リッカさんの周囲に視点を置いていることに変わりはありませんが、
妄想分が多く、ゴッドイーターの世界観や設定に興味がないと厳しいかもしれません。
あるいは台詞部分だけざっくり読んでみてから、興味があればどうぞという形で、どうぞ。
例えばこんな新世代
「今いるアラガミの中で、最も厄介なのって何かな?」
ある時、リッカがそんな質問をしてきた。
「・・・あ、もし無神経な質問だったらごめんね。
キミなら感情論抜きで話してくれるかと思って」
きょとんとしてしまったせいか、彼女が慌ててそう謝ってくる。
大丈夫、でもどうして急に、と問い返すと、
リッカは手に持っている資料をひらひらさせながら言った。
「今度ね、特定のアラガミだけに対して、
特に有効な性質をもった神機を作れないか、っていう話が進んでるんだ」
なるほど、と相槌を打つ。
度重なる研究によって、神機は次の段階へ進みつつある。
しかし革新的な進化ばかりでなく、横向きに幅を広げることも大切だというわけだ。
それならば既存の技術だけで対応可能だし、
未来の前に現在を守れなくては元も子もない。
「キミは相手に合わせていろんなパーツを使ってるでしょ?
だから、そういう知識は誰よりも豊富だと思ってさ」
そんなことないよ、と謙遜しつつも、なるほどリッカの見解も間違いではないと思う。
ほとんどの人はずっと同じ形の神機を使い続けている。
それは最も手に馴染む神機に愛着が湧くからというのは勿論、
適合率という実際の数字にも現れる。
ギルも自ら神機に調整を重ねているが、
それは形を変えずに、より洗練するという方向性でのカスタマイズだ。
自分のように、パーツ単位を丸ごと換装して使うような
ゴッドイーターはあまりいない。
自分の場合、うまくハマればかなり戦いやすいのだが、
扱い慣れない刀身を振るっているところへ思わぬアラガミの乱入などがあると、
いつもより被弾が増えてしまう部分があるのは否めない。
一長一短というわけだ。
リッカはその企画書らしいものをボードに貼り付けながら続ける。
「まあ、どれぐらいその方向に特化させるかとかはまだ未定なんだけどね。
極端な話、コアから・・・つまりは、ゴッドイーターとの適合前から、
そのコンセプトで作るって計画もあるんだ」
刀身、銃身、盾のパーツは取り換えることができるが、
神機の命にあたる基幹部分は、その神機が起動した瞬間から固有のものとなる。
それは引継ぎなどの特殊な事例を除いて、
適合するゴッドイーターと1:1の関係にある。
となると当然、その時点で特別な神機ということは、
それに適合できるゴッドイーターも特別・・・
つまり、「対ヴァジュラ特化ゴッドイーター」というような人物が
誕生してしまう訳だ。
「ただ聞いただけだと、面白そうではあるけど・・・
いざという時にそれが裏目に出ることもあるだろうし、
そこまでやるようなら私は反対なんだけどね・・・」
それに、持ち主ごと部品扱いするみたいでね、とリッカは憂鬱そうに言う。
確かに、炎属性しか使えないゴッドイーターが、
ガルムやラーヴァナに出会ってしまったら目も当てられない。
予めそれに合わせた任務を割り振れば良いのかもしれないが、
ことアラガミとの戦いにおいて不測の事態は免れない。
少なくとも、多種多様なアラガミが入り乱れ、
むしろ未知の事象が起きることの方が多い此処、極東支部で運用するには、
およそ現実的でない案のように思えた。
「そうだねー。逆に、堕天種ばかりが棲息する、熱帯とか雪山とか、
局地戦が多い支部でなら・・・とも思うけど」
どのみち、採算が合うかは怪しいだろうというのが共通の見解だった。
まあ、その件は後々詰めていくよ、と言って、リッカは話を戻していた。
「で、せっかくなら今、最も苦戦するアラガミに焦点を絞って、
もしあっという間に倒せちゃう神機を作れるなら、と思ったんだ。どうかな?」
と訊かれ、考えてみる。
あえて挙げるなら接触禁忌種のどれかだろうかとはじめに思った。
しかしその中で一つとなると難しく、
当然、どのアラガミにも何かしら厄介な習性はある。
「一応ね、他の人にも聞いたんだけどさ・・・訊いたのは、アリサ」
というリッカの苦笑を見て、どういう答えが返ってきたのか大体分かってしまった。
「ピター」
一切迷わず、彼女は真顔で言ったそうだった。
「うーん、仮にディアウス・ピターを目標としたら、まあ・・・、
弱点属性を持ったショートブレードかチャージスピア・・・ってことになるのかな」
言いながら、リッカはあまり得心のいかないような顔をしていた。
「でも、今回の計画はなんていうか、
そういうのじゃないんだよね・・・単にそういう神機なら既にいくつもある。
ただパーツを換えればいいって話じゃなくて・・・」
なんとなく言いたいことは分かる。
ただ弱点を突ける神機を用意することは容易いが、
結局その刃が相手に届かなければ意味がない。
相手の強みを抑え、使い手の力量をカバーするような設計を求められているのだ。
その点、ディアウス・ピターは俊敏性などの純粋な強さという面で格が違うため、
ハードルが高いように思えた。
数あるアラガミを思い浮かべながら、リッカと共に黙考する。
そして思いついたものとして、仮想敵に一つの案を挙げてみた。