結構シリアスを楽しみにされてる方もいるみたいで...まぁ、そういった方々はもう何日かお待ちください。まぁこの話も前半は(勇者部女子にとっては)ガチシリアスですけど。
というわけで、下から本文です。
『ラブレター』
「おいてめぇ!!!」
古典の後の休み時間、椿がクラスメイトに言い寄られていた。
「なんだよ...」
「こいつぁなんだ!!これつぁ!!!」
「今言ったじゃんか...」
手にはピンク色の封筒が握りしめられている。
(というかあの形...あれはまさか)
「ラブレターだとぉ!!貴様!勇者部というものがありながら!!!!」
「いやだから_______」
(ラブ、レター?)
その後のことは何も覚えていなかった。椿と一緒にご飯を食べた筈なのに。
「風、悪いんだけど今日の勇者部は抜けさせてくれ。樹のレッスンも休みだったよな?」
「...なにかあったの?」
「ちょっと野暮用」
そう言って椿は消えた。そう。きっと、ラブレターの返事をしに__________
(どうしよう、どうしよう...)
あたしはもうまともに考えられなかった。残った気持ちを全部だして、樹に電話をかける。
「お願い!大至急高校にきて!全員で!!!」
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「風先輩!どうしたんですか!?」
アタシ達が突然呼ばれて来たのは、椿と風先輩が通う高校の近くにある公園だった。子供達にまじってベンチに座る先輩の顔は、絶望に染まっていた。
「お姉ちゃん!!」
「あー...樹、皆、来てくれたのね」
「お姉ちゃんしっかりして!」
「い、いったい何が...」
「つっきーは一緒じゃないんですかー?」
「!!!!」
びくんと風先輩の体が動いた。
「え...先輩、もしかして椿に何かあったんですか!?」
「椿先輩に!?」
「風、大丈夫...話せる?」
「お姉ちゃん!!」
「...あ、あのね」
そして、アタシ達は聞いた。いや、聞いてしまった。
「椿が告白された...」
『えぇ~!?』
確かに椿は優しいしかっこいいし_______アタシ達皆大好きだ。だからこそ風先輩と同じように、闇が生まれた。
「嘘...ですよね?風先輩、椿先輩に...」
「こ、こ、ここ恋文を古雪先輩が...?」
「高校で初めて同じになったやつが寄ってきたのか...!」
「中学は勇者部があったからそんなことしてくる人いなかったですもんね」
勇者部なら、まだいい。アタシも笑顔でいられる。でも、誰とも知らない先輩が、椿の隣を腕を組んで歩く__________想像して、背筋が凍った。
「椿...椿!!」
「ふーみん先輩、場所とかわかる~?」
「ごめん...聞けなかった......椿が離れちゃうと思ったら怖くて、口が開けなくて...」
冷静な頭が、「椿がいきなり知り合った女の子に快い返事をするわけない」とか、「彼女ができてもアタシ達の前から消えるわけでもないし」と言ってきている。
(でも、そんなこと関係ない!)
大切なのは今で、この恐怖感だ。
「なら探しましょう」
「こ、高校の中だとは思う...」
「ご安心ください。部室のパソコンを新調した際、全員分のGPS追尾機能を追加したので...出ました!」
ノートパソコンから出た座標は、見事に高校だった。
「ここ...ここなら場所的に屋上だわ!」
「行こう皆!!」
友奈の掛け声に、全員が頷いた。
中学の制服のアタシ達は、この高校志望で先輩の許可を得て来ましたと伝えると、堂々入れた。そんなやりとりする時間さえ惜しくて階段をかけあがる。
屋上の扉は、少し開いていた。
「あそこ!」
扉から覗こうとして_______
「あれ?お前らなにしてんの?」
外から入ってきた椿が、驚いた顔をしていた。
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『つ、椿...うけたの?』
『椿先輩...そんな...』
『こ、断ったんですよね...?』
『ね?』
最初はなんのことだか分からなかった。まず中学生ばかりなのに高校にいることがびっくりした。
『なんの話だ?』
『つっきー...』
『椿、告白されたんでしょ...?』
『へ、返事したのか?』
『??俺まず告白されてないんだが』
『え』
全員の声が見事にシンクロしていた。聞いた話と辻褄を合わせていくと_______俺の隣の下駄箱に入れる予定だったラブレターの話を勘違いして、俺が告白されるのではないかと思った彼女達が見に来てくれたらしい。
俺はというと、呼び出してきた女子に『いれる下駄箱間違ってるぞ』と手紙を返しただけだが。別クラスの人間であまり人にバレたくないから下駄箱投函にしたのだろうと考え、放課後の呼び出しの時間に渡した。
(...なんか、いいな)
わざわざ心配してくれた彼女達のことを考えると心がくすぐったくなる。幸せな仲間に会えた。
