皆城総士になってしまった…   作:星乃 望夢

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もう38話目になるのにパパミツが島に帰ってくるどころか水着回にすら辿り着けない。私が目指した楽園は欲望を抑えきれずに空想に塗れていてあとを絶たない。

芹ちゃんリョナものとか想像して興奮したので、スフィンクスB型種の腹パン喰らってきます。


皆城総士になってしまった…38

 

 テスト中での敵の襲来。遠くの竜宮島本島から鳴り響く警報。遠目にブァッフェラーデンの防壁が住宅を守るために迫り上がっている。機体にもジークフリード・システムを介してソロモンのデータが表示される。

 

『ね、ねぇ、まさか敵が攻めてきたの?』

 

『テスト中に敵の襲来なんて燃える展開じゃないか!』

 

「バカ広登! さっさとこっちに合流して!!」

 

 ファフナーはすべて量子通信とジークフリード・システムによって双方向通信が確立されている。

 

 通信プロトコルを読まれない様にジークフリード・システムを介した通信のみがあたしたちを繋いでいる。

 

 コレがシステムを内蔵したファフナー同士ならクロッシングが出来るけど、人類軍製のファフナーはそうもいかない。それでも不完全でもシステムと繋がることは出来るから指示を聞くことくらいは出来る。全部総士先輩の受け売りだけどね。

 

 あたしを信じて、総士先輩はみんなを任せてくれたんだ。なら果たして見せなくちゃ。みんなはあたしが守る。

 

『あれが、フェストゥム……』

 

『綺麗だ……』

 

「ぼさっとしてないで早く来て! みんな丸腰なんだよ!?」

 

 敵は私たちの前にも現れた。アルヘノテルス型がグレンデル型を生み出して襲ってくる。

 

「飽和攻撃を要請!! ラインBー2からFー4まで!」

 

 ジークフリード・システムを内蔵されていると島のシステムにアクセスして防衛機構を作動させることも出来る。

 

 ミサイルがあたしたちが駆け抜けた道を吹き飛ばしていく。それでグレンデル型はどうにかなるけど、アルヘノテルス型はやっぱり倒せない。

 

『芹、前っ!!』

 

 前にもアルヘノテルス型が現れて、その背中が怪しく光る。

 

「イージス装備全開! 突き抜けるよっ」

 

 肩のイージス装備、そして腕に装備した実体シールドがスライドしてフィールド発生器を露出させて新たにイージス・シールドを展開する。

 

 左右と前方の防御を厚くして、ショットガン・ホーンを展開する。

 

「この角は見掛け倒しなんかじゃないよ!」

 

 アルヘノテルス型の放ったワームスフィアを突き抜けて、エネルギー・フィールドを纏った角を突き刺す。

 

「うぉぉおおおおお!!!!」

 

 カブトムシが相手を角で投げる様に、アルヘノテルス型を空に打ち上げる。

 

「これで、いなくなって!!」

 

 腕のレールに連結していたバスターソード・ライフルを、腕に装着したまま突き刺す。突き刺さった刀身が展開して、砲門が露出する。荷電する銃身からプラズマ弾を撃ち込み、コアを破壊する。

 

 相手をしている間に追いついてきたアルヘノテルス型に振り返って、ショットガン・ホーンのプラズマ弾を撃つ。

 

 攻撃が当たってよろめいたアルヘノテルス型に空かさずレージングカッターを放ってワイヤーが巻きつくと、思いっきり引き寄せる。

 

 ワイヤーを巻き上げながら引き寄せたアルヘノテルス型に向けてバスターソード・ライフルを捩じ込み、コアに向かってプラズマ弾を撃ち込んで破壊する。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

『す、すげぇ……』

 

『芹……あんた…』

 

 バカ広登と里奈が感心してるけど、この程度先輩たちの足元にも及ばない。総士先輩や将陵先輩、翔子先輩の戦いかたはもっと凄い。

 

「総士先輩たちが敵を引き付けていてくれるから。あたしたちは早く島に戻って総士先輩たちを安心させなきゃ」

 

 そうすれば先輩たちは前だけを気にして戦える。あたしたちが足手纏になっちゃいけないんだ。

 

 みんなが乗っているグノーシス・モデルは手が着いているタイプで、両腕にトルーパーと同じイージス・システムが装備されている。まだ武器がないけど、自分の身を守って撤退するくらいなら出来る。

