東方銃傭兵(仮)   作:Arvin

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お待たせしました!
ソロソロ月1所か2月1位の更新速度になりそうな作者です。

今回は日常生活をイメージした番外編+武装強化回です。


第五話 閑話『請負人の休日』

 

Act,1 請負人の休日

 

「うくっ……っ~~~っと……」

 

おはよーごぜいやす。

何時もガサゴソ、アナタの後ろに這い寄るダンボール……は被らない。アーヴィンです。(キラッ

まぁ冗談はさておき、現在は昼時。

何時もなら霊夢にパシられて境内の掃除をしているだろうこの時間。こんなにも優雅に寝ていられたらのには訳がある。

 

なんと!やっと我が家を手に入れたのである!!

 

いやぁ、前回の紅魔館での護衛任務でレミリアが「迷惑代よ。コレでビールでも呑んでリラックスなさい。」と十万ドル……とまではいかないが、こうして貸家を借りて霊夢に礼(賽銭)をして身の回りの雑貨類を揃えてもまだ有り余る金を頂いたのだ。

貸家の位置も人里の端っこで色々丁度いい。

つい先日ゴタゴタも片付いたんでこうして昼間まで眠りこけていたのだ。

 

「うごぁぁああぁぁ……水……喉が……」

 

とのそのそ布団から這い出て水道の蛇口を捻り頭を突っ込む。

ひんやりした水が心地良い。

口をゆすぎ適当な所で頭を上げ、そばにおいておいたタオルで面を拭く。

……つか生活基準が明らか江戸とか言われてる大昔の時代なのに水道が機能してるってどうよ?

因みにこの水道とかは発明好きな河童がやってくれるらしい。河童すげー。

 

「……まてよ?水道が出来るって事はもしや銃も作れる?」

 

素体としてのHK416やUSPもあるし……今度会いに行ってみるか。

最悪、弾丸は作れて欲しい所。いい加減実弾の弾が尽きそうだ。

河童に詳しい人は……と相談相手を頭の中で見繕いながら寝間着から普段着に着替えていると不意に玄関からノック音が響く。

大方、この貸家を紹介してくれた寺子屋の先生だろうと辺りをつけ、応える為に玄関に赴き扉を開ける。

 

「うぃ~~す。どちらさm」

「は~~い!お久しぶりですアーヴィンs」

 

相手が言い終わらない内に扉を閉める。

……今、や~けにハイテンションな黒髪ショートカットの羽付き少女が居た気がするが気のせいか?

おかしいな。予定では来るのは水色ロングなお淑やかな女性だと記憶していたんだが……まぁそもそも予定なんて無いが。

俺は未だにノック音のする玄関を後目に脇に置いておいたUSPをホルスターから抜き静かにスライドを引く。

そして見えないように利き手で持ちながら逆手でドアを開ける。

 

「……はい、どちらs」

「んもぅ、つれないですねーアーヴィンさん!人がわざわz」

「はいストップ御託はいいから要件済ませてとっとと帰れ。」

「そ、それは私をキリキリ舞にさせたっ……!?」

 

目の前の少女がベラベラ語る前に行動で制限を掛ける。

彼女の名前は『射命丸 文(しゃめいまる あや)』。種族は鴉天狗。年齢は四桁。軽く模様をあしらった白いYシャツ(?)に普通の黒ミニスカート、靴は下駄と革靴を組み合わせたようなモノを履いている。そして職業は新聞記者だ。

 

この通り、俺と彼女は知り合いだ。

出会いは春先、俺がまだギリギリ弾幕も出来ない見習い魔術師(今でもそうだが)の時だ。

掻い摘んで話すと俺はその時、弾幕戦用の弾を精製していたのだが横からピーチクパーチク煩い鴉娘にブチ切れて実弾を発砲。辛うじて避けるも全く未知のモノに鴉娘は怯えてしまい……以来、銃口恐怖症になってしまったのだ。

 

「さぁ、要件を吐け。さもなくば……」

「ちょっと待って下さい解った分かりましたから!そんなモノ突きつけられてたらオチオチ話も出来ませんよ!!」

「しょうがねぇ……」

 

鴉娘…もとい文の言う事ももっともなので舌打ちをしながら銃口を下ろす。

その瞬間。

 

「……よっほい!」

「っ!何!?」

 

両手を上げ降参のポーズを取っていた文がいきなり行動を開始。俺の手を拳銃ごと押さえに掛かったのだ。

 

「ふっふっふ……甘い、甘いですよアーヴィンさん!練乳を一気飲みしたがごとく甘々です!!」

「っ……つ!」

 

