東方銃傭兵(仮)   作:Arvin

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序章 ー森に迷ってー

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、森の中だった。

 

「………ここは……?」

 

時間帯は太陽の位置的に夕刻手前。

腕時計で言うなら16時過ぎ。

正確には目の前は森。後ろには…神社らしきモノが建っていた。

記憶が途切れる前を思い出す。

確か、極東の地に任務で来て……あぁ、仲間がミスを犯した性で追われる羽目になったんだ。

それでボロボロな廃屋に身を隠し、そのまま眠ってしまったようだが……意識が途切れる前の記憶にある景色と目の前に広がる景色に見過ごせない齟齬がある。

まず、森には入ったが繁っている木や草の種類が違い過ぎる。

更に俺は廃屋の影に隠れたのであって神社の……ましてやまともに手入れされた建物なんて周辺になかった。

……いけない。頭が混乱しているのか。

心を整理の為に自らの人物背景を思い出す。

 

「(……俺の名は…アーヴィン・ギルベルト……生まれはドイツだが、生後間もなく両親を強盗事件による流れ弾により無くす……その時、養父のアドルフ・ギルベルトに拾われる……物心ついた頃から養父に様々な知識を学び16歳にて父の伝で民間軍事企業に就職……今はここ、極東の地に要人探索を任命され、仲間と共に任務についた……しかし、別勢力の目の前で仲間が失態をし、追われる羽目になった……うん、記憶の欠如は見つからない。)」

 

ならば寝てしまった間に敵、或いは味方に移動された?

……否。味方にしろ敵にしろ、俺を発見したなら拳銃で一発か起こせばいい。

そんなまどっころしい真似はしないハズだ。

寝てしまった間に自ら移動した?

……これも否。夢遊病なんて患っていないし寝相も悪くない。

……まさか、第三者の介入?

その思考に至った瞬間、自分の装備を確認する。

……山賊に装備を奪われた状態で敵に会ったら最悪過ぎる為。あと奪われたなら是が非でも取り戻さなければならないモノも有るが故だった。

 

先ずイの一番に胸元を探り手に触れた違和感に安堵する。

長年肌見離さず持っていたペンダント。それが先ず先に確かめたかったモノだった。

服装は……黒のパーカーに茶のカーゴパンツと同じ色のタクティカルベストと変わりない。

……近接用ナイフは折り畳み式合わせて3本…欠損は無し。

愛用のアサルトライフル『HK416』とハンドガン『USP』も動作チェックするも十全。

マガジンもHK416が5、USPが4と健在。

身体も空き腹以外は問題ない。

 

結果、今の状態には何も不備もない。

第三者の介入は……可能性としては低い。

なら考えられる事は……まさか?

 

「…異次元に落ちた?…いやいや、有り得ないな……」

 

なんて独り事を語った時。

 

「……誰よ、貴方?」

 

後ろから声を掛けられた。

 

「っ!」

 

自らの背後を許してしまった焦りからか、つい確認もしないでUSPを抜いて構えてしまった。

声の主が一般人であるかも知れないのに。

 

「しまっ……んん、君は?」

 

なんとか威厳を保つ為に吐き出し掛けた謝罪を飲み込み、名を質す。

 

「……いきなり喧嘩を売らないで欲しいわ。全く」

 

そう言いながら近づいてくる少女。

…目測で見積もって、十代半ばの少女。

服装は見たことがないような格好で、紅白のワンピースのような格好に二の腕から別途に袖が付いている。(後で聞いた話だとアレが巫女服と言うものらしい。)

髪は黒で後頭部に紅いリボンが結ばれている。

 

「その格好から察するに……貴方、外来人ね?…ようこそ、幻想郷へ。あとその黒いの、下ろしてくれない?」

「あ、あぁ…悪い。つい癖でな…」

 

シャコッとUSPをホルスターに収める。

ついでに浮かんだ疑問をぶつける事に。

 

「……幻想郷?日本じゃないのか?」

「うーん…厳密には違うわ。此処は忘れ去られた土地……貴方の言う“異次元“の世界よ」

「……信じられない……と言っても俺には否定材料がないな。……因みに元の世界に帰れるか?」

「難しい所ね……まぁ外で話すのもアレだし、中に入らない?」

 

言いながら神社を指差す紅白。

 

