Fate/Everlasting Shine   作:かってぃー

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第76話 終幕レクイエム

 夜である。そもそもとして結界外の世界などなく、従って本当の月や星、太陽もない固有結界の内部に正確な昼夜の概念があるのかは不明だが、少なくとも天球に月や星と思しき光源が再現されている以上、それは夜と言うべきであろう。数時間前に〝死せる書架の国〟での戦闘を終えた遥たちは、同国の外に広がる草原の一角に一時の拠点を構え、身体を休めていた。

 しかし拠点とはいえそんな大層なものではない。精々死せる書架の国でも戦いにて崩落した家の残骸から作った椅子を焚火を中心にして並べ、索敵のために装甲騎兵(モータード・アルマトゥーラ)を待機状態で停めている程度だ。万全と言うにはほど遠い、あまりにお粗末なものである。

 カルデアとの通信が繋がっていないため正確な時間は分からないものの、一応は夜であるからイリヤは遥が投影した寝袋で眠っていて、寄り添うように座ったクシナダがその頭を撫でている。そして遥はビーストと化したレディの攻撃によって大破した桜花零式の修理を試みていた。

 今だ己に同化した神核を反動なしで解放できる程度に成長していない遥にとって、負担を軽減するオルテナウスはある種の生命線である。そのうえ常に損傷する危険性があることから、装甲騎兵の荷台には簡単な修理ができる程度の資材と工具が乗せてあるのだが、今回の損傷は応急処置で治しきることができる範囲を完全に超えていた。

 遥のもつ神霊の霊基の影響を受けて超常的な防御力を得ていたため全損とはならなかったものの装甲はその大部分が壊れ、装甲の歪みによって排熱用の変形機構は完全に使用不可。とりわけ厳重な防御処理がなされていた魔力変換型発電装置――カルデアにある電力を魔力に変換する装置と逆の機構で稼働している――やCPU、メモリ等の中枢部は生きており回路も予備資材で修理できたため使うだけなら何の問題もないが、戦闘を行うとなるとかなりの不安が残る。排熱機構が破損している以上、固有時制御は使えない。溶解した金属を全身に纏うような自虐願望があるなら話は別だが。

 取り敢えずは装甲騎兵に積まれていた資材で電気回路や疑似魔術回路を修繕し、破損した装甲は偶然にも遭遇した生き残りの魔獣から剥ぎ取った皮や街から拾ってきた布に魔術で防護処理を施したものを用いて申し訳程度の応急処置とする。そうして出来上がったものはまるで不出来なパッチワークのようだ。

 仮に名前を付けるのなら、桜花零式弐型か、或いはオルテナウス・リペアードか。尤も、弐型や修繕型(リペアード)などという大層な名前を付けることができるほど、それは洗練されたものではないが。それでも一応は運用に支障がない程度にまで持っていくことができたからか、遥が工具を手放して大きく溜息を吐く。そこへ、イリヤの面倒を見ていたクシナダが来て、言葉を投げた。

 

「遥様」

「ああ、クシナダ。……イリヤは寝たか」

「はい。ルビーさんも待機状態に入っているようです。それで、イリヤ様のことですが」

 

 ()()()()()()()()()()()()。感情の読めない声音で放たれたその言葉に、遥はさして驚愕した様子もなく視線のみで続きを促す。しかしその内心がどのようなものであるか分からない程クシナダは鈍くなく、それでも求められた通りに報告を続ける。

 遥がクシナダに頼んでいたのは果たしてイリヤが本物の人間、ホムンクルスであるのか、それともサーヴァントなのかをはっきりさせることであった。オルテナウスにもセンサはあるものの、そのセンサの観測結果でははっきりとしなかったのである。まるで、人間とサーヴァントの重ね合わせ状態にあるかのような、そんな反応であったのだ。それを本人に言わなかった理由は単純。イリヤ本人を混乱させないためであり、遥自身も特定できる保障がなかったためだ。

 しかし、クシナダならばそれができる。彼女やタマモが使う呪術とは身体構造を弄ることで物理現象を誘発するプログラムのようなものであり、その対象とできるのは自らの身体には限らない。更に身体構造を弄るという過程がある以上、呪術師とは身体の状態や属性などを把握するプロフェッショナルでなくてはならず、故に遥はクシナダに任せたのだ。

 曰く、イリヤはサーヴァントである。しかし霊基状態は完全なサーヴァントという訳ではなく、サーヴァントと人間の中間のようなそれ。言うなれば〝疑似サーヴァント〟のような状態だ。それではセンサに曖昧なものとして映るのも当然である。

 だが、問題はそこではない。クシナダの報告を最後まで聞いていた遥は目を覆うような仕草をしてしばらく黙り込み、それから確認するかのような問いをクシナダにする。

 

「つまり……今ここにいるイリヤは本来のイリヤの情報を元に霊基を構築されたサーヴァントで、本人ではない、と。そういうことだな?」

「私見ですが、私もそうだと考えます」

「そうか……やってくれたな、ファースト・レディ。ああ、本当に……とんでもないことをしてくれた」

 

