皆城総士になってしまった…   作:星乃 望夢

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だれも芹ちゃんの命の心配をしてなくて結晶生える。これがEXOでなくHAEの時代だったらもう「芹ちゃんが死んだ!?」ってみんなビックリしたんだろうなぁ。

正直最近芹ちゃん殿に劣情抱きまくりそうでヤバいのでまたスフィンクスB型種の腹パン喰らってきます。


皆城総士になってしまった…39

 

 戦闘開始からそれなりの時間が経つのに、私は敵を未だに倒せていなかった。

 

「私との戦いかたを知ってるの?」

 

 ウーシア型を撃とうと最適な射撃位置に着こうとするとシーモータル型に妨害される。

 

「武器はなげないけど」

 

 さっきから武器を奪おうとしつこくシーモータル型がレールガンを握る右腕を狙ってくる。

 

「このっ」

 

 群れを撃っても焼け石に水の様に数が減らないどころか、失った数以上の群れをウーシア型が生み出す。

 

 近づこうとすると武器を失う可能性もある。逆に近づかないと親を撃てない。ウーシア型を倒せばシーモータル型も倒せる。シーモータル型を倒せばウーシア型への道も開けるけど、そのどちらもされないように彼らは考えている。互いに互いを守りあって攻め難い戦いかたは普通のフェストゥムの群れじゃない。私たちとの戦う方法を知ってる。

 

『距離を取れ羽佐間』

 

「でも!」

 

 今、私がここを離れたら敵を島に行かせることになる。

 

 レージングカッターを振り回して近付いてくるシーモータル型を切り裂く。

 

 デュランダルとレールガンの二挺拳銃で弾幕を張る。

 

『なにをする気だ…?』

 

「あいつは、私が倒すから」

 

 弾幕を張りながらシーモータル型を生み出すウーシア型へ向かっていく。

 

『よせ! マークゼクス単機ではこの群れを掻い潜るのは無理だっ』

 

 確かに私だけじゃ。わたしの腕じゃ、この群れの中を進むのに無傷じゃいられない。

 

 でも、傷を負う覚悟でなら届くはず。

 

『待て、後続のファフナーが来れば地上を片付けて空の援護に行ける』

 

 皆城くんはそういうけど、空を気にしなくて済むなら、それが絶対いいはず。

 

「それまで空をあいつらに奪わせたままにしたくないの」

 

 そう、空は私の戦う場所なんだ。一騎くんと一緒に翔ぶ世界を奪わせたりはしないっ。

 

「っ!?」

 

 鋭角的な姿のシーモータル型に混じって、大きな目玉と翼に腕を生やした嫌悪感を感じる形のシーモータル型が楔形のワームを放ってきた。

 

「でも、見える!」

 

 ワームスフィアはいつ何処を攻撃されるか分かりにくい。でも見える攻撃なら避けやすくなる。

 

 システムから新しいシーモータル型の情報が更新される。シーモータルB型種。楔形の強力なワームを放つ個体。今までのはA型種と表示される。

 

「この島の空を、好きにはさせないっ」

 

 レールガンでシーモータル型の群れを射つ。道を作って、レージングカッターを振り回して道を抉じ開ける。

 

「くっ」

 

 それでも無理矢理抜けようとする私をシーモータルB型種がワームウェッジを撃ちながら飛行ルートを妨害する。

 

「邪魔を…、しないで!」

 

 デュランダルでシーモータルB型種を撃ち抜く。ウーシア型に向けてレージングカッターを放つ。

 

「きゃあああ!!」

 

 ウーシア型に気を取られた時を狙ってシーモータルA型種が機体の左足を削り取っていった。

 

 膝の関節を削り取られる痛み。でもこんな痛みで足を止めていられない。

 

「うわあああああっ」

 

 痛みを誤魔化す様に叫びながらありったけのレールガンの弾を撃ち込む。シーモータル型の群れが攻撃の盾になっていく。

 

「これでっ」

 

 もう一度見えたウーシア型への道にレージングカッターを撃ち込む。

 

 ワイヤーがウーシア型を捉えて雁字搦めにしていく。

 

 ワイヤーを巻き戻しながらウーシア型に突撃する。ゼロ距離でコアを破壊すれば邪魔はされない――。

 

「ひぁっ!?」

 

 ウーシア型が動きを変えた。空から真っ直ぐ海に向かって急降下していく。突然引っ張られた所為で機体のバランスが立ち直れない。

 

 このまま海にぶつけるつもり?