「……お言葉に甘えよう。……名前は?」

「私は博霊(はくれい) 霊夢(れいむ)……貴方は?」

「アーヴィン・ギルベルトだ。よろしく頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~青年説明中~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ……民間軍事企業の人間ねぇ…」

「忘れ去られた妖怪の住まう、忘れ去られた土地ねぇ……なぁ、妖怪ってどんなヤツがいる?」

「へ?妖怪?……まぁ色々いるわね。知能が下等生物並みの雑魚かr」

「私みたいな美しい上位の妖怪まで様々ね」

 

にゅいっと。

そんな効果音が聞こえた頭上をみると、生首が浮いていた。

 

「っ!?」

「……はぁ……紫(ゆかり)、お客さんの前なんだからいきなりスキマで現れないで」

 

マジで勘弁してくれ。ハンドガン抜き様に撃ちかけただろうが。

 

紫さんは自分が出て来た…スキマ?から這い出し佇まいを直す。

 

「……どちら様?」

「あら失礼。私、幻想郷(此処)の管理者を勤めております八雲(ヤクモ) 紫(ユカリ)ですわ。以後、お見知り置きを…人間の傭兵さん?」

 

「まぁ丁度良いわ……紫、単刀直入に聞くけど貴方の仕業?」

 

うわぉ裏表とか駆け引きとか一切無視して単刀でズバッといったよこの人。

 

「まさか。こんな『幻想郷(ココ)』に持ち込んだら不味いモノたらふくぶら下げた者を私がわざわざ引っ張り込むと?」

「それもそっか……ねぇ貴方、」

「……ん?あぁ俺?アーヴィンで構わないよ」

「……アーヴィン、貴方此処最近影が薄い行動して、『誰かに忘れられてない?』」

「…失礼な、企業に就いて仕事をしてるんだから忘れられる訳無いだろ。大体、俺は仕事中で分隊を組ん……」

 

あぁ…あれか?

 

「…引っかかる所でも?」

「そう言えば………え~…と…」

「霊夢でいいわ」

「…すまんね…霊夢、お前に会う数分前まで訳あって寝ていたんだが、その寝る前と後で景色がかわっていたんだが……なぁ、此処って現世と幻想郷を繋ぐ楔…だっけ?なんだろ?」

 

とりあえず自分の認識と事実を合わせる。

 

「えぇそうね、幻想郷の結界、『博霊大結界』の起点は此処、博霊神社よ?」

「……もしかして、今日、その『博霊大結界』とやらを弄くらなかったか?」

「……なんでわかるのよ?」

「いや、昔パソコ……高性能な書記機能で報告書書いてたんだが、ファイルに纏めといたデータがなんかのバグ…故障な?で別のファイルに潜っちまった事が会ったんだが…こっから先は推測だがお前らがその大結界というファイル(世界)の整理をしていた際に、俺という全く別のファイル(世界)のデータ(人間)が、なんかしらのバグに寄って此方のファイル(世界)に移動したと考えたら?辻褄は会うと思うんだが……」

 

2人とも思案中なのか沈黙。

 

「……確かに、有り得るわね……でもそうなると…」

「あぁ、俺の帰る手段が無い」

「……紫、貴方の能力は?」

「残念。確かに私の能力なら向こうへの橋渡しは出来る…けど今の大結界は不安定だわ。いわば天秤と同じ……何が原因でそれが傾くか解らない以上、大結界に負担は掛けられないわ」

「…だろうね。余所の人間に其処までの義理は無し…しょうがないさ」

 

まぁ俺が間違って入り込んじまう位不安定なら不確定要素が一つ増えた瞬間に大結界がなにかしらのアクション(バグ)を起こしかねない。

それこそ近代社会に妖怪が出回る可能性だって十二分にある。

 

「さて……と」

 

よっこらせ。と立ち上がる。

 

「どこいくのよ?」

「いや、本日の宿探しに決まってんだろ?」

「……はっ?」

「へ?」

 

あれ、変な事言ったかな、俺。

 

「……ちょっとまって…」

「おう」

「今はアナタが元の世界に帰る為の手段を模索しているのよね?」

「おう。そうだな」

「そしてまだ話が終わらない内に貴方は席を立とうとした……私の解釈はこれで合ってる?」

「いや、『俺は現実に帰れませんからー残念!』…て事で済んだんじゃなかったか?」

「「……………………」」

 

……あっるぇー?

