ピンポーンと
部屋に鳴り響く音
「来たか……」
ガチャ
「おはよう桐生君。昨日はよく眠れたかな?」
「おはようございます清条さん。はい、よく眠れました」
「それは良かった。それじゃ、行きましょうか」
「ええ」
今日はいよいよ清条家へ
ナンパから助けたことで、清条さんの父親が会いたいとのこと。
俺そんな大層なことしたかな?
疑問に思いつつも部屋に鍵をかけ、清条さんと二人並んで寮の階段を降りていく。
「この車で行くの」
「はい」
校門まで歩いた俺達
そこには、いかにも高級車と見える車が一台ある。
「お嬢様、そちらの男性が桐生様でございますね?」
一人の老人が車の中から出てきて言う
歳は60歳くらい
「ええそうよ」
「初めまして、桐生零です」
軽く挨拶をしておく
「初めまして、命お嬢様の執事を努めさけていただいている中野です。ささ、どうぞ中へ」
そう言い車のドアを開けてくれる
「ありがとうございます」
「いえいえ、お気になさらず」
俺が入った後、ドアを閉めてもくれた。軽く礼をする。
「お嬢様もどうぞ」
「ありがと」
「それでは清条家へ参らせていただきます」
車が走り始める
「もしかして緊張してる?」
「え?」
車が走り始めておよそ10秒といったところで、急に声をかけられた。
「なんか顔が強ばってるから」
「顔はもともとこんなんですけど、少しは緊張してます」
「そっか~。でも、多分一瞬で緊張なんて吹っ飛ぶと思うよ~」
「そうだといいです」
「お嬢様、失礼ながら発言させてもらって構いませんでしょうか?」
「ダメ。また怒るんでしょ?」
「いつになったら令嬢らしいお話方をしてもらえるのでしょうか?」
「話すのダメっていったのに……」
確かに令嬢ってのはもっと丁寧な話し方をするものだと思っていた
だが、清条さんの話し方はそこらの女子と変わらない。
「面倒なのよ。丁寧さとか。私はありのままの自分を晒すの!」
胸を張って言う清条さん
清条さんはスタイル抜群なので、それにより2つのメロンが強調される。
「はあ~、お堅いですね」
諦めたように言う中野さん
なんか可哀想。執事も大変なんだな。
でもこの会話のおかげで俺の緊張も無くなった
「さっきよりいい顔になったね。緊張ほぐれちゃった?」
「顔は変わってませんよ。でも緊張はほぐれましたね」
「良かった~。でも家に着く前にほぐれちゃうとはね~」
「そんなに家は緊張しない感じなんですか?」
「うん。すぐ分かるよ。もうすぐ着くから」
「お疲れ様でした。清条家でございます」
でかすぎだろ
窓からでもわかる
俺の家ほどでは無いが、十分でかい。
「行きましょう」
清条さんが扉を開ける
「「おかえりなさいませ。お嬢様」」
「うん、ただいま」
俺の家と同じ感じ
まあ夏休み帰った時は俺が事前にやめてくれと連絡しておいたからされなかったが。
やばい緊張してきた
「桐生君、こっち」
「は、はい」
後をついていく
「ここよ。……父さん、入るよ?」
「ああ」
返事を貰い、部屋の扉を開ける。
するとそこには
「命ぉ! 帰ったかぁ! 俺は待っておったぞぉ!」
部屋に入った途端、40代と思われる男性が、両手を広げ清条さんの方に向かって走ってくる。
「きも」
『きも』の2文字とともにするりと避ける清条さん
「なんで俺のこと避けるんだよ!」
「だってきもいから。それにお客様の前よ? ちょっとはそのきもさを隠そうとしてよ」
「ツンデレかあ~。そうかそうか」
この男性は勝手に解釈するのが十八番のようだ。俺の緊張も瞬間消えた。ありがとうございます。
「父さん」
「わ、わかってるって。そんな怒んなよ」
「別に怒ってない」
「ふう……」
男性は視線を清条さんから俺に向け、
俺の前に来る。
「初めまして桐生零君。俺は命の父親の清条蘭牙<せいじょうらんが>だ。よろしくな」
