「みんな、誰がリーダーに一番向いてるかを決めようと思うんだけど、誰が適任だと思うかな? みんなの意見を聞かせてほしい」
そう言ったのは橋本。クラスのメンバーの信頼を一番得ているからこそ、発言力がある。そういう人はこういう時に本当にリーダーシップを発揮する。
「橋本でいいんじゃねえの?」
真っ先に意見を述べたのは
「僕が!? 僕なんかがリーダーなんておこがましいよ...」
(みんなのこと第一に考えてるイケメンは流石の謙虚さと言ったところか)
「零君は行かなくていいの?」
愛菜が聞いてくる。
「俺よりあいつの方が信頼されている。退学の可能性がある試験はみんな不安だ。信頼してるやつに任したいだろう」
「そっか」
結局リーダーは橋本に決定した。
「それでは、2組のみなさんは今から逃げてください。10分後に3組はスタートします」
(さて、逃げるか)
「桐生君」
「え?」
後ろに振り向くと、橋本がいた。
「何だ?」
「ちょっといいかな? 逃げながら」
「ああ。いいぞ」
「ありがとう」
森に入ったところで、橋本は言った。
「僕と2日間、一緒に逃げてくれないかな?」
「え?」
これは驚いた。俺のイメージでは、橋本塁という男は誰かを頼ろうとせず、寧ろ頼られて当然の人間だったからだ。
「なんで俺なんだ?」
「君がクラスで一番賢いからだよ」
「それと鬼ごっこに何の関係が?」
「正直僕は君にリーダーになってもらった方が嬉しかったんだよね」
「俺が? 無理だよ」
「.....桐生君」
「なんだ?」
「僕に2日間力を貸してくれないかな?」
俺としては2日間適当に逃げるつもりだったんだがな。
俺が作戦を考えなくても3組になら多分勝てる。
けど、橋本がここまで言うんだ。協力するのは悪くないだろう。
「分かった。俺で良ければ協力する」
「っ!? ありがとう!」
そして俺たちは森の奥へと進んで行った。
「桐生君はどこか隠れるのに最適な場所とか思いつく?」
「一つ気になるところがある」
それは、俺が船から見た巨木だ。
あそこには何かがある....と、思う。
「島の中央辺りに巨大な木があった。それが気になる」
「ああ、あれは僕も気になってたよ。なんせ島の木の中でダントツに大きかったからね」
「行くか?」
「うん。3組がもうすぐ追ってくるから急ごうか」
「大きいね...」
「ああ。目立つだけあって巨大だ」
目の前の巨木は他のどの木よりも太く大きい。
「さて、登ってみるか」
「え? 登るのかい?」
「上に何かあるかもしれないからな」
そして俺では巨大な木を登っていった。
「ほう、空洞か」
巨木の上の方には幹に穴が空いていた。
下からだと恐らく見えない。
(これも勝つための手段に使えるな...ん?)
穴の中にペットボトルが捨てられていた。
そのペットボトルは潰されており、中身は空だった。
「誰かここで生活していたか」
「桐生くーーーーーーーん!!」
下から橋本が呼びかけてきた。
「橋本! 登って来てくれ!」
「わかったよ!」
橋本が登っている間に穴の中をもう少し見てみる。
「特に何も無し、か」
「うわ! こんな穴があったんだね。驚いたよ」
登り終えた橋本がそう言った。
「誰か生活してたっぽいな」
「そうだね。とりあえずここに隠れる?」
「そうだな。こんな木を登るの奴なんて早々居ない」
(リーダー表示が来るまでここで時間を潰すか)
「うわ! 島全体が見えるね!」
「ああ。早速誰か逃げてるみたいだぞ」
「お、あれは多分
(葉術一人に対し向こうは二人か。不利だな。)
鬼ごっこは数が多い方が有利。それはこの試験でも同じこと。葉術は挟み撃ちにされるか、運良く逃げられたかのどちらかしかないだろう。後者はほとんど希望は無い。女子の体力は少ないものだ。しかも、今葉術を追っているのは二人共男だ。捕まるのも時間の問題だ。
(さて、これからどうするかな)
この試験、中々ハードだな。
60話に挿絵を入れてみました!!(笑)
挿絵第一弾は竜咲です!
よければ見てください笑
これから挿絵ちょくちょく入れよかな笑