 

 ワイヤーを切り離せば助かる。でも折角手に入れたチャンスなのにっ。

 

「ぐっ、ああああああ!!!!」

 

 身体がバラバラになりそうな程の衝撃と激痛。揺れる身体を抑えながらワイヤーを巻き戻す。

 

「きゃああああっ」

 

 でもワイヤーを巻き戻していた左腕が何かに切り落とされた。

 

『ア・ナ・タ・ハ・ソ・コ・ニ・イ・マ・ス・カ?』

 

 気付いた時には目の前に金色の切っ先が迫っていて、お腹を刺されていた。

 

「かふ…っ」

 

 水がコックピットの中に入ってくる。動きたいのに身体が動かない。胸から下の感覚がない。

 

「な、に、こ…れ……」

 

 機体が刺されたんじゃない。――わたしが、刺されてる……? 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「くっ!」

 

 スフィンクスB型種の拳を掻い潜り、ベヨネットを突き刺してコアを破壊する。

 

「キリがない…っ」

 

 倒しても倒しても沸いて出てくる。どうにか倒せているが、メガセリオンでは限界もある。

 

「ちっ、またか…!」

 

 こちらの反応に対して機体が一呼吸遅れることが頻発し始めた。どうにか誤魔化して戦っているが、それも何時まで続けられるか。

 

 マークレゾンに乗ってからだろうか。今まで手足の様に動かせていたメガセリオンが物足りなく感じてきてしまったのだ。

 

 ザルヴァートル・モデルであるマークレゾンは防御特化であるため動きが軽いという訳ではないが、それでもメガセリオンでは感じられない一体感は自分の思った通りに動いてくれた。

 

「このォ!!」

 

 スフィンクスB型種に向けてレヴィンソードを振るう。真っ二つになった身体が結晶化し、複数に分裂した。

 

「ぐっ、があああああ!!!!」

 

 1体のスフィンクスB型種に背中を取られ、羽交い締めにされる機体の四肢を他の分身したスフィンクスB型種に抑え込まれて身動きが出来ない。

 

「こ、コイツらぁぁあああ!!」

 

 どう力を入れてもメキメキというイヤな音が聞こえるだけで全く抜け出せない。

 

『ア・ナ・タ・ハ・ソ・コ・ニ・イ・マ・ス・カ?』

 

「っ!? ディアブロ型……!」

 

 おれの前に降り立つディアブロ型。今の時代にはいないはずの怪物。明らかに存在が強くなっているのを感じる。

 

「おれはおれだ! ジョナサン・ミツヒロ・バートランド。喫茶店の料理長だ!!」

 

 人類軍でなくなったおれに出来た新たな居場所。この島がくれた今の居場所が、おれが示せる存在理由だ。

 

「ぐ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ」

 

 身体に赤い結晶が生えてくる。敵の同化だ。

 

『お前は僕のものだ! 僕の器としての枷からは逃れられない』

 

 目の前に現れた幻影。海神島のコアであり、ベイクラントのコアでもあった存在。理由もなくただ憎しみを振り撒いた破滅のコア。

 

「うる、さいっ。おれはっ、とらわれ、ない…!」

 

 マカベが信じてくれた。ミナシロが信じてくれた。人形であるおれの人の心を信じてくれたんだ。

 

 自分のことは信じられない。未だこうして干渉を受けてしまう自分を信じることは出来ないのだろう。だが――。

 

「おれは、おれを信じてくれたミナシロを信じる!!」

 

 結晶が進行を止めた。

 

『僕の憎しみを同化しろ! 僕とひとつになれっ』

 

「おまえ……」

 

 憎い敵であるはずだ。ベイクラントのお陰でたくさんの仲間や人々を失った。

 

 なのに何故だ。憎しみではなく哀れみが込み上げてくる。目の前の存在が、ただ寂しくて泣いている子供に見えてくる。

 

 ディアブロ型がメガセリオンに触れ、再び同化が進行する。だが不思議と心に焦りはなく、とても穏やかになっていく。

 

「……おれは、お前だ」

 

『こっ、これは…!?』

 

 ただ敵を倒すだけでは得られないものをおれは知った。ただ戦うだけで平和は作れない。平和を手に入れても作ることをおれたちの様な外の人間には出来ない。だがそれをおれはこの島で学び始めた。平和を作るということを。

 

『存在の力!? 何故だっ』

 

「おまえは……おれだ!」

 

『ぐっ!!』

 

 憎しみしか知らないのなら、おれが教えてやる。人は憎しみだけじゃない。悲しみも苦しみも怒りもある。だがそこには確かにフェストゥムとだって解りあおうとする確かな優しさと喜びも持っている。

 

『あああああああっっ』

 

 胸を抑えながらコアの幻影が消えた。ディアブロ型が腕の剣を振りかぶってメガセリオンのコックピットを突き刺そうとする。

 

 だがそのディアブロ型はメガセリオンに触れていた手から結晶を生やして身動きを止めた。それだけじゃない。メガセリオンを中心に結晶が生え、機体を抑えていたスフィンクスB型種さえも包んでいく。

 