まさに形勢逆転。

確かに文は生粋の妖怪。魔力ブーストで筋力を上げた所で純粋な腕力じゃ勝ち目は薄い。

オマケに偶然だろうが、撃鉄の間に指を挟みこまれガチで撃てない。

 

「さぁ大人しく私の取材を受けて貰いましょうか…?」

 

……確かに引き金は引けない。詰まりは撃てない訳だが。

 

「……文。」

「なんです?負けを認めますか?」

「……五秒以内に手を離せ。さもなくば実力行使に出る。」

「……ぷっ、な~にを今更。アナタの虎の子である拳銃は使えませんよ?コレでどう私をd「……五。四。」…へ?」

 

問答無用にカウントダウン。

 

「……三。二……」

「そっそんなハッタリかましても無駄ですよ!?無駄な抵抗は止してください!」

 

気付かれないように左手首を返す。

さて皆さんにクエスチョン。

『俺の左手首にはナニが仕込まれているでしょう?』

 

「……一!」

 

大声でカウントして最後の威嚇。

しかし不安げながらも一向に手を緩めない文。

残念だが……ちょっと痛い思いをして貰おう。

俺は左手首を押し出すように返す。

その瞬間。左手薬指に仕掛けてあるスイッチが作動。左腕部に仕掛けてある絡繰りが目を覚ます。

 

カシュン。と軽く鉄の擦れる音。

ついで、ぷつっ……と肌が軽く裂ける音が辛うじて聞こえる。

 

「痛っ!?……あっ!」

 

反射的に手を引っ込めてしまう文。

見ると、左手を押さえていた彼女の右手から軽く血が流れている。

そして俺の左手首からは、鋭く尖った刃が上着の袖を突き破り、赤い血を滴らせていた。

 

そう、対咲夜の時に使用した仕込み刃を使用したのだ。

幸い、呪い的な意味合いは籠もっておらず、彼女も妖怪なので右手首に出来た小さい傷は既に塞がれている。

 

しかし、問題は『其処では』無い。

 

俺は仕込み刃を引っ込め、動作確認の為に『自由』になったUSPのスライドを引く。

まだ弾丸を宿した薬莢が空を舞う。

そのままUSPを構え、告げる。

 

「……辞世の句を読め。腹切りと介錯は任せろ。」

「ーーーーーすみませんでしたぁぁああぁぁああ!!!」

 

薬莢が小気味良い音を立て地面に落ちるのと文が音速を超えて土下座を完成させるのはほぼ同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、腹切りも介錯もしなかった。残念。

 

「全くもう!アーヴィンさんはもうちょっと冗談を笑顔で流す器量が必要です!」

「悪かった悪かった。」

 

現在は人里の茶屋で文に団子を奢っていた。

まぁ少女(年齢はゲフンゲフン)に速攻で治ったとはいえ傷をつけたのだ。その位はすべきだろう。

 

「さて、一服ついた所ですしそろそろ取材の方を……」

「駄ー目ーだってんだろ。雇い主に口止めされてるんでな。」

「そんな事言わずに~。せめて紅魔館崩落の真じt」

「黙って団子喰う?それとも頭ぶち抜かれる?あぁ頸動脈にナイフを突き立てるのもあr」

「すみません調子扱きました。」

「宜しい。団子もう一本奢ってやるから我慢しろ。」

 

素直な事は良いことだ。(脅迫)

「うぁーい……」とぶすくたれながらも納得した文を後目に店の店員に「団子2つー、みたらしねー。」と頼み、注文が来るまで空を眺める。

 

……結局、フランの暴走事件は紅魔館の老朽化による自然崩落と言う形に収まった。

そうでなければ色々面倒ですから。とは紫の言葉だ。

まぁレミリア達も異論は無さそうだったし、知らないことがいい真実もある事は此方にくる前の人生で経験済みだしな。

 

「ーーーィンさん?アーヴィンさん!?」

「ぬおっ!?」

 

思考の海から上がれば文が此方を覗き込んでいた。

 

「あやや……アーヴィンさんがぼーっとしてるなんて珍しいですね…あれ、もしかして私に惚れt」

「外見が後七年分増えたら考えてやる。」

「ちょっ!女性に年齢関係はNGですよー!!」

 

ムキーと腕を振り回す文を片手で抑えながら注文していた団子を食べる。

いやー平和ですねーと和むが……人生、平和なんて長続きしないモノである。

 

食器の割れる音。次いで悲鳴と怒号が広くない人里に響く。

 

