この世界がループしていることを俺は知っている 作:超高校級の切望
翌日の朝、タケコプターを使い空を移動する一同。
マワリは初めての飛行に悪戦苦闘しながらも何とか空へと浮かぶ。
「うまいじゃねえか!」
「それに比べてのび太君は………」
のび太は海面スレスレを飛んでいた。
「これ、どういう理屈で動いてんだ?」
ヘリコプターのようだがプロペラは普通、本体より大きくなくてはならない。そうでなくては下に向かう風が本体に当たり下に落とそうとするからだ。そもそも生身でこんなに上昇したら高山病になる。
「まあそこは未来の技術さ。21世紀に開発された特殊なメタルのエネルギー波形が重力に四次元方向の───」
何やら難しい理論を語り始めたが取り敢えず近い未来技術革命が起きた結果の、今の時代では再現不可能な何かと覚えておこう。と、のび太が追い付いてきた。
「遅いぞ、のび太!」
「大丈夫?」
「うん!」
のび太が応えると彼の持つケースが揺れる。中から顔を覗かせたのはスモールライトで小さくなったピー助だ。
「ピュイ、ピー!」
「こらピー助! おっこちゃうよ!」
「ピイイ!」
「え? 外が見たいの? も〜」
仕方なく落ちないようにピー助を支えるのび太。ピー助の気持ちは少しは解ると、マワリは周囲を見る。翼を持たぬ身で空を飛ぶのは、存外気持ちが良い。
「海岸線に沿って北へ!」
「北へ!」
「北だぜえ!」
森を抜け荒野が見えてきた。トリケラトプスの群れが見え、ジャイアンとスネ夫が近付けば親が威嚇してきて慌ててドラえもん達がジャイアン達を連れ戻す。
しばらく飛べばまた森が見え、大きな川も見える。
空からいろんな恐竜が見える。時折地面に降りドラえもんのポケットから未来の栄養食を食べるが味気なく、古代の貝や魚、樹の実を集める。
「ドラえもん。毒物の種類がわかる道具はあるか?」
「あるけど………有毒かどうか確かめるだけで良いんじゃない?」
「種類によっては痛み止めに使えるし、滅菌も出来る。解熱や下痢にも効くのが作れるしな」
「最近の小学生はすごいなぁ。でも大丈夫! お医者さんカバンがあるから!」
「それはそれ。単純に、古代の植生に興味あるんだ」
「勉強熱心だね。はい………」
「ありがとう」
集めた食材を鍋のようなひみつ道具に入れれば大量のソーセージが出来た。木の実とか沢山入れてたのにどういう理屈がさっぱりだがなかなか美味い。
夜はテニスボール程の大きさから人が泊まれるサイズになるキャンピングカプセルを使った。地面に指すと大きくなるのだ。獣よけか、高い位置まで伸びる。
基本二人部屋なのでドラえもんとのび太。ジャイアンとスネ夫は二人。しずかちゃん、マワリは一人で使う振り分けになった。
「何でもありだな、未来の道具。まあそれはピー助にも言えることか」
首長竜は古代水生爬虫類の一種であり、水中生活に特化した生態だ。子供の頃ならいざ知らず、成長しきった体で砂浜を移動できるものなのだろうか? まして長い首を空気中でもたげるなど………。
まあちょっと前の図鑑ではティラノが直立していたりと、恐竜の生体は未だ謎に包まれているのだ。実は筋肉が現在の動物より出力が高いなんてこともあるのかもしれない。
それから数日。空路と陸路を繰り返し砂漠を超え、樹海の中。タケコプターを休める時間。川の水を飲んでいるとピー助が家族のいるパキケファロサウルスをじっと見ていた。家族が欲しいのだろうか?
だからこそ、今から彼の同種がいる場所を目指すのだが。
「…………はぁ」
「うわ! なんだよのび太!」
「ドジが一人いると皆が迷惑する!」
「ご、ごめん………足が………」
文句言われ謝りながらも立ち上がらない。いや、立ち上がれないのだろうか? 疲労だろう。子供だけの旅。人一倍体力の少ないのび太が真っ先に限界になっただけで、ジャイアンもスネ夫もしずかちゃんも、もちろんマワリにだって無関係な話じゃない。
「ドラちゃん、あれは!」
と、しずかちゃんが指差した方向を見ると中型の獣脚類の恐竜、オルニトミムスの群れが走っていた。
「しめた、おーい! うぶ、べ!」
駆け寄ろうとしすっ転び坂を転がり落ちるドラえもん。居なくなったかと思えば後続の群れがやって来て、ドラえもんが団子を投げるとよっぽどいい臭いでもしたのかオルニトミムス達は団子を食い立ち止まる。
「桃太郎じるしのきびだんご! さあこれでオルニトミムスは僕達の友達になったよ!」
何で出来てるんだろうあの団子。念の為作っておいた薬を嗅がせておくマワリ。
「さあ、出発だ〜!」
団子を食べさせたドラえもんを主と認識してるのか逆向きに乗ったのび太を無視して走りだすオルニトミムス達。鞍もなく、当然ながら乗り心地が良いとは言えない。
身体能力が高く崖から飛び降り下の池に漂着していた丸太の上を駆け抜けていった。
「今夜はあの火口湖に、キャンプしよう!」
ドラえもんの言葉に火口湖を見れば桃色の湖が見えた。藻か何かが繁殖しているのだろうか。
火口湖につくとオルニトミムス達は野生へと帰っていった。それと入れ替わるように、巨大な雷竜の群れがやってきた。
「ディプロドクス!? いや違うな、もっとでっかい。ア、アラモサウルスだぁ!」
「スネ夫ぉ! 食われちまうぞ!」
「ドラちゃん……」
「大丈夫、草食でおとなしいから踏み潰されないように気をつければ………」
おとなしいという言葉通り、足元のスネ夫達を気にせず湖に顔の先をつけていくアラモサウルス達。ここは彼等の棲家なのだろう。
乾燥対策か、群れの仲間に水を掛けている。スネ夫が恐る恐る触ったりジャイアンが抱きついたり、のび太とドラえもんが頭に登ったりしてる。
しずかちゃんは言葉通り花を摘みに茂みに入り何故か生まれたてのアラモサウルスの子供を引き連れて来た。
「呑気なもんだ………ん?」
と、不意にアラモサウルス達が顔を上げる。何かを警戒するように独特の鳴き声を放つ。
そう言えば象なんかは耳が悪いから足で音を聞いていたなと思い出しマワリが地面に耳を付ける。
大型……それも二足歩行の足音。発生源に顔を向ければ、木々をへし折りながらティラノサウルスが現れた。
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