(もし俺が付き合うなら、勇者部の誰かがいいな...皆可愛いし高望みし過ぎかな)
今日も放課後の時間だけあっという間に感じた。これからも、そうであればいいなと願って、俺は眠りについた。
「久々に夜間侵入だー...」
「つっきー寝てる...可愛い...」
「ど、どうするのよ」
「決まってるでしょ夏凜」
「く、口はダメですよね?」
「あ、ごめん樹ちゃん。ファーストはアタシが小さい頃すませてるんだ。本人は覚えてないと思うけど」
「んっ...」
「友奈ちゃん早い!?だ、ダメよハレンチな!!」
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「お前のせいでいらん誤解を受けたんだからな」
「ギブ、そんな笑顔で胸ぐらつかまないで...」
「......はぁ」
「助かります...ってその首どうした?」
「あぁこれか?なんか痕になってて。ダニにでも食われたんだろ」
「そんなに大きく?」
「いや、小さいのが七ヶ所だったんだが、めんどくさくて纏めて貼っといた」
「...首だけ?」
「あぁ。不思議だよな」
「......まさか。ね」
『花開いて』
今日は園子の家に通されていた。『成長した私の料理スキルをみてほしいんよ~』ということで、昼食をご馳走に。銀は東郷の家だそうだ。
「ごちそうさまでした」
「おかわりいいんよ~?」
「...お願いします」
肉じゃがだったが、崩れないのに汁が溢れて、知らない間に食べ終わっていた。正直もう腕が抜かれている。
「ふぅー...美味しかった」
「お粗末様でした。ゆっくりしてていいからね」
「いや、皿洗いくらいさせてくれ」
「ダーメ」
「むぅ...わかったよ」
真剣な顔だったので、彼女の意思を尊重することにした。何か考えがあるのだろう。
「まるで夫婦だなぁ...嬉しいなぁ...」
それは、一人言なのか話しかけてきてるのか。熱くなった頬を隠しながら、無反応を返した。
「ふぁ~...」
昨日は難しめの高校テストがあったため睡眠が不足してる。あくびをすると涙目になって視界がぼやけた。
(ねむー...こんな生活続いたら、ダメ人間まっしぐらだなぁ...)
皿洗いの水音が遠くなり、その目蓋が重たくなった。
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「つっきー、おまたせ...」
「すぅー...」
洗い物をしてつっきーに声をかけると、壁にもたれて寝てた。気持ち良さそうな寝顔。
「もぅ...折角二人きりになれたのに」
今日の誘いは確かに急だったし、本当に気持ち良く寝ていたから怒る気にもなれなかった。
「......えいっ」
正座した膝に頭を乗せる。「んにゅ...」と言っても起きることはなかった。
『お前は、三ノ輪銀を覚えているか?』
つっきーとの出会いがふと蘇る。初め会ったのは、わっしーとゆーゆが一緒で、私が呼び出した時だ。
話自体はミノさんから聞いていたけれど、彼がこんなにも魅力的で_______自分も好きになってしまうような相手だとは、思いもしなかった。
普段からさりげない気遣いをしてくれる。道路の車道側を歩くとか、歩幅を合わせてくれるとか。指摘すると『気のせいだ』なんて言うけれど。周りをよく見ていて、ふーみん先輩が体調悪い日にすぐ気づいて帰らせたのは驚いた。私には全く分からなかったのだ。つっきー以外だと、ゆーゆが少しだけ気になっていたくらい。
何度も小説のネタにすると称してからかったこともある。何回かやれば否定的になるだろうに、文句を言ったりしながらでもきちんとやってくれる優しさもある。
でも、他人に優しいからこそどこか自分に無頓着で、切り傷をそのまま放置してたり、前は一人で壁の外へ行って敵と戦ってたり。
怒ると反省はするけど、もうやらないってわけでもないし。
もっと自分を大切にしてほしいと思う。もっと自己中でいいと思う。
(でもきっと、貴方はそうしないよね)
それか彼の良いところであり、心配なところだ。
もっと私が、私達が心配していることを気づいてほしい。出来れば、それ以上の気持ちにも_______
頭を撫でる。ミノさんにも撫でられたし、つっきーにも撫でられた時のことを思いだし、まねるようにゆっくりゆっくりと。
私はやられて凄く幸せな気持ちになったから。お日様に当たってるみたいにぽかぽかして、胸から気持ちが溢れそうになって。
だから、寝ているつっきーを撫でているだけで楽しくなる。つっきーがこんな気持ちを持ってくれればいいなと思う。
「ん...」
少しだけ、寝息を確認した。ちゃんと規則正しく音を立てて寝ている。
そのくらい、膝枕が気持ちいいのか、撫でられてるのが気持ちいいのか。幸せなくらい_______私の膝の上で安心しきってくれているのか。
「...私ね」
私は、自分の気持ちを吐露した。
「大好きだよ。つっきー」