 こういった話題については感情を剥き出しにしやすい激情家の遥にしては珍しい、平坦な声。しかしそれを全くの平常心、無感動と感じる者がいるのであれば、それは余程の愚鈍を言わざるを得まい。遥は憤怒している。ただ声を荒げるべき場ではなないから努めて冷静でいようとして、しかし気配までは抑えきれていないだけだ。

 所謂俗語、それもネットスラングに分類される言葉に〝地雷〟というものがある。これはとある人物にとって絶対に触れて欲しくはない、或いは踏み越えて欲しくない事柄を指すものだが、その表現を借りるならば、レディの行いはまさしく遥にとっての地雷そのものであった。

 英霊ならざる存在をサーヴァントとしたことではない。そんなことは遥にとってどうでも良い話だ、この上なく。例えばそれが、既に精神的に成長している大人や幼くとも英雄と呼ぶに足る者であれば、遥はここまで憤怒せずに冷静でいることができた。

 しかし、イリヤ、そしてその姉妹と友人であるクロエと美遊はまだ年端もいかない子供だ。本来であれば闘争の苦痛も殺意の冷たさも知らずに家族や友人と共に過ごし、平穏な日々を送って然るべき年頃だ。百歩譲ってそれが戦う力を持っていることは良しとしよう。その点において彼に他人を詰る権利はなく、またイリヤらも納得していることだ。

 だが、レディのしたことは完全に遥の許容範囲を超えていた。本来なら平穏裏に生きる筈の子供を無理矢理そこから引き剥がし、あまつさえ『座』という記録を還元する場所を持たないサーヴァントとして構築するなどと。それはつまり今ここにいる彼女らは悉くを他者に奪われたまま全くの無に還るということではないか。

 赤熱して纏まりを失いそうになった思考回路を深呼吸で冷却し、怒りを鎮める。どんな状況においても、怒りで冷静さを失ってしまえば適切な判断を下すことはできない。少しずつ、少しずつ、その怒りを抑え、降って湧いた雑念を口にした。

 

「カルデア……」

「えっ……?」

「カルデアなら、契約で存在を紐づけすれば俺があっちに戻される時に紛れ込ませることができるかも知れない。知れない、が……」

 

 妙な所で言葉を切る遥だが、クシナダはあえて彼にその先を問うようなことはしない。問わずとも、遥が言おうとしたことは解っている。彼の内心も、言うまでもなく。それはクシナダが夜桜遥という男の内心を理解しているということでもあるが、そんなことは些末なことだ。

 もしもレディを斃すことができたとしてもそのまま消滅する特異点と運命を共にする他ないイリヤたちをカルデアのシステムを介した契約によってカルデアに移送するという、カルデアの召喚システムを逆手に取ったある種の反則技。しかし、できないことはない。故に遥が憂慮しているのはそれではない。

 イリヤたちをカルデアに移送するということはつまり、彼女らから元の世界に還るチャンスを奪うということである。現時点で殆ど零に等しい確率だが、カルデアに来ればその万が一、億が一の確率が全くの零になる。それは結局の所、レディのしたことと同じではないのか。

 イリヤたちを助けるためという大義のために、忌むべき敵と全く同じことをしようとしている。そうでなくとも遥の思いはどこまでも独り善がり、自己満足の押し付けでしかない。己の正義のために他者の行く末を捻じ曲げようとするなどと。

 せめて自らの目に映る人々には幸せでいて欲しい。全ての子供が望まれて生まれ、愛されて育って欲しい。それを遥の願いと言えば聞こえは良いが、所詮願いというのは人間が欲望を綺麗に言い換えたものであって、本来そこには何の違いもない。

 それでも。それでもだ。皆に笑っていて欲しいとは願わずとも、自分の目の前にいる人には幸せでいて欲しいと願うことの何が駄目なのか。欲することの、欲望を持つことの何が恥じるべきだというのか。道徳さえはき違えなければ、それは正しく前に進むための原動力になるものだというのに。

 だが、真に自らの行く末を決定する権利はイリヤ自身にのみある。故にこそ、遥は何もかもを勝手に押し付けることはしない。独り善がりな幸せの押し売りをしようとする欲望を端に追い遣って、遥は自嘲の笑みを浮かべそうになった自分の顔を挟むように叩き、その痛みで感情を切り替えた。

 

「……いや、感傷的(センチ)になった所で何も始まらねえ。何をおいても、まずはレディを斃さないことには俺たちどころか全人類オダブツだ」

「……はい」

 

 クシナダの本心としては、遥の苦悩を聞いてそれを解消することができればどれだけ良いことかと思う。しかし無理にでもそうしようとしないのは、遥の考えていることがクシナダにも分かるからだ。故にこそ彼女には遥の苦悩を消してやることはできない。それでも、その苦悩を、その果てに得た答えの責任を共に背負うことはできるだろうと、密かに改めて決心する。

