深海棲艦がいなくなった影響じゃからか、鰹(カツオ)が大漁らしい。
ワシらが住む六門島(ろくもんとう)にも、大量の鰹が水揚げされた。
岡山県の笠岡諸島にあるこの島は現在喜びに沸いとる。
他の島々も同様じゃろう。
大漁旗を持って、駆逐艦じゃった子たちや軽巡洋艦じゃった子たちが島の港を元気に走り回っとる。
よっぽど嬉しいんじゃな。
「もーっと、私と漁に出てもいいのよ!」
「大漁なのです!」
「いい旗ね。嫌いじゃないわ。」
「ぴゃん!」
「全力でいく所存です!」
「どーん!」
「那珂ちゃん、歌います!」
「一航戦加賀、歌います。」
「ワタシモ、ウタウ!」
お祭りが始まってしもうた。
まあその、元気なことはええことじゃ。
全国的に豊漁じゃとか。
間宮さんや鳳翔さんや、厨房担当の子たちが燃えとる。
どうやら旨いもんが食えそうじゃ。
鰹をどうやって喰いたいんかと聞かれたんで、豆腐や挽き肉と混ぜて肉団子にしてもええんじゃないかと伝えておいた。
島の東側にある人工島の扇島(みしま)におるオランダ人によると、トルコには鰹のオーブン焼きゆう食いもんがあるそうじゃ。
ハイカラじゃのう。
初夏の夕暮れが迫ってきた。
日が段々長くなってきたのう。
食卓は晩餐会みたいになっとる。
・鰹の叩き
・鰹丼
・鰹と豆腐と挽き肉の肉団子
・鰹のなめろう
・鰹のオーブン焼き
・鰹の竜田揚げ
・鰹のコロッケ
鰹尽くしじゃが。
生鰹万歳! というとこじゃな。
醤油は岡山県新見(にいみ)市産のものに高知県産の純米酒と味醂(みりん)を加えてひと煮立ちさせ、火を弱めてから土佐の鰹節を加えて冷ました後に濾したもんで、土佐醤油というらしい。
手作りの逸品じゃ。
濾した後の鰹節にはらりと葱をかけて喰うてみると、これがまたたまらぬ。
岡山県産大豆で作られた冷奴で喰ろうてみたが、これもまたたまらぬのう。
高知県安芸郡の酒造所で醸された辛口の純米酒を、ちびりちびりとやるのもええもんじゃ。
戦艦じゃったゆう艦娘たちはいける口の子がけっこうおって、重巡洋艦や正規空母や軽空母じゃった子たちも加えて酒盛りした。
鳥取島根岡山広島香川高知愛媛徳島山口の名酒がずらりと並んで、大宴会が始まった。
甘口辛口どっちもアリじゃ。
女酒男酒、どんとこいじゃ。
ぐはは、旨い旨い!
おお、大淀さんも間宮さんもこっち来て呑まれえ。
わはは、愉快愉快!
なに、野球拳じゃと!
止めるな、新一! 北上ちゃん! 吹雪ちゃん!
駆逐艦の娘たち、ワシを止めたらおえんのじゃ!
ワシはその昔、鬼と呼ばれた男よ!
瀬戸の鬼武蔵とは、ワシのことよ!
どげな相手にも負けはせんのじゃ!
誰でも来るがええわ!
なにい、武蔵じゃと!
新免武蔵か!
二刀流か?
岡山県出身か?
なんじゃ、違うんか。
ええい、仕切り直しじゃ!
ぬははうははわはは!
愉快痛快、退屈の虫がうずくわい!
ワシは誰の挑戦でも受けるぞ!
ほれ!
野球~
す~るなら
こういう具合に
しやしゃんせ
アウト!
セーフ!
よよいのよい!
ふん、それ見たことか!
わはは、ほれ、何人でもかかってけえ!
喜作、参る!
なに?
本来の野球拳は愛媛県松山市の郷土芸能で、脱衣など無いじゃと?
横濱の遊廓で幕末に行われていたもんが、誤って伝わったじゃと?
せげなん知らんがな!
で、ワシの一人勝ちでええんか?
この鬼武蔵に勝てるもんなぞ、誰もおらんゆうことじゃな。
おお、ワシに勝つ気か、お嬢ちゃんたち。
ぐはは。
うぉーすぱいと?
びすまるく?
がんぐーと?
ろーま?
あいおわ?
りしゅりゅー?
どこの国の子でも存分にかかってけえ!
この喜作、日本男児として逃げはせん!
どうやら、遊んでほしいようじゃのう。
なんぼうでもかかってけえ!
ほれ!
野球~
す~るなら
こういう具合にしやしゃんせ~
アウト!
セーフ!
よよいのよい!
尚、全戦全勝した模様。