皆城総士になってしまった…   作:星乃 望夢

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劇場版艦これ見たら、無性にHAEを見てしまい、プロット的に普通のHAEができないから無理やりねじ込んでいくスタイル。

総×芹が尊過ぎてもうなんだろう。何も感じなくなって……パリンッ


番外編
皆城総士になってしまった…UX01


 

 目が覚めたら、そこはあたしの知らない竜宮島でした。

 

 フェストゥム以外にもたくさんの敵が居て、そして一騎先輩たちは人とも戦っていた。

 

 それは仕方のない事なのかもしれない。島をフェストゥム以外の敵からも守るためには、仕方のなかったことなのかもしれない。

 

 だから人と戦わないと言っていた真壁司令は、とても辛い決断をしたのかもしれない。

 

 そんな竜宮島。

 

 あたしたちには関係ないのかもしれないけど。でもこの島だって、乙姫ちゃんの島だから。

 

 だからあたしが守るんだ。

 

「止せ、立上! ノートゥング・モデルでは同化現象は…!」

 

「それでも。あたしはやります」

 

 明日の平和が欲しいのなら、今ある命を使うしかない。

 

「あたしが、守るんだ。乙姫ちゃんの島をっ」

 

 いつもと変わらない。乙姫ちゃんの島を傷つけるのなら、あたしがその敵をやっつけるんだ。

 

「これが、あたしの…」

 

「ザインと同じ、存在を意味する機体だ」

 

 手にしたのは、救世主の英雄の力。

 

「総士先輩!!」

 

「僕に構うなっ」

 

 対するのは虚無の力。それでも、あたしは負けない。負けられない。

 

 スーパーロボット大戦UX with皆城総士になってしまった。

 

 あたしは、ここにいるよ。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 世界が異なろうとも、人は同じ過ちを繰り返す。

 

 戦いが終わっても、憎しみが消えるわけではない。

 

 終わりのない憎しみの連鎖は、平和になった竜宮島にも襲い掛かった。

 

 異邦人である僕たちには関係のない事であるかもしれない。

 

 だが、この島は竜宮島だ。僕の帰るべき場所だ。

 

 傷つく家族を守るためならば、僕はこの手に剣を手にしよう。

 

「総士……なのか…!?」

 

「僕の名は皆城総士。君の知る皆城総士ではない。だが僕も、皆城総士だ」

 

 そう、僕は皆城総士。未来の為に戦う決意をした、皆城総士であって皆城総士ではない者。だが、それでも僕はこの島の未来の為に戦う。たとえどんな姿や形になっても、竜宮島は僕の故郷なのだから。

 

「空が綺麗だと、思ったことはあるか?」

 

「君も思うんだ。空が綺麗だって」

 

 その問いをされた相手に、問いを返す。

 

 島の空を奪い、島を殺し、家族を傷つけるというのならば。

 

「ザインと同じ、存在を意味する英雄だ」

 

「これであたしも戦えます。あたしの戦いを」

 

「僕も行く。島の空を取り戻すぞ」

 

 スーパーロボット大戦UX with皆城総士になってしまった。

 

 君は知るだろう。

 

 世界を超えても魂の絆は確かにそこにあることを。

 

 その絆によって更なる犠牲を強いられようとも、僕たちは止まらない。守りたいものがそこにあるかぎり。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 目が覚めたら、アルヴィスの医務室だった。

 

 どうして医務室に居るのがわからない。確か昨日も普通に総士先輩と一緒に寝たはずなのに。

 

「目が覚めたのね。気分はどう?」

 

「遠見先生……。なんで、あたし…」

 

「…。皆城君の部屋で倒れていたのよ。あなたたちは」

 

「倒れて…?」

 

 遠見先生からそう聞かされても、倒れるような事をした覚えはない。里奈みたいにSDPの同化現象で眠ってしまう事もあたしにはない。もしそうなったらあたしの場合は身の回りのものを同化するから。自分の命を守ろうとして。

 

「あ、待って。今、真壁司令をお呼びするから」

 

「え? 真壁司令をですか?」

 

 そんななにか深刻な事をした覚えもない。身体だって昨日と何処も変わらないのに。

 

 でも真壁司令が来ると言うのなら、このまま待っているしかない。

 

「あの、遠見先生。あたし、なにかしちゃったんでしょうか…?」

 

「え、いいえ。そうではないのだけれど…」

 

 どう伝えれば良いのかと迷う様な感じの遠見先生に、あたしは良くない方に物事を考えてしまう。

 

 まさか意識していない間になにかを同化しちゃったのかとも。

 

 しばらくして、真壁司令がやって来た。総士先輩も一緒だった。

 

「目が覚めた様だね」

 

「あ、はい。…あの、あたしはなにかしちゃったんでしょうか?」

 

「いや。そうではない。だが…」

 

 真壁司令も、遠見先生と同じ様な表情を浮かべる。すると総士先輩が1歩前に出て口を開いた。

 