「桐生零です。こちらこそよろしくお願いします」
「おう!……それにしても、命を助けてくれたんだってな。ありがとう」
「いえ、困っているのを見過ごせ無かったので」
「いやいや感謝してるよ。俺の命たんの柔肌を守ってくれたんだから」
笑って言っている。この人親馬鹿だろ。
そう思った瞬間
「ふ!」
蘭牙さんの右拳が俺の顔面へ
結構なスピードだが、俺は右へ避ける。
「君、強いね」
突き出した拳を戻し蘭牙さんは笑う
「マグレですよ」
「ちょっと父さん、いきなり何してるの!危ないから!」
「いいや大丈夫だ。俺は彼が避けると分かっていた。そんな気がしたんだ。」
「避けられない可能性もあったでしょ!」
「いや……それは無い」
「え?」
確かに疑問だろう
避けられない可能性が無いなんて普通あり得ないと思うからな
「桐生君。君、何か習ってただろ? いや、それとも……将暉さんの教えかな?」
ここでまさかの父さんの名前。完全に予想外だ。驚いた。
「はい」
嘘だ
本当は元師に教わった。だが、名前は伏せておく。
「はっはっは、やっぱりか~。将暉さんと同じで強そうなオーラだったし、それに体つきもいいし」
「父と知り合いですか?」
「ああ。桐生家と俺ら清条家は仲が良いよ。知らなかった?」
「はい」
「そっかそっか、将暉さんは俺が慕ってる人なんだ。いい人だよな~」
そんなことは無いと言ってやりたいものだ。父さんは元師に言われたとはいえ、俺の人生を操っていた。
「てかさ父さん、さっきの発言気持ち悪いよ?」
「ん?何が?」
「命たんの柔肌」
「何?デレた? 可愛いなあ、ぶふ!?」
蘭牙さんの腹を殴る清条さん。痛そう……
「それで、何か話があるんじゃないの? 早くしないと。桐生君も暇じゃ無いんだし」
「悪い悪い。じゃあそこ座って」
「はい」
俺は指定された所に座る
とても大きなソファーだ。座り心地もいい。
「まずは改めて、先程はいきなりパンチして悪かった」
「いえ、気にしてません」
「それはありがたい。……それで今日君に来て貰ったのはね、一つ言うことがあるからなんだよ」
「何ですか?」
「命と……」
命と?
「結婚してくれぇ!!」
「「はいい!?」」
俺と清条さんは二人してはもった
「と、父さん何言ってるの!?」
「命、お前の為なんだ!」
どこが為なんだ……
「あの、どういうことですか?」
素直に聞く
「命は可愛いだろ? てことはお見合いされるだろ? けど今までのお見合い相手は全部ししゃも見たいな奴ばっかなんだよ! そんな奴等に命の柔肌渡してたまるか!」
ししゃもって...お見合い相手たちがさぞ可哀想だ
てか俺には渡していいのかよ
「だが桐生君、君は顔良し、そしてさっきの俺のパンチを避けたから恐らく運動神経良し、そして多分頭良しだ。完璧だ! 君になら命を託せられる」
顔は今見てるからともかく何故頭と運動神経が良いと言い切れるんだ……
「勝手に決めないでよ父さん」
そこで割り込む清条さん
「何だ? お前は彼が嫌か?」
「別に、嫌じゃ無い…けど」
少し頬を赤らめて言う
「ならいいじゃないか。何も問題無い」
「でも、桐生君は何も言って無いのに私たちが勝手に決めるのはおかしい」
「ならば聞こう。桐生君、君は命と結婚するのは嫌か?」
率直に聞いてくる。清条さんもチラチラ見てくる。
普通の男なら嫌と言わないだろう
スタイル抜群で美人な彼女を拒否するはずがない。
だが、俺の答えは決まっている。
「お断りします」
「何!? 何故だ! 何処が不満なんだ!?」
「不満な所なんてありません」
これは嘘では無い。本心だ。
「なら他に何があると言うのだ!?」
当然来る質問だ
清条さんも黙って俺を見ている
俺は思っていることをそのまま口にする
