古雪椿は勇者である   作:メレク

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今回は樹のifです。過去のものと分けるために3としていますが、1と2とは全く繋がっていないので、そちらを見ていなくても問題ありません。お楽しみください。


短編 樹if 3

ある日、お父さんとお母さんがいなくなった。

 

『お姉ちゃん、お父さんとお母さんは?』

『樹...』

 

今なら二人が死んでしまって、お姉ちゃんは私にどうやって伝えたら良いのか迷っていたんだと分かるけど、当時小学生だった私には分からない。

 

結果、有耶無耶なまま変な仮面をつけた大人が来て、お姉ちゃんと話して消えた。

 

話の前後で違ったのは、住む家が変わったこと。

 

『......椿です。よろしく』

 

そう言った男の人の目を初めて見た時、その人は私の方を見ていても、私のことは見ていないように思えた。

 

 

 

 

 

「ほら樹!!起きろ!!」

「きゃーっ!!!」

「事件性のある悲鳴をあげない!!迷惑でしょうが!」

 

布団を取り上げられそうになって必死に引っ張る。そこになってから、私はさっき見ていたのが夢だと気づいた。

 

あれは________目の前にいる人と、初めて会った時のことだ。

 

「何で部屋入ってきてるの!!」

「部屋の外から声かけても反応がないから風の代わりに起こしに来たんだろうが!というか俺は遅刻ほぼ確定でお前を起こしてるんだよ!」

「何でそんなに」

「お前今日が何の日かを思い出せ!!」

「...あーっ!?」

「ちょっ」

 

私が布団を離したことで、勢いそのまま床に倒れる。

 

「入学式!!今日から私中学生!?」

「...思い出して頂けて何よりです。そして、こちらを」

「......準備!!早く!!」

「しろって俺が言ってるんだよ!!」

 

向けられた目覚まし時計をすぐさま放り投げた私達は、それぞれの役目を果たし始める。

 

「あ」

「何!?」

「おはよう、お兄ちゃん!」

「...あぁ。おはよう、樹」

 

 

 

 

 

「風が日直で早く行かないならあいつに起こして貰えたのに...ちくしょー」

 

ジェットコースターみたいに速い自転車を、後ろの席で楽しむ私。一方で、嘆きながら足を回転させているお兄ちゃん。

 

元々、私達犬吠埼家は姉妹しかいなかった。頼りになるお姉ちゃん、犬吠埼風と、頼りない妹、私、犬吠埼樹。

 

だが今、私達は犬吠埼ではない。そして、何故お兄ちゃん、古雪椿さんがいるかというと、今日見ていた夢、もう二年前の話になる。

 

お父さんとお母さんが亡くなってから、保護者のいない私達を保護するために大赦と呼ばれる組織の人達が来た。私達はそれぞれ別の保護施設に行きそうになっていたという。

 

私はお姉ちゃんと離れ離れになりたくなかったし、お姉ちゃんも同じ気持ちでこれを断固拒否。ただ、大人としては、小さな女の子二人で暮らしをさせることをあまり良く思わなかったらしい。

 

そんな時、たまたま話を聞いて、養子として受け入れてくれたのが、今の家族、古雪家の人達だった。

 

ただ、いきなり環境が変わって馴染める筈もなく、そこにいたお兄ちゃんもどこか落ち込んでて、家族全体がギクシャクしていた。

 

突然新しいお父さんお母さんが出来たというのは、確かに変な話だ。

 

そして、それを直したのは_____他でもない、お兄ちゃんだった。

 

ある時を境に、いきなり明るくなったお兄ちゃん。私達と新しいお父さん、お母さんの仲を取り持ってくれて、大変そうだったお姉ちゃんのフォローも隠れてしてくれていたのを知っている。

 

『ご飯できたよ。食べよう』

『家事?やったけど...やれる範囲だよ。気持ち良く過ごしてもらいたいし。部屋に入るのは悪いしな』

『おう、勉強なら教えられるぞ。最近学んで...あぁでも、事前に何時からやりたいかだけ教えてくれ』

 

