皆城総士になってしまった…   作:星乃 望夢

48 / 64
今ごろ普通に茶番裁判も終わっててマークゴルゴさんが御光臨召されていてもおかしくないのに全然進まず、私のプロットにもない強化をされていく島の戦士たち。もう何がなんだかわからないよ。

芹ちゃんが芹ちゃん殿に進化して果てしない色気を獲得したら総士()も食べられちゃうのだろうかってくらい芹ちゃん殿書いていて楽しいれす(パリーン


皆城総士になってしまった…40

 

 海にフィールドを作り、次々とフェストゥムを送ってくる戦法。

 

「こんのォ!!」

 

 ガンドレイクの斬撃をシールドで防ぐスフィンクスB型種。そしてその影から飛び出して腕を剣に変えた別のスフィンクスB型種が襲ってくる。

 

 こちらのスタイルに合わせて戦いかたを変えてくる。

 

 まさか…。居るわけがないだろう。あれはミールの欠片が変異して生まれるフェストゥムだ。しかしそう思わなければ理解できない程、高い戦術を使われている。

 

 竜宮本島にも敵襲。犠牲が出ても構わない勢いで僕たちは今、彦島で孤立している。

 

 犠牲を払って敵を分断する。皆城総士が彼らに教えた戦法だ。

 

 マークゼクスは中破。マークツヴォルフが大破。パイロットのバイタルは共にゼロ。

 

「(立上、羽佐間……っ)」

 

 それが意味することは最悪の事態を想定しなければならない。コックピット・ブロック排出履歴もない。まだファフナーの中にコックピットがあり、その状態でパイロットのバイタルがゼロになったということだ。

 

「くっ」

 

 奥歯を噛み締めながらこの危機的状況を打破する術を探る。

 

 トルーパーも駆使し、どうにか戦線は維持出来ているが、着実に膠着状態に持ち込まれつつある。

 

 竜宮本島では後続のファフナー部隊が足止めをされている。要、剣司、衛のトリプルドッグと道生さんとカノンのツインドッグが島を防衛してくれている。

 

 そして一騎が島の空を守っていた。

 

 敵はウーシア型、アルヘノテルス型、プレアデス型といった群れを作るタイプで固められ、攻勢には出ずに足止めに徹している。やつらの狙いはなんだ?

 

「このままじゃヤバいな。どうする総士?」

 

 将陵先輩の声に意識を向ける。

 

 竜宮本島に比べてこちらへの攻撃は激しい。スフィンクスB型種を中心にディアブロ型までも確認されている。

 

 今もディアブロ型の1体と将陵先輩は切り結んでいる。だが素早い動きにティターンモデルが振り回されている。それでも接触を許さない立ち回りは経験値の差だろう。しかし何時まで保つか。

 

 最悪、彦島を分離させてフェンリルを使うしかなくなるだろう。だがそれは最後の手段だ。

 

 ミツヒロのメガセリオンにも通信が出来ない。電波妨害もされているのか。

 

 通信を遮断し、孤立した敵を叩く。退路さえ塞ぎ、確実に仕止める為の戦力を投入してくる。まるで人間の様に攻めてくる。

 

 スフィンクスC型種も現れ、爆弾を次々と落としていく。遂に空爆までも始めた。

 

「ぐぅっ」

 

 本島程ではないが、身体に島の痛みが伝わってくる。

 

「乙姫……っ」

 

 島にも攻撃が始まったのか。敵の狙いがどこにあるのかまったくわからない。

 

 厭らしい戦いかたをする。しかし思い通りに行かないのは向こうも同じなのだろう。でなければ島の攻略に特化した個体が居ないことが不気味だ。

 

「いけよ、総士」

 

「先輩…?」

 

 ディアブロ型のコアを撃ち抜き、消滅させた将陵先輩からそんな声が掛かる。

 

「島を守るためには虚無の力も必要だろ?」

 

 ここまで敵が多くなると、いくらザルヴァートル・モデルであっても、一騎の身体を考えてリミッターが施されたマークザインでは対応するのに時間が掛かる。

 

 それに広域殲滅能力はニヒトの領分だ。

 

「わかりました…」

 

 余計な言葉は不要だと物語る先輩の背中に返事を返しながら、僕は跳ぶ。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「ここは俺に任せろってね…」

 

 総士の気配が消える。人の心を持ちながら、フェストゥムの力を使うことを厭わない。別の意味で、アイツも逞しくなっちまったもんだ。

 

「これが、コイツの同化現象か…」

 

 本体を倒してもなくならない強力な同化能力。なるほど、悪魔とはよく言ったもんだ。

 

 身体に結晶が生えてくる。赤い結晶が、島の力を妨害する。

 

「島の戦士を殺す術まで獲得したのか。…お前たちの進化には、毎度驚かされる」

 

 海に入ることが出来なかったフェストゥムが、そのコアを海と同化して隠す迄に至った。

 

 海になるって、命の源にもなれるってことだろ?

