肉をとても食べたい。
兎に角多く食べたい。
そういう要望が、艦娘たちから上がってきた。
猪や鹿や熊などの駆除を経て入手した肉は思った以上に好評で、内臓も食べられる部位は余すところなく消費された。
安価で大量購入出来て、しかも旨い肉。
そんな好都合な存在があるのだろうか?
結果から言うと、あった。
沖縄からの移住者が多い、兵庫県尼崎市の精肉業者が教えてくれたのだ。
彼はたまたま立ち寄ったこの六門島(ろくもんとう)で新鮮な刺し身を振る舞われ、お礼にと情報を与えてくれたのである。
直ちに、岡山県南部の笠岡諸島にあるこの島からお肉調達艦隊が派遣された。
旨いもののためには力を惜しまない。
しかも安かったら、素敵やんか!
そういう方針になりつつあった。
そういう認識になりつつあった。
監視している者たちは、個人的に今度なにか差し入れしようと考えるのだった。
肉は豚肉。
ホルモンと呼ばれる内臓を基本肉として、豚バラ先軟骨やタン下や豚ガラも多数得られる。
島へ運ばれた肉は腸詰めや燻製にされる部位を除き、次々タレに浸けられたり焼かれたり煮られたりした。
豚ガラはスープにされる。
間宮鳳翔らが、肉じゃがやボルシチを作ってゆく。
豚バラ先軟骨は豚ガラよりも少し高い値段の部位。
タン下は通称で、豚の舌の付け根のこと。
「このタン下は、揚げたらうめえんじゃねえかのう。」
中年男の喜作がそう言うと、揚げ物上手な龍田や足柄が醤油と日本酒とで下味を付けて龍田揚げや唐揚げを作り始めた。
揚げたてを口にすると、すこぶる旨い。
肉の弾力、旨み、肉汁が口中に広がる。
血の味がして、肉肉肉って感じがした。
さっぱりした浅漬けやキムチと共に食べると、ご飯がどんどん進む。
軟骨も火がしっかり通っていて、こりこりして旨い。
龍驤が七輪でタレに浸けられたホルモンを焼き、それを周囲に集まった艦娘がわしわし食べる。
大和は挽き肉を作り、それを中華風揚げ団子にして愛しの新一可愛い小学生へと振る舞う。
武蔵とビスマルクはハンバーグを焼き、サラトガやアイオワはそれをハンバーガーにした。
フランクフルターなヴルストを挟んだホットドッグもある。
まさに、肉肉肉の食事になった。
島周辺の人々も巻き込んで、旨い旨いの合唱が行われる。
おいしいことはいいことだ。
よかたいよかたい。
豚バラ先軟骨も唐揚げと化して振る舞われる。
大根と一緒に煮込んだものもうまかっちゃん。
こいうまかこいうまかと連呼する娘さえいる。
素麺を加えてにゅうめん化しても相性がよか。
骨ごとばりばり食べる艦娘たち。
沖縄そばまで出てきて、いよいよ宴は混沌化してゆく。
なんくるないさー、なんくるないさー。
香川県から来た人が何故かうどんを作り始める。
ラーメンを作る者までいた。
もうなんでもありって感じ。
日が落ちてゆく。
気分は高揚する。
いつの間にやら屋台や櫓(やぐら)が組まれ、那珂ちゃんが歌い出す。
彼女の周囲で踊り出す娘たちもいて、祭は最高潮を迎えんとしていた。
以前、京都で食べたきつね丼を提供する。
肉をがしがし食べているのだから、こういうさっぱりした丼物もえかろうで。
島製の蒲鉾、細切りの油揚げ、長葱を薄味の丼汁でさっと煮て丼飯によそう。
吹雪ちゃんや北上さんらがてきぱき手伝ってくれたんで、連携が取れとるわ。
流石は、艦娘じゃ。
間宮さんや鳳翔さんたちが、密着して食べ物を勧めてくる。
吹雪ちゃんや北上さんもあちこち触って悪戯してきょうる。
旨いやらくすぐったいやらで困るがな。
甘酒や日本酒なども出され、宴会が始まった。
これでえんかい。
なんてな。