東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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純粋な狂気

「いかに策を練ろうとも、相手はそれを乗り越えて来る。

 口惜しや。もう少しで宿敵に手が届くというのに」

「やぁ、初めましてお姉さん、あなたが今回の黒幕かな?」

 

そこに立っていたのは金髪で、ウェーブのかかった長髪。

装いは満州族だったかな、その袍服のようだった。

で、黒のロングスカートを穿き、大拉翅かな? を被ってる。

で、後ろには7本の紫色の尻尾のようなものが生えている様に見えるね。

まぁ、本物ではないだろう、意思の具現に近いのかな。

しかしまぁ、大した殺気だ…憎しみの塊みたいな奴だな。

そこまで純粋にまで研ぎ澄まされた殺意…だが、どうも今は若干薄いな。

もしかしたら、あまり本気では無いのかも知れない。

実は暇つぶし程度の感覚だったりするのかね。

やれやれ、これだから力が強い奴は訳が分からない。

 

「ひとまずは負けを認めよう」

「あっさりしてるね、ここまでの大規模をやらかしたのに。

 お前にとっては、ただの遊びだったと言う事かな? お姉さん?」

 

ここまであっさりと引き下がるか、一目見たときに大体察したけどね。

既に戦意は無かったと。

 

「違うな、私は本気ではある、本気であの女を殺したい。

 あの憎きあの女を! 我が子を殺した、あの女を!」

 

子供か…あぁ、僕には分からない事かも知れないね。

僕みたいなのが子を作るとは思えないしね。

だけど…親の気持ちなんて分からないけど、子の気持ちは良く分かる。

 

「……おいおい、子供のための復讐か…やれやれ、何だかなぁ。

 何で親ってのは、総じて子が望んじゃいないことをするかな。

 ま、僕も復讐を否定するつもりはないよ、干渉はしない。

 だが、やるなら周りを巻き込むな、お前の対象はたった1人だろう?」

 

所詮ただの押しつけでしかないのさ、復讐を子が望んでいるとしても

少なくとも、自分の母親がただ復讐の為にその身を修羅に墜とす。

そんな事態、子が望むわけがないだろう。

自分の死で大事な親が狂うなんて冗談じゃない。

ま、他者なんてどうでも良いが、問題は僕達を巻き込んだことだね。

 

「ふん、小娘に説教されるほど落ちぶれては居ないわ。

 一応は自己紹介をしておきましょう。

 我が名は純狐、月の民にあだなす仙霊だ。

 今回の勝負、既に戦意は喪失しているが、ここまで来た相手をただ帰すでは非礼と言う物」

 

こんな所に連れてくる地点で非礼だと思うけどね。

そっちが来るならまだしも…あー、いや、こんな厄介なのが

幻想郷に来ちゃったら、八雲紫が頭を抱えるかな。

そう考えると、僕には関係ない月で適当に騒いでくれていた方が楽だね。

 

「ま、一応僕も自己紹介だ、僕の名前はフィル。

 ま、正確にはフィールなんだけど、こっちじゃフィルだ」

「名前など覚えるとも思えませんが」

「それはこっちも同じだよ、お姉さん、次に僕が君と会うとき

 僕はきっと君の事は覚えていない」

「ほぅ、しかし、もはや2度と会うことはないでしょうが」

「そりゃね、しかし面倒だね、月がどうのこうのとか正直どうでも良いんだけどね。

 しかしまぁ、月を滅ぼせる相手に月を容易に滅ぼせる相手を送るってのも

 中々乙なことをするね」

「…随分と大きな口を叩くのね、予想以上に」

「まぁ、それは試すと良い、と言っても、そっちは本気じゃないんだろ?

 もう分かってるさ、ここに僕が来た地点で君の戦意はもう無かったからね。

 それなら、お互いに底が見えない戦いだろうね。

 ま、折角僕がこうして出て来たんだ、最後位派手に暴れさせて貰おう。

 相手は君だ、どうせ早々死なないだろう? ちょっと位は本気を出したくてね

 僕の発散、手伝ってくれるんだろ?」

 

長い間のんびりしてたから、身体が鈍って仕方ないからね。

道中の夢、片翼、妖精は骨がなかったしね。

でもまぁ、こいつはそれなりに楽しませてくれそうだ。

 

「彼女とはもう別の星に住み、会うことは出来ないが、

 倶に天を戴かずとも憎しみだけが純化する。

 見せよ! 命を賭した地上人の可能性を!

 そして見よ! 生死を拒絶した純粋なる霊力を!」

「ふ、何処までも純粋な生と死。その生と死しか知らない僕を

 果たして君は何処まで拒絶できるかな?

 僕は死者も非存在さえも殺す邪狼! その魂、憎しみと共に食ってやろう!」

 

さぁ、楽しんで行こうか、純粋無垢に何も考えず

ただひたすらに純粋な命のやり取りを。

と言っても、この勝負はワンサイドゲームにしかならないけどね。

純粋な命のやり取りなんて、僕に出来る訳がないからさ。

 

「嫦娥よ! 見てるか!? 何処までも純粋な生死のやり取りを!」

「さ、狂うほどに暴れよう、星を壊すほどに暴れよう。

 ただただ復讐の為に、その復讐に身を任せよう。

 さぁ、来ると言い、その怒り、全てを僕にぶつけて見なよ。

 その全てを食らいつくし、僕は君の意思を食らいつくそう!

 さぁ、その身に怒りを宿せ! 砕ける覚悟で僕に挑め。

 純粋な狂気を僕にぶつけると良い! ストレス発散に付き合って貰う代わりに

 君のストレス発散にも付き合ってあげるからさ」

「ふふ、良いでしょう、では見るが言い! 何処までも純粋な弾幕を!

 何処までも底知れず純化した、我が憎しみを!」

 

さぁ、楽しませて貰うよ、お母さん? 馬鹿な親の馬鹿な暴走。

幻想郷と月を救うついでにそれを止めるのも面白いだろう?

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