 そんなクシナダの思いを知ってか知らずか、遥は持ち前の切り替えの早さでレディについて思考を巡らせる。前回の戦闘でビーストと化したレディだが、その原理について遥はある程度察しが付いていた。要はユスティーツァと同じだ。宝石に込められた魔法少女らの〝人類を救いたい〟という願いと膨大な魔力によって聖杯を駆動させることで人類悪としての霊基を得ているのだ。

 それもただ叶えているのではない。ただ叶えるのでは、聖杯では足りない。それを解決するため、レディは態々魔法少女がレディと同じ絶望と、それでもなお人類を救わんとする意志を抱くように仕向けた。それこそ、〝世界の終焉を以て全ての嘆きを終わらせることで、全ての嘆きを消し去れば世界は救われたという逆説の暴論を以てしてでも全てを救済する〟という。その願望であれば、正常な聖杯を用いても容易に人類悪化できよう。

 問題は、それをどのように斃すかだ。遥の固有結界は人類悪を含む遍く悪性に対して特効性能を持つが、そう易々と固有結界を使わせてくれるとは思えない。ユスティーツァとの戦闘ではサーヴァントのサポートがあったからこそ発動までの時間を稼ぐことができたのだ。今回の状況で同じようにできるとは思えない。

 

「せめて、ヤツの霊基に少しでも綻びを生むことができれば話は違ってくるんだが……」

「綻び、ですか……――ッ!!」

 

 遥の言葉を受けて何かないものかと思案しようとしたクシナダはしかし、直後に彼女の知覚範囲に唐突に魔力反応が現れたことで半ば強制的にそれを中断させられた。遥も殆ど同時に気づいたようで、反射的に威嚇攻撃として焔を放つ。

 闇を穿つ焔の一閃。だがそれに照らされた姿に、遥が呆れのような様子を覗かせつつ警戒の度合いを引き下げた。そのことにクシナダは訝し気な視線を向けるも、遥は仏頂面のままそちらを見るだけだ。

 果たして、そこに現れたのは亡霊(エコー)であった。恐らくは死せる書架の国に遥たちが突入した際に接触を図ってきた個体と同一だろう。亡霊は遥が警戒を緩めたことで接近しても危険はないと判断したのか、少しずつ近づいてくる。

 

「おまえか……てっきりさっきの戦闘の余波で消えちまったかと思っていたが、無事なようで安心した。……いや、既に死んでるんだから無事も何もないのか?

 まあ、そんな挨拶は置いておいて……おまえ、何を知ってる。俺に何を伝えようとしていたんだ?」

 

 その問いにどこか詰問するかのような響きがあるのは、いかに平常心を心がけてようと隠しきれない焦りがあるからだろうか。それを亡霊がどう思ったかは分からない。それはそのままでは話すことも、感情を表情に表すこともできないのだから。

 しかし、こと遥に対してのみは亡霊であろうと伝えることができるものはある。亡霊は亡霊だからこそ、己の無念を晴らすことができるものに敏感であるのだ。最初の接触でそうしたように、亡霊がその半透明な手を遥の眼前に翳す。瞬間、遥はまるで眼球が焼け落ちるような異様な感覚を覚えた。

 それは、遥の肉体に海神と冥府神というふたつの側面を有する神核が同化したことで発現した異能。相手を殺すという理不尽極まりない強権でも死の線と点を視るという特級の異能でもなく、冥府へと堕ちた死者の魂を審判するための〝死者の魂と交感する〟という力だ。その作用は死霊魔術(ネクロマンシー)の死者降霊に近いか。

 大したことのない力だ。遥が他にもつ水を操るという異能の方が単純で使い勝手も良く、かつ強力である。目にまつわる能力で比較するなら立香の魔眼の方が圧倒的に便利だ。それでも死霊魔術師(ネクロマンサー)ではない遥にとって、それは今、何よりも必要な能力であった。

 視界がブレ、それまで遥の身体を包んでいた世界の感覚が消失する。そうして落とされた暗闇に立っていたのは、ひとりの少女であった。輪郭も朧気で容姿も判然とせず、しかし少女だと解る。困惑する遥の前で、その少女が口を開いた。

 

『――私の名前は、ミラー。嘗て、貴方たちが敵対する魔法少女に討たれた魔女にして……彼女の親友だった者よ』

 


 

「そう。メイヴは死んだのね。ご苦労様」

 

 ディルムッドからメイヴ消滅の報を聞いたレディの反応は極めて淡泊なものであった。だはディルムッドの顔に不満の色はなく、跪いたままメイヴから回収してきた宝石をレディに献上する。

 これで、2つ。レディ自身が既に取り込んでしまったひとつを含めればレディの側にあるのは計3つであり、4人も魔法少女が持っていたものの殆どがレディの手にある。メディアの宝石は遥に回収されたままだが、それはいずれ突入してきた時に奪えば良い話だ。

