無人島の西側、洞窟の前には1組全員がいる。
そして、俺――竜咲帝もいる。
(やべえな)
どうこの状況を切り抜けるか。
とりあえず適当な会話をしながら頭の中で考える。
「どうしてここが分かった?」
そう聞くと、柳はニコっと笑い言った。
「勘です」
「勘だと?」
「ええ。リーダー表示の時貴方がいた場所の近くに1組の生徒を何人か配置していました。ですが貴方の姿は見ていなかったそうです。何故なら表示が終わってからすぐにその場を離れたから。なのでその場所から離れていて尚かつ隠れられそうなここに絞ったわけです」
「リーダー表示場所から離れていて隠れられそうな場所はほかにもあったと思うがよく見つけたな」
「私は一日目はリーダーを捕まえる気はありませんでした。島の地形を覚えようとしていましたから。そして地形を覚え、1組の生徒を配置しました。この洞窟以外」
「なるほど」
確かに、俺が見つけていた隠れられそうな場所はほとんど1組のやつらがいたな。
「つまり、俺をあえてこの場所に誘導したと?」
「ええ。そうです」
なるほどな。中々やるじゃねえか。
「降参、してくれますか?」
どうやら、ここまでか。
「降参する....わけねえだろ!」
俺は全速力で走る。1組の生徒たちに背を向けて。
「捕まえてください」
柳の言葉で1組の全員が竜咲を追う。
「俺は、負けられねえ! この戦いは!」
なんとか1組の生徒と距離を保ち走るが、体力にも限界がある。
「竜咲君、もう無駄な足掻きは止めましょう」
逃げる竜咲をゆっくりと追う柳。
その背中を見続けた。
「もう、チェックメイトですよ」
それからほどなくして、ゲームが終了した。
『WIN 1組』
船内のモニターにゲーム結果が表示された。
「やっぱり1組の勝利か」
「結果が分かってたの?」
「まあ、なんとなくだな」
「次は私たちだね、零君」
「ああ。必ず勝つよ。退学で愛菜とお別れなんて嫌だからな」
俺たちはゲームの準備をするべく、船内を後にした。
(あーあ、捕まっちまったぜ。これで次勝たなきゃ最下位だぜ)
汚れた服を着たまま、船内へと戻る。
「竜咲君!」
「竜咲さん、捕まってしまいすいませんでした!」
船に入った瞬間、4組全員が俺に詰め寄って来た。
「何誤ってんだよ。リーダーの俺が捕まったのが悪いだろ。なんで責めねえんだよ」
「何言ってんすか! 竜咲さんのお陰で俺たちはちゃんとゲームに臨めた! もうそれで十分ですよ!」
「っ!?.......随分言うようになったじゃねーか。だが負けは負けだ。俺に責任はある」
俺があと少し考えていたら勝てていた可能性は十分ある。俺もまだまだだ。
「竜咲君、まだ終わってないんだからさ、次勝とうよ! リーダー!」
「そうだよ! まだ終わってないじゃん!」
「お前ら....」
つくづくこいつらはおかしな集団だぜ。
「リーダーとして、最後まで俺らのこと頼んます!」
「元舎弟のくせによく言うぜ」
あはははと、笑い声が響く。
「じゃあな」
俺は部屋へと戻った。
「只今より、2組と3組のゲームを始めたいと思います。2組はリーダーを決めてください。制限時間は10分です」
(さてと、どうなることやら)
俺――桐生零は、クラスのみんなと船外へ来た。
(誰がリーダーをやるんだろう)
とにかくこのゲームに必ず勝つ。今の俺にはその思いしかない。