「俺は、こんな俺を好いてくれた彼女を裏切ることはできません」
「……そうか。君にはお付き合いしている人がいるんだな」
「……」
「……すいません」
「いいや、謝ることじゃないよ」
「うん。桐生君が悪いんじゃないから」
「ありがとうございます」
良かった。変な雰囲気になると思っていた。
「桐生君、昼食はまだかい?」
「はい」
「それなら是非食べていってくれ」
「いいんですか?」
「ああ。わざわざ来てくれたからな。それくらいはするさ」
「ありがとうございます」
お言葉に甘えて、昼食をいただくか。
「どうだ? 口に合うか?」
「はい。凄く美味しいです」
「良かったよ。遠慮せず食べてくれ」
「ありがとうございます」
蘭牙さんは俺が結婚を拒否したにも関わらず優しくしてくれた。いい人だった。急にパンチされたときは焦ったが、あれは恐らく俺の運動神経を見極めるためだったと勝手に思う。
「中野、桐生君を無事寮へ送ってくれ」
「かしこまりました」
「それじゃ桐生君、さようならだ。気が変わったらいつでも大歓迎だから」
蘭牙さんはまだ結婚のことを諦めていなかった
「父さん、しつこいね」
「ふん、命をししゃもたちにやれるかよ」
「ししゃもって...」
「まあとにかく、早く行け。桐生君を待たせるな」
「分かってる。中野、行って」
「はい」
最後にお礼くらいは言っとくか
「あの、今日はありがとうございました。ご飯、凄く美味しかったし、何より清条さんのお父さんが優しい人で良かったです。緊張も無くなりましたし」
「うむ、君はいい人だ。今からでも命とけっこ..」
「中野」
「はい」
清条さんに名前を呼ばれ、中野さんは車を走らせる。
蘭牙さんの言葉は最後まで聞くことはできなかった
「到着でございます」
辺りはオレンジ色の世界と化している
もう夕方か。時間が経つのは早いな。
「ありがとう」
「ありがとうございました」
「いえいえ、気をつけて寮へお帰りください」
そう言い中野さんは再び車を走らせる
「なんか今日はゴメンね」
「なんでですか?」
「いきなり結婚とか、正直困るよね」
「気にしてませんよ」
「ほんと?」
「はい」
「それじゃあさ、もし桐生君に彼女がいなかったら私と結婚してくれるのかな?」
ニヤつきながら聞いてくる
「してると思います」
こんな美少女から求婚され断る男はほとんどいないだろ
「そっか...」
「逆に先輩は、俺なんかと結婚していいんですか?」
「うん。私は君のこと好きだよ?」
即答のうん。そして以外な言葉を受け取る。
「え? でも俺先輩に会うのまだ3回目ですよ?」
「そうだね。でも、あの日助けてくれた時から、私は君に興味があったよ」
「清条さん...」
「その時はこれが恋なんて思って無かった。でも今は言える。この気持ちは、君を好きな気持ちなんだって。...だから」
清条さんは一呼吸し、言った。
「君に好きになってもらえるように努力するから」
瞬間、びゅっと風が吹く。
まだ9月序盤だというのに、肌寒い。
「それと、清条さんなんて堅苦しいから嫌。命って呼んでよ」
「随分ハードル高いです」
「なんで?」
「年上の女の人をいきなり下の名前呼びはきついです」
まだ会うの3回目だぞ?なんかいきなり距離縮まったみたいだ
「いいから〜、はやく呼んで」
頬を膨らませる。愛菜もそうだが、頬を膨らませるのは可愛いから反則だろ。
「命さん」
「さんも敬語も要らないんだけど、まあ許す! 良くできました。」
はあ、今日はなんか疲れたな。明日は一日寝ていようか。
そう思いつつ、俺達は寮へ。
命さんを送った後、俺は男子寮へと帰った。
いかがでしたか?
不満なところがあれば感想で言ってください。
あと、何かしてほしい行事などがあれば感想で言ってください。
今後の展開どうしようか笑