 

 身体の結晶が赤から翠になって砕け散る。

 

『感心してる場合じゃないでしょ?』

 

「祐未? なんで…」

 

 祐未とのクロッシング。祐未の存在を感じる。

 

「やめろ祐未! こんなことしてたらお前は…」

 

『あなたがいなくなったら、私が還る意味がないでしょ』

 

 それでもこんなことで一々クロッシングしていたらお前の存在だって消えてしまう。そんなこと、俺だって望んでないってわかるだろ!

 

『だったらさっさと敵を倒して、私を安心させてよ』

 

「っ、無茶言うなって…!」

 

 それでも、俺も現金な人間だ。祐未が近くに居るだけで戦う力が湧いてくる。

 

 ディアブロ型がさらに2体も現れる。普通なら泣きを見る様な相手だが、祐未が居るなら負けてらんないよな!!

 

『右! 先に来るわよ』

 

「おう! その調子で頼むぞっ」

 

 剣を振りかぶりながら突撃してくるディアブロ型を避け、あとから来るもう1体のディアブロ型をガンドレイクで切り結ぶ。

 

 切り結んだディアブロ型の胸倉を掴みながら押し倒して、その胸に掴んでいた手の爪を突き立てる。鉤爪であるティターン・モデルの指は深くディアブロ型の胸に沈み込んでいく。

 

『僚、うしろ!』

 

「ちっ」

 

 胸倉を鷲掴みにしたディアブロ型を、後ろから戻ってくるディアブロ型に叩きつける。

 

「ぐあっ」

 

 だが後ろから戻って来たディアブロ型に、胸倉を鷲掴みにしたディアブロ型ごと腕を剣で貫かれる。

 

 味方を盾にしてでも確実に仕留めに来やがった。

 

 ディアブロ型を掴んでいた左手が結晶に包まれていく。

 

『まだよ。まだ私たちの命は――』

 

「ここにあるぞ!」

 

 結晶が砕け散り、胸を鷲掴みにしたディアブロ型が結晶に包まれていく。

 

 剣を突き刺したディアブロ型も必死に逃げようとするが、腕でもある剣を掴んでいるから逃がすわけがない。

 

「これで!」

 

『断ち切る!』

 

 結晶に包まれたディアブロ型が砕け散り、刀身を展開したガンドレイクが帯電しながらプラズマ刃を形成した。

 

 腕を突き刺した剣も結晶に包まれる。腕が結晶化したのを無理矢理引きちぎって逃げるディアブロ型だが、それを見逃すわけもなく。

 

 巨大化するプラズマ刃の一降りで逃げるディアブロ型を両断した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 少し疲れを感じながらもどうにか敵は倒せた。

 

「ありがとう、祐未」

 

 振り向いても祐未の姿はない。それでも祐未は俺の中に居る。俺の中で生き続けている。

 

「待つさ。お前が帰ってくるまで。何時までも」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 あたし、どうなったんだろう……。

 

 フェストゥムにやられちゃって……、あたし、死んじゃったのかな?

 

「っ、……あたし、は……」

 

 暗闇の中。でもほんのりと明かりがある。まるでファフナーのコックピットの中みたいに。

 

「あなたはまだ死んでないよ」

 

「だれ…?」

 

 声が響いた。でもあたしは身動きが出来ない。だって動けるほどの身体じゃないから。

 

「う゛っ……!」

 

 ポタポタと血が流れ出す。頭から、口から、腕から、足から、お腹から、胸から。

 

「時間がないから急で戸惑うだろうけど、あなたは選ぶときが来たの」

 

「えら、ぶ…?」

 

 口の中に血が溜まってうまく喋れない。

 

「このまま、人として命を終えるか。島を守るために祝福を受けるか」

 

「しゅく、ふ、く…?」

 

 このままならきっと死んじゃうのはあたしにもわかる。でも祝福ってなんだろう。祝福を受けたら、総士先輩や乙姫ちゃんとも、ずっと一緒にいられるのかな?

 

「ずっと一緒にはいられるかはわからない。でも、島を守るために命は守られるから」

 

 命は守られる。それは死なないってこと?

