皆城総士になってしまった…   作:星乃 望夢

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世間はシン・エヴァで盛り上がっててお陰でまたエヴァSSが増えてるけど、そんな世の流れに逆らって私はファフナー書いてる。それくらいBEYONDが悲しみと痛みで満ちていたということで。ホント心が痛いの。アニメで泣いたのカノン以来だぞ。

だから私は自らを祝福することで痛みを消すのだ。


皆城総士になってしまった…UX05

 

 マークエクジスト──。

 

 ザインと同じく存在を意味する名を持ったファフナー。

 

 これが僕の祝福の答えだった。

 

「あれだけの事があっても、検査の結果、同化現象の進行は見られないわ」

 

 そう口にする遠見先生も腑に落ちないという、自分の口にしている言葉が信じられないといった様子だった。

 

「それは総士の器がミールと等しい存在になったから。島のミールがあなたたちを生かす様に、総士が存在を選ぶ限り器が総士を生かし続ける」

 

 そんな遠見先生に言葉を返したのは織姫だった。

 

 僕自身深いことは察する事しか出来ないそれを織姫は的確に説明してくれる。

 

 僕が存在を選ぶ限り生き続ける生命か。そうでなくなれば僕も人として命を終えることが出来るのだろうかと考えるが、僕の存在が織姫の存在を保っているのならばそう簡単にはいかない。織姫を消す事を僕は望まないからだ。

 

「総士の事は心配要らないけれど、彼らからコアの命を守る方法を考えなさい。彼らのミールの障害は取り除けても、彼らの攻撃は確実にコアの命を脅かすわ」

 

「織姫、それは」

 

「甘やかしすぎてもダメよ総士。これはこの島の問題で、あなただけが背負うべき問題じゃない」

 

 僕としては構わなかった事ではあるが、そう織姫に言われてしまっては口を挟む事が出来ない。僕が織姫を否定出来ないことを知っていて言葉を先回りするのは些か卑怯に思うが、織姫も意地悪で言っているワケではないことも伝わっている。だから僕にはこれ以上の言葉はなかった。

 

「そうね。あなたの言う通り、この問題は私たちで解決しなければならないものだわ」

 

 ただコアへの負荷を軽減させる方法などそうありはしない。

 

 今の僕が島と繋がり、この島のコアへの負担を肩代わりしているような方法以外には。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 戦いが終ったあと、あたしはこの世界のあたしが居るだろう場所へと向かっていた。

 

 倒したフェストゥムのお墓を作ること。

 

 フェストゥムも同じ生命(いのち)であることを胸に刻んだ最初の場所。

 

「あなたは…」

 

「こんにちは」

 

「えっと、こ、こんにちは…」

 

 自分に対してこんにちはなんて少し不思議な感覚だった。戦いが終わってすぐにお墓を作っていたから元気がない──同じ命を奪うことに心が疲れてしまっている。

 

「私も手伝って良い?」

 

「え、えっと…、はい…」

 

「ありがとう」

 

 この世界だとあたしひとりじゃなくて他にも何人か手伝ってくれる人が居た。フェストゥムが同じ命だと思ってくれる人が居ることに心が和らぐ。

 

「…その、あなたも、同じことをしたの…?」

 

「あたしは、自分の事で精一杯でお墓を作るなんて事をしなかった。それよりも乙姫ちゃんを、織姫ちゃんを守ることに精一杯で。そして今は総士先輩の為に戦うことに精一杯」

 

 だから戦うことで悼む心を持つことの出来る目の前のあたしを、あたしは尊敬する。

 

「あたしは、そんな風に一生懸命に戦ってないからダメなのかな」

 

「そんなことないよ。生命を弔う心を忘れないで。そして生命に感謝を忘れないで」

 

「生命への感謝……?」

 

「そう。誰もが持つことの出来る心。あたしは生きているけれど、他の生命に生かされてもいることを忘れないで」

 

 だからごちそうさまって、あたしはフェストゥムを同化した時に言うのかもしれない。それが生命を貰って生きている証だから。

 

 そのあと、真壁司令がやって来てこの世界のあたしと話をした。

 

 空のオーロラは無くなったけれど、曇った空は晴れないまま。この島の空が、まだ来主くんたちのミールに奪われたままだということ。

 

