クッソ忙しい中俺は何をしているんだ
すまない、衝動にかられた。体が心を追い越しやがった…。
原作など読んだことないしアニメも昔一度見たきりのうろ覚え。
後悔しないわけもなく
男が初めてISを動かした。
それは、この世の常識そのものを根底から覆す事実だった。今迄ISとは女性にだけ乗ることを許されたパワードスーツであり、各国の研究員が総出になっても終ぞ男がISに乗ることは可能ではなかった。それに伴い社会では女>男という、ある意味必然的な構図が出来上がってしまった。
故に、その事実と動かした張本人、織斑一夏の名は当然の如く瞬く間に世界へと広がった。今まで幾人もの男が何とか乗ろうと試み、それでも叶わなかったことを、『偶然そこにあって、偶然触ってみたら、たまたま起動しちゃった』というふざけた理由でやってのけた男。それが世界を揺るがす事実だったことは、言うまでもない。
そしてその影響はこんなところにも。
「国家重要人物保護プログラム?随分と大層な名前だな。」
織斑一夏がISを動かしてから、世界の、と言うよりは日本の対応は速かった。まず真っ先に織斑一夏を保護、という名目でIS学園への入学を強制した。当然である。男性で初めてISを動かしたなど、各国からしてみればこれ以上に貴重なモルモットはいない。安全面を考慮するならば国立であり、日本一安全と称されるIS学園への入学は避けられない事だった。
次に日本が行ったのは男性IS適性の再チェックである。織斑一夏という前例が出てしまった以上、やらないわけにはいかない。もしかしたら他にもいるかもという淡い期待の中それは実行された。しかし、本音を言ってしまえばどうせ無理。事実、行われた適性チェックは"適性なし"の連続。1日で終わるはずもなくそのチェックは3日にも渡った。しかし、3日目にしても結果は同じ。審査官は半ば流れ作業のように仕事をこなしていた。
しかし、その時だった。
「はい次、右原 壮介。ISに手ー触れてねー」
適性あり
「はい適性ありねー。帰っていいわよ」
相手の顔も見ずにそう言う審査官。彼女が異変に気付いたのは数秒後。
「………はい?え?」
もう一度結果を見る。そこには画面にデカデカと"適性あり"の文字。審査官は飛び出そうになる心臓を抑え込み、先程自分の横を通り過ぎた青年を探す。
いた。
見るともう既に会場を後にしようとしていた。
「ちょっと!君!!」
流れ作業の中で名前など覚えているわけもないのでとりあえずそう呼ぶ。
しかし反応しない。急いで名簿を見る。
ーーこいつだ!!
「右原君!!待ちなさい!!」
今度は通じたのか、その青年が足を止める。
そして、ゆっくりと顔だけ振り返った。
乱雑に切られた髪。本気で睨まれれば物怖じしてしまいそうなほど鋭い眼。
それが、まっすぐこちらを見ていた。
「っ……。右原……君。あなた、適性ありです」
この日、2人目の男性IS適正者が発見された。
そして、冒頭に戻る。
日をまたがずして右原の自宅には黒服を着た女達が来た。そして、告げる。国家重要人物保護プログラムのことを。
「大層な名前であっても、内容はこの名の通りです。」
「それで、この資料によるとIS学園への入学とそこの寮での暮らしが書いてあるんだけど」
「はい。そこは日本で、いや世界でも最も安全な施設の1つです。そこにいればまず安全かと。」
少しの間の沈黙。やがて壮介は手に持っていた資料を机に置く。
「いや、俺高校に受かってるし、そっち行くわ。ということで、この話は終わりだ」
そして、そう言い放った。僅かに女性の眉が動く。
「右原さん。どうやらあなたは自身のことをまだ理解していないようです。貴方は今や世界中から狙われる存在。そんな存在を放置しとくわけにはいかないでしょう。」
「だから、余計なお世話だと言っている。俺の安全を願うが故に保護、という名の隔離など、本末転倒じゃねえか?本人がそれを望んでねえんだ。危険だろうと何だろうと、俺は俺の好きなようにするさ」
いよいよ女性の表情が歪む。イラついているのがバレバレだ。
「貴方がそう言っても、私たち国がそれを認めません。」
「国がこんな普通の学生の自由を奪えると?」
「ええ、造作もない話です」
ニコッと笑う女性。それに対して壮介は表情を崩さない。
「はたして本当にモルモットにしたいのはどの国だろうな。お前らは俺の安全など考えちゃいないのさ。考えているのは"俺の研究によりISが男にも操縦できるようになる可能性"、だろ?そんなことをされたらたまったものではないもんなあ」
「…………。なんのことだかわかりませんが、例えそうだとしてももはや貴方の入学は免れられない。安心してください、自由ならありますよ。"IS学園の中"でね。」
そしてまたしばしの沈黙。やがて口を開いたのは壮介の方だった。
「…気が変わった。あんたの表情を歪ませるのに最も効果的なことを思いついた。入学してやるよ、IS学園」
「英断誠に感謝いたしますよ、右原君」
こうして、壮介の入学は決まった。
しかし、それは同時にとんでもない爆弾を抱え込むのと同意義だった。
漂う俺様俺TUEEEE臭。
続く見込みはなっしんぐ