 

「…貴方はそれでいいの?」

「いいもなんも、『勝手に迷い込んで自分の都合でなりふり構わず出て行きま~す』、なんて台詞を吐くわけにもいかないし…こういう時は切り替えが肝心、てね。

幸い、親孝行は既に終わらせあるし、向こうに未練は……無いって言ったら嘘になるが、まぁ引き摺る程のものでも無いし。よって問題ない」

「……ズボラというか…霊夢と良い勝負ね?」

「私でも此処まで潔く無いわよ……」

 

なんかスゲー目で見られてる。

『コイツ終わってんな~』って感じだ。

 

「…あっそうだ。この辺の地理に詳しくないからどの道お前に助力を頼むんだった」

 

その台詞に二人が言葉も無く落胆する。

………失礼な。

 

「……んな所探さなくとも今日くらい居間を貸してあげるわよ」

「え?マジ!?」

 

ヨッシャ屋根のある場所で寝れる!

 

そんな事でガッツポーズをする俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

因みに一つ屋根の下、美少女と一緒に夜遅くまで幻想郷の説明を聞いて居たが何もやましい事は起きなかったのを明記しておく。

 

………なんもなかったからな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー早朝ー

 

とりあえず早く起きた俺は『一宿一飯の恩義』と言うことで朝食を作っていた。

和食なら養父(オッサン)に習ったしな。

味噌汁とご飯と……魚を何かと思ったが残念ながらなかった。

此処はそれなりに昔の時代らしく「冷蔵庫」とか便利な家電はないらしい。

 

「ふむ………まぁこんくらいでいいでしょ…霊夢ー!飯だぞー!?」

 

家主の部屋に続く廊下に大声で呼びかける………が、返事が無い。

 

「朝、弱いのかね………しゃーない…」

 

面倒だがお越しに行くか。

家主の部屋であろう最奥の部屋の襖に手を掛ける。

 

「霊夢ー、朝だ飯だサッサと起き…」

「えっ?あ……」

 

襖も開けると其処には………男には見られたくない格好をした霊夢が居た。

うん、一言で言い表すなら服2:裸8と言う何ともエロティックな霊夢がいた。

それを認識した瞬間に襖を開けた時の三倍速で締め、居間へ戻る。

 

次の瞬間、黄色い悲鳴と白黒の弾を漂わせた鬼の形相の巫女が襲ってきたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

「……全く!チョット常識を考えれば解る事でしょ!?」

「……スイマセンデシタ……」

 

只今絶賛説教+食事中。

霊夢と俺は机を挟んで対になるように座っている。

 

「なんであって1日経たないような奴に素肌を晒さなきゃならないのよ……」

「安心しろ。肝心な所は見えとらんし、見えてもガキに欲j」

「あ”あ”?」

「スミマセンゴメンナサイ」

 

う~ん、そのガキに生殺与奪を握られるとは。

だってあの白黒玉(陰陽玉と言うらしい)、その辺の岩砕くんだぜ?

本来は霊的な力の方が強いらしいんだが、素の力のみで岩砕くって……アンチマテリアルライフルじゃあるまいし。

へ?なんで知ってるかって?

見たんだよ。昨日、怒らせて。

 

 

ー昨日 夜ー

『そういや、霊夢って所謂守護者なんだろ?』

『そうよ……ってなんでそんな目で見てんのよ?』

『いやぁ……ねぇ?』

『ほう、そんなに見えないか?博霊の巫女足り得ないと?』

『いや其処まで言ってn』

『良いわよ……博霊の巫女としての力、見せてやろうじゃない…』

『待て!?なんでそんな殺気やらオーラやら撒き散らしながら睨んで…』

 

その後、俺の年甲斐の無い悲鳴が辺りに響いたのは言うまでも無い。

 

 

まぁそんな経験もあり、俺の生殺与奪は彼女に握られている。

 

まぁどうでもいい事はさて置き。

 

「いや~イケメンの作った飯は旨いんだぜ!」

 

「なんでナチュラルに人の家に上がりこんで飯かっ込んでんだ其処の似非白黒魔女っ子娘?」

「あぁソイツに何言っても無駄よ。放っときなさい」

 

家主公認かよ。

 

