確信したように言ってきて、既にどや顔になっていた。

 

「...いいぜ」

「!」

「ただし、勇者部の中からだけ。友奈達神世紀勇者と若葉達西暦四国勇者は対象外だ」

「「え~!?」」

「なんでだよ!」

「もう一回やってるからな。ていうかそうじゃなかったら五人なんて楽すぎるだろ!!」

 

勇者部で残っているのは、歌野、水都、雪花、棗、防人組に亜耶ちゃん。半分以上呼ばれなければ俺の勝ちだ。

 

「どうした?やめるか?」

「今更やめれるか!その勝負乗った!!」

「賭けって言うからにはお前らが負ければ代償を払ってもらうからな」

「...アタシの体を好きに」

「しねぇよ!!くだらない賭けの対象にされてたまるか!!!」

「じゃあどうすんだよー」

「...考えとく!」

「じゃあミノさん!ミノさん先輩!行きましょう~!」

「おー!」

「やったるぞー!!」

 

ドタドタと部室を走っていく三人。音が聞こえなくなってから、俺は大きく息をついた。

 

「はぁぁ...」

「すみません椿さん。そのっちと銀が」

「須美ちゃんは悪くないから...なぁ、そんなに壁ドンって良いものだと思う?」

「やられたことないのでなんとも...好きな人に迫られる。というのは悪くないのかもしれませんが」

「ふーん...」

 

ちょっとぬるくなってきたお茶を飲みきる。さっきまでの騒がしさが幻のようだった。

 

「明日もこのくらい静かだといいなぁ...」

 

 

 

 

 

「ところで椿」

「なんだよ銀、戻ってきたのか?」

「さっきの話だと、若葉達にもやったの?」

「さよならっ!!」

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

(昨日、あんなフラグを立てたせいでっ!!!)

 

翌日。部室の椅子に座った俺は昨日の思いを滅茶苦茶恨んだ。

 

俺の前には、ニヤニヤしている銀、園子ちゃん、銀ちゃん。その隣に、棗、歌野、雪花、芽吹、弥勒さん。

 

(何で揃ってんだよぉ!!)

 

曰く。

 

「椿と仲良くなれる方法があると聞いて」

「杏さんから借りた恋愛小説を読んで、折角ならやられたいなと」

「園子ちゃんの顔で面白そうなことが起こりそうだと思ったので」

「今いる勇者はやられてると。動揺しない精神を鍛えられそうでしたから」

「私(わたくし)は令嬢として、経験しておこうかと」

「そんな...」

 

返事を聞いて項垂れる俺。ノリノリの銀達。何故か睨んでくる他の勇者達。

 

「誰も賭けの話はしてません!」

 

確かに賭けの話はしていないだろう。それ以外に言ったことは大いにありそうだが。

 

「勘弁して...」

「諦めろ椿!やらなきゃ終わらない!!」

「私達にもお願いしますね~」

「くっ...あぁ!やってやる!やってやるよぉ!!」

 

賭けに乗ったのも自分、賭けに負けたのも自分、もう仕方ない。覚悟は決めた。

 

「さぁ!やられたい奴から並びやがれっ!!」

「古雪先輩、大丈夫なんでしょうか...?」

「面白いのでそのままにしておきましょう」

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

一人目。棗。

 

「じゃあ壁に立って」

「こうか?」

「あぁ。さっさといくぞ...」

 

壁に手をつけ、ぐいっと棗に寄る。鼻先がくっつきそうなくらいで、棗が目を開いた。

 

「好きだ。棗」

「...私も好きだ」

「へ?」

「あっ...凄いなこれは。緊張する。またやってくれ」

「あんまやりたくないからこんな事態になってんだけどな...俺だって緊張するんだよ」

「そうか...なら、今度は私がやろう」

「ちょっ」

 

腕を取られて俺が壁側に回される。そのまま手をドン。

 

「!?」

「好きだ。椿」

「!?!?」

「「ビュオオオオオ!!」」

「どうだ?」

「...はっ!?あっ、よ、良かったです......」

 

混乱している頭のままバカ正直に答える。女子が壁ドンいいと話す理由の一端が理解できてしまった気がして怖かった。

 

「ならよかった」

 

 

 

 

 

二人目。歌野。

 

「さぁ椿さん!プリーズ!」

「はい...もう何でもいいや...」

 