そんな生活をして、早二年。気づけば家族全体が仲良くなったし、私はこの人のことを『お兄ちゃん』と呼ぶようになった。

 

「樹」

「はいっ!?」

「驚かないでくれ...ついたぞ。讃州中学だ」

 

いつの間にか停まっていた自転車から降りれば、目の前には中学校があった。先週写真を取りに来たし、目新しさはない。

 

「さて、俺は遅刻だが...新入生の登校時間には間に合ったな。行ってこい」

「ありがとう。行ってきます!」

「ん」

 

手を振るお兄ちゃんは、まさに妹を見るような目だった。

 

 

 

 

 

そこからしばらくして。色んなことが起きた。

 

お兄ちゃんとお姉ちゃんが勇者部って部活をしてて、学校で話を聞くようになったこと。

 

私もその勇者部に入ったこと。

 

本当の勇者になって、神樹様のために戦うことになったこと。

 

気づけば、あっという間に時間が過ぎて__________

 

 

 

 

 

「樹ー、おやつ持って来た...」

「!?」

「何してるんだ?」

「ちょ、ちょっとこっち!!」

「うおっ」

 

普段より相当速い動きでお兄ちゃんの手を掴んで、そのままベッドに座らせた。部屋の外を確認してからドアを閉める。

 

(...仕方ない。お兄ちゃんは諦めよう)

 

「っとと...なんだよ樹、それにこのむぐ」

「ちょっと静かにして!!いい!?」

 

お兄ちゃんが持ってきてくれたマシュマロを口に押し込んで、ひとまず口を封じる。

 

その時指が口の中に触れて、少し濡れた感じが_____

 

「せ、説明はするから。まずは聞いて。ね?」

「...」

 

こくこくと頷くお兄ちゃんを見て、私はようやく手を離した。

 

「...それで?」

「......この前、私が歌のテストをやった時、皆が上手く歌えるよう協力してくれたでしょ?」

 

勇者部の皆が色々用意してくれて、人前で歌うことに緊張していた私は、歌うことの楽しさを知ることができた。

 

「それで、もう少しやってみたいなと思って...声をね、録ってたんだ。」

「録るって...研究とか?」

「ううん。これをオーディションに出すつもり......自信はないけど、やってみたい」

「そっか。いいんじゃないか?応援するよ」

「ありがとう...それでね」

「分かってる。風には内緒で進めたいんだな?」

「!」

「ここまでされれば分かるさ。大丈夫、あいつには黙っとく。俺もあいつの驚いた顔見たいし」

「...ありがとう、お兄ちゃん」

「おう。じゃあ俺は『四国の歌姫』グッズの製作にでも」

「それはやらなくていいから!!!」

 

私がぽかぽか叩くのを、お兄ちゃんは笑って受け止めた。

 

 

 

 

 

その笑顔が消えたのは、夏休みのこと。

「樹...いつき......ごめん...ッ!!!」

 

突然部屋に飛び込んできたお兄ちゃんは、私を抱きしめて涙を流してしまった。苦しくて剥がそうとしても私の力じゃ何もできなくて、この人が男の人であることを感じる。

 

離してとか、何があったのとか、聞きたいことはあったけど_____抱きしめられたままの私は、その手段を持っていなかった。

 

勇者としての戦いで使った満開、バーテックスをあっという間に倒せる力なだけあって、疲れが溜まってしまったらしい。お姉ちゃんは片目に、友奈さんは味覚に、それぞれ悪影響が出てしまっていた。

 

そして私は_____声に。

 

「俺がっ、俺がもっと早く...!!」

 

ずっとずっと、自分を責めて、私に謝るお兄ちゃん。涙は私の服に染みて、肩が少し冷たくなってきてる。

 

(お兄ちゃん...泣かないで)

 

私はわけが分からないけど、頭を撫でて、落ち着かせるように背中を叩く。

 

(いつもと逆だな...でも、私大丈夫だから)

 

