最初は先日外伝小説として新しい二人の友奈が公表されたのでその話を書こうとしたんですが、ニコ生でアニメ三期決定の発表があり驚きました。皆さんの中にものわゆアニメ化だと思ってた人が多いんじゃないでしょうか。自分は完全に六箇条の最後はのわゆだと思ってた。おまけに名前が大満開の章ときてる。
時系列的に勇者の章の後なのか、一期と二期の間なのか。日常系なのかこれまた自分達の心を苦しめてくる展開になるのかはまだ考察しにくい段階で具体的なことは分かりませんが、また新しい彼女達を見れるのが嬉しい限りです。
ふつゆへの影響は全く未知数ですが、もし勇者の章後の話になるなら既に少し手をつけてる訳で...ある意味先に大満開の章をやってるのかもしれないですね。原作から乖離しすぎるのは嫌なのでそうならないことを祈ります。
一先ず現状は新章を書きつつ短編をあげ続けることに変わりはないので、変わらず見てくださればと思います。
「ねーねー樹ちゃん」
「?何?」
休み時間。お弁当の中身に玉子焼が入ってたことに喜びながら、一緒に食べている同級生に声をかける。
名前は犬吠埼樹ちゃん。歌がとっても上手で、最近________あの部活の部長になってから、凄くどっしりしてるというか、頼りになる感じになってきた。
「その『勇者部の先輩』って、どういう人なの?」
私はそんな彼女に聞いた。
私のクラスには珍しい部活に入っている友達がいる。名前は勇者部。名前も他の学校では聞かないけど、何より特別なのは高校生の人も一緒になっているということ。
ここの卒業生で讃州高校に入ってた人達が、特別に出入りをしているらしい。おまけに有名なあの大赦が支援してるとかしてないとか。詳しいことは分からないけど、讃州高校の制服の人が入ってるのは見たことがあるから間違いはない。
他ならぬ樹ちゃんと、かなり前に転校してきた国土亜耶ちゃんも言っているのだから。
「先輩って...もしかして椿さんのこと?」
「そうそう」
亜耶ちゃんはよく一つ上、三年生の楠芽吹先輩の話をする。私も他学年との合同授業で見たことがあるし、凛々しい、かっこいい先輩だと思う。
でも、樹ちゃんがたまに話す椿先輩というのは、二つ上であまり会う機会がなく、当然接点がないからよく分からなかった。とはいえ、勇者部の中で唯一の男の人というのは珍しく思うし、何より__________
「うーん...そうだなぁ」
私がその先輩を考えるのは、樹ちゃんのこの顔のせいだ。少しだけほっぺを赤くして、はにかむように笑いながら思い出を話す姿は、誰が見ても思う。樹ちゃんは『恋する乙女』になっていると。
(樹ちゃんの好きな先輩って、どんな人なんだろ...)
人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られて地獄に落ちてしまう。なんて話が大昔からあるけど、別に邪魔をするわけじゃない。単に気になる(コイバナしたい)のだ。
「一言で言うなら、凄い先輩かな」
「凄い先輩?」
「うん。話していると勇気を貰えるっていうか、どんなことも緊張せず頑張ろうって思えるの。いつでも見守ってくれてるから」
樹ちゃんはすらすら語っていく。私はそんな樹ちゃんの顔を見ながら頷く。
「だから部長としてもしっかり出来てるし、前より自分に自信を持てたんだと思う。お姉ちゃんも凄い応援してくれるんだけどね」
(なんていうか...幸せそうだなぁ)
一瞬でも、先輩が悪い人なんじゃないかと考えてしまった自分が恥ずかしくなった。女の子だらけの部活だし、何か弱味を握っているから入れたんじゃないかと思ってしまったのだ。
(ごめんね。勝手な妄想で...私、そういうのしがちだからなぁ)
「いい先輩なんだ」
私はそれだけ言って、樹ちゃんの幸せそうな顔を眺め__________
「うん。そうなんだ。あ、あとかっこいい所もあってね。最近だと別の先輩のことを叩き潰してたし、作業してる時は真剣な顔で...この前はお姉ちゃんがご飯食べるのを無理矢理止めたんだ。後は...二人で出掛けた時も、凄い罵声だったなぁ......」
「」
開いた口が塞がらなくなった。作業してる時云々は全然いい。前後がおかしい。
(何他の先輩を叩きのめしたって!?それにお姉さんの食事の邪魔!?樹ちゃんに暴言!?)
「い、樹ちゃん」
「?」
「っ...」
(その先輩、間違いなくヤバイよ...鬼畜な魔王だよ...)
詳しく聞きたかったけど、聞けなかった。樹ちゃんにその先輩を悪い方向で聞くのは凄くしたくない。
「...ううん。何でもない」
(...かくなる上は!!)