 更にレディの存在を安定させるための魔法紳士の既に4人中3人がレディに取り込まれ、その魂を霊基として確立させるために使われた。残るはディルムッドのみだが、彼は遥を迎撃するための戦力として残しておくつもりでいた。

 宝石ふたつを手に玉座を降りる。今、レディが感じているのは歓喜であった。準備は整った。これでよくやく為せるのだ。世界の終焉が。遍く総ての終わりを以て悉くを救う究極の救済が。

 玉座の間の中央、服喪面紗(ヴォワラ・ドュイユ)に絡みつかれ、拘束された美遊の前に、レディが立つ。既に相当消耗してるのだろう、額に脂汗を浮かばせた美遊は、それでもなお気丈にレディを睨みつけている。だが今までは苛立ちしか感じなかったそれが、今だけはとても愉快なものに、レディには見えた。

 

「レディ……!!」

「フフ、イイ目ね、美遊……? その目をいつまで保っていられるのか……楽しみだわ!」

 

 そう言い放つや、レディがその手に持っていたふたつの宝石のうちひとつを手刀ごと美遊の霊基の中に突き込んだ。身体の中ではない。謂わばサーヴァントとしての存在を支える根本、そこに呪詛と化した人間の想念を叩き込んだのである。

 瞬間、身体を跳ねさせる美遊。表情には苦悶が浮かび、目の焦点は定まらず、身体は激しく痙攣している。発狂こそしていないものの時折漏れる声は言葉としての体を為しておらず、既に美遊から意味を持った言葉を発する余裕さえなくなっているのは明白であった。

 それだけではない。英霊の精神すら容易に歪めるような呪詛の塊を突き込まれ、それに抗いながらも少しずつその幼い精神を擦り減らしている美遊。その目が、元の琥珀色から深紅に明滅を繰り返しながら変わっていく。その変化を見て、レディが口の端を歪めた。

 美遊・エーデルフェルト、もとい朔月美遊は聖杯である。その在り方は人間が聖杯としての機能を持ってしまったというよりも聖杯が人間としての形を得てしまったとい言う方が適切とまで言われている。しかし人の想念を注ぐだけで願望を叶える〝神稚児〟たる力が完全な形で行使できるのは数え年で7つまでであり、その後は器しか残らない。だが、それは問題ではない。レディの許には聖杯を動かすために使うことができる魔法少女の魂があったのだから。

 レディが美遊を使ううえで最も問題視したのはその代償だ。朔月の神稚児は願いを叶えるという特級の異能の代償として、願いを叶える度に身体と精神の寿命を擦り減らすのである。それはいけない。ただの肉の身体ではビースト化の影響と願いの代償で寿命がどうなるか分かったものではない。

 故に、態々彼女らの世界に干渉してまでサーヴァントとして召喚したのだ。いかな生者の情報を写し取ったサーヴァントといえど、サーヴァントである以上は定まった寿命はない。また、英雄ならともかく唯の人間はサーヴァントとしての身体の方が耐久度が高い。ビースト化したとして、支障はなかろう。

 苦悶する美遊の頬をレディが撫でる。しかしその仕草とは裏腹にその笑みはまるで美遊を玩弄するかのようで、呪いと化した人間の想念に晒されながらも美遊は気丈にレディを睨みつける。だが。

 

「うふふ……名残惜しいけれど、そろそろこの身体も危ないから、終わりにしましょう。さぁ、身体を私に寄越しなさい――!!」

 

 歓喜に満ちた咆哮。同時にレディは最期に残った宝石を突き込んで、瞬間、膨大な魔力が嵐の如く吹き荒れた。更にその中で、クロエの肉体が力なく崩れ落ちる。その姿はレディに支配されてビーストと化したそれではなく、既にその身体からレディの魂が抜けているのは日を見るよりも明らかだ。

 では、クロエの身体を棄てたレディの魂はどこへ移動したのか。言うまでもない。美遊の身体だ。そして今、美遊の中にはその身体を奪わんとするレディの魂だけではなく魔法少女の集合体、呪いとなった人類愛の塊が3つ。

 それは、まさしくこの世に顕現し得る地獄の究極とでも言うべき感覚であった。己の無念、元々は高尚なものであったはずの人類愛が歪み果てた独善、己のその思いが独り善がりの善意としての形を失い、自分が悪であることにすら気づかない悪意となった怨念が徒党を組んで幼い子供の無垢な魂を犯しているのだから。

 

 ――身体だ。これがあればもう一度全てを救うことができる。総てを終わらせることができる。だから、寄越せ。寄越せよこせヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセ────!!!

