「さあ、もう終わりだ」
「本当に長かった。ありがとう桐生君」
「気にするな」
俺たちは、作戦通り巨木の穴に身を潜めて、試験終了を待っていた。
終了まであと5分。
5分間で俺たちの居る場所に登って、体に触れる可能性はほぼゼロだ。
ーーー
「さあ、俺たちの勝利は目前だぜ!」
「このまま乗り切るぜ!」
龍也と直也が希望を抱き、宅は安心していた。
(ようやくこのバカ2人との生活が終わる...)
ーーー
『WIN 2組』
船内のモニターに映し出された試合結果を見て喜ぶ少女が1人。
「流石ですね桐生君。楽しみですよ。あなたを倒すその瞬間が」
ーーー
「終わったな」
「うん、船内へ帰ろうか」
先程試合終了の知らせが上空のヘリから聞こえた。
生徒は速やかに船内へ帰れと。
道に迷ったらマップ限定の端末を見ろと言っていた。
船に入ると、2組の生徒たちと会った。
凄く久しぶりな気がする。
「よう零」
真っ先に話しかけてきたのは龍也。どうせすぐ捕まったのだろう。
「船の中での生活は楽しかったか?」
「ふっふっふ、聞け零。俺はなんと捕まってないのだ!!」
「え!? 嘘だろ...」
「なんでそんな顔するんだよ!!」
「いや、だってなあ...」
「もういいよ! どーせ誰も信じないと思ってたよ」
「悪かったって」
「仕方ないから許す。それよか柊さんのところに行かなくていいのか?」
「そうだな。ちょっと行ってくるよ」
「おう」
(さて、マイプリプリプリティーエンジェルはどこにいるんだろうか....ん? あれは...)
船内の隅の方に愛菜と柳が対面していた。
「柊さん、次はよろしくお願いします」
「うん、私の方こそよろしくね」
「2位になるからといって悲しまないでくださいね? 最下位にはならないんですから」
それはつまり、試合前から自分たちのクラスが優勝すると思っているのだろう。
「そっちこそ悲しまないでね? 1位を取る夢を見すぎて2位になっていたとしても」
二人とも笑っているが目は笑っていない。
「桐生君の力を使っても無駄です。私は倒せません」
「傲慢だなぁ。零君以外眼中になしなんだね」
「当然です」
「零君に勝てる人を見たことないなあ。少なくとも君では無理だよ」
「ふふ、そうですか。鬼ごっこ楽しみです。そして勝つのは――」
「俺たちだ」
「零君!?」
「これはこれは、桐生君」
二人の間に入るように立ち、柳の方へと向く。
「2日振り、ですかね? お疲れ様でした」
「さんきゅー。それよりさっきの会話少し聞いてたよ」
「そうですか。柊さんに挨拶しておこうと思いまして。2組の中心人物のうちの1人として」
「そうか。お前、竜崎倒したからって調子に乗っているんじゃないのか?」
「いいえ、私が竜崎君を倒したのは必然です。彼の敗因は私が相手だったこと、そして仲間を信頼していなかったことです」
「そうかい」
こいつの言ってることも一理はある。竜崎はクラスメイトを一切頼っていない。単独で勝てるほどこの試験は甘くはない。
「桐生君の方こそどうなのですか? 籠の中の鳥が凄いとは限りませんよ?」
「別に俺は自分を凄いとは思わない。けどな」
隣にいる愛菜を抱き寄せる
「え!?」
「俺たちの平穏を乱すやつは、どんなやつだろうと許さない」
柳を睨みつけて言う。しかし、柳は一切臆さず言い返してきた。
「そうです。その目ですよ。本気で掛かって来てくださいね? それではまた後で」
柳は自分のクラスメイトの方に戻って行った。
「ねえ零君」
「なんだ?」
「絶対勝とうね!」
「ああ、勝ってこの試験を乗り切ろう」
ーーー
その日の夜、メールが届いた。
『決勝 1組VS2組 鬼2組 』
『3位決定戦 3組VS4組 鬼4組』
先に決勝を行い、後に3位決定戦を行う。
ルールは同じ。
ーーー
「桐生零は特別試験の初戦に勝利しました。はい、わかりました。それでは」
プツリと電話が切れる。
「さて、明日はどうなることやら...」