声が出なくても、届けられなくても、それでも私の思いを伝えられるように、ひたすら抱きしめる。

 

結局、その日はずっと泣かれてしまった。

 

『椿?目が赤いわね』

『...何でもない』

 

お姉ちゃんにバレないようにしていたのは、何か意図があったのか、ただの強がりか。

 

『...ごめん。本当に辛いのはお前なのに』

『大丈夫だよ』

『......心の整理ができたら話す。それまで、何日かだけ待っててもらっていいか?』

 

でも、私は何も言わなかった。お兄ちゃんが何かに悩んで、私に何かを伝えようとしてくれているのが分かったから。

 

だから、大丈夫__________

 

 

 

 

 

「電話?」

「俺が出るよ」

 

最近より静かになった家で、電話の音が鳴り響く。お姉ちゃんより早くお兄ちゃんが受話器を取った。

 

「はい。古雪です...樹に?何でしょう」

「樹に電話?どうしようかしら...」

「......ッ!!!」

「!?」

 

悩んでたお姉ちゃんと私は、慌てて音がした方を向く。お兄ちゃんが持っていた受話器を床に落とした音だと気づいて、顔を見てみたら、お兄ちゃんは苦しそうな、泣きそうな表情をしていた。

 

「椿、何やってんのよ」

「ッ!!は、はい。すみません...はい、はい......」

 

震えた声で、震えた手で、電話先の人に話を続けているお兄ちゃん。

 

「...すみません。後日かけ直して頂くか、メール等で連絡先を頂いて、こちらからかけ直させてを頂くことは可能でしょうか?......ありがとうございます。アドレスは...」

 

動揺を隠せてないお兄ちゃんの姿に、私は気づいてしまった。電話先に誰がいて、どんな話をしているのか。

 

「はい...すみません。失礼します」

「.....椿、教えてくれるんでしょうね?誰が何の用で樹に電話してきて、何で勝手に話を進めたの」

「...言えない」

「ッ!!あんたっ」

「お前には言えない。これは俺の意思だ。樹は関係ない...今お前が知ったら、お前は...」

「そんなの言われなくても分かってるわよ!!樹の声のことでしょ!!!」

「「!!」」

「詳しいことは知りもしないけど、そのことなのは分かってる!!!あたしが勇者部に誘ったから、そうよ。あたしが樹から奪ったもののことでしょ!!!」

「風ッ!!!!」

 

(やめて...)

 

言い争い始める二人。そんな姿、私は見たくなんてない。でも、声は響かせられない。

 

「そんな言い方するな!!!」

「だってそうでしょ!?あたしが...あたしがっ!!!」

「お前...!」

 

一瞬の沈黙をなくすように、お兄ちゃんの携帯が鳴った。お姉ちゃんが飛び出して携帯に触れる。

 

「風!!待て!!」

「さっきの......メー、ル?これが?」

「ッ!!」

 

お姉ちゃんからスマホを奪い取るお兄ちゃん。でも、お姉ちゃんは取り返そうとはせず、ゆっくり私の方を向いた。

 

「樹...あんたの、夢って......前に言ってたのって」

「っ...」

 

(違うの。お姉ちゃん)

 

違う。私がその夢を持てたのは、お姉ちゃんが勇者部に入れてくれたからだ。だから、だから_____

 

「あたしが、勇者部に入れたせいで...」

 

違うと言いたいのに、スマホで文字を打つにも、ボードに書くのも間に合わない。

 

(私は...!!!)

 

そっと背中を押された気がして、私は無我夢中でお姉ちゃんを抱きしめた。

 

「樹...」

 

私のことで苦しまないで。それ以上自分を責めないで。お姉ちゃんだって片目が使えなくて困ってるのに、辛いのに、これ以上無理をしないで。

 

(お願い...!)

 

どうか、この気持ちが伝わりますように。

 

「...そうだよ。樹がやってるように、風、お前は悪くない」

「でもっ」

「悪いのは...俺なんだから」

 

(お兄ちゃん...?)

