完璧男と美少女   作:sylvi

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デートは、この次の話にします。


47話 天才と呼ばれた女

「久しぶりですね、姉さん」

視線を下に向けつつも話しかける。

 

 

 

 

しかし、返事は無かった。

それもそうだ。この少女が今話しかけたのは、墓であるからだ。

 

 

「姉さんを精神的に追い詰めた、あの人の子を見つけましたよ」

顔を上げ、墓と見つめ合う。

 

 

 

 

 

 

墓に彫られた名はーー柳愛理<やなぎあいり>。

 

彫られた文字を手のひらで優しく触る。

 

 

「愛理姉さん、桐生零君を倒します。そして、あの人……元師様の驚いた顔を見て、姉さんの墓の前で土下座させますから」

そう言い、柳愛楽は墓に微笑んだ。

 

 

三年前、私の姉である柳愛理は、幽閉の籠と言う場所へ連れていかれた。

私の家に来た謎の老人と、ボディーガードらしき人によって。

親は黙って見ていることしかしなかった……いや、それしかできなかった。

 

 

「姉さん、どこへ行くのです?」

当時中学1年だった私は、姉のことが大好きで、常に一緒だった。

その時の私は、不安そうな顔をしていた。

 

 

「大丈夫よ愛楽。すぐ帰って来るから」

 

姉は、いつも通りの笑顔を私に向けた後、親にも笑顔で、行ってきますとだけ言って家から出ていった。

 

「父さん、姉さんはいつ戻ってくるのですか?」

「分からない……」

「……そう、ですか」

 

今は信じて待つのみ。

そう思っていた。

しかし

 

 

 

 

 

 

「愛楽、お姉ちゃんの所へ行くが一緒に来るか?」

「え? 愛理姉さんの所?」

姉が連れて行かれてから1ヵ月が経ち、父はそう言った。

「ああ。愛理のいる施設はな、家族が様子を見に行っていいらしい」

「行きます!」

 

私は即答した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが愛理のいる施設……」

「大きいわね」

 

親二人の会話を耳に入れつつ、私は周りをキョロキョロした。

大きな建物。名は、幽閉の籠と言う。

建物内には、沢山の部屋があった。

プールやグラウンドまであり、まるで学校を思い出させるかのようだ。

 

「あ!」

 

親に聞こえないような声で、ある光景を目にする。

 

それは、姉さんを連れていった老人が、男の子の頭を撫でている。

老人は嬉しそうな顔をしているが、男の子は無表情だ。

 

私は透明なガラスの窓付きのドアから、その部屋の中を見る。

 

 

 

「流石は私の孫だ」

「ありがとうございます」

 

 

そんな会話が聞こえた。

 

 

「愛楽、何をしている? 早く行くぞ」

「はい」

父が私を呼んだので、窓から目を逸らした。

 

 

 

しばらく歩いていると、姉の部屋を見つけた。ガラスの窓付きドアから覗いて探していたので、見つけるのに時間がかかった。

「姉さん……」

 

久しぶりに見た姉の姿。

男に勉強を教えられている。

 

 

「愛理……」

父が不意に呟いた。

その顔は険しく、同時に、怒りも募っている様だった。

 

「さて、帰るか」

姉の姿を見た父は、微笑んで私と母に言った。

「そうね」

母もまた、微笑み返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「柳愛理さんは、死亡しました」

「え……?」

 

姉が連れて行かれてから4ヵ月、私の家に来たスーツの男性が告げた。

 

「なんの冗談です?」

父は真剣な顔で言った。

 

「冗談ではございません。これを」

そう言い男は写真を見せる。

「そん……な……」

父の顔は、絶望した顔だった。

「私にも見せて」

母が写真を見て、父同様絶望する。

 

「見せてください」

「いいのか? どんな光景が待っていても」

父が言う。

しかし、答えはイエスのみだ。

私に恐る恐る写真を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……………」

その写真は、姉が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口から血を流し、倒れている姿が写っている。

 

「姉……さん……」

私は全身から力が抜け、その場にしゃがみこんだ。

「愛理は自殺か?」

父がスーツ男に聞く。

「はい」

とだけ答えた。

 

「原因は何だ?」

「恐らく、精神的に不安定だったと思われます。前々から状態が可笑しかったので。それで、舌を噛み切って死んだのかと……」

「……ふざけんなよ。ふざけんなぁ!」

 

父はスーツ男の顔を殴った。

 

「お前ら、愛理を精神的に痛めつけたのかぁ!? 死ね! お前らが死んで愛理に詫びろ!!」

 

激怒した父は、スーツ男の首を締めた。

 

 

 

 

 

「あなたやめて! そんなことしても、愛理は帰って来ないわ……」

 

父の暴走を止めたのは、母だった。

 

 

「う……ぐぅ……」

泣いてその場に崩れる父。

 

「今回の件は我々が悪いです。本当に申し訳ありませんでした」

スーツ男が頭を深々と下げて言った。

 

「こちらをお受け取りください」

そう言いケースを差し出した。

父はそれを開ける。

 

「な!?」

 

中身は、1万円札の束だった。

 

 

「1億です。それが我々の今できる償いです……」

「……もう帰れ」

父は怒りを込めて言った。

 

「失礼します……」

スーツ男は去って行った。

 

 

 

 

私は父以上に絶望した。

そして、大切な姉を失ったことが、私を変えた。

 

 

 

 

 

姉を連れて行かれた時に、老人が父に渡した資料を見て、籠のことを知った。私自身も籠に出向いて、姉のことを聞くのと同時に籠のことを教えてもらった。

 

 

 

まず、普通の人は籠のことを知らない。知っている者は、他の人に言ってはならないらしい。言えば家族をめちゃくちゃにされる。

そして、権力がある。世界でもトップクラスの金持ちの桐生グループが関連しているから。それは、総理大臣に近い程の権力だ。

そして、籠の管理人の名は、桐生元師。

そして、連れて行かれるのは、能力ある人間のみ。実際、姉は賢かった。

まあ頭の良し悪しだけではないだろうが。そして、最後に知ったのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最高傑作であり、お気に入りの孫がいること。名は、零。

私はすぐに誰のことか分かった。

あの時頭を撫でられていた子だと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「元師様、貴方の傑作を壊してあげます。それで、父さんと母さんの無念を晴らします」

父と母は、権力でねじ伏せられると分かっているので、姉さんが死んでも桐生元師に何も言えない。

私の家は結構裕福だ。その状態を壊したくはない。

 

 

 

 

私たちでは、桐生元師に権力で敵わない。なら、最も身近な人物を潰すしかない。

だが、桐生零をどう潰すか悩んでいた。

そんな時、私には運が味方してくれた。

 

 

 

 

 

 

私と桐生零を同じ学校にしてくれた。

何と言う幸運だ、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

「桐生零君、貴方に恨みはありませんが、私の……いや、私たち家族の為に、負けてもらいます」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして私は猛勉強をし、運動能力も上げ、高校生になった時には天才と呼ばれる様になった。

 




語られし過去!
柳はどう零を倒すのでしょうかね。
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