ダンジョンに凄腕シェフがいるのは間違っているだろうか 作:無痛
皆さまありがとうございます。。。
ロキから恩恵を受けてから少し経ち紅は、
ダンジョンの5階層に来ていた...
だったのだが、とんでもない災難に見舞われていた。
ファミリア内でレベルの高い者たちは、遠征に行ってしまい暇になってしまいダンジョン探索をしていたのだがモンスターが少なくほいほいと下の階層へと降りていたが、
いきなり白髮の少年が自分の方に走って来たと思うとその後ろから普通は15階層から出現するはずのミノタウロスが現れて襲いかかって来たのだ。
(リヴェリアからレベル2になってからミノタウロスと戦うように口うるさく言われてたけど今の俺じゃ、逃げ切ることすら出来ないな...覚悟を決めるか...。)
「逃げましょう!!一撃でも食らったら本当に死んじゃいますよ!?」
「お前は早く逃げるんだ!ここは俺が食い止める!!」
白髪の少年は、走りながら紅に警告をするも
紅自身はすでに『冒険』をする覚悟を決め
戦闘を開始した。
ヴオオオォォォォォォォォッッッ!!
ミノタウロスは白髪の少年からこちらに狙いを変えると右拳で殴りにかかってきた。
紅はしゃがみこみ攻撃を回避してミノタウロスの肘の位置にある靭帯にナイフを突き刺し
少しばかり傷をつけたのだ。
「やはりな...さすがレベル2から戦うべきとリヴェリアから言われただけのことはある。
筋が硬すぎてこのナイフじゃ切るのは難しいか...何!?!?」
ヴオオオォォォォォォォォッッッ!!
ズドンッッ!!
ミノタウロスは、いきなり二足歩行から四足歩行へと動きを変えた途端にツノをこちらに向けてそのまま勢いよく突進した。紅は急な動きに対応出来ずにもろに受けてしまった。
「ゴプッ...(あ、このままだと死ぬかもな。)」
その時であった。
一筋の閃光が走ったかと思うとミノタウロスがこま切れになり絶命したのである。
そして、その残骸に立っていたのは
ロキファミリア 幹部 アイズ ヴァレンシュタインであった。
「大丈夫...ですか....?あれ....紅...?紅!?
死んじゃダメだよ!!待ってて!」
するとアイズは、自身のポーチの中からポーション...ではなくエリクサーを取り出し
紅に飲ませたのだ...
ゴホッゴホ「助かったよ。ありがとうアイズ。」
「紅が死んじゃったら...もう...美味しい
ご飯...食べれなく、なっちゃう...から」
(本当に食いしん坊だなアイズは...でもおかげで助かったしなんかお礼しなきゃな)
「今日はアイズの好きな食べ物をいっぱい作らなきゃな^ ^」
「ほんと!?じゃあ、紅が作るハンバーグとオムライスとグラタンとカレーとピザとじゃが丸くんとデザートにプリンとショートケーキとカステラとわらび餅食べたいっっ!」キラキラ
「よし!今日は特別だぞ?アイズのためにいっぱい作るからな〜」
「やっっったああぁぁ!!」キラキラ
(好きな物いっぱい食べられる!)キラキラ
アイズも紅の作る料理の熱狂的ファンであった。
少しさかのぼり...
なぜこれほど紅にアイズが親しいのかというと...
初めは紅が入団して来ても何とも思わず興味を抱かなかったのだが、紅が入団した初日の夕食がいつもの質素なものからコース料理というものに変わり、しかもコースの一品一品があまりにも美味しくアイズは最初の前菜を食べると雷が落ちたような衝撃を受け
気が付くとその日は、コースを4人前も頼んで平らげていた。
そして、ふと厨房を見ると大勢の団員が料理を作っているのかと思いきや、たった一人で全て料理を作っておりその動きには一切の無駄が無くレベル1とは思えない速さで移動する紅を見ていたアイズはあることを思った...
(どうしてそんなに速く動けるの??
レベル1がまるでレベル2と同じような動きをするなんてありえないのに...
秘密が知りたい。。)
そして、夕食の片付けが終わった頃
アイズは紅に疑問に思った事を聞いた。
「どうしてそんなに迷いの無い動きが出来るようになるの??」
「動き?あぁ、調理してる時の事か?」
コクコク
「それはな、自分が次に何をすべきかを2つ、3つと先の事を考えながら動くんだよ。
それと、全体を見て、聴いて食材の声に耳を傾ければいいんだ。するとな?食材の方からどうして欲しいか答えてくれるから。そうすれば自然とあの動きになる。」
「予測して動くのは分かった。でも、食材の声??それはなに??」
「分かりにくいか...ちょっと来てくれ」
紅はアイズを連れて厨房に入ると食材置き場から一本のニンジンを持って来た。そして、
ニンジンをまな板に置き包丁をアイズに渡すと、
「自分なりに、食材の声を聞いて切ってみろ」
「コレで、切ればいいの?」
「そうだ、あと声を聴いて調理をする時は
その食材に最大の敬意を払ってやるように」
「分かった...」
アイズは言われた通りに食材の声を聞いてみたがそんな声などまったく聞こえず狼狽えた。
「食材の声なんて聞こえない....」
「そうか...なら自分が命を懸けて戦う戦場を思い浮かべてみろ」
「???...分かった」
言われたままにアイズは自分が戦場で戦うイメージをし、全身の神経を研ぎ澄ませてみるとある異変が起きた。
(あれ?ニンジンの呼吸?が聞こえる...)
「ここを切って欲しいの...?」 ザクッ
するとニンジンは、信じられないほどに
みずみずしく、輝いているようにアイズは見えた。
「それが、食材の声を聴くという事だよ。
声を聴き、どうしてほしいか食材の方から答えてくれるんだ。あとは、その声に言われた事を精一杯感謝をして調理すれば自分のまわりにいる食材が導いてくれる。コレが、あの動きの正体だよ」
「食材の声を聞く...ありがとう、少しわかったかも」
そうしてアイズは、厨房をあとにし修練場に向かい剣を抜き戦場にいる時のように全身の神経を研ぎ澄ませ静かに剣の声を聴いてみた。すると、剣がまるで話しかけてくるかのように輝いていたのだ...そこへ、
「あれ?アイズがいる!ちょっと手合わせしようよー!!」
「ティオナ...うん、やろう。」
「やったー!!じゃあ訓練用の武器で相手の武器を壊した方が勝ちね!」
「うん」
そうしてアイズはティオナから訓練用の剣を受け取り、先ほどと同じように神経を研ぎ澄ませて剣の声を聴いていると剣が最初より輝きだした。
「じゃあ、いっくよー!そりゃっっ!!」
ティオナは先にアイズよりも早く動き先制をかけようとしたその時...
スパンッ....カランカラン
「ん?あれ!?嘘!わたしの武器切れちゃってる!!!」
「凄い...!?」
なんとアイズはティオナの振り下ろしてくる武器に横から訓練用の剣を一閃しただけで綺麗に切れていたのだ。
「うそ!?同じ訓練用の武器なのに一撃で!?いつもなら一撃でなんて壊れないのに!!」
「....食材の声を聴くのも剣の声を聴くのも同じことなんだね...紅からは、色々とお手本にさせて貰おう」
それからというもの、アイズは紅に様々な料理を教えて貰い、そこから自分に合った技を考えようとするようになったのだった...