「紹介が遅れたな、私は霧雨(きりさめ)魔理沙(まりさ)。普通の魔法使いだぜ」

「テンション高いな~…アーヴィン・ギルベルト。昨日…幻想入りだっけ?を果たした現役傭兵だ」

 

握手を求められ、それに答える。

 

「へぇ、て事は外来人か。珍しいな」

「らしいな。えっと…八雲さん曰わく、天地がひっくり返ってようやく有り得るレベルだと」

「え~…ん?アイツが連れて来たんじゃないのか?」

「いやぁ、なんか運が悪かったらしい」

「う~ん……それじゃあ『弾幕』は出来ないか…」

「……まぁ出来なくはないんだけどな。」

 

昨日、この世界の説明を受ける中で説明された、『弾幕ごっこ』。

 

一つ、妖怪が異変を起こし易くする。

一つ、人間が異変を解決し易くする。

一つ、完全な実力主義を否定する。

一つ、美しさと思念に勝る物は無し。

 

ーーとの理念を携えた『コレ』は主に妖怪や人外の起こす『異変』を解決する為の、言わば『決闘方』なのだ。因みに簡単なルールを説明すると。

 

・先ず、自機数(敵弾に当たっていい回数)とスペルカードの枚数(必殺技の回数)を決める(相場はスペル3に対し自機数1)。

・互いに非殺傷の弾を撃ち合う(スペルカードも非殺傷)。

・当たったら自機数マイナス1。

・自機数が0になったら負け。

・スペルカード(所謂必殺技)を使う時は宣言する事。

・スペルカードを避けきれたら相手の自機数マイナス1。

 

………とまぁこういった具合だ。

ん?俺?

一応弾幕は張れるけど……銃器に頼る為、殺傷限定しか撃てない。

魔力とか霊力とか無いんだもん。

なんとか魔力(そういうの)を練る方法を見つけたい所なんだが………

と思考をクルクル回していると。

 

「だ~れだ?」

 

後ろから謎の手で目を塞がれる。

俺は誰に目を塞がれたかを考える前に、手の主を。

 

「へ?……きゃっ!?」

「うぉ!?危ないんだぜ?!」

 

後ろから伸びる相手の右手を自分の左手を間接を固定する様にひっ掴み、右腕を相手右腕の肘にあてがい、間接を決めながら一本背負いの要領でブン投げた。

 

ビタン!と地面に張り付くは。

 

「……おはようございます、紫さん…」

「………っ……えぇ……おはよう、アーヴィン……」

 

すげぇ、受け身とらずに背中から落ちた筈なのにもう喋れとる。

流石は妖怪。人間と違って頑丈である。

 

「えっと…大丈夫でs」

 

そう謝った瞬間に足元がガバッと『開く』。

そう、俺がブン投げた張本人、八雲 紫の特殊能力、『スキマ』だ。

 

「うぎゃぁぁあああ!?」

 

俺は重力に従い、その隙間に落ちえざるを得ない。

そして飲み込まれる。

そして数秒後、俺が元居た場所に再び戻される。

 

「……何か言うことはあって?」

「………ホントスミマセンデシタ」

 

気分は最悪だった。

スキマに落ちた俺が見たものは、沢山の眼球と虹色だがなんだかよくわからん、特定のしようのない色彩のただ中。

人は人間の認識を超える事象を目の当たりにしたとき、それを拒絶する……て話を聞いた事があるが、ホントだね、アレ。

たかだか数秒間だけだが、本気で気持ち悪い。

アンナモノ(スキマ)の中に一時間いたら間違い無く発狂するわ。

 

……それにしても……なんか俺、コッチ来てから謝ってばかりだな……

 

「ゴホン……話はひっくり返るけど、妖怪の賢者ともあろうお方が何しに来たんだ?わざわざスキマを御披露目に来たわけじゃないんだろ?」

「えぇそうよ?来た理由は別件よ…どっかの考えなしがあろう事か私を投げ飛ばしてくれたものだからつい…ねぇ?」

「……もう何も言うまい……」

 

次、スキマに落とされたらマジで自我を保つ自信がない。

 

「まぁいいわ……それで、此方に来た理由なのだけれど……それは貴方よ、アーヴィン・ギルベルト」

「……俺?」

「そう……実は昨日、貴方の身体の境界をちょっと曖昧にして、調べさせて貰ったわ」

 

それって………

 