一人目で既に疲労困憊。正直ささっと済ませたいが、賭けに負けた以上中途半端にやっても怒られる。

 

「いくぞ」

 

勢いよく壁をつくと、元気のよかった歌野が一瞬震えた。それがどこか俺の感情を揺さぶる。

 

「...歌野」

「わ、ワッツ?」

「俺のそばにいてくれ。お前がいないとダメなんだ」

「...!!!」

 

ボッと顔を赤らめる歌野。普段見ない顔にちょっとだけ壁ドンやって良かったかもと思ってしまった。

 

 

 

 

 

三人目。雪花。

 

「じゃあお願いしまーす」

「お前もノリノリだな。普段めんどくさがること多いくせに...」

「折角ですし」

「...じゃ、やりますよ」

 

じりじりと寄って、肘まで壁につける。

 

「なぁ。お前さ。俺がこんなに好きって思ってること気づいてないだろ?」

「...そういうパターンですか~?」

「パターンとかじゃねぇよ。よく見ろ」

 

互いの息が交わる距離で、雪花の瞳を見つめ続ける。

 

「...」

「そらすなよ」

「さ、流石に恥ずかしいです...」

「じゃあどければいいだろ?」

「くぅ~...意地悪ですなぁ」

 

結局、二分くらいして雪花が「もう限界です!ありがとうございました!」と俺の胸を押した。

 

 

 

 

 

四人目。芽吹。

 

やられる前から顔をほんのり赤くしてる芽吹を見て、逆に少し冷静になれた。

 

「嫌ならやらなくていいんだぞ?」

「いえ。嫌では...椿さんのように慣れてないので」

「俺が慣れてるみたいな言い方やめてくれる?」

 

確かに回数で言えばとんでもないことになってるが、慣れてるわけではない。どちらかと言えば無茶ぶりに慣れた。

 

「そら、壁に立って」

「はい」

 

彼女の背中を壁につけさせ、俺は目の前に立つ。

 

(......なんというか)

 

芽吹と意識してこんなに近づいたことがないからか、どこか新鮮に思えた。

 

「あの...椿さん?」

「っ、悪い」

 

芽吹の声で我に返り、壁を叩く。

 

ひっかかることなんて無いだろうと確信できるさらさらな黒髪、健康的な体を主張する肌、初めて間近で見る顔。

 

ドキドキするが、それ以上に________

 

「綺麗だな。芽吹って」

「......!!!!」

 

歌野のように少しだけ間があってから、芽吹の顔がリンゴのごとく赤くなった。

 

 

 

 

 

五人目。弥勒さん。

 

「芽吹さんがあんな風になるなんて...何を言いましたの?」

「別に変なことは言ってないぞ?ただ綺麗だなって」

 

俺の声は周りに聞こえないくらい小さかったようで、中身を言うと「凄い...」と誰かが呟いた。ちなみに、園子ズは最初からメモの書き込みが止まってない。

 

「で、やるんですか?」

「当然です!弥勒家の者として経験しておき、いかなる時でも余裕を崩さないようにしておかなければ!」

「そ、そうか...」

 

謎の気迫に押され、既に麻痺しっぱなしの頭はそれを素通りさせる。

 

(てか、こんなん正気でやってられるか...)

 

どこを見ても美少女だらけ。そんな子達が自分から迫ってこいと要求してくるのだ。勇者部じゃなければ後日金を請求されたって不思議に思わない。

 

「ほら、弥勒さんもやるならさっさとしてください」

「分かりましたわ。さぁ!来なさい!」

 

余裕を崩さないようにするための練習なら、ちょっと強めにやってもいいだろう。今日一番の強さで壁に手を叩きつける。

 

「ひょえっ!」

 

誰かが音に驚き声をあげ、棚の上に飾っていた魔王のパペットが一つ落下した。

 

「古雪さん...」

「喋って良いって誰が言ったよ?」

「は、はひっ...」

「そうだ。そのまま黙って...そのまま俺の女でいればいい」

 

出来上がったのは、ちょっとやり過ぎたと後悔する俺と、完全に余裕が崩れてる弥勒さんだった。

 

 

 

 

 

六人目。園子ちゃん。

 

「やっぱ、やるんだよね...?」

「私達がお願いしたんじゃないですかー!」

「そうですよー!!」

 

今回の仕掛人達が騒ぐが、流石に小学生相手に力強くやるのはいじめの臭いがして不味い。

 

「...どんな感じにやればいい?」

「じゃあじゃあ!アタシはこう、ゆっくり...」

「私は~。両手でドンッて!」

「あ、でも顎クイとかも良いかも」

「わかった!やるぞ!園子ちゃん!」

 

追加項目が五、六個になって手遅れになる前に園子ちゃんを壁へ追いやった。

 

園子以上にキラキラした目が俺を射抜く。

 

(これはセーフこれはセーフ...)