「………はぁ…文、コレで支払い頼む。」

「え……あっちょっアーヴィンさん!?」

 

止める文を振り切り、音のした小屋に入る。

するとまぁそれらしい若者が寄ってたかって店主を苛めているではありませんか!(棒読み)

 

「おーい。其処の札付きども。そこまでにしてくんないと俺が介入せざるを得なくなるんでやめて下さいマジで。」

 

札付きとは、昔の不良を指す言葉だ。

コイツ等が暴れるとなると俺が介入しなければならない。

……此方に引っ越す際に『妖怪討伐じゃ収入が不定期過ぎる』と新しい職を探して、其処で提案されたのが『寺子屋の教師』と『人里の有事の際の用心棒』だ。

寺子屋の教師は聞いての通り、其処に通う子供達に算数やらなんやらを教えればいい。

人里の用心棒は、妖怪騒ぎや現状の様な荒事が起きた場合の強制制止役。詰まるところ暴力には武力をの精神で諍いを止めるストッパー役だ。

 

結局、話を纏めると今コイツ等札付きどもが暴れると俺にコイツ等を止める義務が生じてしまうのだ。

別にコイツ等を物理的に止める事は簡単だが、恨みを買い後で報復に家を焼かれたりするのは大変宜しくない。

だから是非とも暴れて欲しくは無いんだが……

 

「あっ?てめぇナメてんn」

「はいはい分かった交渉の余地無しね。」

 

やっぱり一回お灸を据えねばいかんようです。

俺は会話をぶった切りながら間合いを詰める。

 

敵対象、四人。得物は大小のジャパニーズブレードに棍棒と……ガタイいい奴は素手かな。

 

「なっ…てっんめぇ!!」

 

無視するなと言いたかったんだろう。

リーダー格の男が自らのジャパ……えーと、この国の呼び方はカタナだっけ?長いからコッチで呼ぼう。を持ち直す。

だが幾ら激情したからってそんな長モノを大上段に振りかぶったら。

ノックのような、小気味良い音が一つ。

理由は俺が危惧した通り、振りかぶったカタナが家の骨組みに当たった音だ。

初速時点で骨組みに当たってしまったカタナを素人が予測するはずは無く、間抜け面で上を見る。

 

それに便乗させて貰おう。

俺はドジを踏んだ札付きに一足で近づき鳩尾に一撃。

 

「うぐっ!」

 

そして前屈みになった男の背中を、背中合わせでアクロバティックに背面に回りつつ骨組みに阻まれたカタナを回収。

 

下ろした足で後ろの棍棒男の得物を蹴り落としながら事態を飲み込めない小さいカタナを持つ男に向かって回収したカタナを小さいカタナの刀身目掛けて振るう。

 

「がっ!?」

「うあっ?!」

 

小さいカタナは衝撃に耐えきれず圧し折れ柄ごと吹き飛ぶ。

 

「動くな。」

「ひっ……」

 

後は後ろの素手の大男にカタナの刃先を向ければ制圧完了。

 

「……次、同じ様な事があれば……容赦はしない。二べもなく殺す。俺に闇討ちを掛けたりこの人達に迷惑を掛けても同じだ……いや、その場合は…文。見てるんだろ?」

 

大男から目を逸らさずに玄関で覗き込んでいた文を呼び出す。

 

「あややや……見つかってましたね。」

「なぁ文。鴉天狗ってのは……『肉』が好物らしいなぁ?」

 

一瞬だけ文に目を合わす。

すると文は声色と俺の視線で大体察してくれたらしい。

大袈裟に肩をすくめながらノってくれた。

 

「えぇ!鴉天狗は酒と肉に関しては目がありません!特に成人を越えた男性の袋はぎとかねぇ!」

 

札付きどもも何が言いたいか察したらしい。顔が青ざめてるぞー。

 

「……と、言うことだ。俺にはコイツみたいに人外の知り合いがいる。『生きたまま足先から喰われる』なんてアンビリーバボーな体験をしたくなかったから……わかるな?」

「す…すみませんでした~~!!!」

「分かれば宜しい。いけ!」

 

一喝と共に一目散に逃げ出した札付きどもを見送りながら、文に聞いてみる。

 

「んで?本音は?」

「出来れば男性のは勘弁して貰いたいですね~…かったくて堅くて。ヤッパリ頂くのであれば女性か子供の……」

「うわぁ……妖怪怖いわー。」

「……って自分で聞いといてドン引きしないで下さいよもう!!」

 