 

「何であんたが」

「そうだよ。悪いのは俺だ。東郷とアイツの話を聞いていて、満開の仕様にも気づけた筈なのに...もう何も失いたくないからって、思ってた筈なのにっ!!!」

 

響く怒号。震えた声があまりにも痛い。

 

「俺は樹のお兄ちゃんなのに!!!樹の夢を聞いたのに!!!それを俺は、俺はッ!!!!」

「つ、椿...」

「クソッタレが!!!」

 

泣いて、叫んで、怒りを露にして。

 

「...うっ、うぅ」

「俺が...樹......」

 

私達は全員、気がつけば寄り添って泣いていた。

 

 

 

 

 

夜。窓の外には綺麗な月が浮かんでいる。

 

『椿があぁやって泣いて、つられて泣いて、疲れちゃったわ』

 

あれからお姉ちゃんは寝てしまった。

 

『ごめんね、樹。でも、明日には元のお姉ちゃんになるから...』

 

そんなことを言うお姉ちゃんに抱きついて、怒って、気持ちを伝えて。

 

今にも暴れそうなさっきと違って、ちゃんとメッセージを書いて見せることが出来た。

 

『戦いは終わって、これ以上何も失わなくていいの。だからお姉ちゃんも、これ以上怒んなくていいの。もし暴れて、お姉ちゃんを、勇者部を失くしたら、私はもっと嫌だ。だから、もうやめて。ね?』

『樹...いつきぃ......』

 

泣いて、泣きつかれて、結局ソファーで寝てしまったお姉ちゃん。そっとブランケットをかけて、私はもう一人____『悪い』とだけ言ってから部屋に閉じ籠ってしまったお兄ちゃんに、足を向けた。

 

「樹...」

 

ベッドに腰かけているお兄ちゃんは、暗い部屋の中、月明かりに照らされ、今にも消えてしまいそうに見える。

 

「...寝ないのか?」

『一緒だったら寝るって言ったら、寝てくれる?』

「...もうお互い中学生にもなってそれはなぁ」

 

乾いた笑いを溢すお兄ちゃんは、それきり黙ってしまった。

 

私もなにもしない。ただお兄ちゃんの言葉を待つ。大切なことを纏めてくれているだろうから。

 

やがて、普段なら耐えられないような沈黙の後、お兄ちゃんが口を開いた。

 

「みっともないところを見せたな。悪い」

『私の為に怒ってくれたのに、みっともないことなんて何もないよ』

「そっか...優しいな」

 

すっと伸ばされる手。意味を理解して近づくと、そっと喉に触れてくれた。

 

「......許してくれなくていい。って言っても、きっとお前は許すんだろうな。自分の夢が叶わなくたって、今は家族が...俺達がバラバラになったり、喧嘩したりするのが嫌だから」

 

その言葉に頷く。お兄ちゃんはちゃんと理解してくれている。

 

「でも、でもな...悪い。分かっていても、俺は自分を許せない。お前がもっと違っていたら、事実を隠していた大赦を潰しに行ってたかもしれん」

 

手が離れる。熱が逃げて、私の喉に冷たさがくっついてくる。

 

「......俺は、先代勇者の幼馴染みがいた。詳しくは今度話す...ただ、そいつから話を聞いていた。満開というシステムはなかったみたいだけど、状況証拠でこの自体を予測することは、できたはずなんだ。だから、お前のことも、風のことも、助けられた筈なんだ......」

 

お兄ちゃんの言葉に、私は何も言えないし、何も書こうとはしなかった。先代勇者のことも、そのことを聞いていたというのも驚きはしているけど、それでも。

 

「だけど、結果はこの通り。俺にとってこれは仕方のない理不尽じゃなく、未然に防げたはずのことなんだ...自分を許せない。今すぐ消えてしまいたい」

「!」

 

私の動きは速かった。どこにも行かせないように、お兄ちゃんを抱きしめる。さっきの熱が体全体に広がっていく。

 