 この島の織姫ちゃんへの負担は総士先輩が肩代わりしているけれど、戦闘の負担まではまた別だって織姫ちゃんが言っていた。

 

 だからやっぱりコアへの負担を代替する存在が必要になる。

 

 あたしが、やってあげてもよかったけれど、それはダメだと織姫ちゃんに言われた。この島の可能性を閉ざさない為には、この島の人たちに選んで貰わないとダメだって。

 

 だからあたしに出来ることは敵と戦うこと。

 

 戦うことで守れるのなら、乙姫ちゃんの島を守れるのなら、あたしは戦うことを迷わない。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 旧JUDA本社が加藤機関に襲撃を受けたということでUXは緊急出撃で日本に向かった。

 

 僕はその間、彼らに代わって島を守るために残った。来主もUXに同行したのだが。

 

「やはり手薄になった隙を狙うか」

 

「あたしが守る。この島には織姫ちゃんも居るんだから」

 

「あまり気負い過ぎないで、芹」

 

 戦える戦力はマークエクジスト、マークアイン、マークツヴォルフの三機。

 

 ただパイロットが僕たちであれば留守を守るには充分過ぎる。

 

「スカラベ型から潰す! 彼らの帰る場所を、僕たちで守るぞ」

 

「了解!」

 

「あなたたちに教えてあげる。わたしたちの戦い方を」

 

 マークエクジストの右腕を結晶が包み、被せる様にライフルが現れる。エウロス型も同化していた為、同じ様に武器が使える。

 

「遠見の様にはいかないが、当ててみせる!」

 

 枯れ葉剤の様なものを撒き散らしながら飛行するスカラベJ型を狙ったが、周りにいるスフィンクスA型が盾になることでスカラベJ型を庇う。

 

「ちょうだい、あなたたちの生命を」

 

 スカラベJ型を庇うスフィンクスA型の排除へとこの世界の立上がコアの代替者になることで空席となったマークツヴォルフを駆る立上が動く。

 

「はぁぁぁああああ!!」

 

 レヴィンソードを突き刺したスフィンクス型を同化しながら別のスフィンクス型へとショットガンホーンを突き刺し同化、さらには別のスフィンクス型へもレージングカッターで絡めとりワイヤーを引き戻してアームソードを突き刺して同化する。

 

「んっ…。ごちそうさま」

 

 一瞬の内に3体の敵を同化するとは、心配になりながらも心強いのは確かだった。

 

「痛みを増やしてばかりで痛みを消したいだなんてふざけた事を言わないで」

 

 エウロス型に組み付き、その身体を押し倒して馬乗りになったのは織姫の駆るマークアインだ。

 

「教えてあげる。生命を奪われる“恐怖”を」

 

 そのまま貫手でエウロス型の胸部を貫いたマークアインは敵のコアを引き摺り出した。そのまま力を込めて同化しながら握り砕いた。

 

「生命が脅かされる“痛み”を」

 

 スカラベJ型の真上に転移したマークアインは両腕のアームソードをその背に突き立てしがみつくと、ショットガンホーンを展開し、その砲口にワームを生成すると周りのスフィンクス型ごと存在を呑み込んだ。

 

「それがいなくなることへの“絶望”よ」

 

 変性意識の影響か、いつもの織姫よりも冷たく攻撃的な性格になっているようだ。

 

「あとは爆撃している個体か」

 

 そちらにも護衛の様にスフィンクスA型が複数随伴していた。

 

 背中のアンカーが分離する。その数はニヒトや変化する前のザインと同じだが、ケーブルで繋がってはいない。ひとつひとつが独立機動する端末。アンカービットというものだ。

 

 ケーブルという制約から解き放たれたアンカーは自由自在に動き周り、随伴するスフィンクスA型に突き刺さってはその存在を同化する。またはアンカーが展開して砲身となってワームを放ち、さらには電撃まで放つ。

 

 そして丸裸になったスフィンクスE型を排除する為に左腕からアームソードを伸ばす。その全長はルガーランスに匹敵する。

 

「無に、還れえええええ!!」

 

 刀身が中心で割れて展開し砲身を形成。エクジストのエネルギーを直接放出して薙ぎ払う。

 