「......」
私は、勇者部の部室の前にいた。目的は当然、例の先輩である。
『椿先輩、ですか?優しい先輩です』
あの後亜耶ちゃんに聞いたものの、樹ちゃんの内容が信じられないくらい優しいというのが分かった。暴言を吐いたり、他の女の子に酷いことをするようには思えない。
でも、亜耶ちゃんは誰にでも優しい子だ。それでも尚この疑問に答えを得るのなら、一つしかない。
(私がこの目と耳で、情報を集める!!)
直接は怖いから、本人がいるならこっそり後を追うし、他に一人の先輩がいたらお話を聞く。そうして、樹ちゃんの相手にふさわしいのか見分けなきゃならない。
(友達が魔王に捕らわれてるなら、私が止めなきゃ!)
「何してるんだ?」
「わひゃう!?」
突然後ろから声をかけられて、震え上がる。慌てて後ろを見れば、一人の男の人が立っていた。
「あ、悪い...驚かせちゃったな」
「いっ、いえ...!」
いくらか遅れて気づいた。目の前の男の人が着ている服は讃州中学(うち)のものではなく、讃州高校のものだった。
(じゃあ、この人が...魔王!!)
いきなりターゲットが現れて困惑しながら、私は臨戦態勢をとる。
「んー...どうかしたか?勇者部に依頼か?」
「い、いえ!!ちょっとこの辺で落とし物をして...」
咄嗟に嘘をついたが、開けた廊下には当然何も落ちてない。
「この辺にか?何を落としたんだ?」
「......しゃ、シャーペンの芯を...」
「...ちょっと待っててくれ」
呆れたのか呆気にとられたのか、少し遅れて返ってきた返事を聞き返してる間に、先輩は自分のバッグを廊下に置いて開けた。
「HBでいいか?」
「え」
「いや、濃さ。一応2Bも持ってるけど、どっちがいい?」
「じゃ、じゃあHBで...でっ、でも、貰えませんよ!」
「別に全部やるわけじゃないし、落ちて折れてるかもしれないシャー芯を探すよりはよっぽど効率的だからな。いれたいシャーペン貸してくれるか?」
「...芯、頂けますか?一本で良いので」
私はそう言って、スカートのポケットに手を入れた。
(いつもすぐ出せるようにってにシャーペンをいれる癖が、こんなところで役立つなんて...)
お気に入りのこのペンには、当然芯が入っている。ただ、私が芯を入れるだけなら遠目からこの中身を確認出来ないはずだ。
「ん、はい」
「ありがとうございます...頂きます」
「気にしなくていいから。じゃ」
「あっ...」
偶然ターゲットとの接触は出来たけど、すぐにチャンスは歩きだしてしまった。
(な、何か会話とか...)
私はまだ何か足止め出来ないか、少しあたふたしながら確認して__________
「えっ!?」
「?どうかした?」
「...ないっ、ないんです」
「......芯落としたか?」
「違います...わ、私のウサギが...!」
慌てて、動揺が止まらない。とはいえそれは相手の気を誘うためわざとやってるわけじゃなかった。
(あ、あれ?ホントにない!?)
実際に、私の鞄についている筈の物が_____お気に入りのウサギのキーホルダーが、どこにもなかったのから。
「ウサギ?」
「キーホルダーなんです!いつも鞄につけてるのに、どうして...どこかに落としちゃったのかな...」
「ウサギ...キーホルダー......」
廊下を見ても、さっき歩いてきた道を見返しても見当たらない。
(もしかして...バチが当たったのかな)
目上の先輩をこそこそ嗅ぎ回って嘘ついた結果なのだろうか。
「...私が悪いの、かな。気に入ってたのに......」
「なぁ」
「!はい!?」
「そのキーホルダー、アニメっぽい奴の白兎か?」
「!?そ、そうですけど...なんで知ってるんですか!?」
「えーっと...いや、まずは確認だな。ついてきてくれるか?」
そう言って、先輩は歩きだした。
「!!!」
「これか?」
「これ!これです!!」
「そっか。ちょっと待っててくれ」
先輩に連れてこられたのは職員室前の落とし物を保管するスペースだった。檻に囚われたように入っているのは間違いなく私のキーホルダー。
「あ、すいません先生。そこの落とし物箱の鍵、開けてくれますか?」
「おう古雪か、いいぞ。ちょっと待ってな」
「ありがとうございます」
特に拒否されることもなくあっさり鍵が開き、キーホルダーはすぐに私の手の中にあった。
「ありがとうございます」
「次は落とさないようにな」
「あ、ありがとうございます...」
「...ちょっとそのキーホルダー、見せてくれるか?」
「え?...どうぞ」
「...やっぱり」
「?」
「ここ。チェーンの接続部が緩くなってるんだ。きっとどこかに当てたとかだろうな...これだけ買い換えればすぐまた落とすことはないだろ。それまでは鞄に入れときな」
すぐに私の手にキーホルダーを返してくれる先輩に、私は疑問を口にした。
「あの...」
「?」
「なんでここにあるって知ってたんですか?」
「あぁ。別の依頼で最近この落とし物箱のチェックをしててな。さっき初めて入ってるのを見たから記憶に残ってた。今日の朝とか、最近落としたんだろ」
「そうだったんですか」
「でも見つかってよかったな」
「はい。ありがとうございます...」
頭を下げてお礼を言って、先輩の顔を改めて見た。「気にするな」と言う先輩は、私が最初疑っていた魔王のようには見えなくて__________
(この人はそんな、酷いような人じゃ...)