「……知らぬ間に人体解剖って………笑えないですよ?」

「…まぁそれはさておき…貴方の身体を調べるうちに解った事が2つ。

一つは貴方の、この幻想郷特有の『能力』が判明したわ」

「……それがこの例外(幻想入り)の理由なのか?」

「流石に其処までは解らないわ。

そしてもう一つは………霊力や魔力については霊夢に聞いて居るわね?」

「概ねな。たしか身体の中の生命的な体力を外界に作用するように変換した後の呼称…だったよな?」

「まぁその解釈であってるわ。

そして、その変換力は人によって1=2や1と異なる訳なのだけれど…貴方の変換力は…異常に多いわ」

「ほぅ…因みにどの位よ?」

 

まぁ実際異常っても一般的にだろーな~と思いながら比率を聞いてみる。

 

「貴方の身体の変換力は…1=10よ」

 

…………what?

 

「………あぁ、生命力が10ですね解りm」

「生命力が1よ」

 

…………ちょっと待って?

 

「すまん?比較対象として、其処の似非白黒魔女っ子娘は幾つよ?」

「ソッチの子は………1に対して4。霊夢は7よ」

 

………つまり、変換力に関して言えば。

 

「……幻想郷No.1って事?」

「………尺なのだけれど、そうなるわね」

 

なんだろう………素直に喜べない。

だって変換の仕方が解らな………

 

「……魔理沙、後で色々教えてくれ」

「………なんか知らないが朝夕一食ずつな?」

「嫌よ」

「………だそうだ。」

 

茶を啜りながら霊夢の一言。

家主にゃ逆らえん。

 

「済まんな。まぁ出世払いって事で一つ…てそうだ。紫さん、結局俺の能力は?」

「……コロコロ話相手を変えるわね、貴方…まぁいいわ、貴方の能力は、『気配を操る程度の能力』よ」

「…程度?」

「此処では、異能の事を『~~程度の能力』と言うのよ。そして、貴方の能力は『気配の増減、探知』が出来る。だから『気配を操る程度の能力』って訳。」

「なるほど……そういうモンか」

 

一人納得しながら意識を集中させる。

やり方は能力名を告げられた時に脳裏に浮かんでいる。

イメージはイルカや蝙蝠。

 

目の前に大きい反応一つ。

向かって左奥に少し小さめに一つ。

そして俺の左に一際大きめに一つ。

 

ふむ、どうやらこの気配、体内の霊力やら妖力に反応する模様。

次に呼吸を深呼吸の要領で整息。

 

「………あれ?」

 

魔理沙がしきりに目を擦り、パチクリさせる。

一般人には注視しても見つけられない程の影の薄さ。

 

「………いきなり其処まで使いこなすとはね………」

 

ふぅ、と呼吸を一定に戻し、能力を解除する。

 

「感知は耳を澄ます時と同じ…増減の呼吸法は狙撃(スナイプ)と同じ……五年もやってきた動作を間違えると?」

 

そう、能力の使い方は『今までこなしてきた動作』と酷似するものだった。

コレなら使いこなすのは造作もない。

 

「ありがとう紫さん。取りあえず此処で生きていけそうです。」

「この貸しは次の機会に返して貰いますわ…では。」

「あっちょっと待った!」

 

スキマを開いてその中に入る彼女を呼び止める。

 

「紫さんってその中にいて大丈夫なのか?」

「……私はこの中で生まれたのよ?」

「……納得。それだけ、んじゃまた。」

 

スキマは閉じられる。

 

「よし、魔理沙!色々教えてくれ!」

「え~……面倒なんだぜ…」

「今度肉体労働で返してやるからさ」

「よし乗った!」

「転身早いな!なにやらせる気だよ!?」

「細かい事は気にすんな!禿げるぜ?」

「まだ二十歳超えたばかりで禿げたくねぇ!」

 

そんな雑談をしながら時間は過ぎた。

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は飛んで、季節は夏。

霊夢と俺の『初仕事』の季節。

あの、紅い霧がやってくる。





………どうだったでしょうか?
ついつい欲求に逆らい切れず書いてしまった東方モノ。
しかも現代兵士と扱いずらいキャラで挑んだこの作品、皆さんのお眼鏡に叶えば幸いです。

戦闘は次回から。どうぞ、ご期待………いや、期待はしないで…いや……読者の皆さんに任せます。
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