武蔵ちゃんが欲しい!!
「うぅん・・・・・・」
朝弓弦が起きると、耳元に艶めかしい声が入ってくる。視線を隣に移すと紅髪が見えた。
先日の婚約騒動の後、グレモリーは弓弦の家に転がり込んで来て居候している。そして毎回弓弦のベッドに裸で潜り込んでいるのだ。
「早く起きて貰わないとアルトリアが来るな・・・」
と弓弦が考えていると・・・
コンコン
「ユズル朝の稽古の時間ですよ」
(もう来た!!ヤバいこの状況を見られたら…)
「あれ?ユズル寝ていますか?開けますよ」
(あー終わった・・・)
弓弦はこの時己の行く末を悟った。
「ユズ・・・ユズル?」
「は、はい!」
「説明してくれますよね?」
アルトリアの目からハイライトが消え、悪寒がする笑顔で聞いてきた。
「説明と言われましても、気づいたら部長が潜り込んでいまして・・・決して自分から誘ったわけではありません」
弓弦は正座して弁解を始めた。
「うぅん~もう朝?」
暫く弓弦が説教を受けているとグレモリーが起きた。
「おはようございます」
「お、おはようございます?」
アルトリアの挨拶にグレモリーは引き攣った顔で挨拶した。
「貴方にお話があります。服を着てそこに座ってください」
アルトリアが指さしたのは弓弦の横だった。
「・・・はい」
服を着たグレモリーは弓弦の隣に正座で座った。
「いいですか。・・・・・・・・・・・・」
アルトリアの説教は1時間程続き、朝の特訓ではアルトリアにボコボコにされた弓弦であった。
「あ、そうそう今日はイッセーの家で部活よ」
「今日は確か使い魔が旧校舎を掃除するんですよね?家でもよかったんですが・・・・・・」
「あれユズル言ってませんでしたか?今日はタマモと孔明の2人による結界強度を上げるので夜まで入れませんよ?」
「え?初耳なんだけど?ってか何故?」
「ユズルが無防備だからです!!」
「なんで怒るの!!?」
弓弦は怒るアルトリアに困惑した。
放課後弓弦たちはイッセーの家に集まり、何故かイッセーの小さい頃の写真のアルバムを見ていた。
その時木場がある写真を見つけた。
その写真とは聖剣であった。
カキーン
晴天の空に金属音が木霊する。
「オッケー」
飛んできた野球のボールをグローブでキャッチする弓弦。
現在オカルト研究部は球技大会に向けて練習していた。
離れている所では弓弦のサーヴァント達がキャッチボールや素振りなど自由にしていた。
運動が苦手なアーシアにはジャンヌが手取り足取り教えていた。
木場はぼーっとしており、ライザー時のグレモリーみたいになっていた。
この日はこれで解散した。
次の日の放課後弓弦がイッセーとアーシアと共に部室に行くと、部員以外の人物がいた。
「せ、生徒会長・・・・・・?」
そう部室のソファに座っていたのは駒王学園の生徒会長だ。
「なんだ、リアス先輩、もしかして俺達のことを兵藤に話していないんですか?同じ悪魔なのに気づかない方もおかしいけどさ」
口を開いたのは最近生徒会の書記になった匙元士郎だ。
「サジ、基本私達は『表』の生活以外ではお互いに干渉しない事になっているの。それに彼は悪魔になって日が浅いわ」
「生徒会長の言いようだと生徒会も悪魔関係者って事か匙?」
「そうだぜ神上」
弓弦が匙と話しているとイッセーが声を掛けて来た。
「弓弦はこいつの事知ってるのか?」
「ああ、常連の相談相手だ。ちょくちょく俺の下に相談に来る」
「神上のアドバイスは的確だからな。何時も助かってる」
『『『へ~え』』』
イッセー達は関心したように頷いた。
「それより確か会長の名は支取蒼那先輩でしたよね?」
「はい。そうです」
弓弦の言葉に頷いたのは本人だった。
「悪魔だったって事は元72柱のシトリーで合ってますか?」
「・・・驚きました。まさにそうです。支取蒼那改め、ソーナ・シトリーです。リアスと同じシトリー家の次期当主です」
弓弦の答えに驚きながらシトリーは改めて自己紹介をした。
「なら自分も。英霊を使役する魔術師神上弓弦です」
シトリーと弓弦は握手した。
その後朱乃の説明を聞き本来の目的でもある、最近下僕にした者の紹介と交流が始まった。只イッセーと匙は言い争っていたが。弓弦が仲裁に入って事なきをえた。
パーン!パーン!