 此方の消耗を狙う程度の襲撃ならば退ける事は容易い。

 

 だが退けるだけでは意味がない。目指すべきは対話の道だ。

 

 ただ、対話の道を切り拓くために力が必要なのも確かな事だった。

 

「日野美羽と?」

 

「彼らの言葉でわたしたちの思いを伝えられる存在。あなた自身が彼女との対話で得るべきものがあるわ」

 

「しかし僕にエスペラントの素質はないぞ」

 

「無いと決めつけてしまうことは可能性の否定よ。今さらそんなこともわからないなんて言わないわよね?」

 

 織姫から言われた日野美羽との対話。

 

 言葉にするのは容易いが弓子先生が許してくれるかどうか。それを先ず相談するのなら真壁司令と、この世界ではいなくならなかった道夫さんからだろう。

 

「お時間を取っていただき感謝します」

 

「気にすんなって。引退した俺は基本暇人だからな。それにしても随分苦労を乗り越えてきたみたいだな」

 

「恐縮です」

 

「君の側のコアが、君と日野美羽との対話を提言したと言ったが。目的はわかるかね?」

 

「自分にもわかりません。ただ彼女は僕が彼女と対話する事で得るものがあると言っていました」

 

「つっても、まぁちょいと感受性が高いってだけで普通の子供と変わらんぜ?」

 

 エスペラントであり、この島では数ヶ月で既に幼児にまで成長した日野美羽を普通の子供と受け入れている道夫さんの親としての覚悟には頭が下がる。

 

 だからあまり積極的に日野美羽と関わるべきではないと僕も思うのだが、意味の無いことを織姫が口にするとも思えない。

 

「真壁司令としてのご判断は如何ですか?」

 

「私はその対話によって何れかの道が拓けるのではないかと思ってはいるが。子を持つ父親として道夫君の判断で決めて貰って構わない」

 

 判断を任された道夫さんは一度弓子先生と美羽ちゃんとも話して決めるということで解散になった。これが竜宮島であるから出来る互いの存在を尊重するやり方だ。

 

 その返答を待つ間に、UXは加藤機関と共同態勢を構築し、ヒトマキナを退け、その本拠地を攻撃。デウスエクスマキナという神にも等しい存在を退け島に帰ってきた。

 

「どうして君はこの島を守るの」

 

 そしてUXに同行していた来主も帰って早々に僕にそんな質問を投げ掛けてくる。

 

「それが僕の役目であり、義務であるからだ」

 

 僕がこの島を守るのはこの場所が皆城総士の還るべき場所であるからだ。それでも戦うことを選ぶのは僕個人の意思だ。

 

「君のミールが、そう命令しているの?」

 

「いや。たとえ定められた道であっても自ら選ぶことをしただけだ。それは僕個人の意思であり、僕が僕であることの理由であり、存在することの証だからだ」

 

「俺にはどうしたら良いのかわからない。人間は神様に逆らってまで自分の意思を持って戦うことが出来る。でもそんなこと、俺には無理だよ。俺には、俺の神様に逆らうことなんて出来ない」

 

 フェストゥムである来主にとってミールというのは絶対的な存在だ。それに逆らうことが何れ程の意味を持つかなど計り知れないだろう。

 

 僕からすれば乙姫や一騎を否定される事も同義だ。

 

「空が綺麗だと、思ったことはあるか?」

 

「あるよ。俺は綺麗な空を見ていたい」

 

「それが“答え”だ」

 

「え?」

 

「空を奪われる事の辛さを、お前の神様に教えてやれば良い」

 

「空を奪われる事の辛さ……」

 

 僕に出来ることはここまでだろう。あとは来主次第だ。

 

 それでも一朝一夕に神様に逆らうなどというのは難しいことだ。だが、来主は既に自らの中に答えを持っている。それを自覚して言葉にするだけだ。

 

 その自覚が中々難しいことなのだがな。

 

「憎しみの器が解き放たれた」

 

「ああ。行ってくる」

 

「気をつけて、総士」

 

 放っておいてもこの島の一騎がどうにかするのだろうが、それを知っていてわざわざ見ているだけということを僕が出来るわけがないだろう。

 

 織姫に見送られながら島の外で暴れるマークニヒトのもとへ跳び、そしてマークエクジストを喚び寄せる。

 

