完璧男と美少女   作:sylvi

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59話 特別試験 鬼ごっこ 〈3〉

「クク、せいぜい頑張って探してくれよ? 柳さんよ」

俺こと竜咲帝は今、無人島で一番大きな木から島を見下ろしている。

俺は予め船の中から、島の形を見ていた。そして一際目立っているこの木を発見した。

とりあえず木をなんとか登った俺は、あるものを見つけた。

 

「へへ、まさか穴が空いていたとはな」

そう、巨大な木の上の方の幹には、人が入れる穴があったのだ。おそらくこの穴は下からは見えないだろう。

腕時計型体温計を見る。

時刻は8時26分。

試験はまだ始まったばかり。

「8時間毎にリーダーの位置が分かっちまう。16時前にはここを出ないとな」

 

この穴を見つけることは簡単ではない。人間は見えないものの方が見えるものより敏感となるからだ。

普通の人間からしたら、『この木は大きいだけ』や、

『木の幹に何か隠してあるかも』としか思わないだろう。

わざわざ15メートルくらいある木を登る物好きは少ない。

 

(けど、柳は見つけちまうんだよなあきっと)

 

あいつは異常だ。隅々まで探すだろう。

 

俺の本来の作戦はこうだ。

1 リーダーマップ表示10分前まで巨木に隠れて過ごす。

2 10分前に巨木を離れ、適当に動き回る。

3 リーダーマップ表示が来たら、5秒間適当に動く。

4 走ってまた木まで戻る。

5 1から4を繰り返し、深夜0時1分から3時に食料をさがす。

 

だが、柳のことだ。木を調べているかもしれない。

試験終了は明日の深夜0時。

今日はこの作戦でいき、深夜が来たら、島を探索。

隠れられる場所を見つけるのだ。

そして明日は見つけた場所に隠れる。

 

 

 

「クク、まーた一人捕まったか」

上から見下ろす。

かつての俺の取り巻きの一人が、何人かに囲まれて捕まった。

 

「柳のやつ、考えてやがるぜ」

 

鬼ごっこにおいて、1対1の場合は、逃げる方は逃げられるかもしれない。だが、3対1の場合は、逃げる方に逃げられる可能性はほぼないだろう。囲まれて詰みだ。

 

(4組の連中がみんな捕まっちまうのも時間の問題だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「柳さん、4組の生徒を一人捕まえたぜ」

「こっちも一人捕まえたよ!」

 

 

「ありがとうございます。その調子です」

嬉しそうに言うクラスメイトにニコっと笑う。

 

(...竜咲君はまだ捕まっていないのですね)

 

私は彼がリーダーだと確信している。

4組にまとまりがあるとは思えない。彼が統率しなければ4組は終わる。

 

しかし、試験開始から既に2時間経った。

竜咲の気配は無い。

それが私を少し悩ませる。

 

 

 

 

 

 

 

7時間後

 

「さて、そろそろ離れるか」

俺は木をゆっくりと降り、歩き出す。

 

(島が広いからか知らねえが、ここらには誰もいないな。好都合だぜ)

 

 

 

しばらく歩く。

そして、遂に一度目のリーダーマップ表示が来た。

端末を見ると、俺の位置が分かっていた。

5

(さて)

4

(精々)

3

(頑張って)

2

(見つけろよ)

1

(柳さんよ!)

 

リーダーマップ表示終了

 

(行くぜ)

俺は元いた場所へ走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、そんなところにいたんですね。竜咲君」

 

勿論、竜咲かどうかは分からない。しかし、竜咲を未だに捕らえていないことから予想がつく。

 

私は端末をポケットにしまい、近くにいるクラスメイトに言う。

「向こうへ行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、とりあえずは騙せたか」

俺は巨木まで戻って来た。

今頃柳たちは俺がさっき居た場所を探しているだろう。

作戦成功だ。

あとは0時にもう一度場所を移り、3時間の間食べ物確保と隠れる場所を探索し、明日を乗り越える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8時間後、現在の時刻深夜0時。

 

 

 

 

「さて、探索するか」

 

俺は気配を消しつつゆっくりと歩く。

3時まで捕まらないとはいえ、姿を晒すのはNG。

こっそりつけられている可能性があるからだ。

 

 

 

しばらく俺は島を探索し、木の実や川の水をゲットした。

 

 

 

 

午前3時

 

 

 

「さて、ここでしばらく居るか」

 

俺の現在居る場所は、巨木とは離れた洞窟だ。

1組が昨日、巨木周辺をあまり探索してなかったため、今日探索する可能性がある。

 

(洞窟じゃさすがに巨木より見つかるな)

 

洞窟を出て、近くの木を登る。

 

 

 

 

 

(ん?)

 

4組の生徒を一人も見かけない。

 

 

 

(まさか、もう捕まっちまったのか? ったく、ほんと役に立たねえなあ)

 

木を降り、洞窟に戻ろうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「洞窟へは行かせませんよ?」

「っ!?」

 

後ろから聞こえる突然の声に心臓がどくり。

 

「流石竜咲君ですね。見つけるのに苦労しましたよ」

俺は振り返る。

 

「なっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、1組全員がいた。




次回で竜咲VS柳が終わり、2組VS3組になります。
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