「あ、あの!」
「?まだ何かあったか?」
「え、えっと...最近勇者部の別の人を叩きのめしたって本当ですか!?」
「えっ」
「樹ちゃんが言ってて、それで...!」
先輩は顎に手を当てて、考えてるような仕草をする。
「樹が、最近?......あぁ、もしかして決闘のことか?」
「わ、分からないですけど...」
「......多分樹が言ってたのは、剣道の試合みたいなもんだよ」
「じゃあ、樹ちゃんのお姉ちゃんの食事を無理矢理止めたって言うのは」
「それはあいつがうどん15杯目にいこうとしてたから」
「樹ちゃんと二人で出掛けた時、罵声を浴びせたってのは!?」
「なんだそれ...あ!一昨日のは音せ...いや、何も言えないけどあいつが過激なことしてたから怒ったんだ!!俺は被害者...とは言いにくいけどやられた側!!」
何故か顔を赤くした先輩は、そっぽを向いた。
「...魔王じゃ、ない?」
「樹は俺についてどんな話をしてるんだ...魔王と言われる覚えはない」
「そうなんですね......すいません先輩!私、先輩が悪い人なんじゃないかと!!」
「まぁ、そこまでの説明だけされてたらそう思われてても不思議じゃないか...ま、別に気にしてないから。じゃあな。樹と仲良くしてくれ」
頭を下げた私に、全く気にしないように廊下を歩いていく先輩。
その姿を見た私が当初の目的に答えが出たことに気づくのは、結構時間が経ってからだった。
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「ねぇ、樹ちゃん」
「どうしたの?」
「この前勇者部の男の先輩に会ったよ」
「椿さんと?」
お昼休み。クラスでは私と亜耶ちゃん以外からは全くと言っていいほど出ない人の名前があがったことに驚いたけど、次の瞬間に納得がいった。
『樹、お前...友達にどういう俺についての話をしてるんだ?』
(椿さんが言ってたのは、そういう...)
「私、樹ちゃんの言ってたの聞いて、その先輩が魔王みたいに勇者部を支配してると思っちゃってたんだけど...いい先輩だね」
はにかむ様に言うのを聞いて、この間話した内容を思い出す。
『悪い夏凜!、当てちゃったな...』
『いいのよ。お互い合意の上でしょ。本気でこられなきゃ意味も...って!!何してんのよアンタ!?』
『とりあえず保健室まで運ばせろ。歩いてる時痛みが増しても困るだろ』
『だ、だからってこれ...お姫様だっ...ーっ!』
夏凜さんと戦い。
『椿!!』
『お前いい加減にしろよ。流石に食い過ぎだ』
『太るって言いたいんか!?うら若き乙女に!!』
『お前のことだから体型とかは維持しようとするだろうし、その辺は気にしてないが...乙女なのは知ってるし』
『!!』
『でもだからって、流石に限度が......おい、聞いてるか?』
お姉ちゃんを止めて。
『なぁ、樹』
『どうしたんですか椿さん?別れ際に改まって』
『...昨日貰った奴のあれ、あれはダメだろ』
『何がです?』
『っ!』
『椿さん、教えて下さい。何がダメだったんですか?』
『お前分かってて言ってるだろ!?』
『いいえ。分かりません。椿さんの口から言って貰わないと』
『っ...ーッ!!樹のバカぁぁぁ!!!』
『また使ってくださいねー♪』
私のことを(珍しさと可愛さが凄い)罵声を浴びせて。
『魔王とか言われたんだが』
(...確かに、鈍感さとか、難攻不落さ的には)
「うーん、ある意味魔王で合ってるかもね」
「あれぇ!?」
私の出した結論に、目の前からすっとんきょうな声が響いた。
サブタイをつけるなら『古雪椿は魔王である』
元々キャラが多いのでオリキャラも少なくモブも極力出さないようにしてたんですが、意見を頂いて折角なので書いてみました。たまにはこういったのもいいのかな?