「お前の中に既に答えはあるはずだ。何故それを伝えない」

 

「総士…っ」

 

「総士……、そのファフナーは…」

 

 マークニヒトに触れていることで一騎の存在が消えようとしている。

 

「お前はまだここにいろ」

 

「総、士……」

 

 マークザインに触れ、一騎を蝕む“無”を取り込む。

 

「何をしたの……。一騎の存在が、満たされた……? そんなこと…」

 

「これが生命(いのち)だ。痛みを背負う事になろうとも存在することを選び続ける僕の祝福だ」

 

 次はマークニヒトに触れようとするが、ワームスフィアを放って来る。背中のアンカービットを展開してフォーメーションを作りシールドを起動。『壁』の力でその攻撃を防御する。

 

「やめてミール!! 憎しみを俺に押し付けないでっ」

 

「くっ」

 

 デタラメにワームを放つマークニヒトのお陰で島がダメージを受ける。

 

『うぉぉぉおおおおっ!!』

 

「一騎!?」

 

 そんなマークニヒトへとしがみついて飛び立つマークザイン。僕も慌ててあとを追う。

 

『待て一騎、戻ってこい!』

 

 僕たちを追って島からデスティニーガンダムが追ってくる。

 

『総士…』

 

 クロッシングで一騎の意思が伝わってくる。

 

 マークニヒトに触れているマークザインから結晶が生えている。

 

「だ、だめだ、ミール…!」

 

 来主が同化しているわけではない。今の来主はもうただ乗せられているだけの存在だ。その向こう側にボレアリオスの存在を感じる。ボレアリオスがマークニヒトを通じて一騎を同化しようとしている。

 

「させるものかっ」

 

 アンカービットを展開してフォーメーションを組み、シールドでニヒトとザインを閉じ込める。

 

「…僕は、お前だ」

 

 一騎を同化しようとするボレアリオスに僕は語りかける。

 

 それは自らの存在を相手に同調させる言葉だ。

 

「お前は、僕だ…!」

 

 マークザインを包んでいた結晶が砕けると共に、マークニヒトを結晶が包むが、ボレアリオスの支配を脱する前にマークニヒトには空間跳躍で逃げられてしまった。

 

 マークザインを受け止め、一騎の存在を感じることに安堵する。

 

『総士、お前……』

 

「一騎は無事です。機体の回収をお願いします」

 

 MSはクロッシングを行えないためやり取りは必然的に双方向通信になるのだが、モニターを切るのを忘れていた。今、僕の目は強烈な痛みを発しているおそらくは金色に光っているだろう。

 

 だからそれを見たアスカさんも息を飲むような固い声になるのも仕方の無いことだろう。

 

『大丈夫なのか、お前は』

 

「ええ。これが僕の選んだものですから」

 

 心が痛いのは耐えられないが、身体の痛みくらいならばいくらでも耐えてやる。

 

 やはりミール相手ともなると一筋縄にはいかないということがわかったが感覚は掴めた。次は上手くやってみせる。

 

 そう決意した僕は島に戻ると検査を受けたあとに待っていたのは日野美羽との対話だった。

 

「はじめまして」

 

「ああ。はじめまして。僕は皆城総士。君の名前は?」

 

「みわはね、みわっていうの」

 

「そうか。美羽ちゃん、そう呼んでも良いかな?」

 

「うん、いいよ!」

 

 対話の席には道夫さんと弓子先生も同伴しているが、2人とも珍しいものを見るような目を僕に向けてくる。いや、僕でも幼児に対する言葉遣いは心得ているつもりですが。

 

「あのね、おっきなおふねがね、いたいっていってるの! あとね、おにいちゃんもいたいってないてるの。みんな、いたいんだって」

 

 エスペラントである日野美羽はボレアリオスとも繋がっていたのだろう。ボレアリオスや来主が痛みに苦しんでいることを僕に伝えてくれる。

 

「おっきなおふねがね、とってもこわいの。でもね、それはおっきいひのせいなの。みわ、おっきなおふねと“おはなし”したい。どんなふうにいたくて、うれしいのか“おはなし”できるよ」

 

「そうか。君はすごいな」

 

「そうしおにいちゃんも“おはなし”できるよ」

 

「僕が?」

 