 

「バカ広登は前! その後ろに里奈と暉が続いて」

 

『芹はどうするんだよ!』

 

「あたしは良いから行って! 守りながら隊列なんて組めっこないんだから」

 

 グノーシス・モデルよりも大きいノートゥング・モデルの方が小回りはともかく、直線距離ならこっちの方が速い。

 

 それに武器がないから今は逃げることだけに集中させる。……多分総士先輩も敢えてそうしたんだ。武器を持てば戦えると思わせる思考を持たせないように、武器がないなら逃げるしかない様に思考を誘導させる。さすが総士先輩。

 

 だから迎撃はあたしが一手に引き受ける。

 

 また新手が来る。スフィンクスB型種。顔に不気味な目と口を持つ今までみたことのないフェストゥム。

 

 それが3体もなんて。

 

『ア・ナ・タ・ハ・ソ・コ・ニ・イ・マ・ス・カ?』

 

『ひっ!?』

 

『くそっ。万事休すってやつか…!』

 

 生で聞くその問いに里奈は怯えて、広登は勝手に自分追い込んで。暉は喋らないからわからないけど、身構えている。

 

 答えれば同化され、答えなければ攻撃されるフェストゥムの問い。

 

「いるよ。あたしは――っ」

 

 だからこそ答えるんだ。先輩たちはそこにいることをフェストゥムに教えるために。そこに生きる生命があることを伝えるために。

 

「ここにいるぅぅううう!!」

 

 バスターソード・ライフルを腕のレールから抜き、両手で構え肩に担ぎながら走る。

 

 スフィンクスB型種の1体が前に出て腕を剣に変化させて襲い掛かってくる。

 

 それを掻い潜りながらカウンターを合わせて、バスターソード・ライフルで胴体を横に真っ二つに切り裂く。

 

「あたしが、守るんだっ。乙姫ちゃんの島を! みんなを!!」

 

 次に出てきたスフィンクスB型種は拳を振りかぶって襲ってきた。イージス装備で防御。一撃が重くて衝撃で機体が後ろに吹き飛びそうになる。

 

 脚を踏ん張って耐える。バスターソード・ライフルの刀身を展開させる。スフィンクスB型種がイージス・シールドを殴って次を殴る瞬間にシールドを解除。甘い脇に掻い潜って展開した刃を突き刺す。

 

 でもスフィンクスB型種はお腹を硬い腹筋で防御する様に柔らかくも硬い腹部でバスターソード・ライフルの切っ先を阻んだ。だけどあたしが放ったのは突き。突き刺すため、突き抜ける為の貫きだ。

 

 砲門からプラズマが迸り、刀身を覆うプラズマ刃がスフィンクスB型種の表面を焼き、炭化した部分から突き抜ける刃を上に向かって切り上げ、コアを破壊する。

 

 最後のスフィンクスB型種はシールドを張って飛び込んできた。

 

「くっ」

 

 こちらもイージス装備を展開して受け止める。

 

『さがれ立上! 無理に相手をする必要はない』

 

「っ、でも!」

 

 このフェストゥムを放っておいても良いことなんて何もない。

 

『お前の任務は、候補者を無事に島に送り届けることだ。マークツヴォルフ』

 

「了解…っ」

 

 あたしがもっと早く仕留められていたら、総士先輩の気を煩わせることもなかった。

 

 シールドで競り合っているスフィンクスB型種から離れてあたしは通信に向かって叫ぶ。

 

「グノーシス部隊はポイント更新! 真っ直ぐ島に向かってっ」

 

 バスターソード・ライフルの射撃モードで牽制射撃。倒さないで敵の足を止める。

 

 総士先輩が戦いかたをあたしに教えてくれる。

 

『芹を置いて逃げろってのか!?』

 

 バカ広登が反論してくるけど、今の広登たちが居ても何もできないのをわかって欲しい。

 

「足手纏だから速く行ってって言わないとわかんないかな!?」

 

 キツい言葉の言い方になるけど、こうでもしないとバカ広登は動かないし、今くだらないことで口論してる暇なんてないのに。

 

「くあっ」

 

 強い衝撃が連続で襲う。スフィンクスB型種が腕から連続してワームスフィアを砲弾の様に撃ってくる。

 

「ぐぅっ」

 

 機体のエネルギーをシールドにまわして。

 