『そう。受け入れることも、強さのひとつだよ』

 

「島のコア。これが……」

 

 身体の赤い結晶が翠に変わっていく。

 

 システムが書き換わっていく。いや、別の存在が呑み込んでいく。

 

「おれがここにいる理由は示したぞ。目覚めろ、マークレゾン!!」

 

 結晶が弾け飛び、メガセリオンだった機体がマークレゾンに変わっていた。

 

 マークレゾンが機体ごとおれを取り込んだのだ。

 

「おれはここにいる。ここにいるぞ、フェストゥム!!」

 

 海から飛び出してきたウーシア型がシーモータル型の群れを引き連れて向かってくる。イージスを展開し、「壁」の力でウーシア型ごとシーモータル型の群れを受け止める。

 

「島はやらせん! それがおれがここにいる理由だ!!」

 

 壁の前にシーモータル型は次々と消えていく。背中のバスターソード・ライフルを2本とも引き抜き、武器にエネルギーを送り込む。

 

「うおおおおおっっ」

 

 バスターソード・ライフルの刀身が開き、銃身から巨大なエネルギー刃が刀身を包みながら形成される。

 

 それを見て危険を察知したのだろうウーシア型が逃げ出すが、逃がしはしない。

 

「でえええええいっっ」

 

 壁を解除し、二つの刃を束ねて巨大になった光の剣を降り下ろし、空に残るシーモータル型の群れごと一刀で切り捨てる。

 

 バスターソード・ライフルを背中に戻しながら、落ちていたベヨネットを拾う。長年使いなれている武器の方が安心する。だがこの機体の存在感はさらに自分を安心させてくれる。

 

「やっと戦えるぞ。世界を救うために」

 

 救世主の名を持ちながら人類を守るために振るえなかった力をようやく救うために振るえる高揚感が身体を駆け巡る。

 

「やはり居たか…」

 

 海にフィールドを張り、どこからでも戦力を送り込める島の天敵とも言える存在。

 

「ディアブロ型だけでなく、アザゼル型までも……」

 

 姿を現したアザゼル型ウォーカー。本体は海の中に隠した今までのフェストゥムの常識を破壊する様な驚愕的な方法を取った存在。

 

「だが、今のおれにならできるはずだ」

 

 マークレゾンをウォーカーに向かわせる。

 

 ロードランナーは核の炎を学び、その強さもザルヴァートル・モデル2機掛かりでようやくだった。

 

 だがマカベはひとりでロードランナーを取り込んだアビエイターを撃破した。ならおれにもウォーカーを相手に戦えるはずだ。

 

 ウォーカーがワームスフィアを打ち出してくるが、イージスで防ぎ、その力を跳ね返す。

 

 ウォーカーの左腕を捩じ切る。

 

「無理矢理産み出した憎しみの器か。そんなもので、おれとマークレゾンを止められるものか!!」

 

 本体を攻撃するには15万tもの海水を一撃で蒸発させる様な攻撃か、コアだけを海水から摘出して破壊するしかないが。

 

 影への攻撃も一応はダメージになるらしい。

 

 ベヨネットを展開し、「毒」の力を使う。

 

「おまえとの戦いかたは知っているぞ!」

 

 海ごとウォーカーの身体を切りつける。本体が海水と同化しているのなら、海水に的確な攻撃すればダメージを与えられるはずだ。学習しているのはお前たちだけじゃないぞ。

 

 硬い障壁に阻まれるが、その障壁をワームで侵す。

 

 突き刺した毒の刃が障壁に浸透していく。

 

 海を割って現れるディアブロ型。

 

「遅い!!」

 

 イージスでディアブロ型の突きを受け止め、両肩のホーミングレーザー発振器から丸鋸状のワームを撃ち出してディアブロ型を小間切れに切断する。

 

 切断されたディアブロ型の頭を掴みながら振り向いてウォーカーの障壁に叩き付ける。ディアブロ型のコアが輝いて大爆発を起こす。

 

「はああああああ!!」

 

 だがマークレゾンはびくともせずに煙を突き破って、ウォーカーの胸にベヨネットを突き立てた。

 

 展開するベヨネットの刀身が荷電してエネルギー刃を作り出す。

 

 巨大なエネルギー刃でウォーカーの身体を引き裂き、トドメとばかりに高出力のプラズマ弾を撃ち放つ。

 

 ウォーカーの身体を貫き、海水を蒸発させた大爆発。

 

 水蒸気が晴れたときにはもうウォーカーの姿はなかった。これで少しは時間が稼げれば良いのだが。

 

 欲しかったものは、自分がそこにいる理由だった。

 

 だがそれを示した所で相手が居なければ意味がない。

 

 相手がいるからこそ、そこに存在する理由を認めて貰えるのだから。

 

 

 

 

to be continued…

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