「立上はなにもしてはいない。だが事態はそれよりも深刻だ」

 

「はい?」

 

 なにもしていないのに、とても真剣な表情の総士先輩に、あたしは話が見えてこなかった。

 

「僕と立上は、僕たちの世界とは異なる世界の竜宮島に居るということだ」

 

「どういう意味ですか?」

 

 総士先輩から聞かされたのは、あたしには想像を絶する程の話だった。

 

 地球の支配を狙う様々な敵。フェストゥム以外にもたくさんの敵が居る世界。

 

 あたしたちの世界とは違って、この世界はもう北極のミールとの決着がついていると言うことだった。

 

 そしてこの世界の総士先輩はいなくなっているという事だった。

 

 あたしが呑み込みやすい様に、話された内容は主に島に関係する事ばかりだった。

 

 それはあたしの知る未来、或いは過去の世界の竜宮島の辿った軌跡に良く似ている。

 

 でも違う部分もある。

 

 羽佐間先輩も、道生さんも、いなくなってしまったと思ったら実は生きていた。

 

 春日井先輩や小楯先輩、要先輩の未来は変わっていなかったりと、変わらないところもある。

 

「どうやら僕たちは、異なる可能性を歩む地平に来てしまったらしい」

 

「……帰れますよね?」

 

「なんとも言えない。だが、必ず帰る方法を見つけ出す」

 

「わかりました」

 

 不安は、実はとってもいっぱい感じてる。島に帰らないと、総士先輩が居なければマークニヒトを動かせない。あたしも島の為ならアザゼル型とも戦える。戦力として外せない総士先輩の居ない竜宮島。一騎先輩も今は戦えないのに。ザインとニヒトが戦えないまま、四年後を迎えてしまったら目も当てられない。だからそれまでにはあたしたちの島に帰らないとならない。

 

 あたしに出来ることはなにもありそうにない。だから信じて待つだけ。必ず総士先輩なら見つけられるって。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 アルヴィスの首脳部が会議室に集まっていた。その議題は突如として現れた皆城総士と立上芹を名乗る二人の少年と少女についてだった。

 

「それにしても、また厄介なものを拾っちまったな」

 

「彼らに害意はない。遺伝子的にも本人たちだと断定されてはいる」

 

「新国連のスパイ。だとしても認識チップは一点物でコピーは無理だからな」

 

 史彦の言葉に、新国連のスパイを疑う溝口だったが、総士と芹の身体にはアルヴィスの人間に埋め込まれている認識チップが存在している。

 

 二人が見つかったのも、居なくなったはずの総士の認識IDの反応が突然アルヴィスの皆城総士の部屋に検出されたからだ。

 

 そして地上と地下に、立上芹のID反応が存在している事実もある。文字通り同じ人間が存在しているのだ。

 

 見掛けは異なってはいるが。

 

「両名の証言によれば、昨日は共にアルヴィスで就寝し、目覚めたら皆城君の部屋に居たそうです」

 

「平行世界から、気づいたらやって来ていた。昔の漫画とかであったりする設定だが、そんな事が実際に有り得るのか?」

 

 千鶴の報告に保が口を挟む。漫画家である保が読んだ知識と、総士の証言を照らし合わせて推察するものの、それこそ漫画の読みすぎだと言われかねない妄想だった。だが別世界からやって来た例がないわけではない。

 

「だが彼らの話では、未だ彼らは北極のミールと決戦を控えている最中であるらしい。そして人類の敵はフェストゥムだけであり、日本列島は沖縄と北海道の一部を残し、消滅しているそうだ。人類軍の核攻撃によって」

 

 会議室に居る大人たちは息を飲んだ。日本列島が消滅している。自らの生まれ故郷がなくなっているという言葉は簡単には呑み込めなかった。

 

「彼ら両名も既にファフナーのパイロットとして実戦に参加しているということだ」

 

「待て真壁。それじゃあなんだ。もうひとりの総士君はファフナーに乗れるのか?」

 

 自分達の知る皆城総士はファフナーに乗ることが出来なかった。左目の傷は同じだが、元々乗れたのか或いは乗れる様になったのか、乗らなければならなくなったのか。一番最後の理由だけは出来れば考えたくはないものだった。

 

「ああ。シュミレーターだが、起動に成功し、Sランクも軽々しくクリアしていった。両名ともな」

 

 Sランクのシュミレーターは、敵にザルヴァートル・モデルが奪われた事態を鑑みて付け足された特別プログラムだが、現時点のパイロットたちでさえ対抗するのがやっとの程のものを朝飯前の様に軽くクリアした光景は史彦の記憶に先程刻み付けられたばかりだ。

 

「身柄を保護する対価として、有事の際の戦闘への協力も申し出てきた。その為の新型ファフナーの設計図も添えてな」

 

 立体モニターで映し出されたファフナーの名はアルゴノート・モデル。英雄たちの乗った船の名をつける程の性能がそのファフナーにはあった。

 

