それからリクエスト、おかげさまで上手く機能してます。感謝。
アフターシリーズを書き終えたらリクエストを投稿しようと考えています。最初の内容は椿×銀と、椿×風の予定です。
それと、花澤香菜さんお誕生日おめでとうございます!この話そのっちじゃなくて東郷さんだけど!
したから本文です。
今日も今日とてシャッターを開ける。少し体が衰えてきたのか、たまに腰が痛む。
「変な癖つけちゃったなぁ...まだ25だぞ」
「お疲れ様」
「準備出来てるか?」
「えぇ。ばっちりよ」
「んじゃ開店と...」
和菓子屋『古雪』は、商店街の中で一番早く開店した。
「いらっしゃいませ」
「おっちゃんぼた餅三つ!」
「誰がおっちゃんだガキ。大体お前のとこは四人兄弟だろ。三つでいいのか?」
「俺食べないからいい!これお金!」
「...ほら」
「ありがとおっちゃん...四つ入ってる?」
「早く行け。後が詰まるんだよ」
「...ありがとう!!」
駆けていく男の子を眺めながら、売上簿記を手早く書いていく。即座にやるにはパソコンより案外こちらの方が良いときもある。
天の神を倒した頃は懸念されていた食糧難は、四国外________昔で言う本州で大規模な農園を作れたことから想定していたよりぐっと抑えられ、こうした個人経営のお店を持つことも出来るくらいにはなった。
「ちわー!」
「来たなガキども。試食はさせんぞ」
「買いに来た!」
「ならよし...ってこんなに?パーティー?在庫が...ちょっと待ってな」
この店は本格的な和菓子を比較的安価で、しかも美味しいので売れていて、小さい子どもから高齢の方まで幅広く訪れる。
「今どのくらい在庫ある?」
「ちょっと待って...こんなに?三十分頂戴」
「了解」
かなりの種類があるが、作っているのはたった一人。最初は俺も作ろうとはしたが、出来が違いすぎて店番専門になった。安価で美味しい物が作れているのはひとえに作り手の技術だ。
「お待たせ」
「ありがと...美森」
「いいえ。あなたも頑張って」
これは、一つ年下の俺の妻。古雪美森と俺の物語。
「今日も終わりーっと...」
閉店のためシャッターを閉める。そのまま店の奥が俺達の家だ。
「お疲れ様」
「それはこっちのセリフ。昼除いてほとんど和菓子つくってんじゃん...今日はイレギュラーも多かったし」
今日は子供達からパーティー用の品出し、市内の催しの為の用意とかなり忙しかったのだ。店番しかしてない俺が申し訳なくなる。
「いいのよ。あなたがお客さんの対応をしてくれているから私は奥で安心して作れるのだもの」
「ありがと...でも、夕飯は俺が作るからゆっくりしててな」
お店を開いたいといったのは美森の方だった。昔からぼた餅をはじめとした料理で人を笑顔にしてきた彼女にとって、天職なんだろう。だったら夫として俺は協力するだけだ。
「はいパスタ」
「洋物もいいわね...」
「和食じゃ敵わないからな」
「...あなたの作る和食も食べてみたいわ」
「......考えとくよ」
私の我が儘を通すわけにはいかないと美森は言ってくれたが、その反対を押しきって二人で店を開いた。それが三年近く前。今では俺もすっかり板につき、かなり充実した生活を送っている。
「でも、家から一歩も出ないのはなんとかしないとな...体が鈍る」
「露天販売なんてどうかしら?」
「いいね。今度やろう」
「...ねぇ」
「?」
「私、今凄く幸せよ」
「...これからもっともっとなるんだよ。お腹の子のためにもな」
部屋に飾られている写真には、結婚式の時のと、この店を開いた時のが乗っている。
「ご馳走さま...ねぇ」
「ん?」
「......キスして」
「甘えん坊か?というかキスって...接吻じゃないの?」
「こっちの方があなた好きでしょう?」
「......変なこと覚えやがって」
「んっ...これも私が幸せになるためのことだから」
「はいはい...俺もだけどさ」
その隣に、三人家族の写真が飾られる時は__________そう遠くないだろう。