『芹!』

 

「里奈! バカ広登と暉をお願いっ」

 

 里奈に叫びながらスフィンクスB型種の攻撃を耐える。

 

 攻撃の隙を突いてショットガン・ホーンのプラズマ弾を放っても瞬時に防御される。こっちの戦いかたに合わせて学習しているんだ。

 

 接近戦特化のあたしに合わせて戦いかたを変えた。絶対に懐に入り込ませないように。

 

「何してるの! 里奈!!」

 

『で、でも…、芹を置いていったら』

 

 むしろ置いていってくれた方が自由に動き回れて助かるんだけど。それをどうやって説明しよう。今の里奈も戦場の空気に呑まれて、なにを言っても要らないことまで考えそうだし。

 

『〈行こう里奈、広登〉』

 

『チャット? 暉!』

 

 暉からチャットで言葉が送られてきた。確かに喋れないけど、暉だってバカじゃないんだ。こういうやり取りなら声が出なくても会話は出来る。

 

『〈今のおれたちじゃ足手纏だ。芹にも迷惑が掛かってる。芹のことを考えるなら早く島に戻らなくちゃ〉』

 

『暉…、あんた……』

 

『………それで、良いんだな。芹…』

 

 一番大人しいと思われていた暉が二人を引っ張ろうとしていることに、広登も里奈も冷静に物事を見ようとしている。

 

「あたしなら平気だから。っ、行って!!」

 

 腕のシールドが限界に近い。ショットガン・ホーンと同じくエネルギー・フィールドを纏ったバスターソード・ライフルでワームスフィアを切り裂く。

 

 ショットガン・ホーンのプラズマ弾を放ち、みんなを撤退させる為にスフィンクスB型種の意識を釘づけにする。

 

『必ず、帰ってきてよ! 芹っ』

 

『……すまない。次は必ず、お前を守れる様に強くなるからっ』

 

『〈無理はしないで…〉』

 

 3人のグノーシス・モデルが動き始める。

 

 それをスフィンクスB型種が視線を向ける。腕を広登たちに向けた。

 

「はあああああ!!!!」

 

 その隙を突いて、スラスターの出力を全開にして体当たりする様に機体を突っ込ませた。

 

「なに!?」

 

 降り下ろしたバスターソード・ライフルを、スフィンクスB型種が受け止めた。砲口から拳に変わった腕で、プラズマ刃を纏ったバスターソード・ライフルに耐えている。

 

「あうっ、っ、しま…っ」

 

 バスターソード・ライフルを打ち上げられ、握っていた腕もそれに釣られて無防備な姿を晒してしまう。

 

 肩と脇の下から先が剣になった腕を生やしたスフィンクスB型種が、あたしに向けてその剣を突き刺した。

 

「っづ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 

 肩、胸、お腹、突き刺された痛みが心臓を締め付ける。

 

 乙姫ちゃんの痛みとは違う。これが自分が傷つけられる痛み。こんなに、泣きたいほど痛い。死んじゃいそうな程痛い。

 

 でも――。

 

「つか、まえた、ぁあああ!!」

 

 ショットガン・ホーンを展開。もう逃げられないし、腕があたしに刺さっているから、身動きもとれない。

 

「あたし、がっ、守る…! 乙姫ちゃんのっ、島を……っ」

 

 機体から血が溢れる。御構い無しにスラスターの出力を全開にして頭にある角をスフィンクスB型種の胸に向ける。

 

「守るぅぅううううっっ!!!!」

 

 エネルギー・フィールドを纏ったショットガン・ホーンの切っ先がスフィンクスB型種の胸に向かう。

 

 ぐしゃりと嫌な音が聞こえた。いつものタイミングでプラズマ弾を放とうとしてもエラーになる。

 

 なんで、どうして――。

 

「っ!?」

 

 スフィンクスB型種の腕が、あたしの角を握り潰していた。

 

 スローで見えるボディブローが突き刺さる。

 

 ファフナーの耳じゃない。自分自身の耳で、鉄が拉げる音が聞こえた。

 

 お腹を殴られた。骨まで砕かれたみたいな痛み。だめ、お腹が潰れちゃったら――。

 

 ガラスが弾ける音。全身に走る痛み、腕が……潰れた。足が……裂けた。胸が……刺さった。

 

 

 

 

to be continued…

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