 

「くっ、あ――ああ、あああっ!! あああぁあぁぁぁああアぁああァああアアあァァぁァあっ!?」

 

 叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。喉が裂けんばかりに叫んで、挙句限界を超えた喉から血が流れてもそれは止まらない。気づかないのだ。酷使された喉がダメージを受けたという物理的な苦痛など、魂を蹂躙される苦しみの前では吹けば飛ぶ糸屑も同然である。

 美遊は謂わば彼女の世界でのイリヤスフィール・フォン・アインツベルンに相当する存在であり、それ故に彼女の起源もまた『聖杯』である。ひとりの人間ではあまりに重く受け止めきれぬ思いも、聖杯は受け止めてしまう。その外殻(じんかく)の意向がどうあれ、聖杯とは願いを叶える器だ。願いの善悪など、聖杯は関知しない。

 まるで闇の中から伸びてきた無数の手に掴まれ、万力の如き力でその闇の泥中に引き込まれていくかのような、そんな感覚であった。何とか振りほどこうとしても、全身をくまなく拘束されて動くことができない。

 意識が闇に呑まれていく。世界と自分の接点が少しずつなくなって、存在そのものが薄れていくかのような錯覚さえも感じる。それでも抗って、抗って、けれどそんな抵抗は悪性の獣の前では全くの無意味だ。

 

「イリ、ヤ……クロ……お兄ちゃ――」

 

 最後にその頬を伝ったのは果たして涙だったのか。届くはずのない呼びかけを言い終えるより早く美遊の意識は完全に闇に呑まれ、その身体が脱力した。魔力の嵐も唐突に止まり静寂が訪れ、だがその刹那、変化は起きた。

 服喪面紗が消失する。だが支えを失っても脱力した身体が倒れることはない。服喪面紗の影響でサファイアが離れても残っていたカレイドサファイアとしての装束が黒い魔力に解けて、より邪悪な可憐さに満ちた装束へと変わる。背部からはその身に収まりきらない魔力が半透明の翼と化して生え、両側頭部からはクロエの身体を乗っ取っていた時よりもさらに巨大化した角が覗いている。手を伸ばすとそこに魔力が収束し、カレイドステッキの形を取った。レディが自分自身が使うものとして用意した、オリジナルと遜色ない機能を有するステッキだ。

 仮にこの場にいるクロエに意識があれば、その姿に既視感を覚えたことであろう。何故なら偶然か、それとも必然か、その姿はどこか黒化ギルガメッシュ戦でイリヤが見せた魔法少女(カレイドライナー)の最終形態、ツヴァイフォームに酷似していたのだから。

 しかし、それは怪物から友を救うために覚悟を決めた少女の姿に非ず。絶望や諦念、ありとあらゆる悪性により己が人類愛を歪ませ果て、遂には獣の位階へと至った魔女の姿なれば、魔法少女の窮極たる形態と同じである筈がない。

 其の名は〝テスタメントフォーム〟。憐れな紳士(おとこ)、そして数多の魔法少女の魂を贄とし、それらとの契約によって発現した、ツヴァイフォームとは対極の位置にある魔女の窮極形である。

 しかし野望成就に王手をかけておきながら、レディの表情には未だ歓喜の色はなかった。最低最悪の魔女は少女から略奪した身体が完全に自らの支配下にあるかどうか確認して、それから、可笑しさを堪えきれないとでも言うかのように喜悦に満ちた咆哮を迸らせた。

 

「アハ――はははははっ!! ははははははっ! あはははははは!!」

 

 その声は先程まで絶叫をあげていたことによるしゃがれたものではなく、元の美しさを取り戻している。それだけでもビースト化の影響かそれまでに負ったダメージが全て回復しているのは明白であった。

 今、レディの胸中に満ちているのは異様なまでの強壮感、全能感。自分自身の肉体を失ってより久しく、いやそれ以前にも感じたことのない程強烈なそれに、レディは哄笑を堪えきれなかったのだ。

 レディが確信する。驕りでなく、傲慢でもなく、この力さえればありとあらゆる世界に住む人間を悉く殺し尽くすことができる、と。それも当然だ。人類悪とは即ち、人理を滅ぼす獣の名なのだから。その位階に手を掛けたレディにその確信が生まれるのは自明である。

 しかし、まだ不十分であるとも理解する。レディは未だ真の人類悪のみが至る7つの席の末席にすら至っていない。謂わば人類悪の幼体。クラス名はビーストではなく、その不完全体――『獣の幼体(ビースト・ラーヴァ)』とでも言うのが良いか。

 

「主よ。貴女が仮の宿としていたこの少女……如何がされますか?」

「……あぁ、そうね……元から乗り換えるつもりだったとはいえ、少しの間私の身体になってくれたのだもの。特等席で私の邪魔をする魔物さん達が斃される様を見てもらいましょう」

「御意に」

 

 レディの邪悪な笑みに異論を唱えることも、それどころか全く動揺する素振りさえもなく未だ意識を失ったままのクロエを肩に担いで玉座の間から出て行く。恐らく、それは自分が遥らを斃すという自信の表れなのだろう。レディはそれを制止することすらせず、足元から泥が彼の霊基を汚していくことさえもただ無言で見守るだけだ。