 

「つっきー先輩。お願いしまーす」

「任せろ!」

 

注文通り両手で彼女の頭を囲うように押しつける。身長を少し合わせているので腰に来ていた。

 

「つっきー!そのまま一言!!」

「なんでお前が言うんだよ...園子ちゃん、俺がいるからね」

「はわ~!ありがとうございます~!」

 

お気に召されたのか、園子ちゃんはキラキラしていた目を更に輝かせていた。

 

(これが、純粋ではあるんだが...)

 

大体こういう目をしたときは、数年後の自分と一緒に混沌を生み出す時だから素直に喜べない。

 

 

 

 

 

七人目。銀ちゃん。

 

「次、銀ちゃん」

「やっとアタシか~。待ちましたよ椿さん!」

「本当なら、昔の俺にやられて満足しといて欲しいんだが...」

 

本物の銀でありながら、年が変わるだけで随分変な感じがする。

 

「ゆっくりだったっけ。じゃあ、そっといくぞ」

 

銀ちゃんに近寄り、音も立てないレベルで壁に手を置く。

 

「銀ちゃん...」

 

こうしてよく見ていると、昔を思い出す。以前はぎこちなくやったが、今回は(あまり言いたくないが)経験値が違う。

 

「よしよし...」

「あ、あのぅ...椿さん、他の皆とアタシの扱いがちょっと違うような...」

「そりゃそうだろ」

 

別にあぁやらなきゃいけないなんて誰も決めてないし、俺だって人によって変えてる。

 

「だって銀ちゃんだしな」

「そ、そうですか......」

 

 

 

 

 

結局、一分くらいして銀ちゃんから離れた俺は、諸悪の根源を睨む。

 

「さて。あとはお前だけだな...銀」

「待て待て椿。その前に...おーい須美ちゃん!」

「は、はい!?」

「椿に壁ドンされたら?」

「おいっ」

 

思わずツッコミを入れる。

 

「だってちっちゃいアタシの凄い見て」

「!そんなこと私は」

「どうせ一人二人増えたところで変わらないでしょ?椿」

「......まぁ、そうだけど」

 

もう拒否する権利が俺にないことくらい分かっている。

 

「というわけで、どう?今なら椿もやってくれるよ?」

「私は...」

「でしたら椿先輩。私にお願いします」

「うえっ!?」

 

手をあげたのはまさかの亜耶ちゃん。

 

「はーっ...はーっ...」

「芽吹先輩がまだこんなに顔を赤くして...私も体験してみたいです」

 

(アトラクションか何かだと思われてないか?これ)

 

しかし、そう考えるとまだ気は楽だ。理想は疲れてそうだからやめましょうと言ってくれることだけど。

 

「じゃあ亜耶ちゃん、そこに立って」

「はい。よろしくお願いします」

 

何故か目を閉じてる彼女にごくごく普通の壁ドンをする。片手を置いて、逃げ場をなくして。

 

目を開けると、俺の顔が近かったのか半歩後ろに下がった。勿論壁に遮られて半歩分も下がれていない。

 

「亜耶ちゃん...これでいいの?」

「はわわ...これは......」

 

色白の頬が薄く赤くなる。

 

「ど、ドキドキしますね」

「まぁ、好きな人にやられてなんぼだと思うんだけどな...」

「でしたら平気ですね。私、椿先輩のこと大好きですから」

「...亜耶ちゃんは良い子だな~」

 

勇者部の中でも純粋っていうのは、逆に悪い人に騙されないか心配になる。しっかり守ってあげないと。

 

「椿先輩、くすぐったいですよー...」

「あ、ごめん。ついな」

 

頭を撫でていた手を離し、心を落ち着かせる。

 

「さて...あとは?」

「お望みでしたら私がやられましょうか?」

「別に望んでやってはないから。大体、ひなたはもうやってるだろ...」

「つ...椿さん!やってください!!」

 

ずずいと出てきたのは須美ちゃん。奥の方を見ると、銀が親指を立てている。

 

(焚き付ける必要はまるでないんだが...)

