私を侮辱した人は言いました
これはお前のためなのだと
私を叱責した人は言いました
これはお前のためなのだと
私を罵倒した人は言いました
これはお前のためなのだと
そうした人たちはみな海の底
魚の餌になっているでしょう
私たちがお腹を空かせている時に
ご飯を鱈腹食べていた人たちは皆
魚に食べられる存在となりました
私を侮辱する人はいなくなりました
私を叱責する人はいなくなりました
私を罵倒する人はいなくなりました
戦争はなくなりました
私は不要になりました
私は檻に入れられました
檻の中で暮らす筈でした
今は光がふたつあります
どちらも魅力的な光です
島の暮らしは籠の暮らし
でも居心地のいい籠です
爺さんや親爺がなんでもかんでも放り込んでいた蔵を整理しようか思うて、大淀さんに手伝いをしてくれる子はおるかのうと相談してみた。
二、三人手伝うてくれたらありがてえなあと思うとったら、ぼっけえ数の艦娘が手伝いに来てくれた。
なんでこげにおるんじゃ?
蔵の中に入りきらんがな!
爺さんが酔狂で集めとった刀剣類や親爺が血道を上げとった銃砲類は危ないんで駆逐艦の子たちはおえん(作者註:ダメの意)とゆうたら、皆強力な火砲や魚雷や爆雷を扱っていたので大丈夫ですと言われた。
そげなもんかのう。
こげに可愛い子たちが、そげなもんつこうて戦争しとったんか。
どえれえ話じゃ。
数打ちの刀がごろごろ出てきて、眼帯をした子たちや武術家みたいな子たちが感心しとったんでみなやった。
ワシが持っとっても、どげにもならんからのう。
刀身はなまくらで錆も浮いとるし、鞘の漆は剥げてきょうるし、柄糸もぼろぼろじゃ。
それでもええ言われた。
眼帯をしとる内の大柄な子が抱きついてきて、大淀さんや北上さんが引き剥がしとった。
鉄砲もごろごろ出てきて、みんなびっくりしとった。
ワシもびっくりじゃ。
見たことのない空気銃や散弾銃がある。
なんとまあ三八式歩兵銃まであるがな。
爺さんが戦争に行っとった時のやつか。
弾が湿気っとるんじゃねえか思うたら、妖精に任せたらなんとかなるという。
ホンマか?
散弾銃はブローニングのオート5とかいう銃身後退式で、ハイカラ好きな親爺の好みに合ったらしい。
空気銃は三挺あったが、皆艦娘にやった。
親爺もあの世で喜ぶことじゃろう。
蔵からいろんなもんが出てきたけえ、いらんもんは皆欲しい艦娘へやった。
皆大喜びじゃ。
こげなんで喜ぶとはのう。
提督とかの男衆はなにをしとったんじゃ。
しかし、なんでマタギがつこうとった山刀まであるんじゃろう?
秋田の阿仁(あに)で作られたもんらしい。
間宮さんがマタギの携行食だったゆうカネモチを作ってくれて、皆でおいしゅう食べた。
地域によって、味噌を入れたり入れなんだりするらしい。
近くの島々に猪や鹿やカラスとかが割と出没して、たいそう困っとるそうじゃ。
真鍋島の駐在さんに害獣駆除してええかと聞きに行ったら、どんどんやればよろしいと言われた。
そげなもんかのう。
明石さんや夕張さんが調整してくれた散弾銃や空気銃を持って、困っとる島巡りをしようかと大淀さんにゆうてみた。
そしたら、希望する子が意外と多かった。
鉄砲を撃ちたい子は意外といるようじゃ。
.22LRゆう小粒の拳銃弾を撃つウィンチェスターのレバー・アクション・ライフルも二挺あったんで、気分は西部劇じゃな。
ちっこいネズミやウサギなどは空気銃、野犬やタヌキやキツネなどはレバー・アクション・ライフル、シカやイノシシがおったらワシが散弾銃か歩兵銃で仕留める話になった。
さて、出航するか。
「第一艦隊、抜錨します!」
ぼんぽん船に乗った大淀さんが、バールを高々と掲げながら宣言した。
港にはすべての艦娘がおって、皆がおお、とめちゃめちゃ盛り上がっとる。
何故か大漁旗を持って走っとる子がおるのう。
北上さんが魚雷型水筒からお茶を注いで、ワシにくれた。
一艦隊は六名なんだよ、と彼女は言う。
吹雪ちゃんや他の子たちも満面の笑顔をしとる。
狩りの時間じゃ。
アイヌみたいな恰好をした子や、巫女さんみたいな恰好をした子がなにかを祈願しとる。
海外の子たちはジビエよジビエよと興奮しとる。
さて、行くかのう。
そして、ケモノ狩りの旅に出た。