古雪椿は勇者である   作:メレク

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始める前に少し。

リクエスト、多くの方から頂いて...ありがとうございます!ありがたい...のですが。

半分を越える数がゆゆゆい、のわゆを書いてくれという意見でした。

ゆゆゆいについては改めて言います。現状書くつもりはありません。理由は以前お話した通り。自分がプレイしてないものを中途半端に出すのも辛いので。申し訳ありません。三人目の友奈ちゃんが動画に上がってたやつ聞いたらもうそれだけで心持ってかれたので、その友奈ちゃんだけ単品で出すかもしれません。

そして、のわゆについて。想定していたより多くの声で、リクエストで書かれていた一つに共感したので...再び考えています。リクエストとどっちかにするつもりだったんですが...設定の練り直し、また無理をするつもりもないので頓挫するかもしれませんが、とりあえずご報告だけ。

話は変わって今日は二本立て。この話はリクエスト、もう一話は新シリーズです。

リクエストは椿×友奈。リクこんな感じだよ~という意味も込めてます。希望通りのが書けてるといいのですが...

長々と失礼しました。下から本文です!(自分で書いててここまで胸焼けしたのは初めて。名前がゲシュタルト崩壊しそう)





短編 君の名前を

「友奈」

「椿さん」

「友奈」

「椿さん」

 

普段椿先輩と呼ぶ彼女がさん付けで呼んでいるのは違和感を感じでいたが、感覚が麻痺してきた。

 

「友奈」

「...椿さん」

 

最初から朱色がささっていた彼女の顔も、より赤みが強くなる。

 

「っ、友奈」

「椿さん」

 

事の始まりは、園子が小説の題材のために依頼されたものだ。友奈も了承したということで、呼び合うだけだしと納得した。

 

納得してやりだしてから、俺はバカだなと感じた。

 

「友奈」

「椿さん」

 

互いの目を見つめて、少し離れた位置から互いの名前を呼ぶ。耳が彼女のためだけに使われて、その赤い目も吸い込まれるように魅了される。

 

(そういえば、園子に見られてるんだっけ...)

 

ちらりと隣を見ると、ニコニコ笑顔な園子がいた。今部室には俺達だけで、他には誰もいない。

 

「先輩?」

「あぁごめん。友奈」

「はい、椿さん」

「友奈」

「椿さん」

 

じっと見てるから、少し目線を動かすだけで気づくんだろう。

 

(いつまで続くんだろこれ...)

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「友奈」

「椿さん」

 

言われる度に心が掴まれるのを感じながら、それでも返している。

 

『○○君!』

『なに?』

『ううん、ただ呼んだだけ!』

 

ふと、そんな恋人同士がやってるドラマを思い出して、顔が熱くなった。

 

「友奈?」

「椿さん!」

「っ」

 

私の熱いのが伝わったのか、椿先輩も顔を赤くした。

 

(お揃いだぁ...嬉しいな)

 

ただ名前を呼んでるだけなのに、心が暖かくなる。

 

「友奈」

「椿さん」

 

私は、もっと先輩を見たくなった。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「友奈」

「つばきさん」

 

なんだかとろんとした彼女の顔を見てると、こっちも意識が眠くなる。とりあえず指示を通すため名前だけを呼び続ける。

 

互いに座っているのだが、さっき友奈が椅子を近づけてきた。

 

「友奈」

「つばきさん」

「友奈」

「つばきさぁん...」

 

声に蜂蜜がかけられたようにあまくどろりとなる。それが、俺の鼓膜を襲う。

 

「友奈」

「つばきさん」

「友奈」

「つばきさん」

 

何か心がぽかぽかしてくる。

 

(なんだこの感覚...)

 

もっと欲しい。抗えない欲が出てくる。

 

(......もっと)

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「ゆうな」

「つばきさん」

「ゆうな」

「つばきさん」

 

いつもはカッコいい感じのつばきさんが、可愛く感じる。

 

つばきさんが少し椅子を近づけてきてくれたのが嬉しい。

 

「ゆうな」

「つばきさん」

 

魔法にかけられたみたいに思うけど、この気持ちは魔法で作られた偽物なんかじゃない。

 

「ゆうな...?」

「っ?」

 

気づいたら、膝と膝がくっついていた。

 

(...あれ?つばきさん動いてたっけ?)

 

つばきさんが動いてたのはちょっとだけだったはず__________

 

(...そっか、そうだよね)

 

体と心が、本当の意味で一つになった気がした。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「ゆうな」

「つばきさんっ」

 

いつの間にかくっついていた膝から、ゆうなの手がはいよってくる。そのまま手を絡める。

 

「ゆうな」

「つばきさん」

 

(ゆうな...)

 

その目に、声に、姿に、体の全てが持っていかれる。

 

こつんと、音がした。

 

(ゆうな...)

 

「ゆうな...」

「つばきさん...」

「ゆうなぁ...」

「つばきさんっ...」

 

声と一緒に吐き出される息を感じる。甘い甘い触れあい。

 

その、口の距離が__________

 

「はーい!」

「「っ!?」」

「ありがとー!十分だよー!」

 

大声のした方を見ると、園子が手を俺達の間に滑り込ませていた。

 

同時に、我にかえる。

 

(......っ!?!?)

 

「っはー...」

「いやーつっきーもゆーゆも凄い演技派だね!私ビックリしちゃった!」

「お、おう...そうだろ?な、友奈?」

「え、えぇ...そうですね!つばきさん!」

 

なにかを誤魔化すように声を大きくする俺達。そのまま今日はお開きとなった。

 

(...友奈)

 

思い出す彼女の顔。それだけが頭を埋めて全く寝れる気がしない。

 

(なんなんだこれ...)

 

怖いと同時に、幸せを感じる何か。俺は、友奈と__________

 

(......あー!なんだこれ!!)

 

しばらく、友奈のことは直視できなかった。

 

鳴り響く心の名を、俺はまだ知らない。

 


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