 

「未来は不確定で、今はいいかもしれないけど。ふとした拍子に悪い方向に変わってしまうかもしれない」

 

 そんなこと……。ないとは言えない。そうならないようにみんな戦ってるけど、あたしはこの様だし。

 

「死なないなら、あたしは自分の命を使ってでも島を守る。乙姫ちゃんの島を、あたしが守る」

 

 乙姫ちゃんの島を守って、また総士先輩と一緒に毎日を過ごして。乙姫ちゃんや来主くん、織姫ちゃんと毎日笑って過ごしたい。あたしが作る未来は、そういう未来だ。

 

「……なにかが変われば、人は変われる、か。すごいなぁ、今のあたしは……」

 

「乙姫ちゃんと出逢ったから、あたしは変わった。でもそれを苦だなんて思ってないよ」

 

 身体が結晶に包まれていく。でも恐くない。痛くもない。優しく包み込んでくれる暖かさがある。

 

「島があなたを祝福した。でも忘れないで。島は命を守ってくれるけど」

 

「大丈夫。あたしは信じてるから」

 

 乙姫ちゃんと、乙姫ちゃんの島を、あたしは信じているから。だから恐くない。人でなくなっちゃうとしても、守るためならあたしは戦えるから。

 

 結晶が砕け散り、髪の毛がはらりと落ちてくる。今は気にする時じゃない。

 

「守るよ、あたし。みんなを」

 

 ニーベルング再接続。機体を再起動。

 

 見える景色は変わっていない。敵が逃げた里奈たちを追おうとしている。行かせはしないっ。

 

 レージングカッターを放ってスフィンクスB型種を絡めとる。

 

「行かせないよ!」

 

 力任せに思いっきり引っ張る。でも力はスフィンクスB型種の方が上でびくともしない。だからワイヤーを巻き上げながらジャンプする。

 

 ワイヤーを巻き上げる勢いを利用して、スフィンクスB型種に突進する。

 

 スフィンクスB型種はワイヤーを引き千切って、シールドで防御する構えだ。

 

「うぉぉおおおお!!!!」

 

 ショットガン・ホーンを展開して、正面からシールドにぶつかる。

 

「くっ、はああああああ!!!!」

 

 波長を合わせてシールドの内側にショットガン・ホーンの切っ先が沈んだ瞬間にエネルギー・フィールドを展開する。

 

 シールドを抉じ開けて、エネルギー・フィールドがショットガン・ホーンの切っ先ごとスフィンクスB型種の胸に突き刺さる。

 

「ちょうだい。あなたの生命を」

 

 コアを撃ち抜き、スフィンクスB型種の身体が結晶に包まれて、砕け散る。生命が取り込まれたのがわかる。

 

「んっ……ごちそうさま…」

 

 お腹が少し熱くなった。ちょっとだけ気持ちよかった。生命を取り込むって、こんな感覚なんだ。

 

「もっと……欲しいなぁ…」

 

 込み上げてくる飢餓感。生命がもっと欲しくなる。

 

 里奈たちを感じる。島が教えてくれる。

 

「跳んで!!」

 

 景色が一瞬で変わる。目の前にはまたスフィンクスB型種。

 

「ちょうだい!! あなたの生命をっ」

 

 バスターソード・ライフルを地面に突き立てる。翠の結晶が地面を覆って、フェストゥムたちを包み込んでいく。

 

 スフィンクス型も地面の中に居たフェストゥムも、姿を消して待ち構えていたディアブロ型も、すべての生命を取り込む。

 

「んんっ……気持ちいい…」

 

 たくさんの生命を食べて気分も落ち着いたけど、身体が熱くなってくる。お腹も熱い。けどまだまだ敵はいっぱいいる。……もっと、食べられるんだ…。

 

『せ、芹……?』

 

 里奈の怯えた声が聞こえてくる。

 

『お前……今の…』

 

 バカ広登も呆けている。

 

 これがあたしの選んだ道だから。生命が有る限り、島を守れればそれでいいから。

 

 バスターソード・ライフルを地面から抜いて、マークツヴォルフを宙に浮かせながら天に刃を掲げる。

 

 開いた刀身から光が溢れて、島の大気を伝ってあたしの力が広がっていく。

 

『選んだんだね。芹ちゃんも……』

 

「あたしはここにいるよ。ずっと、乙姫ちゃんと織姫ちゃんの傍にいるよ」

 

『芹ちゃん……』

 

 だからそんな悲しい顔をしないで。笑って。乙姫ちゃんと織姫ちゃんの笑顔が、あたしに力をくれるから。

 

 島の生命を奪うのなら、あたしが生命を脅かす存在から守るから。

 

「だからもっとちょうだい。あなたたちの生命、全部…!」

 

 すべての生命を取り込む。海の中に居る命は、もっと大きな生命に守られていて食べられなかったけど。

 

「あとは任せます。先輩…」

 

 取り込んだ生命を全身で感じながら、あたしはその言葉を送った。

 

 

 

 

to be continued…

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。