古雪椿は勇者である   作:メレク

34 / 333
小話を書くと言った。だが時期は言っていなかった...つまり、連日投稿でもよいわけだ!!

というわけで今日も投稿します。昨日の投稿から感想、評価が滅茶苦茶来て心ぴょんぴょんで書いてます(というか脳が処理落ちしかけました。皆様本当にありがとうございます!!なんか似たような文になってしまってると思いますが、ボキャ貧な自分を許してください...)

下から本文です。




三十二話 新生勇者部

「リンゴケーキと山盛りみかんパフェとドリンクバーで」

 

放課後、ファミレス。注文を一通り済ませてココアをとってくる。少し寒くなってきた秋に丁度いい。

 

「......相変わらず頼むね」

「費用全部持ちなら容赦なく頼むに決まってますよ」

 

一口飲んでからバッグからメモリーと紙束を出した。相手も同じようにアタッシュケースを開けている。

 

「どうぞ。今週分のデータと資料」

「はい。今週分のアップデートと資料です」

 

互いに物を交換して、運ばれてきたパフェを食べながら目を通すこと数分。

 

「なめとんのか」

 

俺は紙を机に叩きつけた。

 

「それが今の限界です」

 

俺より年上の男は少し辛そうな顔で言ってくる。

 

「嘘だろ...これじゃあ防人も苦戦するわ。せめて星屑くらいは一撃で沈められるくらいのを」

「そう簡単にできるなら苦労していません。今君達勇者の戦闘データを研究してる最中ですし」

「...また射撃戦して、データ集めてくるか」

「ありがとうございます」

「頭は下げないでくれ...ください。ホントに」

 

俺は、スマホを握りしめた。画面には__________勇者アプリが見えていた。

 

 

 

 

 

全部が終わって数日。俺は大赦を訪れた。

 

壁の外の世界は未だ炎と、天の神に作られたバーテックスに包まれている。なにか、元勇者である俺にできることはないかと訪ねたのだ。

 

俺はそこで、勇者として選ばれなかった人で構成された『防人』という存在を知る。壁の外に出て、調査を繰り返しているだとか。

 

だがもちろん、外にはバーテックスもバーテックスの元となる白い雑魚『星屑』も大量にいる。勇者システムのグレードダウンである防人の武器では星屑はともかく御霊のない状態の弱いバーテックス相手に死の危険がある。

 

かといって、防人に入ることはなかった。総勢32人と連携して戦わねばならないのに、学校に通って時々来る男などいらないからだ。

 

しかし俺の勇者システムは破棄されたらしい_________だからどうしようかと考えていた時、目の前の男がこのファミレスを指定してきた。

 

なぜわざわざ場所と日にちを変えてまで________と考えはしたが、ひとまず話を聞こうと席について。渡された物に俺は目を見開いた。

 

処分されたと言われていた俺と銀の端末。大赦の中枢にいるという男は俺以外使えなくなった勇者システムを隠し持っていたのだ。

 

『担い手が一人とはいえ、わざわざ処分することはないと考えました』

 

結果、俺が大赦と結んだ契約は、バーテックスに対抗できる武器のデータ集めということになった。過去にバーテックスに対抗できる刀と盾を大赦から支給された身としてはこんなこといらないのではと思ったが、データがあればもっと安価で作れ、防人全員に配るだけの物ができるとのこと。

 

一週間近くかけて作られた刀と盾。コストはともかく32人ぶんの用意などするだけで半年を越える。そんな武器が知性あるバーテックスにずっと届くとは限らない。

 

週に一度会い、俺は壁の外で戦ってきた戦闘データを、男は量産を前提とした新型の武器を持ってきて、意見交換する。それが俺達の契約だった。

 

互いの利益はバーテックスの増殖が少しだけ抑えられること。大赦の利益は勇者が行うということで戻ってくる確実性の高い武器データ。俺の利益は銀との繋がりの一つである勇者システムの完全譲渡と、いつやめても問題ないとすることと、世界のために戦えるという自己満足。

 

友奈達にこれは話していない。バレたら怒られるしやめようと考えているが、それまではやらせてほしい_____無茶は一切してないし、したら止めるつもりだから。

 

それに、条件としてはかなり破格なもの。

 

「よろしく頼むね...それで、今日の分は?」

「はいはい...」

 

おまけに俺の方が年下にも関わらず敬語っぽく話す男と、若干タメ口の俺。

 

ではなぜ、こんな関係になったかというと__________

 

「どうぞ」

「......!!椿君、どうやって夏凜の寝顔を!?」

「部室で寝てたので...その顔やめてください。春信さん」

 

三好夏凜の兄、三好春信が、重度のシスコンだったから。だ。

 

この漏洩ばっちこいで自己満足な破格条件を大赦に通せたのは春信さんが自分の権力をフルに使ったから。代わりに春信さんは夏凜の写真を要求してきた。

 

『妹が兄である僕を妬んでいるのはわかってる。でも、僕としては普通に、一緒に生活したかったんだ』と語った春信さんに、俺と銀の様に思い残しがないようにと思ってしまい、若干気が引けながらも承諾してしまった。

 

「夏凜...かわいいよぉ」

 

最も、そんな同情に似た気持ちは影すらなくなったけど。

 

前に夏凜が兄について思い悩んでたが、そんな彼女にこの兄の姿を見せてやりたい。

 

あまり先輩として尊敬できないのと、春信さんが俺の持ってくる写真に感謝しまくってるので、互いに敬語だったりタメ口だったりの奇妙な関係が続いている。

 

「...来週までに、星屑を一撃で倒せる銃、頑張ってくださいね。東郷のデータ見ればいけると思いますけど」

「ありがとう。来週もよろしくね」

 

会計は大赦持ちなので、店を出て一言。

 

「三好家大丈夫か...」

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

古雪椿が帰ったファミレスで、三好春信は自分で入れたコーラをあおる。

 

「......椿君。辛いことになっても、助けてと願えなくても、世界が終わることになっても...そのシステムを使うのは」

 

勇者にはいつも無垢な少女が選ばれていた。そして、大抵その結末は__________

 

「それでも守りたい物があるなら。諦めないで戦ってほしい」

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「よーす」

 

こうして俺は、細々と戦いを続けながら、日常を過ごす。

 

「あ、椿先輩!」

 

完全に元気になった友奈と、

 

「こんにちは。古雪先輩」

 

自由に歩けるようになった東郷と、

 

「遅い、なにやってたのよ」

 

勇者部に慣れた夏凜と、

 

「まぁまぁ夏凜さん。お姉ちゃんも来てないですし...」

 

歌の活動を始めた樹と、

 

「ごめん遅れた!!」

 

相変わらず女子力を高めている風と、

 

「同じく遅れました~みんなやっほ~」

 

新しく勇者部に入った園子と、

 

どこかで見ている彼女と共に。




自分は春信さんの詳しい性格を知りません。何かに情報が書かれてるのかもしれませんが、イメージとしては十話で書いたこと、
・天才
・有能
・性格もいい
くらいしか知らないので、うちの春信さんはこんな感じでいきます。春信さんファンの方いらして、こんなんじゃない!!となったらすいません。

あと、サブタイの話数ですが、ひとまずこのまま続けます。こんな中途半端なところから読む方少ないでしょうし。

これからもこの作品をよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。