そんな調子で昼間をすごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな調子で二時間後の昼過ぎ。

俺は町の外、『魔法の森』の入口にひっそりと佇むとある店に来ていた。

 

「やぁマスター。死んでない?」

「……君は僕に会う度にそんなジョークを言う積もりかい?」

 

店に入る度に抜かすブラックジョークを聞かされるマスターの名前は『森近(もりちか) 霖之助(りんのすけ)』。この何故か潰れない雑貨屋、『香霖堂』の店主だ。

種族は半妖の一種で三桁はゆうに生きていると推測(文屋調べ)されている青年(?)で白髪に眼鏡、そして青黒の簡易的な着物を着ている。

俺からは店のマスターと言うことでマスター。霊夢や魔理沙からは店名の香霖の名で呼ばれている。(魔理沙は幼年期からの付き合いらしい。詳しくは知らんが)

 

「まぁそう言わんといてーな。んで、頼んでたモン、見っけてくれた?」

「なんだいそのヘンな訛りは……頼まれてたモノは結構集まってるよ。」

「うお、マジか!?」

 

マスターに頼んで置いたモノ、それは我が愛銃HK416の実弾、『5.56×45mm弾』の回収だ。

ソレは普段こんな所(幻想郷)じゃ手に入らない代物だ。

しかし、この店のそばにある『魔法の森』、森を抜け『再思の道』を道なりに行くと見えてくる三途の川の入口とも言われる『無縁塚』には度々向こうの世界……元居た世界の物品が転げ落ちているらしいのだ。

そこで俺はマスターに「コレと同じモノがあれば拾って来てくれ」と頼んでおいたのだ。

そろそろ実弾の弾数も心許ない数になっていたので本当に助かる。

 

「ほら、君が言っていたのはコレだろ?」

「いやぁマジで有り難い!」

 

其処で俺は店の奥、カウンターの壁に立てかけてあるモノに気がついた。

其処には二丁の銃と一つの一風変わったアルミケース。

本来ならば先ず二丁の銃に注目する筈なのに。

俺は、何故かアルミケースに視線が走った。

 

「マスター……コレは?」

「あぁコレかい?コレは魔具だよ。魔理沙のミニ八卦炉と同じモノさ。」

 

マスターはそう言って、ソレを取ってくれた。

 

「元々魔理沙に上げようと思ってたんだが……気に入った?」

「……っと言うか、コレナンなんだ?」

 

アルミケースの持ち手に手を掛け。

一瞬、思考が真っ白になる。

 

「あっ……ぐっ!!」

「大丈夫かい!?」

 

なんとかへばり付く前に立て直せた。

しかし『コイツ』ーーー

 

「ーーー魔力を、喰ってやがるーーー!!」

 

アルミケースの取っ手から魔力がもってかれて行くのが分かる。

 

「……上等じゃねぇか……」

 

先に上等くれたのはテメェだからな?

俺は魔力を練り始める。

 

「精製率No.1を……舐めるな、よ!!」

 

そして精製した魔力を逆にアルミケースに流し込んでやる。

俺が干からびるかコイツの腹が膨れるか。

唐突に根比べが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間にして約10分程。

ようやくアルミケース(魔具)が折れてくれた。

 

「ぜぇ……ぜぇ…ぜぇ……」

「……魔理沙に渡さなくて良かったよ……」

 

なんとか立ちながら肩で息をする。

つか客で商品試すな。

 

「……んで?……これ…どうやって……使うんだ?」

「あぁ、簡単だよ。まず武器をケースの中に入れる。その後に魔力を込めて入れた武器を想えばケースがその形を取る訳だ。」

 

試しにナイフを放り込み、ケースを閉めてからそのナイフを想像しながら魔力を込める。

……割と持って行かれたが、なんとかナイフには出来た。

 

「……燃費……悪い……持ち運びにしか……使わん……」

「あぁ、君には迷惑を掛けたね。お詫びにソレは君にあげよう。」

 

おぉ……棚から牡丹餅。

 

「折角君のになったんだ。名をつけてあげなよ」

「知らない……のか?」

「僕が知ることが出来るのは扱い方のみだ。名前はモノを縛る鎖だからね。」

 

それもそうか。

さて、コイツに名付けるとして……ケース……箱か……。

 

「『パンドラ』……とか……どうだろう?」

「……なかなか、ネーミングセンスがあるじゃないか。」

 

それほどじゃないと思うが。

 

「つか、マスター……マジで栄養剤ない?或いはこの際精力剤でもいい……」

「栄養剤なんてそんなモノないよ……とりあえず寝ていくかい?」

「……すまん。」

 