 

「...良いのか?」

「覚悟は決めました!」

「そんな、無理してやられるもんじゃ」

「無理してません!私が望んだことです!!」

「へぇ...」

 

いつも真面目な須美ちゃんが、周りに煽られたとはいえこうして出てくるのも珍しい。暴走するのが見慣れてきた東郷はあまりそう感じないのだが。

 

「...じゃあ須美ちゃんはさ」

 

どこか落ち着かなくて、そのまま彼女の肩を掴んで壁までつれていく。触れる時は優しく丁寧にだが、そこからは勢いよく壁を叩く。

 

「高校生の男子に、自分からこうされたいって思ったの?」

「ぁ...」

「こんな風に攻められたいって思っちゃったの?イケナイ子だね?」

 

その顔がついからかってしまいたくて、顎に手を当てて少しだけ上にした。須美ちゃんは涙目で______

 

(って、ヤバい!)

 

「ごめん須美ちゃん!やり過ぎたな!?」

「い、いえ...お願いしたのは、私なので...あ、ありがとうございました!!」

 

押されて、離れた彼女は部屋の隅っこへ移動する。顔は隠されて見えないけれど、耳まで真っ赤だ。

 

「はぁ...」

「あとは?椿にやられたい人~」

「雀さんはやられませんの?」

「えーいいよ。私やられたらきっと『雀...お前はずっと雀の様に震えてろ』とか言われてその通りになっちゃうよ。座り込んでるところに目線合わされてさらに壁バンバンされちゃうよ」

「嫌に具体的ですわね...」

「というか、もう俺そんなイメージなのね...」

「私は面白そうだけど、疲れてそうだから今度でいい」

「今度やる機会もなくして欲しいんだが」

「それは困る。俺が乗り気だからな!!」

 

唐突にシズクに変わったので驚きつつ、説得は無理だと悟る。正直諦めたくなかったが、俺も色々疲れた。

 

(流石に、振り回され過ぎ...)

 

「みーちゃんは?案外楽しいわよ?」

「わ、私は...もう皆の見てるだけでお腹一杯...」

「じゃあ後はアタシだけかー。椿。よろしく」

「これで終わりか...」

「椿さん。ちょいちょい」

「?」

 

雪花に手招きされて近寄ると、もっとと催促された。ギリギリまで寄ると耳元で話される。

 

「どうせならこう言いません?ゴニョゴニョ...」

「ふむ...!!」

「一矢報いれそうじゃないですか?」

「確かに...」

 

他の皆と同じように壁ドンされるのを楽しみにしてる(それもおかしな話なのだが)銀から一本とるには良いかもしれない。

 

「椿ー、早くー」

「わかったよ。ほら、そこいけ」

 

銀は大人しく壁を背に立つ。俺はその目の前まで寄る。

 

「よろしく」

「...あぁ。やってやるよ」

 

別段、特別なことはしなかった。ただ壁に手を叩き、銀に詰め寄る。誰よりも近づいて、彼女の瞳以外が映らないくらいになってから、俺は__________

 

「You are the most beloved person to me」

「...へ?」

 

不意をつき、英語を放った。

 

「はい終わり。じゃあ今日は解散ってことで!」

「え、待って椿!今なんて言ったの!?ねぇ!」

 

逆に俺に詰め寄ってくる銀に対して、俺は笑顔で振り向いた。

 

「二度も言うか。バーカ」

 

ちゃんと聞き取らせない、からかう目的で言った言葉だ。二度も言わない。

 

(だって...そうじゃなかったら、恥ずかしすぎるわ。バカ)

 

自分の頬がちょっと熱くなってるのを感じながら、俺は帰りの支度をした。

 

「いや、なかなか破壊力あるにゃあ...」

「ねぇ椿!!ねぇってばぁ~!!!」

 

 

 

 

 




「You are the most beloved person to me」

訳 あなたは私にとって最愛の人です。

ちなみに考えたサブタイは「壁ドンA」でした。随分前のRがリターンズ、Aがオールです。

若干名、やれてないんですが...水都ちゃんとしずくが自分から壁ドンされにいく状況を作れなかった(雀は具体的に想像させてるのでノーカン)。どっかのタイミングでいれられれば良いなぁと思います。
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