 美羽ちゃんが僕に身を乗り出して両手を伸ばす。

 

 その小さな手が僕の頬に添えられると、美羽ちゃんが僕の額に自分の額を合わせる。

 

 その瞬間に脳裡を駆け抜けるのは核の炎で焼かれるフェストゥムと彼らの島。そして痛みに満ちる彼らの意思、感情。だがそれだけではない。彼らの感じている憎しみを痛みだと教えている存在が居た。

 

「そう。彼らは憎しみと痛みに満ちている」

 

「乙姫……」

 

 いつの間にか僕はキールブロックに居た。

 

 そして赤ん坊を抱く乙姫と、そんな乙姫に寄り添う立上が居る。

 

「こんなことを頼めるわけじゃないのはわかってる。でもお願い、一緒に伝えて欲しいの、生まれる事の喜びを。世界には痛みや憎しみだけじゃないことを」

 

「ああ。わかっている」

 

 視線を下に落とせば僕は美羽ちゃんと手を握っていた。そんな美羽ちゃんは僕を見上げて笑っている。

 

 もう一度僕は乙姫へと向き直った。

 

「島の事は任せろ。対話の道を、僕たちが切り拓く」

 

「…ありがとう、総士」

 

 ゆっくりと意識が薄れ、再び聴取室に景色が戻る。

 

 能動的に呼ばれるのではなく対話をしに行く感覚か、難しいがやってやれなくはない、かもしれない。

 

「なにか見たのか?」

 

 不安そうにしている弓子先生の手を握っている道夫さんが僕に問い掛けてくる。

 

「彼らがやって来ます。対話には美羽ちゃんが必要です。その為の道は僕たちで切り拓きます」

 

「そうか…」

 

 道夫さんは僕の言葉を聞き、目を伏せる。当たり前だ、こんな小さな子を戦場へと連れ出さなければならないのだから。両親である道夫さんと弓子先生からすれば僕は悪魔にでも見えても仕方がない。

 

「美羽は、どうしたいんだ?」

 

「みわも、“おはなし”したい」

 

「そっか。ふぅ…」

 

 一息吐いて道夫さんは僕の目を真っ直ぐ見詰めてくる。

 

「ちゃんと俺たちのもとに連れて帰ってくる事が交換条件だ」

 

「ちょっと、道夫!」

 

「このままじゃこの島が死んじまうってんなら、美羽のやりたいようにさせてやろうぜ。な? 弓子」

 

「それは、でも……」

 

「だいじょうぶだよママ。そうしおにいちゃんがまもってくれるよ」

 

「美羽…」

 

 美羽ちゃんの言葉を聞いて弓子先生は不安と悲しみが入り交じる表情を浮かべながら彼女を抱き締めて僕を見詰めてくる。

 

「約束して皆城君。美羽を私たちのもとに返してくれるって」

 

「約束します。この命に換えても」

 

 僕は2人に誓いを立て、日野美羽はボレアリオスと対話に挑む事になった。

 

 決戦を控え、僕は立上を伴ってブルクに来ていた。

 

「これは…」

 

 そこには島のファフナーとは別の外観を持つファフナーがあったが、立上ならこのファフナーがなんであるのかを知っている。

 

「これが、あたしの…」

 

「ザインと同じ、存在を冠する機体だ。名はベルクロス」

 

 パーツはノートゥング・モデルの予備を拝借しているが、アルゴノート・モデルとして問題なく完成している。色は彼女の好きな空の色をイメージして群青にさせて貰った。

 

 武装はレルネーアと同じく左腕のクローユニットやバスターソード・ライフル、イージス、ショットガン・ホーンだ。シンプルに近接格闘型の方が彼女の適性に合っているからだ。

 

「ありがとうございます。これであたしも、ちゃんと戦えます。あたしの戦いを」

 

「僕もいる。共に島の空を取り戻そう」

 

「はい…!」

 

 対話の時はすぐそこまで迫っていた。

 

 君は知るだろう。

 

 生命の意味を知ることは苦しく辛いものだが、同時に喜びに満ちている事を。

 

 忘れてはならない。対話の為の戦いを。痛みを伴おうとも相手を理解しようとする心を捨ててはならないのだと。

 

 

 

 

to be continued…

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