 正直な所、レディにはもうディルムッドのこともクロエのこともどうでも良いのだ。前者については遥らに斃されても良いとすら思っている。クロエも、遥らに取り戻されたとしても既にビーストとしての片鱗を得たレディには傷ひとつ付けることすらできないのだから、考慮する必然性もないだろう。

 〝ネガ・マギウス〟。始まりの魔法少女という二つ名を持つレディ、言い換えればありとあらゆる魔法少女の源流とも言える彼女がビースト化したことで得た、〝魔法少女としての属性をもつ者、また、魔法少女に掛ける願いがある者からの攻撃を無効化する〟という概念的守護である。彼女にはそれがあるため、クロエが取り戻されようと悲願成就を邪魔されることはない。

 だが全身に満ちる全能感に酔い痴れた様子でありながら、レディは冷静さを失ってはいなかった。新たに手に入れた身体を隅から隅まで精査して、見逃せない異常があることに気づいた。

 

「聖杯が動いた形跡がある……? ――あぁ、そういうコト。フフ。ホント、悪い子……」

 

 レディが嗤う。この上無く酷薄に。だがその笑みはそこに内包された感情とは裏腹に酷く美しく、肉体年齢に似合わぬ妖艶を匂わせていた。その身体の元の主である美遊であれば絶対に在り得ない笑みである。

 美遊(せいはい)が動いたと思われるのはこの固有結界内の時間で1、2日程前。その間にあった不可解な現象と言えば、固有結界の特性として絶対に在ってはならない魔法少女に願望を掛けない人間――夜桜遥の出現。より詳しく調べてみれば、元々遥がいたと思しき空間の座標とそこに接続した形跡が確認できた。

 つまり遥が現れたのは〝レディを斃すことができる存在に彼女を打倒して欲しい〟という美遊の求めに応じた聖杯がその可能性を持ち、かつ通常の時間軸から外れた場所に移動できる手段を有する遥を見つけ出してその手段に干渉し、強制的に引っ張ってきたということなのだろう。

 そして聖杯が見出した通りに遥はレディの計画を崩し、彼女は不完全なままビーストとなる他なかった。完全なビーストとなればどうあっても遥ひとりでは斃せないだろうが、今のままならば或いは打倒される可能性も零ではない。

 けど、とレディが言葉を漏らす。遥をこの世界に引き込んだ聖杯とその情報は今、レディの手の内にある。そして遥を引き込むことができたのなら、こちらから何かを送り込むこともできよう。

 

「じゃあ、試してみようかしら。私の新しい力を」

 

 そうレディが言うや否や、何もなかったはずの床から大量の泥が湧き出す。レディのもつ魔法少女の想念が形を変え、呪詛の塊たる聖杯の泥としての実態を得たものだ。それらはまるで粘菌か何かのように蠢いて、いくつもの泥人形として完成する。身体を構成しているモノが零れては結合する様、その木の洞のように落ち窪んだ眼窩はさながら、パニック映画に登場するゾンビだ。いや、それの正体を考えれば、さながらなどではなく真の意味でのゾンビと言えるだろう。

 ビーストというものは総じて単体ではなく、何らかの手段によって自らの戦力を増やす傾向がある。あるものは自らの眷属を増やす傾向がある。あるものは自らを構成する一要素を個別に分離させ、またあるものは体内に貯蔵された生命原種から仔を生み落とし、また別のものは自分自身を際限なく増殖させる。不完全とはいえ人類悪であるレディもまた、それに近い機能をもつ。即ち、自らを構成する無限にも等しい魔法少女の魂に肉体を与え、進撃させるという機能だ。それこそが〝魔法少女の軍勢(プリズマ・コーズ)〟。レディが求めた、世界を滅ぼす力の一端。

 無際限に増殖するそれらが、生まれてはどこかに消えていく。消滅しているのではない。聖杯の機能によって彼女の身体と遥の本拠地――カルデアの間に結ばれた縁を通してカルデアに送り込んでいるのだ、己が軍勢を。

 

「今はあの男の拠点だけだけれど、いずれこの手は全ての並行世界に届く。そうすれば、皆を救うことができる……総てが醜く変わる前に! 総てを終わらせる!! ……待っててね、()()()……」

 

 恍惚の笑みを浮かべたまま呟くその名の、なんと空虚な事か。既に彼女の記憶は長すぎる記憶の中で摩耗し、原型を留めていない。彼女をここまで駆り立てた友のことも、名前以外の全てが忘却の彼方だ。それこそ、友を忘却したことさえも。何もかもが彼女自信の行いを正当化するための方便へと成り下がっている。

 

 ――彼女は人間ではない。魔界にて魔法使いの娘として生まれながら人間を救い、そのために人類の敵となった親友を討った。

 しかし救われた人間たちは彼女の力を恐れて世界の外へと放逐し、それでも彼女は世界の外にて固有結界を作って魔法少女、或いはその素養を持つ者を集め始める。だがそのうちに魔法少女の無念を見続けた彼女の魂は摩耗し、いつしかその世界は魔法少女の煉獄と化し、彼女もまた闇へと堕ちた。