カウンターの奥の玄関を通り居間に着く。

 

あー………ダメだ、意識が遠い。てか瞼が重い。

 

「す…ま……ん………」

 

俺は隅っこに座りそのまま意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと俺は布団に寝かされていた。

 

「…………なにしてんの?魔理沙。」

「えう!?」

 

……+魔理沙が目を閉じて覗きこんでいた。文法的に怪しいが事実である。

目を覚ますなりいきなり魔理沙のどアップとは。

なにやらアレな空気を感じたのでとりあえず声を掛けてみたのだが。

 

「い、いや!?なんもないんだぜ!?これっぽっちも無かったんだぜ!!」

「ならいいがね。」

 

ん~~……あと数年かな。良い女になるまで我慢だ。

今手を出したら何か色々イケない。

 

「今何時だ?」

「えっと……夕暮れ時ぐらいだぜ。」

 

俺が店に入ったのが大体昼過ぎだから……大体6時程か。

 

「あれ、マスターは?」

「あぁ、香霖なら夕飯の買い出し+用事って店を出たぜ。」

 

マジか。店を空けるならせめて戸締まりしろよ……見渡せば店は開いてるは窓は開いてるは……まぁ空き巣に入られた所で取れるもんなんかタカが知れてるし人間なら妖怪の蔓延る森の近くに建つこの店に来ようとは思わないし、それはそれで大丈夫か。魔理沙いるし。

 

「あ、そうだ。アーヴィンに香霖から伝言だぜ。『店にある銃は一丁だけ持っていっていい』ってのと『二丁欲しかったら前に掲示した金額を私に渡しといてくれ』…だって。」

「ホイホイ。……そういやあったな。」

 

あの時は俺が寝込む原因になった魔具『パンドラ』のせいで霞んだが……確かに二丁、パンドラの上に飾られてたな。

俺は布団から出て早速ソレを見る事に。

それを見て思わず『うわぁ……』と言ってしまった俺は悪くない。

 

「モシン・ナガン……第二次大戦の銃じゃねぇか…」

 

口径は7.62mm。全長約130cm。装填数5×1発。

マスターがやったのか小綺麗になっている。

 

「……まぁ俺の銃じゃ狙撃はなぁ……」

 

やって出来ない事はないが実弾だとやはり本役の狙撃銃に比べればヤりづらさは否めない。

取り敢えず保留にして下の銃を見てみると。

 

「……は?……」

「……銃ってか……傘?」

 

そう、それは傘だった。

黒い、ただひたすらに黒い傘。

 

だがしかし。俺は見たことがある……『創作』の中でだが。

 

あまりしてはいけないが取り敢えずその傘を手にとり、開く。

バサッと傘を開いてみれば。

 

「やっぱり……」

「何がヤッパリ……あっ。」

 

そう、中は傘に良くある骨組みの支柱ではなく。

『ショットガンの機構』が支柱替わりになっていた。

ストックの独特な形状から察するにこの銃は。

 

「SPAS12……オートマチックショットガン……!」

「ショットガン?てナンだぜ?」

 

小首を傾げる魔理沙。

まぁ火縄銃すらないこの時代なら当たり前か。

 

「ショットガンってのはな、俺の持ってる銃がワンショットにつき一発弾がでるのに対し、コレはワンショットで小さい弾がウン百発もバラけて出てくるタイプの銃だ。」

「詰まり……人をそれで撃ったら……」

「人に見せられない様になるな。」

 

oh……と魔理沙が想像しているのを余所に更に調べる。

 

「傘の『皮』の部分は手触りからして恐らく防弾……作動はどうかな?」

 

弾が入って居ないことを確認してからスライドを引いて、戻す。

 

「作動も滑らか……捨てられて間もないのはともかく、此処まで滑らかだと……すり合わせしてあるな……」

 

するとこれは紛れも無くオーダーメイド。

こんなものを隠し持つ必要性のある職場に是非とも顔を出してみたいがソレは今はどうでもいい。

 

「コイツにするか。」

 

言いながらパンドラにSPAS12を呑ませる。

 

「この時間帯だと夕飯か……魔理沙、飯だ。付き合え。」

「勿論……お前持ちだろ?」

「……しゃーねぇなぁ、出してやるよ。」

「ヤったぜ!!」

「ただし酒はダメだからな。」

「えぇぇえぇえぇえ!?」

「うるせぇ。酒は苦手なんだよ。」

 

そんな感じで俺らは店を出た。

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