「ベースはノートゥング・モデルらしいが、ジークフリード・システム内蔵に、無人機の管制システム? 指揮官機って感じの性能だな。それにコアも二つも使うってのは豪勢なもんだ」

 

「でもこんなもの、いったい誰が動かせるのかしら」

 

 アルゴノート・モデルの設計図を見て、保はそこから想定される性能を想像して舌を巻く。しかしコアを二つも使うファフナーなど、ザルヴァートル・モデルよりも危険な物に容子は思えてならなかった。

 

「現に彼らでも実践配備出来ているのは一機だけらしい。もう一機はパイロットに合わせた調整に難航していると言うことだ」

 

 これだけパイロットに負担を掛けながらも、高性能となる機体を用いて戦わなければならないほどの敵が、北極ミールとの決戦前に存在している。そう考えると末恐ろしくて堪らない面々だった。

 

 そういった存在として、アザゼル型とディアブロ型のデータも、総士から提供されていた。

 

 それを見れば、アルゴノート・モデルの存在も納得できるものだった。

 

 さらにはザルヴァートル・モデルも3機保有していると知れば、彼らがどの様な過酷な状況で戦っているのか想像も出来なかった。

 

「それで。彼らの処遇はどうしますか?」

 

 様々な情報に一旦会議を切り上げて整理する頃合いに。澄美が総士と芹の扱いをどうするのかと纏めに入る。

 

「不自由な生活を強いる事になるだろうが、彼らの要望は出来得る限りで答えたいと思う。世界は違えど、彼らも同じ島を守るために戦っている我々の同胞だ。彼らの帰るべき場所へ返す為に、我々の全力を尽くそう」

 

 ファフナーに対する技術力でならば彼らが先を行っているかもしれないが、それ以外の技術で協力出来る事もあるだろう。

 

 事情を察する事が出来る分。史彦の決定に反対する者は居なかった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 会議が行われている間。総士と芹の二人は数あるアルヴィスの居住区の部屋に居た。二人にそれぞれ個室は用意されているが、総士の傍を離れられない芹は当然の様に総士が宛がわれた部屋に居た。

 

「どうなっちゃうんでしょうか。あたしたち」

 

 総士の肩に身を預け、服の端を握っている芹は不安から服を握る力は強かった。

 

「悪いようにはされない。とは思っている」

 

 そんな彼女に総士は言葉を返すしかなかった。

 

 世界情勢は違えども、同じ島に住み、ファフナーでフェストゥムとも戦っている自分達。そして島の人間であるから行動は制限されるだろうが、悪いようにはされないだろうという楽観が、総士に余裕を持たせていた。

 

「……乙姫ちゃん」

 

 芹が呟いた。部屋の隅に、赤子を抱いている皆城乙姫が居た。だが、その身体は透けていた。

 

『ようこそ。わたしの島へ』

 

「乙姫ちゃん…。あたし、あたしたちね」

 

「乙姫。お前が僕たちを呼んだのか?」

 

『ううん。わたしはなにもしていない』

 

「そんな……」

 

 皆城乙姫ならば或いはなにかを知っているのではないか。そんな期待を込めた質問への返答に、芹は深く気を落としてしまう。

 

「この島に居る限りは、僕たちに出来ることがあれば言ってくれ」

 

『……あなたは、それで良いの?』

 

「たとえ世界が違えども、お前は僕の妹だ。そして姪も居る。万が一の時は、守ってみせるさ」

 

『……ありがとう』

 

 総士の言葉に僅かに目を見開いて、礼を口にすると彼女は消えていった。

 

「総士先輩……」

 

「以前の僕には、妹が辛いときに、傍に居てやることが出来なかった」

 

 その罪滅ぼしではないが、自分も皆城総士として妹を守ることになんら躊躇いはなかった。

 

「……あたしも。あの時は、傍に居てあげる事しか出来ませんでした。恐くて、悲しいのに。あたしは、それを追い払う事が出来なかった」

 

 痛い。助けて。

 

 そう言葉では発せなくても、助けを求めていたフェストゥムたち。エウロス型は、痛みに苦しんで、助けを求めていた。フェストゥムも生きている。

 

 それでも。戦わないと守れない命の為に、躊躇わない。

 

「あたしも守ります。乙姫ちゃんと、織姫ちゃんを」

 

「ああ」

 

 確かに不安を感じても仕方がない状況だ。だが今は目の前でこれからの戦いに不安を感じている大切な存在がそこにいる。

 

 彼女たちを守るためなら戦うことに躊躇いはない。

 

 息を吹き返した芹に、総士は柔らかい笑みを浮かべた。

 

 たとえ世界が違えども、そこにいる存在を守るためなら戦える。そうでなければ今まで戦っていた意味が無意味になってしまう。

 

 君は知るだろう。

 

 僕たちが存在と無を繰り返して出逢う果て。たとえ違う相手や自分であっても、魂の絆は確かにそこにある事を。

 

 

 

 

to be continued…

 

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