青年は目を覚ます。その光景を見た彼は、疑問に思う。
(ここはどこだ?)
彼は穴に吸い込まれてからの記憶がなく、どうやってここに来たのかが、分からない。ただ気づいたらここにいた。それに、
(こんな賑やかな街は、初めてだ)
彼の居た場所では、ここまで賑やか街はなく皆が下を向き目立たないように歩いて居たのを思い出す。
だから混乱していた。
(はぁ、さてこれからどうするかな?)
頭を切り替えその場に立ち尽くしたまま考える。
(こんな場所は見たことがないし、明らかに人じゃないやつも歩いている。そもそもの前提が違うのか、もしかしたら俺の持っている金貨は使えないのかも知れない)
考えば考えるほどに、問題が山積みになっていき、憂鬱になっていく。
「はぁ」
ため息吐き、取り敢えず行動を起こそうと歩みを始める。すると、後ろから氷柱が飛んでくる。
「待って!それは大事な物なの、返して!」
と大声を上げながら隣を抜けて行った金髪の少女を追い掛ける銀髪の少女。
(なんかめんどくさそうなことが起こっているな、巻き込まれないようにしよう)
取り敢えず情報を集めることにした。
ーーーーー
青年は人から話を聞き、情報を集めた、この国はルグニカ王国と言う国であること、この国は東の端に位置すること、国の王族は伝染病で死に絶えたこと、とこれが今ある情報だ。中には無一文だと知って食料を少々恵んでもらったりもした。
「ラインハルト様には感謝だな」
と呟いて路地裏で木箱に座りリンガをかじりながら休憩していた。
「リンガって何かと思えば普通のリンゴだったな。それに」
(この国を出るなら西か、これを気に旅でも始めるかな)
この状況にも慣れ、余裕がでてきた青年はそんなことを考え始める。
(多少の荒事なら、大丈夫だろうし)
あの地獄生き抜いてきた青年は戦うことには自信があった。現にあそこでは、死神と言われ畏怖されていたからである。
リンガも食べ終わり腰を上げた所、20代位の男性3人に囲まれる。
「おい、お前持ってる物全部置いてけよ」
どうやら物取りのようだ。とその時、
「ちょっとどけどけ!そこの奴らホント邪魔!」
と言って屋根の上から追いかけられていたはずの金髪で小柄な少女が飛び降りてくる。少女は青年の頭を踏み台にし地面に降り立つ。そんな少女がこの場面を見て、
「なんかスゴい現場だけど、ゴメンな!アタシ忙しいんだ!強く生きてくれ!」
と言って路地裏の奥へ、立ち去る。
青年はそれに便乗して脇を通り抜けようとする。
「おいっ!お前どこに逃げようとしてんだよ!」
声を荒げながら、ひときわデカイ物取りの男性が、青年の肩を掴む。すると青年は、物取りの腕を掴み背負い投げの要領で投げる。
「グハッ!」
投げられた男性は気絶する。
「テメェ!!」
仲間の1人が倒され、細身の男性がナイフを抜き襲い掛かる。が、青年は振り返ることなく肘打ちを相手の鳩尾にめり込ませる。
「グェ!?」
男性を気絶させそれを対処する。
青年は最後の1人に襲い掛かる仲間2人が瞬殺され、いきなり襲い掛かられたことに、小柄な男性は混乱する。
青年は慌てる男性の顎に強打を打ち込み気絶させる。
「案外、掛かるものだな」
と青年は呟いて、物取りの懐をあさり始める。
「あった。これだ俺が欲しかったのは」
と言って物取りから小袋を取り出す。その小袋から金貨や銀貨、数枚取り出し、まだ中身の残った小袋を投げ返し、
「じゃあ、これ借りていくわ」
と言って、金をズボンのポケットの中に入れてこの場を立ち去ろうとする。その時、青年に向かって、手のひらサイズの氷のつぶてが前から飛来する。青年はそれを軽々と避け、飛んで来たほ方を見る。
「――そこまでよ、悪党」
ここに来てすぐに見た、金髪の小柄な少女を追っていたはずの、エルフのように耳の尖った銀髪の少女がいた。
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