この世界がループしていることを俺は知っている   作:超高校級の切望

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恐竜編5

 ティラノサウルス。あるいはTレックス。

 骨の構造から推測される噛む力は3630キロ前後。円錐形をした長さ18センチの歯で計算すると、1平方センチ当たりの力は3万0300キロといわれる正しく最強の恐竜と称される怪物。

 化石に刺さっていた牙や傷から多くの恐竜を餌食にしていたと聞くが、まさか雷竜までもを捕食対象に選べるとは。

 

「グオオオオオオ!!」

「「「っ!!」」」

 

 大気を揺する咆哮を上げ、ティラノサウルスはアラモサウルスの群れに向かって駆け出す。

 対するアラモサウルスは、尾を鞭のように振るう。

 先端が音速を超えたその一撃はティラノの巨体を吹き飛ばすも、相手は古代と百獣の王。立ち上がり咆哮を上げる。闘志は未だ衰えず。

 

「おいマワリ! こっちだ、こっち!」

 

 ジャイアンの叫び声に振り返れば地面の窪みから呼んでいた。ピー助やドラえもん達もそこに隠れている。すぐに向かおうとして、ティラノがアラモサウルスの一体を押し倒し発生した波に飲まれそうになる。

 

「っ!!」

「チビちゃん、待って!」

 

 それは避難に遅れたしずかちゃんも一緒で、ともに歩いていたアラモサウルスが波に流されそうになっているのを見て慌てて手を伸ばす。

 

「何やってんだ源!?」

 

 枯れ木に隠れていたというのに何故身を乗り出すのか。アラモサウルスをなんとか掴んだしずかちゃんだったがティラノは襲いにくいアラモサウルスの大人からか弱い人間と子供のアラモサウルスに目を向ける。

 

「あ、ああ……」

 

 恐怖で腰が抜けたのか動けないしずかちゃんにゆっくり近付くティラノ。初めて見る生き物に警戒しているのだろう。

 

「しずかちゃん!」

「ピュイ!」

「うあ!」

「助けに……うお!?」

 

 飛び出すのび太にピー助にドラえもん。ジャイアンも飛び出そうとしたがスネ夫に足を捕まれ引きずり戻される。

 

「逃げろ! 隠れろ! ピー助ぇ!」

「ピューイ!」

 

 バタバタ走るのび太とポケットから色んなものを出して何かを探すドラえもんを抜いたピー助がティラノの前に立ち塞がるが、水棲でしかも魚を餌にしているフタバスズキリュウのピー助では時間稼ぎにしかならない。のび太も追いつくが慌てていたドラえもんは桃太郎じるしのきびだんごを落としてしまう。

 

「グルル………」

 

 と、その時プオー、と言う音が響く。ピー助の鳴き声とも違う、その動物があまり耳にすることの無い音にティラノが振り返る。

 

「マワリ君!?」

 

 そこには骨を削って作った笛を吹くマワリの姿が。

 ティラノは音に反応し振り返ると、再び笛の音。

 

「ギャオオオオ!!」

 

 自然界において咆哮とは威嚇と、縄張りの象徴、仲間との連絡。音が違う以上、これは前者のどちらかであり、ティラノは続く笛の音に相手が己を恐れていないと判断する。先程よりも警戒しながら近付いてくるティラノ。

 マワリは片手に笛を、片手を後ろに回し、昨日の残りのソーセージをカバーを剥いて取り出す。

 

「……………」

 

 嗅覚に優れていたというティラノはその匂いに反応。右に、左に揺らすと顔が揺れる。

 もう一度笛を吹き、反応し吠えようとしたティラノの口にソーセージを投げた。

 

「…………」

 

 一口にも満たぬそれは舌の上を転がり飲み込んだティラノから敵意が薄れる。再びソーセージを出し、笛の音と共に投げる。

 学習してきたのか笛の音の音量を下げて吹くと反応しだした。

 前回と違い、エサを求めてやってきたティラノ。追い返すとなるとかなり面倒そうだが………。

 

「そりゃ!」

 

 と思っているとドラえもんが桃太郎じるしのきびだんごをティラノの口に向かって投げ、ティラノはあっという間におとなしくなった。

 

「うまくいったぁ……」

「………うわ、ずる」

 

 繰り返される一年の中で学んだ猛獣使いのスキル。習得に一年かかったそれは、未来の道具を前には団子一つに劣るらしい。

 

 

 

「はい、皆さんにご挨拶」

 

 頭に乗ったドラえもんが言うと頭を下げるティラノ。ドラえもんが落ちた。

 

「すごいすごい! 僕ものせて!」

「俺も俺も!」

 

 ティラノ、と言うか恐竜はやはり男の子のあこがれなのかのび太とジャイアンが乗りたいとせがむ。最初は怯えていたスネ夫も結局乗って、アラモサウルスに謝らせて落ちた。

 

「……………未来の道具ってすげぇなあ。これなんてどんな成分で出来てんだ?」

 

 仮にも食品なのに原料名は無記入。

 しずかちゃんはアラモサウルスの子供に指を舐められ、のび太はピー助にソーセージを与え、ジャイアンはティラノにソーセージを与えていた。なかなかどうして変な光景。

 夕方頃になるとピー助達恐竜組は仲良くなりピー助の後にアラモサウルスの赤ちゃん、ティラノの順番で歩いていた。

 

 

 

 その夜、皆が寝静まったキャンピングカプセルに近づく一つの影。アンテナをはやした目玉のような物がピー助達のカプセルに近づき

 

 ボン!

 

 と飛んできた石に破壊される。

 

「…………追っ手か?」

 

 ピー助を狙っているという連中………黒マスクの放ったロボットだろうか? つまりは、補足された。明日以降の旅は、厄介事が多そうだ。

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