 その果てに至った理想こそが終焉。〝全てが醜く変わる前に何もかもを終わらせ、悲しみや嘆きを無に帰すことで逆説的に人類を救う〟という、破綻した救済。そのために彼女は招き入れた聖杯の片割れを墓標として無限の魂を収束させ、その主となった。

 最早彼女には本当に助けたかった親友の姿はおろか、その声や共に過ごした日々の記憶さえもない。摩耗しきった記憶にあるのは、親友と自分は世界に捨てられたこと、その無念、それでも自分は世界を救わなければならない、救いたいのだという歪んだ人類愛。

 

 

 

 以上の背信を以て彼女のクラスは決定された。

 始まりの魔法少女など偽りの名。

 其は人類が放逐した、終末を齎す救済装置。

 その名をビースト・ラーヴァ。『奉仕』の理を持ちながらも七席に加わることを許されない、獣の幼生である。

 

 

 


 

「――ああ、成る程。そういうことか」

 

 唐突に、何の前触れもなく遥がそう呟いたのは彼が亡霊(エコー)と接触してからおよそ5分程度の時間が経った時のことであった。たかが5分。されど5分。意識というのは時に客観的に観測されるものより長い時間を主観として認識する。遥にとってその時間は他者の人生を追体験しているに等しいものであった。

 遥が見たものは、亡霊――ミラーの記憶。今はファースト・レディを名乗る少女と共に魔法少女として人々の平穏を守り、しかしその果てに魔法少女の運命に絶望したミラーは人類の敵となってレディに討たれて死んだ。その筈だったのだ。

 レディに討たれた筈のミラーはしかし、そのまま意識を無に還すことはなく気づいた時にはこの世界を彷徨う亡霊となっていたらしい。初めは彼女自身も戸惑っていたが、しばらくこの世界を観察しているうちに理解した。この世界はあらゆる世界、時間軸の外側にあるのだと。故にこそこの世界は〝どの時間軸にも隣接して存在する〟という性質を帯び、魔法少女を集めることができたのだ。そしてその最中に見たものは、自分と同じように、いや、それ以上に堕ち果てた親友の姿。

 だがあくまでも亡霊でしかない彼女では死後であろうとこの世界に招かれた時点で肉体が与えられる筈なのだが、彼女は死んだ時点では真正の魔女だったためか亡霊のままだったのだ。

 故に待った。待ち続けた。この”魔法少女の廃棄孔”の中にあってもレディが作り出した魔女と魔法紳士を斃し、レディを止めることができる者を。偶々、それが遥だった。そう、偶々だ。何かに仕組まれただとか、そのために造られただとか、そういった作為的なものは何もない。偶然にも遥にレディらを打倒し得る力とこの世界に突入するための手段があったがために聖杯によって目を付けられ、レディの前に現れた。

 それまでにミラーがいったいどれだけの時を孤独に過ごしたのかは分からない。数年か、それとも数十年か、或いは数百年、数千年、数万年か。亡霊と化したミラーの感覚では、それすらも判然としなかったのだ。通常の亡霊とは異なり自意識が明確にあるミラーだが、ある意味では彼女は〝レディを止める〟という怨念で現世に留まる悪霊と言える。

 ミラーの話を聞き、無言で何度か頷く遥。彼とてレディとミラーの因縁について彼なりに思う所はあるが、今はそういった私情は排するべきだろう。何より、ミラーの気持ちが彼には理解し、共感することができた。暴走する友を前にして自らには何もできないのであれば、誰かそれを止めることができる者を希求するのは当然の帰結だと言える。

 むしろ驚嘆すべきはミラーの友への想いだ。いつ招かれるとも分からないレディを打倒し得る者を待ち続けて、それでもなお折れぬ精神力と、魔女となり自信のことを忘れた友にさえ友情を向ける心根。それを責めることなど、遥にはできない。

 

「……アンタの思いは分かった。だが、それだけじゃないんだろう? いや、むしろ俺に接触してきたのはアンタらの思い出話をすることより、別な目的のための筈だ」

「そうね。……正直な所、これは賭けだわ。それも何の根拠もない、ただの希望的観測。失敗すれば貴方でもあの子を斃すことは殆ど不可能になる」

「既に斃せるか怪しいんだけどな……だが、その口ぶりからすると成功する可能性もあるんだろう? なら賭けてみるさ。情けない話だが、こっちも藁にも縋りたい思いでな。試せる手段があるなら、断る理由はない」

 

 遥はレディを斃せないとは思っていない。それは諦めであり、戦う前から負けを認めるなど剣士の恥だ。しかし、だからとて絶対に勝つことができるとも思っていない。何せ相手はビーストだ。真正のそれには遠く及ばないものの、脅威であることには違いない。