「大丈夫。動く気はないから。お前はこうして俺を止めてくれる。理由なんて何でもいいし気にしない...正直、俺はもう生きる気力が湧かない。でも、そんな俺でもいいなら。他でもない樹が肯定してくれるなら、お前のためなら生きたいと思う......樹」

 

お兄ちゃんは、いつの間にか涙を流していた顔で私を見た。

 

「俺はまだ、お前の家族でいいか?」

 

その問いに、私の答えは決まっている。

 

『いいよ』

「っ...ありがとう。樹......ッ!!」

 

音のない答えを口にして、お兄ちゃんは涙を拭った。

 

(でもね、お兄ちゃん。私は、私の為じゃなくても生きていて欲しい。いつかそう思わせるから。それまでは、きっと)

 

貴方が私を大切にしてくれているように、私は貴方を大切に思っているから。

 

お姉ちゃんとの居場所を守ってくれて、私の夢を応援してくれて、今もこうして泣いていてくれる貴方のことが好きだから__________

 

 

 

 

 

それから。私達の戦いは始まり、終わり、また始まって終わった。もう三月だ。

 

今度から私は中学二年生で、勇者部の部長。夏凜さんがいるとはいえ、リーダーとして相応しくありたい。

 

(去年の入学式は、起こして貰ったんだっけ)

 

着替えを済ませた私は、自分の部屋からリビングへ向かう。

 

「ふぁ、いふぅきおふぁおう」

 

そこには美味しそうにパンを頬張っているお姉ちゃんと。

 

「お、起きたか。おはようさん」

 

お皿をテーブルに置いているあの人がいた。

 

「...おはよう。二人とも」

 

私は『声を出して』イスに座った。

 

あれから私の声は、色々あって元に戻った。それはもう大変な戦いがあったわけだけど、それは置いとくとして。

 

『よかった...本当に』

 

涙を流してくれた二人に釣られて泣いてしまった私も、もう前のことだ。一時期はお姉ちゃんが入院してしまって色々大変だったけど。

 

「チーズ熱いから気をつけてな」

 

スライスチーズがのせられたパンは確かに熱そうで、実際に触れて目が覚めた。

 

私の為に生きると言った彼は、今日も私のご飯を作る。だけど、それは生きる理由が私だからじゃない。

 

『もう私のために生きなくていいね?』

『...まぁ、そうかな。どうなんだろ......妹のためなら間違ってない気もするけど』

『怒るよ?』

『......ちょっと考えさせてくれ。まだ色々落ち着いてないしな』

 

そんな会話をしてからしばらく経って。私は結局、その発言を撤回させたくなっていた。

 

(私のためって言うのは...そういう意味もあるわけで)

 

「?樹?」

 

将来、二人、私とこの人が兄妹の関係でなく、別の関係になりたいなら。ずっと私の隣にいて貰うには。

 

きっかけがどれなのかは分からない。でも今胸にある気持ちは__________好きという気持ちは、本物だ。

 

だから私は。

 

「何でもないよ。椿さん」

「」

 

私を見る彼の目を見て、笑顔でそう言った。

 

「...」

「お兄ちゃん?」

「......ふぅぅぅっ!!!!」

「あいたぁ!?何すんのよ!?」

「いつきが!!!樹が俺のことお兄ちゃんじゃなくて椿って!!!椿って呼んだ!?反抗期来ちゃったぁぁぁぁっ!!!」

「!?そんな...樹が反抗期?」

「違うよお姉ちゃん」

「俺だけ!?樹!?何で!?」

 

おろおろして叫ぶ椿さんは面白くて、私はちょっとだけ笑みを浮かべながら言った。

 

「さて。何ででしょう?」

「......」

「ちょっ椿!?倒れ込まないで!?」

 

(いつか分からせてあげますから、待っててくださいね?)

 

二人の様子を見て、私はパンを口に運ぶ。しっかりとしたチーズの味が口の中に広がった。

 

 




樹if 3

本編との違い…樹、風の二人暮らしが大赦で認められず、離れたくない二人の要望との妥協案として、古雪一家に行く。
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