球技大会を知らせる花火が空に響く。
現在弓弦たちは片隅で、部活対抗戦の種目の発表を見に行ったグレモリーを待っていた。
戻って来たグレモリーは不敵な笑みを浮かべていた。
「ふふふ、勝ったわよ、この勝負」
「部長、それで種目は!」
弓弦が聞くとグレモリーはピースサインで言う。
「ドッジボールよ!」
この時イッセーには嫌な予感がした。そしてその予感は当たった。
「狙え!兵藤を狙うんだ!」
「うおおおおおっ!てめぇら、ふざけんなぁぁぁぁ!」
部活対抗種目であるドッジボールでオカルト研究部は野球部と対戦する事になった。最も開始早々イッセーだけが狙われたが。その理由は・・・
部長━駒王学園の二大お姉さまの一人。大人気学園のアイドル。当てられない。
朱乃さん━部長と同じく二大お姉さまの一人。学園のアイドル。当てられない。
アーシア━二年生ナンバー1の癒し系天然美少女。しかも金髪!当てられない。
小猫ちゃん━学園のマスコット的なロリロリ少女。当てたらかわいそう。
木場━全男子の敵だが、当てたら女子に恨まれる。当てられない。
弓弦━木場と同じ全男子の敵で当てたら女子に恨まれる。それに結構皆相談に乗ってくれる兄貴分。当てられない。
俺事イッセー━なぜこいつが美男美女ばかりのオカ研にいるのかわからない。当てても問題ないだろう。いや、むしろ当てるべきだ。ちくしょう、死ね。あいつに照準を当てるんだ!ヘッドショットだ!死ね、死ぬんだ野獣め!
「イッセーを殺せぇぇぇぇ!」
「アーシアちゃぁぁぁぁぁん!ブルマ最高ぉぉぉぉぉぉ!イッセー、死ねぇぇぇ!」
「お願い!兵藤を倒して!リアスお姉さまの為に!朱乃お姉さまの為に!」
「アーシアさんを正常な世界へ取り戻すんだ!」
「落ちろ!右!いや、正面か!」
「殺せぇぇぇ!死ねぇぇぇぇ!ロリコンは俺だけでいいんだぁぁぁ!」
「出てこなければやられなかったのに!」
全校生徒からイッセーへ悪意が集中し、ギャラリーからは死ね死ねコールで全員がギラギラと殺意に満ちていた。
イッセーに集中するボールを塔城の堅牢な防御力で防ぎ、細腕から繰り出されるパワフルな一撃で相手チームを撃破していく。
「クソォ!恨まれてもいい!イケメンめぇぇぇぇ!」
イケメンに対する憎悪が大きかったのか木場に照準を定めた。
その木場はボーッとしておりイッセーが体を張って止めようとしたが、フォークボールのように降下していきイッセーの下腹部へ当たった。
大事な所に当たりイッセーは離脱。アーシアも治療の為離脱。
その数分後にオカ研の勝利放送が流れた。
パン!
外はすっかり雨模様で、その雨音に混じって乾いた音が響く。
この音は木場がグレモリーに叩かれた音だ。
球技はオカ研の優勝で終わったが木場だけ非協力的で現在グレモリーによる説教を受けていた。
様子がおかしいのはイッセーも弓弦も分かっていたが心当たりは全くなく、考えていると木場が帰りそうだったのでイッセーが慌てて木場に問いかけた。
「木場、お前マジで最近変だぞ?」
「キミには関係ないよ」
「そんなこと言うなよ木場。俺達仲間だろ?」
「仲間か」
弓弦の言葉に木場は表情を曇らせる。
「そうだ、仲間だ」
「君達は熱いね。イッセー君、弓弦君。僕はね、ここのところ、基本的な事を思い出していたんだよ」
「基本的な事?」
「ああ、そうさ。僕が何のために戦っているか、を」
「部長の為じゃないのか?」
「違うよ。僕は復讐のために生きている。聖剣エクスカリバー。それを破壊するのが僕の戦う意味だ」
そう言い木場は出て行った。
(聞いてたかアルトリアにジャンヌ達)
弓弦は念話で霊体化しているサーヴァント達に話しかけた。
(エクスカリバーの事だけどもしかして?)
(それはありえません。あの時私は確かにエクスカリバーを獅子王に渡しましたから)
(べディヴィエールの言う通りです)
(なら偽物だな。しかし良かったよ、アルトリア達が真名を明かさないで。最初に明かしていたら斬りかかって来てたな)
(そうですね。もしかしたら敵対していたかもしれません)
(それよりあの騎士どうするの?あいつの目は私と同じかそれ以上よ)
(暫くは様子見だ。全員出来るだけこの世界のエクスカリバーの事を調べてくれ)
(((了解!!)))
弓弦は話を切り上げて帰宅準備を始めた。