 だからこそ、使えるものは何でも使う。たとえそれが勝率の低い賭けだったとしてもだ。元よりこの戦い自体が賭けのようなものなのだから、そこに内容がひとつ加わることに抵抗はない。自分の命や世界の命運さえも賭けに出して、それでも勝利する。遥には、その覚悟がある。

 それは真正のものか、或いはただの虚勢か。ミラーは少しの間遥の目を見つめ、少なくとも偽りの覚悟ではないことを悟ると自らもまた覚悟を決めた。彼女にとっても、これは賭けなのだ。勝っても負けても、彼女の行く末は変わらないが。

 

「宝石を出して。海原の魔女から回収したもの、まだ持っているんでしょう?」

「宝石を? ……まさか」

 

 ミラーの思惑に気付きつつも、遥は何も言わない。ミラーの決断は彼女だけのものだ。遥はただ無言で戦闘服のポケットに仕舞っていた宝石をミラーに差し出して、ミラーがそれに触れた。

 瞬間、遥の視界が白一色に変わり、意識がショートしたかのような激痛を発しながら彼を包む世界が正常な様子を取り戻した。その中で遥は思わず膝を突きそうになって、それに気づいたクシナダに支えられる。微笑むクシナダに、遥が礼を返した。

 恐らく今の感覚は神霊の霊基が齎す力を使ったがための反動だろう。乱れた呼吸を整えて立ち上がろうとして、その直後、遥の目前を何か白い粒が舞った。

 ()()。冬木では殆ど見たことはなく、旅をしている間にも数える程度しか遭遇していないが、見間違える筈もない。それは次第に激しくなって、遂には軽い吹雪と言える程にまでなった。誘眠の魔術で眠っていたイリヤが急激に下がった気温のせいで目を覚ましてしまう。

 だが、遥とクシナダはそれに気づいていない。彼らの視線はそちらではなく、この世界の中心方向に向けられていた。その先にあるものは今までその領域を隠していた半球状の防壁ではなく、まさしく冬の王国とでも言うべき世界。空恐ろしいまでに無垢な雪の国であった。

 それがこの世界の本当の姿。それぞれの領域を支配していた魔女が消えたことによるものか、その雪の国は徐々にその領域を拡大させているように見えた。その変化を前に対応を決定しようとする遥だが、直後にその耳朶を()()()()()()()通信を示す電子音が叩く。今まで繋がらなかったそれが唐突に再び稼働したことに遥は面食らうも、すぐに装甲騎兵の通信装置を起動する。

 空中に投影されるホログラムのウィンドウ。同時にスピーカーから流れてきたのは慌てたスタッフたちの指令や爆音、それら普通では在り得ないような音。次いで、ロマニが口を開く。

 

『ああ、よかった! 今度こそちゃんと繋がったぞぅ!!』

「繋がったぞぅ、じゃない! そっちでいったい何が起きてる?! いや、敵襲なのは音を聞けば分かるが、大丈夫なのか!?」

 

 敵襲。百歩譲ってそれは良いとしよう。タイミングからして人理焼却の黒幕によるものではなくレディが仕掛けたものだろうが、どちらにせよ敵襲には対応しなければならないのは同じだ。

 問題は敵襲で発生する被害だ。最悪、英霊召喚システムが損害を受けたとしても召喚、及び再召喚が修理まで不可能になるだけで生存に支障はない。しかし、シバとカルデアスは駄目だ。前者が破壊されれば遥とクシナダは意味消失、後者に至っては破壊された時点で人類史そのものがバッドエンドだ。

 同様にカルデアの主動力炉である〝プロメテウスの火〟もまた最重要防衛施設だ。主動力炉がやられてしまえば非常用電源に切り替える他なくなるが、殆ど無際限に稼働するプロメテウスの火とは異なり非常用電源には限りがある。それでもある程度の備蓄はあるが、余裕を持つことができるものではない。

 

「正直に答えてくれ、ロマン。……あと何時間なら耐えられる?」

『正確な所は分からない。今の所、敵勢力はサーヴァントたちと立香くんが塞き止めてくれているからね。……でも、もしもその攻撃から逃れた敵が隔壁に到達した場合は()って半日程度だ』

「……そうか。半日か」

 

 ぽつりとロマニから告げられた言葉を復唱する遥。

 

 終焉の足音が、確かに聞こえた。




 皆さま、明けましておめでとうございます。約二か月ぶりの投稿でありますが、別にサボっていたワケではないのですよ、えぇ。大学のテストが立て続けにあったり、ポケモンの攻略や厳選をしていたり、鬼滅の刃を見ていたり、色々あったんです、ええ。

[次回予告]
 人理崩壊まで残り僅か。遂にレディの本拠地への突入を慣行した遥らを待ち受けていたのは魔法少女の軍勢と反転したディルムッドであった。遂に人理存続という祈りと、終焉の執念がぶつかり合う―――

次回『急迫ディストラクション』

[ステータス更新]
真名:ファースト・レディ→ファースト・レディ[テスタメント]
クラス:アーチャー→獣の幼体(ビースト・ラーヴァ)
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