古雪椿は勇者である   作:メレク

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花結いの章 25話

「ごめんって謝るのは違うと思ってる。でも、頭を下げさせてくれ」

 

翌日。部室に皆集まってから、俺が一番に話を始め、頭を下げた。彼女達がそんなことを望んでいる訳ではないと分かっていても、ケジメをつけなければならないから。

 

「正直、皆が俺のことを恋愛的な意味でも好きって、まだ信じられない所も少しある。皆魅力的だから、そんな人達が俺のことを...なんて」

 

当然、それを否定することはしない。俺がそんな魅力的な_____自分で言うのもおかしいが_____人だっていうのを否定するのは、皆の気持ちを否定することに繋がる。

 

これで、全員を幸せにできる人間なら、違うのだろう。

 

「だから、気持ちには答えたい...かといって、俺には、全員の気持ちに答えることは出来ない。全員ひっくるめて幸せには出来ない」

 

俺が幸せに出来るのは_____人生全てを捧げられるのは、一人だけだと思う。俺は、そんな器用な人間じゃない。

 

だから。

 

「俺が選ぶのは...皆から告白されて、それでも俺は、銀を選ぶ。だから、すまない」

 

もう一度、深く頭を下げた。誤解なく、自分の気持ちを届けるために。

 

「椿先輩」

「友奈...?」

 

声をかけてくれたのは、友奈だった。顔をあげると、彼女はフラれたと思えないくらい笑顔だった。

 

「昨日のうちに皆と色々話したんです。それで...私から代表して、二つだけ」

 

二本指を立てて、突きつけてくる友奈_________いや、皆。

 

「一つ。私達を断った分、銀ちゃんを幸せにしてくださいね」

「それは勿論」

「二つ目は...ハーレムにせず断ったこと、絶対後悔させますから」

「!!!」

 

見たことない、彼女のいたずらな笑み。辺りを見ても、どこか微笑んでて。

 

そこから色んな感情を読み取った俺は、大声で言った。

 

「あぁ!!」

 

 

 

 

 

「それで、どうするんです?これから」

「これからというか...」

「本当だったら今夜辺り襲いにむぐ」

「はいはい。抑えて抑えて」

「実はそんなに時間もなくて」

「もう来てるんだよね?造反神」

「これじゃあ、造反神がサブイベントだにゃー」

 

全員の視線に、赤嶺が頷く。

 

「もう気づいてるだろうけど、古雪椿...試練を受ける最後の一人が目覚めたから、タイムリミットが再び動き出した。後二時間くらいで最後の試練として、造反神が動きだす」

「記憶を持ったまま元の世界には戻れなくて、この世界の神樹様のデータとして残る」

「そうだね...」

「私達西暦の勇者は、特に私とみーちゃんは、未来が分かってる......変えて見せるわって言いたい所だけど、その前に、聞きましょうか」

 

歌野が俺を見た。皆の注目が俺に集まる。

 

「何かあるんでしょ?私はしっかり見てるわよ。倒れる前も、昨日も、真剣な顔してたから」

「え、本当なのか椿!?」

「......問題というか、出来ないこともある。でも、やれることも、ある」

「そうだったんですか!?」

「じゃあ話して貰いましょう!皆レッスン!!」

 

注目がまた集まって、さっきとは別の意味で緊張してきた。が、そうも言ってられない。

 

(恋愛では皆を相手できないが、命なら相手できる。救えるのは可能な限り救う。それが俺だ)

 

幸せが無限大で果てがないものならば、命は生か死か、一か零だ。

 

なら、一を取る。掴んでみせる。

 

「神どもが無情件で俺達を呼び寄せて、用が終わればはいさよならなんて、俺は絶対許せない。ちょっとは俺達が得させてもらわないと割りに合わないよな?」

 

奴等の勝手でこんなに振り回されたのだ。少しは利用させて貰わないと気がすまない。

 

 

 

 

 

「だから、俺の立てた作戦は...もう一度、世界を変える。今度は俺の意思で」

 

 

 

 

 

話は終わり、最後の一時を過ごして。いつか訪れる筈だった別れと戦いが、ついにきた。

 

「椿さん」

「ん?」

「私も戦います。折角着れるようになりましたから」

 

戦衣を身に纏い、銃剣を構えるひなた。

 

「ひなた...そうだな。一緒に戦おう」

「はい!」

「といっても、すぐ終わらせるけどな」

「え?」

 

不思議そうにする周りのメンバーを尻目に、俺は空を見上げた。樹海の空を覆って現れたのは、かつて見た神の姿。

 

「あれが、造反神...」

「っていうか、天の神じゃない!あれ!!」

「本当ですね...相手の神様を真似て、最後の試練をしようということですか」

「ますます腹立つわね...で、椿、さっき言ってたのってどういう意味よ」

「ん?これだよ」

 

答えながら、俺は『赤い勇者服』を身につけた。

 

「それって!」

「そういうこと。デメリットがないわけだしな。だから...満開!!」

 

つい先日にも身に纏った、俺の最強状態。

 

「たっぷり恨みを晴らさせてもらうぜ。造反神!!!!」

「成る程...」

「面白いじゃない」

 

俺の意図を理解した皆が、どんどん変身していく。

 

最強の力を持った、最高の仲間。これで勝てない道理などない。

 

「椿」

「ん?」

「お揃いだね」

「唐突に言うな...荒らしてやろうぜ」

「あぁ!!」

「若葉、号令頼む!いつもの感じでな!!」

「任せろ...勇者達よ!!私に続けッ!!!!」

 

若葉の最後の号令。それに合わせて、赤い流星は空を駆けた。

 

 

 

 

 

 

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